とある世界のとある物語
ここはどこにでもあるようなただの草原、ここらへんは魔物がよく現れるので、普段は誰も寄り付きません。 しかし今日はこの場所でなにやら騒がしい人達がいます。
「ぅわぁぁ! 魔物だ魔物! 助けてぇ!」
この悲鳴をあげて腰を抜かしている少年は、
名前 ユウジ
年齢 16
職業 ヘタレ
備考 なにかと打たれ強い
とまぁなんの役にもたたないただの小物です。
「見ればわかるわよ! ちゃっちゃと倒せばいいんでしょ! …ちょっとユウジ邪魔よ、なに? 一緒に殺られたいの?」
この不機嫌そうな顔でとても恐い事を言っている女の子のは、
名前 レナ
年齢 17
職業 魔法使い
備考 ドS
腰まである漆黒の長い髪をゆらつかせながら魔法で魔物を次々と倒していきます。 もちろんヘタレのユウジ君もこみで。
「おいレナ、貴重な戦力を減らすな!」
レナを叱る白髪のこの少年は、
名前 タツト
年齢 18
職業 拳士
備考 クール
女の子にモテます。 カッコイイです。
「危ないじゃないか!? どーして僕を攻撃するの!? 僕たち仲間だよね? 」
「敵よ」
「敵なの!?」
「もたもたするな、まだ依頼はクリアしてないぞ」
「そうね、こんなヤツほっといてさっさと行きましょ」
「ひどい…」
2人は半泣きのユウジを置いて草原を先に進みます。
個性の強い3人組、彼らは自分達の事を《退治屋》と呼びます。
退治屋とはその名の通り、依頼を受けて指定された魔物を退治し、そのかわりガッポリお金をいただくという1つの商売である。
「依頼の魔物がでるのはここらへんだな」
タツトは依頼書をみながら立ち止まる。
「ぅぅ… 帰りたいよ〜」
おやおや、早くもユウジ君がビビりだしましたよ?
「そんなに帰りたいなら帰ってもいいのよ?」
「ホント!? じゃぁ帰る! すぐ帰る!」
帰れるとわかった瞬間、ユウジ君は目きらきらと輝かせ、元気になりました。
「魔物だらけの道を一人で帰れるならね」
「ガーン!!!」
うなだれてまた元気がなくなるユウジ君。
さすが、レナは本当にドSですね。
そーこーしているうちに、3人の前に目的の魔物が現れました。
人型のその魔物はなんとゆーかその…
「マッチョだ!?」
「マッチョね」
「マッチョだな」
ムキムチで黒くてテカテカしててピチピチの海パンをはいたそいつは、一言でいうとマッチョでした。
マッチョは自分の筋肉を小刻みにぴくぴくさせながら3人に向かって歩いて行きます。
「くるぞ!」
タツトは身構えた。
「なかなか手強そうね」
レナは杖を構えた。
「ヒイィィ!」
ユウジはヘタレた。
ユウジ君が腰を抜かしている間に、レナは呪文を唱えます。
「風の精よ、その大いなる力をもちいて我に害をなすイモムシ野郎に制裁をくだせ!」
言い終わるのと同時に、無数の風の刃がマッチョとユウジを襲います。
<シュババババァ>
「またカァァァ!?」
【マッチョを倒した】
【ユウジを倒した】
「どう… して…」
ボロボロになったユウジ君はイモムシのような動きでレナに近づいて行きます。
「風の精にも敵だと思われたのね♪ 手加減してもらってるんだから感謝しなさいよ」
「嬉しそうだね… てゆーか手加減とかの前に風の精は敵味方の区別もできないの!?」
<シュババババァ>
風の刃がユウジ君の体を切り裂きます。
「ギャァァァ!!! ごめんなさいごめんなさいぃぃ!!!」
「ちゃんと風の精にあやまりなさい!」
「もうあやまってますけど!?」
「お前らいい加減にしろ! 魔物に囲まれたぞ」
タツトは構えたまま、言い合う2人を叱ります。
「ほんとだ!?」
「いつのまに…」
「「またカァァァ!?」のところからだ」
「「早く言えよ!」」
ユウジ君とレナのダブルツッコミを受けても、タツトはクールに受け流します。
「どーするのこれ!? 僕たち死んじゃうの!?」
かわいそうに、ユウジ君はほとんど泣いています。 かっこわるいですね〜。
「しかたないわね… 分身を作って時間をかせぐから、そのスキに逃げましょ」
「おぉ! レナ頭いいね!」
「うるさい」
<ペシ>
「いたぃ! え!? なんでぶつの!?」
「早くしろ!」
急かすタツト。
「わかってるわよ、《分身の術》!」
8体の分身が3人を囲むように現れます。
「魔法じゃないの!?」
「うるさい」
<ドス>
「グハッ」
ユウジ君はレナの攻撃で地に沈みます。
「ぅぅ… どーして… あれ? 待って!? この分身全部僕だ!? うわ、なんか恐い。 レナの分身がでてくるんじゃないの!?」
「はぁ、本当にうるさい」
「ぇぇえ!?」
「もたもたするな、行くぞ」
その後、3人はなんやかんやして脱出し、なんとか助かりましたとさ。
「ぁ、これユウジの分身だわ」
「なに!? じゃあ本物は…」
「頑張れ僕の分身たち! みんなで戦えば勝てるはずだ! 共に生き残ろう! …ってあれ? 違う! 僕は敵じゃない! 味方だよ? まって、やめて… ィヤァァァァ!!!」