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ともに歩は 漆黒の騎士~フリオニア大陸物語  クナーセル編~  作者: 樹 雅
第1章 ともに歩は 漆黒の騎士
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プロローグ

完結していない「異形の戦士」とは違いこちらは「完結」させますので、どうぞしばらくお付き合いをお願いします。

また「異形の戦士」がなければこの物語も生まれなかったと言えます。

そして、楽しんでいただければうれしく思います。



 ――これが奈落に落ちると言うものか……。


 どこまでも落ちて行く感覚が全身を覆っていた。

 生きているのか死んでいるのかも定かではない。

 暗闇に閉ざされた視界と、落ちると言う感覚しかなかった。

 戦いの最中に吹き飛ばされて崖から落ちたはずだった。

 地面に叩きつけられた衝撃は感じなかった。

落ちて行くと言う感覚は、その時までの間なんだろう。


――まあ、いいか……。


 戦いに借り出された初めの日に決めた事があった。

 戦うだけの日々になる事はわかっていた。

だから、いつ終わりがきてもいいようにと、覚悟だけはしていたのである。


 今がその時なのだと思った。

未練が無いと言えば嘘になる。


 不満だらけであり、ろくでもない生き方しかできなかった。

それでも、面白いと思える男と出会えた事は良かったと思える。

 それだけは、感謝すべき事だった。


『面白かったか?』


 ふと、疑問が浮かぶ。


 ――まあ、それなりに……。


 苦笑にも似た思いが起こった。

 どこまでも落ちて行く感覚に意識が飲み込まれて行く……。











 身体に当る風と固い大地が、闇に飲み込まれたはずの意識を覚醒させた。

 眼を開けるのか、そう意識が感じているのか判断ができずにいる。


「気が付きましたか?」


 優しい女性の声が聞こえた。


 眼の前に銀の髪と蒼の瞳が見え、口元には安堵したような微笑が浮かんでいる。

 綺麗な女性だと感じた。

 こんな人を見るとは、自分の想像力に苦笑したくなる。

この女性は人ではなく女神なのか、それとも天使なのかと思えるほど魅力的だった。


たぶん自分は死んだのだろう。


だから、こんな女性を見てしまう。


「ここは天国ですか?」


 声が出る事に戸惑った。


「いいえ、違います。あなたは生きています」


 首を振って女性は言う。


 聞こえてきた言葉に、思わず身体を起こしてしまった。


 生きている事が信じられなかった。




ではまた、次回をお楽しみに


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