❀2
異世界から来たと言う4人は、この世界の事を少しずつ知りながら日々が過ぎていった。
休みの日に観光案内を装って外出もしたし、彼らは彼らで彼女が笑顔であるように、迷惑をかけないように心掛けた。
そんなある日。変化があったのは4人が来てから20日が過ぎてからのこと。
「あ、メール来てる。」
菜奈子はスマホを見る。すると。
「えっ?」
驚いて急に慌てだす。
「どうしたのですか?」
「どうしようっ。これから友達が来て、ここに泊めて欲しいってっ。」
それを聞いた4人は素早く目配せをする。
「それでしたら今晩は私たちは外で野宿をしましょう。」
「ええっ?」
それはそれでダメでしょうっ?
「大丈夫だ。野宿くらい慣れている。一晩くらいどぅってことはない。安心してくれ。」
「いえいえ、でもっ、まだ決まってないからっ。と、取り敢えず今連絡を・・・」
とスマホを操作すると。
” ピンポーン! ”
「!?」
え。まさか・・? と玄関から確認。
メール相手の本人だった。
「(早過ぎっ!)」
すると後ろから肩をちょんちょんとされる。振り返るとにこやかな顔をしたウナが小声で。
「大丈夫ですよ。私たちは窓から出ますので。」
と問題ないように言って行ってしまう。引き留めようかとも思ったが、玄関外の人物も待たせている。余分な靴を隠してガチャっと開けた。
「こんこーん。 夜分にお邪魔してゴメンねっ。」
てへっと舌を出して誤魔化しているのは、自分と同世代の女性。
「冴重っ、急過ぎだし来るの早過ぎだからっ。返事する前に来るって泊まる気しかないじゃないっ。」
「いやぁ、ホントごめんってっ。 急にこっちで仕事があってさぁ、丁度いいから一泊してこうかなって。ね?」
「ね?じゃないからっ。どんな職場なの、何の仕事なの? もっと早く報せれるでしょう?」
「あーうん。いやね?こんな夜までかかると思ってなくてさぁ。 それにっ、会うの久しぶりじゃないっ。こんな時じゃないとお互い忙しくて会えないでしょ?」
「だ・か・らっ。 連絡から来るまでが早い理由になってないからねっ?」
「ハハハ。次からは気を付けるから。そんな怒らないで? じゃあお邪魔しま・・」
「あーっ! まだいいって言ってませんっ。」
入るのを防ぐ。時間稼ぎとも言う。
「え? あぁ、別に気にしないわよ?私の部屋も散らかってることよくあるし。」
「いや、そーゆーのもあるけどっ、今はちょっと・・」
「なぁにぃ? 何かやましい事でも?」
「ううんっ、とんでもないっ。」
「じゃあいいわよね。お邪魔しまーす。」
と遠慮なくあがる。
女性の名前は野々原 冴重。高校の時に同じクラスで剣道部だった共通から仲良くなった。大学は違ったが、縁は切れずに今も続いている貴重な友人だ。お互いまだ独身なのも大きい。
「あら、もう夕飯食べた後? 何でもいいから余ってない?お腹空いちゃって。」
「・・あのねぇ。。 ちょっと座って待ってて。テレビつけていいから。」
「はぁーい。」
勝手知ったるとゆう感じで寛ぎ、お手洗いを借りたりしてキョロキョロ。
そして言う。
「ねぇ。私の他にも泊まった人いるの?」
「えっ?」
ギクリ。
「いやだって、布団多くない? 食器類もだし、日用品も数が一人分じゃないわ。」
「あぁー、それね、うん。 私だって友達くらい他にもいるしね。飲み会とかした後にここに泊まったんだよ。」
それらしい理由を言う。
「ふぅ~ん。。 男?」
「! まっ まさかっ。」
「匂うのよねぇー。ーーー、さっきまで居た?」
「!?」
どんな嗅覚しるのっ?
「菜奈ぁ? 私に隠し事なんて出来ないわよぉ? 白状しなさい?」
と、大変怖~い笑顔で迫られた。
それから15分後。(結構粘ったが) 何故かこの部屋の主人が縮こまって正座させられる状態になっていた。
ややこめかみを引きつかせながら相対している冴重は、同じ様に正座している者達に有無を言わせず座している。
一応一通りどういう事かを聞いた上で、その非常識さに卓上をぺしっとたたく。
「っ!」
「まず菜奈? 困っている人を助けようと思うのは美しい心だと思うわ。事情を信じれば、誰にも相談出来ないのも分かる。警察にだって手に余ることよね。 でもね? だからって常識を考えても同じ部屋はないわ。私とは言わないけれど、誰かに頼るべきよ?菜奈一人でずっと抱えられる事ではないっていうのは分かるはずよ?そうよね?」
「うぅ・・・はい。。」
「 次、あなた達っ。 異世界とか怪し過ぎるけど、そこを引いても道徳的に考えてっ。甘えてないとは言わせないからっ。」
ごもっとも。反論御座いません。。 ビシッと言われて認める4人。
冴重はそこで一息つく。
「で? これからどうするの?」
「・・・・・・。」
考えなくてはいけなかった事。でも今の生活が何気に楽しく感じていたので、先に見送っていた。
口を開いたのはエディ。
「ナナコ、貴女には大変お世話になっています。我々のような者を受け入れてくれたことを嬉しく思い、何かお礼がしたくて・・。貴女に甘えてもいたのは否定しません。 我々の中では次の行動は決めていたのです。始めはもしかしたらと、可能性もありましたし、最初に来たこの地点を離れたくなかったのは本当です。ですがこの場がもう関係ないとしたなら、何時までもご迷惑はかけられません。 この世界に我々の居場所は無く、身分も無い。それ故に二の足を踏んでいましたが、これも起点。 我々の帰還方法について、この国の手を借りることにしようと思います。」
「・・・・・・。」
いつかこんな日が来るとは分かっていた。いつお別れするかもわからない中で、短い間だったのに寂しいと思う菜奈子。
そんな沈んだ様子に冴重は思う。
「( まぁ、確かに不審人物だけど、悪人ではなさそうね。 噓を吐いてるかと言うと難しいけど。 それに・・・。 異世界ねぇー。。)」
思うところあって考える。
そして。
「ーーー。 分かったわ。 取り敢えず保留にしましょう。」
「え?」
「別に焦らなくてもいいでしょ?私の方で伝手を辿ってみるわ。」
「・・・冴重?・・」
「私にだって秘密の1つや2つはあるわよって言ってるの。だから強く責めたり出来ないわ。 この案件、私に預けて。」
「??」
菜奈子はどういう事かわからない。
「伝手があるのですか?」
ウナが尋ねる。
「そうね。 ま。一般国民よりはあると思うわ。全国探せば心当たりにつけられる人1人くらいはいるでしょ。」
「えっ?全国?」
「そ。」
「どうやって?」
「・・・フフフ。 それはー。」
「それはー?」
「 ご飯食べながらで。」
「ん?」
「お腹空いてるのっ。 後、ここで泊まるのはもう決定事項だから。よろしくねっ。」
「・・・・・えぇーーー。。」
うつ伏せる。