彼は失礼ではない、正直なだけである。
「静まれい!!」
俺が魔法使い(確実)の前脚を挽肉にしようとした時、凛とした女の声が響き渡った。どうやら、白いドレスを着た女が発したらしい。
「チッ、…挽肉に出来なかったか。今回は許してやる」
「ぶひぃ、た、助かった」
「だが、次に騙したら──なァ?」
「ぶひゃあ!?」
そんな感じで俺とブッちゃんが話してると
「おい、そこの男。少し静かにしてくれ」
白いドレスを着た女が此方に近づいて来た。そして女を見て俺はずっと思っていた事を言った。
「臭いから寄るな。もっと離れろ」
「」
多分、運動して汗でも掻いたんだろう。多分タオルで拭いてその後に香水でもやったんだろうな。他の奴の香水と混ざってる所為か臭い。そして鼻が痛い。
「なぁ、そう思うだろ。ブッちゃん?」
「ぼ、僕っすか!?そこで僕に振っちゃうんですか!?」
ブッちゃん、今日は凄い動くなぁ。
「」
つーか、この女まだ離れてねぇ。ってか、なんか動きが止まってる。何故だ?
「おい、そこの黒ローブ」
俺は複数の不審者の中から一人に指を指した
「あ、あっしすか?」
「コイツ臭いから、風呂にでも入れてやれ。つーか、お前等も臭いとか思ってたんだろ?正直に言ってやれよ」
俺がそう言うとやっと起動した女はぐりんと首を回して、黒ローブ達のいるところを見る。
「い、いや、あっしはそんな事一度も思った事───」
「ほう、お前この女を今迄、本当に一度も臭いとか思った事無いんだな?絶対とこの女に誓うんだな?」
俺は黒ローブの話を遮る。
「───うぐっ!そ、そりゃあ、姫様も剣の訓練とか色々して汗も掻いてるんで、く、臭いとか思わなかった事はないとは──」
「言い切れないだろ?」
俺はまた遮った。
「う、嘘だろ?」
女は顔を青白くし、呼吸困難な奴に見えた。
「………すいやせん、姫様」
黒ローブは認めた。この女が臭い事を。
「く、くっ──」
「よく認めたな、黒ローブ。よく自分の気持ちを言った。お前は立派だよ」
俺は項垂れた黒ローブの肩をポンっと叩いた。
「クァァァアアアアア!!!こ、この、き、貴様、う、うぅ、覚えてろよ!」
いきなり、女が奇声を上げ、走ってった。
「さて、まず一人」
「へっ?一人?」
俺がそう言うと、黒ローブ(あっし)は顔を上げた。
「あぁ、次はそこの黒ロ──」
「す、すみません!わた、私もお風呂に行きます!!」
「私も!!」
俺が指を指そうとすると、一人また一人と風呂に行き、ついには最初に居た黒ローブの半分以上が風呂に行った。
何故か知らんが周りがシーンとしている。さっきまで騒いでたのに。
「……あ、あの女性、姫様なんだ」
ブッちゃんがポツリと呟く。
「えっ!?マジかよ、あの綺麗な女性が姫様!?」
「ムクロ!おまっ、何言っちゃってんだよ!?」
「つーか、武代!お前か小雪ちゃんしか、コイツを止められないんだぞ!しっかりしろよ」
「でも、結構香水キツかったよな?」
「ま、まぁな」
クラスメートの男共が騒ぎ出した。女子は、…ぐふっ、古傷がっ!とか、言ってる。
「お前等もそう思ってたんだろ?ならいいじゃねぇか」
『お前はデリカシーがなさ過ぎだ!』
何故、怒る。
「このっ!このっ!このっ!」
鬼ヶ島が俺の脛を蹴っている。
「このっ!少しは痛がれ、このチート野郎!」
それは無理だな。痛くないし。
その時だった。俺達の下にある魔法陣が輝き上から三人が落ちてきた。
「あ、あれは!?神山 伸二と肩故里 剛 とその取り巻きの……えっと…鳥牧 太郎?だったっけ?……多分合ってる筈。う、うーん?まぁいいか、えっと、どこまで言ったっけ?」
ブッちゃんが悩んでいると、ブッちゃんの隣りにいた奴が耳打ちした。
「鳥牧?とか言う奴まで言ってたぞ」
「えっ、そこまで言ってた?なら、うっうん、……達だ!(キリッ)」
いきなり、キリッとされてもな。つーか、人の名前をあやふやとか人としてどうかと思う。まぁ、俺は初めましてだから名前知らなくても仕方が無いんだけどね。(キリッ)
あっ、落ちた。