彼の起きる時間は基本、昼休み。
…なんか知らねぇが眩しい。そして、さっきから五月蝿い。
「……て………きて!起きて!ください!」
もう少し、寝かせろ。
「……まだ昼休みじゃねーだろ。寝かせろ」
「あっ、き、気付いた!?い、いや寝ないで!?お願い起きて!?」
五月蝿ぇな。
「ご、ごめんなさい!今度ウチのチャーシュー丼(大盛)奢るから!」
あん?チャーシュー丼(特盛)を十杯も奢ってくれんのか?それは
「起きねぇとな」
俺が付けていたアイマスクを上にずらすと、太った男が目の前にいた。
「ってなんだ、ブッちゃんが起こしたのか」
ブッちゃんこと武代 猛。ラーメン屋【肉食】の一人息子で俺のクラスメートでマブダチ。
「そ、そうだよ。はぁ、怖かった……じゃなくて!ほら周りを見てよ!」
相変わらず、ブッちゃんは身振り手振りが激しいな。汗掻いてるぜ。
「ほら、ハンカチやるからそれで汗拭け」
俺はブッちゃんにタオルケットのハンカチを渡した。
「あ、ありがと」
ブッちゃんはハンカチを受け取ると、いそいそと汗を拭った。
「お礼はさっき言ってたチャーシュー丼(特盛)十杯でイイぜ」
「あれ!?色々増えてる!?」
何故かブッちゃんが驚いている。何かよく聞こえないが……ん坊めっ!(戦慄)って言ってる。何に戦慄してるんだ?まぁ、それは取り敢えず置いとくとして、だ。
「でだ、周りを見たが何だこれ?」
周りを見ると石で出来た部屋に俺達のクラスメートいて、んで下には何かの模様があり、出口と思われるドアの前には白いドレスを着た女と何か黒いローブを着た複数の不審者がいた。
「見てわからないの!?これはアレだよ!僕達、異世界に召喚されたんだ!」
「ふーん」
「反応薄っ!?」
つーことはアレか?
「この下にある模様は何っつった?魔法陣とか言うヤツか?」
「そうだよ!つまりは、ここには魔法があるんだよ!」
さっきから【!】使い過ぎなんじゃねぇの?
「成る程、魔法か。だから俺の親父は強いのか」
「( ゜д゜)」
あの野郎、手から火とか水とか出してたしな。手品だと思ってたわ。
「…へっ?いや、ちょっと待とうか、うん。えっ?何?ムクロ君の父親の観視さんって魔法使いなの?」
「いや、非童貞だが」
「ど、童貞ちゃうわ!……み、未来はきっと(ボソッ)。じゃ、じゃ、じゃなーくーてー!!手から火とか水とか出せたの!?」
「成る程、そっちか。あぁ、因みに風の刃とか雷とか木の根の鞭とか色々な」
本当に色々出しやがって。
「ねぇ、魔法ってやっぱり便利?」
「あぁ、凄い便利だな。お陰で料理する時、電気代とかガス代とか水代とか色々節約出来たからな」
「うわっ、夢が無い」
おい、引くなよ。魔法使い(未来)
つーか、異世界とか何で召喚されたんだ?ってか、今思ったんだが。ちょっと待てよ?
「なぁ、おいブッちゃん?」
「何?」
「ここは異世界なんだよな?」
「うん、絶対と言ってもいいほど異世界だよ」
「ならよ
チャーシュー丼(特盛)十杯はいつ喰えんだ?」
「そ、そういや、周りよく見ると僕達のクラスメート達だね!」
「おい」
「し、知らない人と一緒に召喚されなくて良かったよ!」
「その太い前脚折るぞ、魔法使い(未来)」
「ぶひぃ!?」