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ちょこっとサイドストーリー  作者: TAREさん
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✿4


 待つ事にはなるが期限が出来た。帰れるかもしれない目処が立っただけでも前進ではないだろうか。

精神的に安堵する4人に、菜奈子も良かったと思う。ちょっと寂しいのは言わない。すると正堂が話し出した。


「それにしてもご災難でしたね。 ですが運がいい。」

「?」

「変なとこや危ない場所でなくて良かった、と言う事です。しかもこの様にご親切な方に当たるなんて不幸中の幸いと言うものですよ?」

「あぁ、えぇそう思いますね。」

それはしみじみ思うところだ。

「お仲間とご一緒だったのも良かったですね。一人だったりバラバラになっていたら、途方に暮れて今より気持ちも不安定だったかもしれません。」

「えぇ。本当に感謝しています。」

「確かに運が良かった。」

その可能性もあったのだと気付く。

「かく言う私も、異世界に行った事がある経験者ですので。」

え?

「「えっ? そうなんですかっ!?」」

冴重と菜奈子の声がハモる。

「そうなんですよ。人生いろいろですよね。いや、人生上そんな事は一度もないのが普通なんですけどね。」

「えっ、あのっ・・異世界って、その、、ど、どんな所だったんですか?」

チラチラ とエディたちを見ながら聞く。

「んー、どんな所・・。 私が存じ上げているのは、セレファンティアと呼ばれている世界でしたね。守護竜が守っている所でした。」

菜奈子がアイコンタクトでエディたちに確認するが、小さく首を振られた。違うらしい。

「いやぁ、私も仲間と一緒だったのでまだ良かったです。飛ばされた場所は砂漠でしたけどね。危うく野垂れ死にするところでした。さ迷っている時も助けられた後も、まだ地球の何処かだと思ってましたがね。見えた都市を見て初めて『ここどこっ!?』ってなりましたよ。何せ陸ごと浮いてるんです。空に浮かんでるんですよ。そして海の船も飛んでるんですよ?開いた口が塞がりませんでしたね。見知らぬ土地に降りて呆然と途方に暮れました。まぁ、その後偶々入った店で顔見知りに出会って二度ビックリと言う事もありましたが。」

「え?知ってる人が異世界にいたんですか??」

「えぇ、同じ様に飛ばされた同士が居たんですよ。それで大分落ち着いて状況を掴む事が出来ましたから、精神的には楽になりました。 その世界の人達は優しかったです。異世界から来た事も受け入れてくれて。 それでも、どこか自分の中で一線を引いてはいましたね。孤独感は拭えませんでした。疎外感を感じるんです。あぁ、生きる世界が違うとはこういう事なんだなと思いました。」

それにエディたちも感じるところがあるのか、同意する表情を浮かべている。

「ま、我が親友は普通に馴染んで堪能しておりましたがね。」

「あ、親友さんもいたんですか。」

「うむ。だからこそ帰って来られたんです。なので実績はありますよ。その点は信頼して下さい。 長期休暇だと思ってゆっくりしていって下さい。何事も前向きに、今の時を楽しんで過ごした方が有意義ですよ? 起こった事故はもうどうしようもないのですから、あなた方の益となりますように。 そして、冴口さんにとってもね。」

「え・・・。」

少しうつむいていた顔を上げる。

「どんな出会いでも、短い時間でも、仲良くなったら情がきます。 お別れは寂しいと思います。だからこそ、悔いなく思いっきり楽しんで、お土産持たせてあげて下さいな。 今一緒にいることは夢なんかじゃありません。冴口さんにとっても良かったと思える時にして欲しいのですよ。 勿論困ったことがあれば相談して下さい。ご連絡は野々原さんまで。」

「・・・はい。。」


 帰れるんだという良かったと思う安心と、帰ってしまうんだという残念な思い。正堂に言われたように、その時までの時間は大事に楽しもうと思った。




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