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オラは神殺しになりました。  作者: 佐々木 樹嵐(じゅらん)
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0話 おうまいごっど

初投稿です。プロローグ的なものです。よろしくお願いします。

その男の技は美しかった。

足取りは軽やに、まるで花を摘み取るかのような気安さををもって獲物へと近づく。

獲物-即ち一羽の哀れな兎は彼に目を向ける、接近者に気がついたようだ。

だが、逃げ出そうとはしない。


なぜなら敵意が感じられないから。

なぜなら彼は自分の敵ではないから。

なぜならその男をもっと見ていたいから。


気づくと男は弓を構えていた。瞬きをした、刹那の間に。

兎はここにきて初めて、目の前の男が狩人である事に気がついた。

今逃げなければ自分が死ぬ事も理解した。


だが、不思議とそれでも良い、ここでこの男に殺されるまで生きる事が私の役目だったのだとさえ思えた。

ゆっくりと目を閉じる、視界に広がっていく闇が心地いい…




あれ…?役目?闇?何か思い出しそうな…

んんん?あんれー?ちょっとまって、ここであたし死んだらまずいん…


「ちょっとまって!!」


たまらず叫んだ。

目の前には男の-いや、男と呼ぶにはあまりにも幼い少年の驚いた表情。


「兎がしゃべった…べ?」

「そうです!兎がしゃべりました!」


少年の疑問に間髪を入れず答える、話してしまったからには事情を説明するしか仕方が無い、今はとにかく生き残る事が先決だ。さあ何でも聞きたまえ少年、まずはコミュニケーション、君には私がただの可愛いふわふわの毛玉でない事を理解してもらい、当面はこの地上での最初の協力者としてこき使わせてもらう予定だからね!


「あの…なにをだすか?」

「ん?」


は?「なにを」、「だすか?」ああー、そういえば人間には住む地域によって、発音にくせがあったりするんだっけ?

いわゆる訛りってやつか、ええと…「なにを」は「何を」で間違いないとしてー、だすか?って?出すか?いや、ないにも出さないけど…言葉尻がやや上につりあがってたから、疑問文なのは間違いないわよね、「だすか?」、「ですか?」ああ!


「なにをですか?って?決まってるじゃない!その矢を射つのをちょっと待ってっていってるのよ!」

「はあ…」


少年は苦笑いしながら、ばつが悪そうに目を泳がせながら額をぽりぽりと掻く。

つられて私も自分の額を掻こうと手を伸ばすと、細い突起に手が当たった。

嫌な予感がして、眼球をぎょろりと上へ回転させると深々と眉間に突き刺さっていた。矢が。


「おう…」


私はそのまま白目を剥いてぶっ倒れて、意識を失った。










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