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ピコピコ呪いをかけられて  作者: 楠本恵士
難題・難問編〈〇〇の偉業〉
16/18

第十六話・第十の偉業【学園敷地内に隠された財宝を見つけろ】

 学園長室に呼ばれたマドカは、輝きに目眩がした。

 ペイペイが食べている料理の器は黄金色(こがねいろ)に輝いていた。

 食べているローストビーフや、鶏の詰め物料理、子豚の丸焼きも金箔や金粉で黄金色に輝いていた。

「【学園敷地内に隠された財宝を見つけろ】……以上」


 ペイペイが飲んでいる、飲み物の中にも金が浮かんでいる。

「今飲んでいるのは、金箔が浮かぶドンペリだ……こっちのスープは金箔入りの佛跳牆(ぶっちょうじゃん)だ……美味いのぅ」


 マドカがポツリと呟いた。

「趣味が悪い」


 ◆◆◆◆◆◆


 マドカたちは、図書室で学園に隠された、財宝についての記録を調べた。

 歩くとピコピコ音がするマドカだけは、図書室の外で体育座りをして待っている。

 机の上に積み重ねた書物で調べた要点を、ノートに書き写しているユーロが言った。


「この学園は、なぜか財宝とか埋蔵金には縁が深い地のようですね……甲斐の国の武田家の埋蔵金伝説から、はじまって、徳川幕府の埋蔵金……海賊クックの財宝……盗賊が隠した千両箱……旧日本軍の財宝やナチスの財宝まで、学園の敷地に集結しています」


 ドルドルが別の書籍を開いて見せた。

「それだけじゃない……古代インカの財宝とか、ロシアの隠し金まで噂で残っている……学園の遥か地下には古代遺跡が埋まっているとも……空から見たら学園は、ミステリーサークルか地上絵だ」


 頭を抱えるゲン。

「なんなんだ、この学園はいったい? 敷地内を掘れば財宝とか遺跡にぶち当たるのか? この間の地上げ屋の目的はコレか」


 ドルドルが言った。

「とにかく明日、スコップとかシャベルを持って校庭に集合!」


 ◆◆◆◆◆◆


 マドカたちがスコップやシャベルを持って学校に来ると……すでに校庭は埋蔵物を掘り出そうと集まった者たちで、大変な騒ぎになっていた。


 校庭に暗いうちから一番乗りして、一人乗りの小型シャベルカーを操作して掘り起こしているのは。

 玉寄席老人だった、玉寄席老人が重機を動かしながら言った。

「学園長からの許可は取ってある……元々、儂の先祖は江戸時代の盗っ人でな、古文書には学園の敷地内に千両箱を埋めたと記されている」


 玉寄席老人は、小型シャベルカーを動かして桜の根元を、少し掘り返して直ぐに埋め直した。

「桜の木の下には、掘り起こしてはならないモノが埋まっているという、言い伝えは本当だったのか……南無阿弥陀仏」


 校庭には海賊の子孫を名乗る者や、山賊の子孫を名乗る者、皇帝の血筋の者まで集まって、手当たり次第に掘り起こしていた。


 その中に、シャベルを持ったクマ番長の姿もあった。

 マドカが地面を掘り起こしている、クマ番長に訊ねる。

「番長も宝探しか?」

「あぁ、子供の時にブリキの菓子箱に入れて埋めた、宝箱をな……誰かに掘り起こされる前に見つけないと」

 番長の持っているスコップの先端が、ガギッと何か金属のようなモノにぶつかる。

 掘っていくとそれは、どこかのクラスが埋めた球体型のタイムカプセルだった。

「こんなもん、いらねぇや」

 番長は、掘り出した銀色のタイムカプセルを、遠くに放り投げる。


 昼頃になると、校庭のアチラコチラで発掘物の報告が、飛び交うようになった。

「これ、エジプトのミイラ棺だよ……そこの縄文遺跡に埋め直せ」

「うおっ、紐で繋がった寛永通宝が出てきた」

「その宝箱はオレの先祖が埋めた海賊の財宝だ! こっちに渡せ!」

「うおっ、金脈と油田にぶち当たった!」

「うわっ、生ゴミが穴の中から出てきた」

 

 夕暮れになって、校庭から人が居なくなると……ペイペイがやって来て、夕日で地面に映る自分の影の頭の部分を、スコップで掘りはじめた。

 校庭の土の中から現れた、夕日に染まる前方後円墳。


 スコップの先端からガギッと音がして小判が現れる。

 軽く笑ったペイペイは、その小判を持って学園長室に戻ると。

 隣の部屋のドアを開けた。

 学園長室の隣の部屋には金銀財宝が、山積みになっていた。

 ペイペイは、その財宝の山に掘り出してきた、小判を放り込んだ。


短いです

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