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謎の少女と実験

入学式が終わったばかりの4月。

1年生の教室は、どの部屋もまだ静かだ。


同じ中学のグループが、あちこちに集まり、

まわりの様子をうかがっている。


そんな中で俺は、いきなり最初の試練を迎えていた。

今日から日直が始まる。


日直は男女ペアで職員室に行かねばならない。

そのトップバッターが俺だったのだ。


入学したばかりで当然だが、誰が誰だかさっぱり分からない。

そもそも日直を出席番号順にしたのは誰なんだ?


俺の名前は、天野ヒカル(あまのひかる)だから、

出席番号がいつも1番か2番だ。


普通なら女子と一緒でドキドキするのだろう。

しかし、クラス替えの最初は、そうはいかない。


名前と顔が一致しないのに、

どうやって相手の女子を探せばいいんだ?



女子の名前は『江良みあ』というらしい。

教室に向かって名前を呼べば、返事をしてくれるだろうか?


いかん、それではチャラい。

でも、相手を探せずコミュ障と思われるのも嫌だ。


(そうだ。声をかけて、

 間違いだったら、タイムリープしてしまえばいい。)


おぉ、さっそく能力の使いどころがきたぜ!

頼んだぞタイムリープ。


バレないと分かった瞬間、ヒトは大胆になれるらしい。

俺は片っ端から女子に声をかけ始めた。


声をかけて間違えたらタイムリープ、

また間違えるとタイムリープ。

ほとんど機械作業だ。


そして、12番目の女子となった。

黄色のリボンでポニーテール、スマホを見ている女子。


「江良さん、、、?」

「。。。」


ポニーテールの女子は、小さくうなづいた。


(やっと見つけた)


俺は心の中でガッツポーズを決めた。

しかしそんな束の間の勝利は、彼女の言葉で打ち消された。


「12人目でようやくですか。」


「え…?」


彼女の口から「12人目」が出てきたことに驚いた。


もしかして、全部見えてたのか?


まさかな・・・。


時間を戻すと、過去の記憶は消えるはずだ。

俺もそうだった。


彼女はスマホから目を離さず

ゲームを続けている。


(なんだゲームのことか…)


俺は気にするのをやめて、江良を職員室へ誘った。



「はぁ、はぁ、ちょっ、待ってくれよ」


うちの高校は横に長く、

教室から職員室まで300メートルもある。


江良は風を切りながら廊下を歩いていく。

小さな体で、かなりの速さだ。


(何だこの女は、、、)


俺は小走りでついていくのが精いっぱいだ。

ポニーテールからほのかに甘い香りが漂ってくる。


突然、彼女の足が止まった。


急なことで俺は江良の背中に頭から突っ込んだ。

我ながら無様な格好だ。



すかさずタイムリープして江良をよける。


しかし、何度やっても、うまくよけられない。

身体を反転し5回目で、やっと当たらずに すり抜けられた。


後ろを歩いていた女子が、驚いてこちらを見ている。

そりゃそうだろ。こんな所でいきなり止まる奴はいない。


リボンを揺らし、江良が後ろを向いた。

当然、謝ってくるのだろう。みんな大迷惑だからな。


しかし、、、


「5度目でやっとね。運動神経が悪いのかな」


「え、何?」


また、江良はタイムリープした回数の話をしている。

まさか こいつ見えているのか?


しかし、だ。それよりも人として問題がある。


まじ、こいつウザい女じゃね?

さすがに初対面の女子でも怒るよ。

メラメラと俺のボルテージが上がっていく。


「ううん、何でもない。先生が待っているから急ぎましょう」


メガネの奥で俺を品定めでもするように、江良は俺を見た。

かわいいんだけど、なんだかムカつく。




「「「 あーーー、疲れたー 」」」


夕日が差し込む通学路のバス。

俺は一番後ろに座り、大きく背伸びをした。


今日は異常に疲れた。

ずっと、江良に振り回されたからだ。


もしかして、俺のこと好きなのか?

ない、ない、絶対にない。


江良が俺を見る時は、NPCや雑魚キャラを見るような眼だ。

恋する乙女の目ぐらいは、わかるつもりだ。


「うえーっ、お前ら付き合ってるのかよ」


バスの外から、はしゃぎ声が聞こえる。

小学生も下校の時間だ。


児童の中に男女で帰っている子がいて、

男子達にからかわれていた。



まてよ!?

もしかして、タイムリープができるなら

10年前にも戻れるんじゃね?


小学生からやり直せば、俺にも彼女ぐらいできるだろ。

勉強も頑張れば、あっちゃんのように進学校へいけるかもしれない。


よし、俺はこれから小学生に戻る。


10年前にタイムリープだ。


俺はバスの一番後ろで「10年前に戻れ」と小さくつぶやいた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「うわーっ、お前ら付き合ってるのかよ」


小学生の頃に戻れたかな?

いや、違うぞ。


ここは、さっきのバスの中だ。


それに、これはさっき聞いたセリフだ。


ということは、

さっきから3分ぐらいしか戻ってないじゃん。


もしかして間違えたか?

よし、もう一度チャレンジだ。


こ、今度は戻れない。


どういうことだ?


その後、何度もタイムリープを試みた。

30回は繰り返した。


そして、分かったことがある。

俺のタイムリープは最大で3分ぐらい。


しかも、一度時間を巻き戻すと、

その後3分間は時間を巻き戻せないようだ。


つまり、巻き戻した時間の中で、更にタイムリープは不可能だ。

だから最大で3分間しか過去に戻れない。



タイムリープを繰り返せば、子供に戻れると思っていたが、

それは不可能だった。


「「「 使えねー 」」」


これはショックだ。


せっかくタイムリープできるのに、3分では宝くじも当てられない。

テストのカンニングだって限界がある。


できることといえば、せいぜい、女子へのいたずらだ、、、


が、これはやめておこう。

俺は欲望にまみれても心は紳士である。

せめて、髪の毛に触る程度としておこう。



その日から放課後になると、俺はタイムリープを繰り返した。


最初に宝くじを試した。

普通の宝くじは無理でもスピードくじがある。

小さくてもコツコツとやれば小遣いが稼げると思ったのだ。


俺はくじを1枚買って、外れると買う前までタイムリープした。

これで買い続ければ絶対に当たりが待っている。


しかし、300枚目を超えたあたりから飽きてきた。

当たりくじになかなか出会えないのだ。


1週間かけて、駅前売り場は3000円。

スーパー前の売り場も3000円が最高だった。


とてもじゃないが、やってられない。


次はガシャポンだ。

これはスピードくじよりも割に合わない。


機械の数が限られているので、あたりを出すには、

街中のガシャポンを回していかなくてはならない。



それなら…、

大好物の回転ずしだ!

高くて美味しいものを食べて、

3分前にタイムリープすれば食べ放題だ!


俺は中トロ、いくら、ウニなど、普段食べられない食材に手を伸ばす。

そしてタイムリープ。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


時間が戻ると、胃の中が空っぽに戻り、満足感が消えている。

食べた時の触感だけが記憶に残るだけだ。



「「「 俺はなにをやっているんだ!? 」」」



これも失敗だった。


女子の身体を触ってみようと思った。


これは最初からダメだった。こっちが恥ずかしい、

犯罪はダメだ。


結局、この力を有効に使うには、

高校1年生では悪の知識が足りなすぎる。


俺は本当に困った時以外、タイムリープをしないと心に決めた。



とはいえ、例外があってもいいだろう。

すぐに俺の決意は修正された。


例外として、学食のおかずの味見や、

体育のサッカーの時、少しだけ使っても良いことにする。

学食は死活問題だし、俺は女子に モテたいのだ。


そんな緩い決心から1週間後、

俺はある組織から目を付けられ襲われた。


そして、自分の能力の秘密を知ることになるのだ。

゜*。,。*゜*。,。*゜*。,。*゜*。,


今回もお読み頂きありがとうございます。


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