第7話 仲間とは?
昨日は投稿できませんでした。
理由はネタが思いつかなかったというのが表向きな理由で、実際は『海猿』見てました。
ではどうぞ^^
朝のやり取りの後、色々と話しているうちにいつの間にか昼時になっていた。
とりあえず食事を取ることにした俺達は一旦、寮に戻った。
寮の食堂で俺達はメイドさんに思い思いのメニューを頼み、今は食後のコーヒーを飲んでいる。
「…っということはリューイチはまともに魔法を使ったことが無いのね??」
隣に座っているエレナが俺に確認するように言ってきた。
「うん。自分が魔法使えるのがわかったのも最近だしね…。」
一応、異世界から来たと言っても信じてもらえないだろうから両親を亡くして、今までずっと孤児院で生活していたということにしたので知識が無いことを責める者はいない。エレナの問いに頷いて答えると
「じゃあ午後は特訓だな。」すかさずライナが会話に入ってくる。
「特訓??」
「そう。短期集中でガーンと魔法使いこなせるようになろうぜ。」
そう言ってガッツポーズをした。
俺も悪い気はしなかったし、面白そうだったので頼むことにした。
「じゃあお願いしようかな。」
ケイトが近くのメイドさんにその旨を伝えると、違うメイドさんが直ぐに許可書を持ってきてくれた。
俺らはコーヒーを飲み終えると、昨日来た闘技場に向かった。
ザンザス先生が突っ込んだ客席は既に直っていた。
そして観客が誰もいない巨大な闘技場の中心に俺ら5人は立った。
先生はエレナ。セレクターが杖なだけにS組の中で2番目に魔力量が多く魔法も得意なため適任だろうということになったからだ。
ちなみに、他の4人は模擬戦をしている。
今は、ケイトVSライナの試合中でセレクターがバスターブレードとレイピアなので圧倒的にケイトが不利の試合だが、ケイトの俊敏な動きにバスターブレードのスピードはついていけてないみたい。
当初の予定通り、俺とエレナ2人だけで練習することになった。
「んじゃあリューイチ。基本から確認するよ!」
「よろしく。」
やはり同年代の特に女子と二人きりになると前の世界でのことを思い出してしまう…。それでも、魔法は使えるようになりたいので我慢することにした。その上、エレナが美少女であるということもあり、かなり緊張している俺だった…。
そんな俺の様子に気付くことなく早速エレナは話し始めた。
「魔法は、この世の奇跡と言われているように様々な物に干渉して発動する能力なのは知ってるわよね?」
「あぁ。」
昨日読んだ本を思い出しながら俺が答える。
「魔法には下級魔法、中級魔法、上級魔法、精霊魔法、神聖魔法、創成魔法があるの。一般的な魔法も属性魔法も制御力によって分類されてるの。魔力量によって発動回数、威力などは変わって来るけど使用魔法のレベルは制御力で決まると思って。リューイチは魔力量は私よりも多いけど制御力は平均より少ししただから使えるレベルは下級と中級だね。」
(理事長からもだいたいは聞いていたがエレナの詳しい説明のおかげで助かったな…。車で例えればあれだ、魔力量はタンクの量。制御力は馬力ってとこか。んで発動する魔法が車本体って感じだな…。)
など納得しているとエレナが覗きこんできた。
「ちゃんと聞いてる??」
「聞いてます!!」
顔が近づいてきて少し驚いたが平静を装って答える。
「んじゃあ続けるよ。属性魔法も含めてすべての魔法を発動するには詠唱が必要なの。だけど下級魔法や魔力を込めるだけなら詠唱はいらないの。ライナのバスターブレイドなんかがそうだね。さらに、レベルの高い魔術師なら中級くらいまでは詠唱破棄することができるの。本来、詠唱っていうのは魔法を発動するにあたり世界そのものに宣言するものだから技名だけ言えばいいんだけと、様々な設定をするのにどうしても長くなっちゃうの。」
「なんか複雑だなぁ…。」
「そうね。実際に見たほうが早いでしょう。この下級魔法ファイヤーボールを使うのに『ファイヤーボール』と技名だけでも使えるけど…」
そういいながら杖の先に拳大の炎を点し先の的に当てた。
「これが技名だけね。次は詠唱するよ。『炎よ、我に力を貸し火の玉となさん。』」
そういって先ほどの5倍くらいありそうな炎の玉が杖先に現れた。
そして、杖を一振りし目の前の的に当てた。
先ほどは的の一部が黒く焦げただけだったが今回は的ごと吹き飛んだ。
「全然違うんだなぁ…」
「まぁね。詠唱でさらに付加効果もつけることもできるし数を増やすこともできるの。詠唱しなくても心の中で軌道を制御できれば詠唱も技名もいらずに発動できる詠唱破棄ができるの。詠唱がいらない分、起動が早いのが特徴ね。」
「とりあえずやってみるか」
「そうね。じゃあさっきの詠唱ありでやってみて。」
「じゃあいくぞ。」
(ちょっとアレンジしてみるか)
『炎よ、我に数多の力を貸し幾千の炎の玉となさん。ファイアーボール!!』
そういいながら体の内から力を使う感じのイメージで、ディアブロを右手に持ち左手を前に突き出した。
その瞬間、慌てたエレナが何やら叫んでいた。
そして、闘技場に現れた数千、数万の炎の玉。一つ一つのサイズは拳大でもこれだけの数になると迫力も熱量も凄まじい。
「上手くいったなぁ〜」
炎を眺めながら俺が言っていると
エレナがちょっと怒った様子で
「これのどこがファイヤーボールなのよ!!」
「いや、さっき言ったエレナの詠唱にアレンジ加えただけなんだが??」
「これが、ファイヤーボール??」ドーム状に覆われた結界のようになっている炎を見ながらエレナが唖然としている。
「なんだなんだ!!」ライナが俺の元にくるなり聞いてきた。
他の3人も聞きたいのだろう、頻りに頷いている。
「いや、ファイヤーボールを大量に出してみただけだよ??」
ほらっといって左手を下ろした。
次の瞬間、的に向かってすべての炎の玉が飛んできた。
慌てたのエレナが『大気の水よ。我等を守りて、水の壁を成せ。アイスバーグ!!』と言ったのと同時にニーナも『風よ。我等を包みて、壁と成せ。ウィンドウォール!』と唱えた。
水と風の二重結界によって俺らは無傷だったが、闘技場に貼られていた結界には皹が入り、地面には無数の穴があいていた。
「危なかった…。」
ニーナがほっとしたように呟いた。
「リューイチ。」
エレナがかなり怒った様子で俺に近づいてきた。
「わりい…。あんな威力あるとは思わなかった。」
「まぁ、説明しなかった私も悪いんですが…。リューイチは私よりも圧倒的な魔力量を誇るようなので、たとえ下級魔法でも魔力を注ぎすぎるとこのようなことになります。これからは魔力の出力に気をつけてください。」
(やっぱり注ぎすぎたか…。自分の魔力の5分の1でこの威力とは…。)
「でも、リューイチはとてつもない才能あると思うよ!!」ケイトが横から口をだしてきた。
「そうだな。下級魔法で上級魔法二段階の結界に皹を入れるなんて…。」ニーナも納得しているようだ。
その後は大変だった。理事長が慌ててやってきて結界を修復するように教員達に指示を出し、俺たち5人を理事長室に呼び出した。野次馬に集まった生徒は幸いいなかったが後々、様々な噂がたった。
とりあえず俺たちは理事長室に行ったが、まだ理事長は戻ってきていなかったので紅茶を飲んで待つことにした。10分くらい経つと一通り作業が終わったらしく理事長が部屋に戻ってきた。
そのまま俺の向かい側の席に座り、ゆっくり話始めた。
「リューイチ君。あれほど抑えてって言ったの忘れたの。言ったの昨日よ??」
「いや忘れていませんよ?威力も5分の1くらいに抑えてましたし…。あっ…。」
(確か、魔力量のことも黙っておく約束だったような…。)
「「「「あれで、抑えたの!!!!」」」」
予想通り、後ろにはメチャクチャ驚いている4人がいた。
理事長も深くため息をついて言った。
「もう、隠せないわね…。っというか隠す暇もなかったみたいだけどね…。彼の魔力量はみんなよりちょっと大きいどころか、人間のレベルを超えてるの。あなたたち全員の魔力の数十倍くらいかしら。」
今度は誰も口を開かない。
(さらば、楽しい学園生活。)
そんな時、エレナは一人考えていた。
(リューイチの力を借りればお父様も私のことを認めてくれるかもしれない。でも、それはリューイチをただの物としか見てない気がする…。)
エレナは何かを決心したように理事長のほうを向いた。
「リューイチはどこかのクランに属していますか??」
「先日ギルドカードを発行したばかりだから入っていないはずよ??」
「理事長。確か、3年生からはギルドの依頼を正式に受けてもいいんですよね??」
「そうね。去年までは私達が決めた依頼の中から選んで行っていたけど今年からは自由に受けて平気よ。それがどうかした??」
エレナがすっーと息を吸い込み良く通る声で言った。
「理事長。クラン結成してもいいですか??」
「えっ」
と言ってケイトやニーナもお互いの顔を見合わす。
宣言したエレナが皆のほうを振り返ると、ケイト・ライナ・ニーナが静かに頷き、最後に全員で俺のほうを向いた。
「リューイチ。私達と一緒に高みを目指さない??私はある目的のために、結果を残さなくちゃいけないの。でも、それは一人の力じゃどうにもならなくて…。だから、あなたの力を貸してくれない??あなたがこのクランには、必要なの!!」
初めてみるエレナの表情だった。
「これからクランとして活動していけば命の危機に晒されることがあるだろう。だが、君を含めここにいる仲間ならそれぞれ背中を預けられると預けられると思うぞ。」ニーナが静かに語ると、
ケイトも便乗して
「だね。リューイチはもうSクラスの一員。外れるというのは無しだよ??」っと言ってきたし、
ライナは「リューイチ!!俺ら二人でこの三人を幸せにするって誓っただろう??」と言ってきた。
(皆の言葉を聞いていると、何か温かいものを感じる。自分は利用されるだけのただの駒じゃなかったのか?仲間??今までは何があっても一人でなんとかやってきた。だけど、ニーナの言うとおりこのクラスの人なら信じても大丈夫かもしれない。だって…何かを頼まれるときにこんなに言葉に込められた想いの重さが伝わって来ることなんてなかった。でも、この気持ちはなんだ??わからない。わからない。)
神様の言葉を思い出した『相手の目を見る。』
皆はどうみても嘘をついてる目じゃない。これは真剣に俺自身を見ている目だ。
それにまだ、出会って一日も経っていないのにこんな感情が芽生える仲間は初めてだ…。
これが本当の仲間なのかもしれない…。
(わかったよ神様。少しは人を信じてみるさ。)
「もちろん。俺もクランに入れてくれ。」
そう言った瞬間、 パッとみんなが笑顔になった。
(そうだ。初めて人に感謝されたときもこんな感覚だった。こいつらと一緒にいたら、少しは昔の自分に戻れるかな…??)
そんな様子を見ていた理事長がわざとらしく咳ばらいをした。
「完全に私のこと忘れてるわね…。どちらにしろ明後日には案内が配られるはずだったから別に構わないわ。リューイチ君もいるから最初から説明するわね。クランっていうのは、同じような志をもった者達が集まりギルドの依頼をこなしたり、王国の任務を受けたりする軍団のことよ。」
「なるほど…。」
「それで、リーダーはどうするの??」
皆は一斉にお互いに顔を見合わせる。
「ライナがいいと想います。」俺はすかさず言った。
「あたしはリューイチがいいと思ったんだけど…」そうエレナが言ってきたので俺は首を振った。
「俺はリーダーってキャラじゃないしあまりにも無知すぎる。それに比べてライナは適任だろ。」まぁ、ライナはもともと皆と仲間だったしなかなかの実力者らしい。そのため、みんなも納得してくれたみたいだ。
その様子を見ていた理事長が頷き
「では、ライナをリーダーとしましょう。クラン名はどうするの?」
「ここはリーダーに決めてもらおう。」
そう言ってニーナがライナのほうを向く。
「俺かよ…。そうだなぁ…『S.A』ってのはどうだ??S組のAngel達ってことで!!」
「Salvation.Armyか…。」俺がボソッと呟くと
「何それ??」っとケイトが興味津々って感じに聞いてきた。
「Salvation.Armyっていうのは俺のいた地域の言葉で救世軍って意味だよ。」異世界っていうのがバレないように上手くごまかしながら言った。
「救世軍かぁ〜なんかいいねぇ!!」
ケイトも納得したようだ。
ライナの考えた意味とは違うが『S.A』という名は俺も結構気に入った。
「じゃあ理事長『S.A』でお願いします。」
「わかったわ。登録するからメルリング出して。」
そう言って俺ら5人は手を理事長のほうに出した。
「ここにクラン『S.A』の結成を承認します。」
そう言って指をパチンッと鳴らすとメルリングの中心の宝石が緑色となると同時に表面に『S.A』という文字が浮かび上がってきた。
「すごいなぁ…。」
俺を含め全員驚いている。
「これは、クランのランクを表しているの低い方から緑⇒黄⇒青⇒赤⇒紫⇒金⇒虹となっているの。まぁ、金は王家が認めたクランに与えられるもので今は、『ヴァルディア』というクランが金だ。」
理事長の言葉にエリナの表情が一瞬曇ったような気がした。
「ランクは熟したギルドの依頼の量。各種の大会の成績によって上げることができる。ただ、犯罪行為などによって下がる場合もあるから気をつけて。クランの人数は増やすことはリーダーか副リーダーがメルリング同士を接触させ、『加入を許可する』といえば出来るからね。」
全員頷いた。
そして、ここにクラン『S.A』が誕生したのだった。
今回はちょっと海猿の影響受けた気がします。
友情を描くのはなかなか難しい…。
誤字、脱字、おかしな表現等の報告あればお願いします。。
感想もどんどんお待ちしています^^
まだまだ、未熟者なのにこんなに多くの人に読んでもらっていることに感謝、感謝です。