第6話 新しいクラス
なんとか、6日連続投稿できました。
内容が薄くならないように何度もチェックしていますがもし気になる点があったら意見ください。
「ふぁ〜あぁ」
大げさとも言えるくらいのあくびをしてベットから起き上がる。
昨日はあんなに早く寝たのだがベットがあまりにも広すぎるので逆に落ち着いて寝られなかった。
朝シャワーという元の世界じゃ絶対にやらなかったことをやり、衣装室に向かう。
昨日のうちに持ってきてくれたのか制服が置いてあったので早速手を通す。
デザインは確かにかっこいい。
白を基調とし淵は金色な日本では100%お目にかからない制服だった。しいて言うなら宝塚と歌劇団で貴族役が着ているような感じの物だ。176㎝の平均的な身長の俺だが黒髪が意外とマッチしているので驚いた。腰にホルスターをつけると海軍のようにも見えた。
胸の部分にS組の証である模様が刺繍されている。
剣と杖が交差し、そのまわりを10属性を示す小さな魔石10個が囲むという模様で俺は結構気に入った。
メイドさんに朝食を持ってきてもらった。今朝のメニューはフレンチトースト。どうやらこの世界の食生活は現代とあまり変わらないようだ。
食事中に何時か黄色い歓声が聞こえたが気のせいだろう…。
食事を終えて、リビングに置かれた柱時計を確認し部屋を出た。
寮を出るときは何故か誰にも会わなかった。
しかし…
寮を出て門までの一直線の道を歩いてる最中に俺は異変に気づいた。
門の外には自分とは違った制服の生徒達がひしめいているのだ。
耳を澄ましてみると…
「あれが、幻の5人目…」
「本当に黒髪だ。」
「腰につけてるの何だろう…」
「瞳も黒だ…」
「どれくらい強いんだろう…」
「かっこいいかも…」
「平民風情が調子乗りやがって。」
など罵声+歓声が聞こえてきた。
(どこの漫画の世界だよ…)
実はこのS組は美男美女が多いため登校している姿を見ようと人が集まって来るのだ…。
昨日は、まだ里帰りしていた生徒がほとんどだったことと、制服を来ていなかったため誰の目にも止まらなかったが今は違う。
しかし、そんな目線も普通の男子なら多少なりとも喜ぶところだが俺はかなり不機嫌だった。
(こいつらは人間を外からしか見てない連中だ…。S組の自分に将来のために媚でも売ろうってか。まぁ、違うやつも結構いるみたいだけど…。結局、どこの世界も変わらないな)と考えているのだった。
大部分の生徒が長らく空席だった3年S組の新たなメンツに興味津々って感じだが、龍一には利用しようと企んでるやつがほとんどのように見えていた。
門を抜けても人だかりがあるからここを通るのはしんどそうだなと立ち止まると門が開き、一気に人の波が俺に向かってきた。
門番の兵士も困った顔をしているがとめる術はない。
俺は、一気に囲まれて質問責めに合い、さらには体を触ってくるやつもいたためかなりイライラしてきた。
そんな中、いかにも貴族ってかんじの集団が近づいてきた。
「どんなコネを使ったんだい??」
「平民が来る場所じゃないよ…。」
「君はどこ出身??僕はあの名門貴族ラ…」
「金やるからさ、俺のパシリに…」
など言いながら気安く肩など叩いてきた。
まだ遅刻する時間でもないが、このままここにいるのもバカらしい…。
しかし、その集団の1人が「こいつ、利用すればさぁ…」と言っているのが聞こえ
『利用』という言葉に反応した俺はホルスターからディアブロを抜いた。
本当は言った本人ごと吹き飛ばしたいが問題になるのもめんどくさいので空にむけてトリガーを引いた。
弾は空砲にしたが音量は普段の発射音より遥かに大きい。
とてつもない轟音と風圧で俺を取り囲んでいたギャラリーがピタッと黙ってしまった。
「邪魔だからどいて。」俺がそういうとさっと人垣が二つにわかれ道ができる。
まるでモーセの十戒のようだ…。
周りの生徒は静まり返ったまま、龍一がS組専用校舎へ入っていくのを見守った。
貴族っぽい集団は耳と目をふさいで地面に伏していた。
(いい気味だ。)
そして、俺は理事長に言われた白い建物とやらに着いた。
ほかの校舎に比べると圧倒的に豪華なこの建物に入ると当たり前のようにあるシャンデリアと床に描かれた何かの模様が目に入る。
床に書かれた三角形にはそれぞれ数字がかかれておりその先には頑丈そうな扉がある。
どうやら学年が書かれているらしい。
入口の扉のちょうど正面に位置する大きく【Ⅲ】とかかれた扉を開けると談話室のような場所だった。
赤色ソファーと暖炉、魔術書が所狭しとならんでいる本棚、水晶が置かれている戸棚。
そして、奥にあるテーブルで4人の学生たちが紅茶を飲んでいるが見えた。
別に俺は人見知りをするわけではないが後でどうせ自己紹介するだろうと思い、目の前にある高級そうな赤色のソファーにどっぷりと座る。
その様子に1人の子が気づいたようでほかの人たちに何やら話すとこちらに向かってきた。
「お前が新入りか。よくも俺のハーレムを崩しやがって。」
と金髪のイケメン野郎が目の前のソファーに座りながら言うと
「誰がお前のハーレムなんだよ!」
とすかさず気の強そうな赤髪の女の子が野郎を殴る。
(ベタなパターンだな…。)
「イテテ。んじゃ、改めて。俺の名前はライナ・エレオン。エレオン家の次期当主、得意属性は火でセレクターはこいつだ。
そういって脇に立てかけてあった剣を取った途端に、剣自体が炎に包まれた。
「俺の剣タイプのセレクター、バスターブレイドだ。」
こいつは、この口調さえなくて黙っていればモテモテ間違えないだろうな…。
(後で知ったのだが、S組以外とはほとんどしゃべらないのでファンクラブも存在するくらいのモテ具合らしい…)
「すごいなぁ…」
素直に感心した俺に満足したのかなぜかウィンクしてきた。
そこに先程ライナを殴っていた女の子がやって来て自己紹介をはじめた。
「じゃああたしの番ね。初めてまして。あたしはケイト・オレオン。父は王国魔法騎士団の団長をやってるの。得意属性は雷だよ!セレクターはこれ。」
そういいながら腰にあったサーベルを前に構えると剣先から電気が放電しパチパチと音を立てた。
「サーベルタイプのセレクターで、レイピアって言うの!」
見た目はかなり小柄で、胸は将来に期待…って感じだがかわいい系では人気がありそうだ。
他の二人も自己紹介をしようとした途端、そこに先生が入ってきた。
(っといっても教卓があるわけではないので俺の目の前のソファーに腰掛けるのだが…)
そして、そこにはザンザス先生がいた。
「あぁ〜。既に自己紹介したのかもしれんが一応言っとくぞ、転校生のリューイチ・タチバナだ。なんか、いろいろな事情でこの学園に入ることになったらしい。強さは、俺を一撃でぶっ倒すくらいだからなかなかあると思うぞ。」
ザンザス先生がそういった瞬間、場の空気が重くなった気がした。
「ちなみに、俺の攻撃は掠りもしなかったがな…。まぁ、一年間よろしくな。」
昨日のことを思い出して少し嫌な顔をしながらザンザス先生が話し終えると皆はかなり驚いているようだ。その反応を見ている限りザンザス先生は相当なやり手らしい…。
「とりあえず今日はやることないし自由行動な。」
そういってザンザス先生は何故か俺に向かってウィンクしていった…。
(ウィンクって難くね?)
そこに「お前、リューイチっていうのか、ザンザス先生倒すなんてすげえなぁ〜。」と目をキラキラさせながらライナが話しかけてきた。
(こいつは悪いやつじゃなさそうだけど…)
なーんてことを考えていると先程、自己紹介出来なかった二人がやってきた。
「私はニーナ・フロスガー。得意属性は風でセレクターはこの刀だ。」
そういって俺に見せた日本刀に比べると少し短い刀だった。
少し、気難しそうな感じだが長い青髪を後ろで縛っており大和撫子って感じだ。
「じゃあ最後は私ね。私はエレナ・ブリテインよ。得意魔法は、水・氷。セレクターは杖よ。」
そういって見せたのは長さ30cmくらいある杖。
俺は杖ってもっと長いものだと思っていたのでちょっと驚いた。
この人は…美少女だ。学園に来る途中にあった女の子といい勝負なスタイルで完璧というかなんというか…。ファンクラブとかありそう…。
最後は俺の番らしい。前の世界のやつらに比べると少しはマシかもしれないが、まだ信用するには早すぎると判断し自分が異世界から来たことは伏せておくことにした。
「さっき紹介されたがもう一度言っておく。俺の名前はリューイチ・タチバナ。両親を含め家族と呼べる人はいない。得意属性は特になし。武器はこのディアブロだ。」
俺もさっき皆がやってくれたようにディアブロを見せた。
「なんだこのセレクター?初めてみるタイプだな…。刃もないしどうやって使うんだ??それに得意属性が無いってどういうことだ?」
ライナがそう聞いてくると皆興味があるようで頷いている。
(どこの世界でも転校生は注目の的らしい…)
「使い方は後で見せるよ。属性魔法っていうのはよくわからないんだ…。こういうことは出来るけどさぁ…」
お手上げってポーズを取りながら10本の指にそれぞれの属性の光を出す。
「「「「…」」」」
「どうした??」
皆が急に黙ってしまったので慌てて俺が聞くと
エレナが口を開いた
「リューイチ、全属性の魔法使えるの??」
「みたいだけど属性魔法の存在知ったの最近だから…試したこと無い。」
「な…!!」
エレナを含め全員が絶句した。
最初は、なぜ皆がそんなに驚くのかがわからないが昨日読んだ魔法書を思い出した。
『属性は多くても3.4種類が限界』
(はぁ〜。やらかしたな。これは友達どころか化け物扱いかもな…。)
そう思いソファーから立ち上がろうとしたら「凄げぇ…。凄げぇよリューイチ!!」ライナが俺の手を握って飛び跳ねた。
「さすが幻の5人目。理事長が気に入ったのも納得いけるね!!」ケイトも興奮しているようだ。
そんな二人を横目にニーナがニコッと笑い、「エルヴィス魔法魔術学園へようこそ」っと言いなから手を差し延べた。
俺もそれに応じ笑顔を見せた。
「おまえ笑うと意外とかわいいなぁ」と言ったライナを俺は軽く叩き、その反応を見ながらまた笑った。
(このメンバーなら上手くやっていけるかも…。)
そんなことを考えている俺だった。
そんな様子を神様は『よしよし』と見ているのだった。
やっと、学園編突入です。
新たな登場人物がこれからもチョコチョコ出てくるので、もうしばらくしたら「世界観まとめ」と「人物まとめ」作りますので参考にしてください。
ご意見、ご感想等ありましたらよろしくお願いします。。