4、怪談のカケラ
「言おうとしましたよ、ですがその前に走って行ってしまったので」
冷静に言われているが分かって欲しい、トイレを我慢した人間の限界ギリギリを。そして限界を越えた先にある絶望と20歳越えて漏らすこの悲しみを。
「…もういいです。ところであの子何ですか?そして何か頼みたいことがあるみたいな事言ってましたよね。その頼み事とあの子関係あるんですか?」
矢継ぎ早に質問を投げるがこういう雰囲気の時無関係とか絶対無いの分かってるから。お決まりの展開であの子成仏させるとか闘うとかなんかそういうジャンプ的お約束なんだ。私も遂に主人公…ふふふ。今流行りの呪術とか鬼を滅するとかそういう奴になるんだ。ウェルカム主人公ポジション、これは私の物語だ!
「あの、ワクワクされてる所申し訳無いのですが…頼みたいことというのはこれを集めて欲しいんです」
神様が掌を閉じて開くと、そこには青いクリスタルが一つあった。
「何これ?ファイナルなファンタジーのイベントアイテム?」
「これは怪談のカケラ、物語の結晶といった所でしょうか」
何言ってんだろ、というかこの私のボケスルーするとか神様って冷たいな、人の心無いのか。いや、無いか…神だし。いやセルフボケと突っ込みしてる場合じゃない。怪談のカケラって何だろ?
「はい!それは何ですか?あと集めるってどうやるんですか!そして帰宅ノルマは?」
神様にインタビューする様に迫る私、というかさっきの子と関係あるかの質問答えてないよなこいつ…神様なのに。
「ああ、すいません。答えはイエスですね。それとこれは怪談のカケラ、紡がれた怪談たちの証です。集めるにはあなたが怪談を知らなければなりません。帰宅ノルマ?収集個数ですか。それはなってみないと」
…会った時から思ってるんだけど、こいつ心読んでね??何私の心の言葉に的確に突っ込んできてるんだろ。プライバシーなんだと思ってるのか。
そうして私は思った、帰還出来たら先輩には卍固めしてやるしかないと。