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プロローグ

あなたは古い世界地図を見たことがありますか?


【15-17世紀の地図】には、現在では決して触れることできない

幻の国が描かれています。


国の名は『グランデ・タルタリア』。


国の広さは、ロシアをすっぽりと覆い、

モンゴル、中国、北海道まで及ぶ巨大な領土。


そんな国が、突如として歴史の舞台から消えるどころか、

人々の記憶までが消されてしまいました。


それは何故?

何のために?



今からお話しする物語の中で、

「何を感じて」「何を信じるか?」は、あなた次第。


1度真実を知ったら、後戻りできない旅となるでしょう。

出発の準備は宜しいでしょうか?



俺の名前は天野ヒカル、


勉強も運動もいたって普通の15歳。

都心から電車で30分の郊外に住み、

今月から隣駅の県立高校に入学したばかりだ。


今日、俺は親友のあっちゃんと、秋葉原に来ている。


なぜ、早起きしてアキバに来たのか?

それは、カードゲームのビッグイベントに参加するためだ。



「お待たせしました!まもなく開店しまーす。

 列を崩さずにご入店くださーい」


店員が、長蛇の列に伝えながら走っていく。



俺たちは、限定カードが発売される列の先頭集団にいる。

確実にカードを買える射程距離だ。


「あっちゃん、いよいよだな」


「ヒカル、激レアがダブったら回してくれよ!」


俺たちにとってカードゲームは友情の証。


小学4年の秋、カードゲームがブレイクした。

クラスでは、全員が熱中していたが、

大人の階段を1段上るごとに、プレイヤーの数が減っていった。


担任にカードを取り上げられても、

女子から「キモい」と軽蔑されても、

俺達2人だけが耐え抜いて今日に至っている。



客が店に入り始めた。徐々に列が動いていく。


<<< ガガガガ! >>>


「「「  あれ、やばくね?  」」」


ん? 列の後ろから声が挙がった。


後ろを振り向くと目の前の交差点で、

乗用車が猛スピードでグルグル回っていた。


運転しているのは老人だ。

明らかにパニックに陥っている。


「「「 こっちにくるぞ!! 」」」


誰かが叫び、みんなが逃げ出す。

暴走した車がこちらを目掛けて突進してきた。


俺もあっちゃんと逃げた。

しかし、俺はカバンに足を取られその場で転んでしまった。


やばい。


<<<ギギーーーーーッ、ガガーーーーッ>>>



暴走した車は、すごい音を立てて歩道を乗り越えた。


俺たち目掛けて突っ込んでくる。

もうヘッドライトが目の前だ。


( 逃げられない! )




遠くで声が聞こえる。

あ、萌え声の少女の悲鳴だ。


あ、もしかして俺、転生しちゃった?


そうか、わかったぞ。


ここで目を開けると、

中世ヨーロッパの町中にいるに違いない。

きっと、おれは馬車にひかれそうになって、

意識が入れ替わって、目が覚めるんだ。


ひかれる?


事故?


そうだ、俺はあの時、

アキバで暴走車にひかれそうになったんだ。



俺は1分後、目が覚めた。

目の前は残念だが、アキバだった。


体には感覚がない。そして体中が熱い。


2メートル先に、あっちゃんが転がっている。

ピクリとも動かない。


(あっちゃん、死んじゃった?)


だんだん俺も目の前が暗くなり始めた。


(俺、死ぬのか?)

(今度こそ、転生するのか?)


(いや、それはありえない)


(このまま死にたくない!)

(まだ、やりたいことがいっぱいある!)



俺は声にならない声で何度も叫んだ。

しかし、意識が薄れていく。


やがて周りから音が完全に消えた。


(死ぬときって、静かなんだな)




------------


「こっちにくるぞ」


誰かが叫び、皆が逃げ出した。



??? どこかで見たシーンだ。


(思い出せない。とにかく逃げよう)


俺はあっちゃんの腕を引っ張り、全力で逃げた。

暴走車が歩道に突っ込んでくる。


俺達2人はギリギリのタイミングで電柱の影に入った。

次の瞬間、車がすぐ横を通り抜けていった。

間一髪だ。


あっちゃんの顔を見ると恐怖で蒼白だ。

俺も膝がガクガクして立ちあがれない。


車が突っ込んだ方では、何人か跳ねられたらしく

倒れたままで動かない。


救急車のサイレンが聞こえる。


俺は怖くて、

ずっと顔を上げることができなかった。


カードイベントはそのまま中止となった。


俺たちは夕方になり、なんとか帰宅した。


家では、ニュースを見て心配していた

母と妹が泣きながら抱き着いてきた。


アキバから、止まらなかった震えが、

その時、やっと止まった気がした。


その夜、俺は家族の勧めもあり、すぐにベッドに入った


しかし、あの時の光景がフラッシュバックして

俺は寝付けなかった。


とはいえ、疲れていたのか

明け方3時ごろになると、ようやく眠りについた。




今日は学校休みだっけ?

で、俺はどこに遊びに来たんだっけ?


俺の目の前には、見たことがない街並みが

広がっている。


イタリア?ギリシア?

教科書で見たオリンポス風の彫刻や、神殿が見える。


満月の青い光が降り注ぐ中、

知らない男がベッドに横たわり空を見上げている。


顔色が悪く、目がうつろだ。


俺、4DXの映画を見てたんだっけ?

いずれにせよ、見たことがない世界だ。


月光の中、もう1つ影が見えた。

金色の髪が綺麗な若い女性だ。


彼女は男の傍に座り、優しいまなざしで囁いた。


「ザン、なぜ力を使わなかったの?」

「貴方ならタイムリープで逃げられたでしょう。

 猛毒の蜂に刺されるなんて、信じられないわ。」


(「タイムリープ」って、なんだ?)


初めて聞く言葉だ。

タイムマシンのことだろうか?


俺は引き続き、スクリーンの2人を見ている。



「ミア、僕は、みんなの期待に応えて世界を手に入れた。」


「だけど…、その仲間達に裏切られた。」

「滑稽だろ?だから僕は死を選んだんだ。」


ザンと呼ばれた男は最後の力を振り絞り、彼女の問いに答えた。


「そう、だから暗殺と知りながら受け入れたのね。」

「確かに貴方は時間を操り、世界の王となったわ。」

「しかし、貴方は崇高すぎたのよ。」



聞こえてきた2人の会話はこうだ。


・ザンは世界征服を成し遂げた王様。

・彼は、時間を自由に移動できる能力者。

・その力を使い戦争では無敗だった。

・しかし、そんな無敵の王様が、

 部下に裏切られ毒バチで暗殺された。


ザンと呼ばれた男は、もう、力が残っていない。

声にならない声でささやいた。


「それにしてもミア、30年ぶりというのに

 君は子供の頃に出会ったままの姿だ。」


「僕だけが年をとってしまった。

 できることなら昔に戻りたい。そして…。」



ザンと呼ばれた男の手が、ミアの頬をやさしくなでる。

そしてゆっくりとミアから離れ、力尽きて落ちていった。



「私の時間は、あってないもの

 貴方の時間に寄り添うことはできないの。」


「しかし私が貴方に与えた力は、数千年後のいつの日か、

 必ず誰かに引き継がれるわ。」


「待ちましょう、貴方の力がよみがえる時まで…。 」


ミアは冷たくなったザンの頬にやさしくキスをする。



「おにいちゃん!」

「おにいちゃん、早く起きなくちゃ学校に遅れちゃうよ。」


目の前で赤いランドセルが飛び跳ねている。


「あー、夢か」


毎朝、俺の妹は決まった時間に起こしに来る。

今朝も人のベッドで飛び跳ねながら起こしてくれた。


(リアルな夢だった。時間を操る力か…。

 そういえば、俺も昨日デジャブを感じたような。)



ベットの上で考え事をしていると、

飛び跳ねていた妹の膝が、俺のアゴを打ち抜いた。


早く起きないと体がもたない。

俺は、ベッドから出て急いで制服に着替えた。


(あのミアっていう人、綺麗だったな…)



昨日の事故と今朝の夢、

その時、俺はまだ何も知らなかった。


何も関係がない2つが、

その後の俺の人生を大きく変えていくのである。

゜*。,。*゜*。,。*゜*。,。*゜*。,


今回もお読み頂きありがとうございます。


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