21、三の怪談、隣の家の物音その五
『すっきりしたわ、今後は気を付けてくれるらしいし私も呪わなくて済むわね』
あれから結局2時間ほど説教されていたキリエちゃんを放置し、私と由美子ちゃんは途中から喫茶店で時間を潰していた。そうしてキリエちゃんから解放の連絡が来たので戻るとマダムは満足した顔を見せ、キリエちゃんはげっそりとやつれていた。
「それで、怪談のカケラをですね…」
『あら、あなたが噂の。はいはいこれよ、大事にしてね』
マダムからカケラを貰うと私の掌に吸い込まれていく。これで三つ目か、順調だけどそろそろ何か特典でも貰えないだろうか。今度神様に会ったら打診してみよう。集めるモチベーションを上げるのにご褒美という餌をぶら下げて貰えないと私は馬車馬の如く走れないタイプなのだ。
「あざっす!ところで、あなたの怪談は結局どういったものなんでしょう?」
『私?そうねぇ、このアパートが出来る遥か前に此処で私は餓死したのよ。それで勿体ない人を見ると遂自分は餓死したのに贅沢な!って思っちゃって』
正常?な状態だと割と話せるマダムは軽快に話してくれた。初対面で餓死を連呼していたのが嘘のようである。彼女は地縛霊なのかこのアパートをこれからも見守って(?)いくようだ。大家さん、このアパートは値段を下げた方が良さそうですと私は言いたくなったがそっと心に仕舞っておいた。
「申し訳ありません…」
キリエちゃんはすっかりしおらしくなっているが、まあ食に関する事と霊から説教という特殊な体験をしたせいか怖いの種類が変わっている様な気がする。とりあえずミッションコンプリート、で良いのかな?
「キリエちゃん、それじゃ私と由美子ちゃんは帰るけど良いかな?」
「はい…あ、ありがとうございました。また困ったことがあったら相談しても良いですか?」
勿論、と頷きぐっと親指立てて相手に向けると一応マダムにも一礼しておく。マダムは小さく手を振りこちらに挨拶をしているが今後も食の番人として活躍を祈っておこう。
「…杏奈さん、こんな事ってあるんですね」
そして帰り際に由美子ちゃんから話し掛けられた私は眉をひそめる。だって私もちょっと前までは彼女と同じくこんな事対岸の火事だったのに、カケラ集めのせいで怪談に触れる事が多くなったのだから。
「一つ言えるのは、私が遭ってきた怪談って今のところ命の危険少ないのばっかりだったけど…これからもしそういうのが来たら私は生き残れるのか、それだけが心配かな」
由美子ちゃんは苦笑いで返してきた。そこは大人に気を使えと言いたいが女子高生には酷な事だな、うんうん。そうして由美子ちゃんとも別れると私は家路につく。この時の私はフラグ立ててた事への後悔を後にすることを知らないのであった。
仕事休みになると意欲が沸くタイプなんで更新無い時は仕事忙しいんだなと思ってください。あと働かなくてお金が入る人生送りたいです。




