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4話 少女、同類に会う

4話 少女、同類に会う


オーバーラップ。

それは、私が使う魔法と同じ名前だ。

何度も聞き、唱えた名前なので、聞き間違えるはずはない。それでも、たまたま被った可能性もある。誘導尋問の可能性すらありうるのだから。

だが、私の額に手を当ててる先輩からは暖かいあの感覚……魔力の動きを感じ、確信に変わった。

すなわち、これは魔法であると。


「なるほど。キミも能力持ちだったのね」


そう言って先輩は手を離す。

どういう能力かは分からないが、先輩は今ので私が能力持ちなことを知ったらしい。


能力については今までずっと隠してきていた。

周囲の人に知られたら面倒に巻き込まれかねない。まだだ、まだ隠しておくべきだ

そう考えて私は黙り続ける。しかしその抵抗は無駄だった。先輩が私の耳許で、答えを囁いたから。


「あなたの能力は拡張。接続対象は空っぽの世界。どこからでも開けられて、どんな物でも入り、どこからでも取り出せる。制限機能はなし。……どう?反論はある?」


私は思わず口をつぐんだ。完璧に、図星だったからだ。無駄とは思いつつも誤魔化してみる。


「やだなー何言ってるんですか先輩。そんな、漫画じゃあるまいしー」


私はそっと先輩から離れ後退する。近くにいるのが魔法に必要なのだとしたら、距離をとるのが得策だろう。


「そう怯えなくても……距離をとったということは私がやったことにも心当たりはあるよね?」


おそらく、魔法のことを言っているのだろう。この先輩は「私が先輩魔法に気づいた」ということに気づいたのだ。

……むしろ、聞いてしまった方がいい気がした。


「魔法……ですよね。さっきの」


先輩は笑みを浮かべて答える。


「その通り。私もあなたと同じで魔法を行使できる。私だけでなく、みんなもね」


先輩は手を閉じたり開いたりしながら近くのイスに座る。


「恋雲美乃、4/5生まれ。両親同様頭が弱い。スリーサイズは上からはちじゅうr「わーー!!わ!!もういい!!わかった!!わかったからやめてぇ!!」」


何をいきなり言い出すのだこの人は。

咄嗟に大声を出して掻き消す。


ひとつ、わかったことがある。

この先輩イジワルだ!!






あれから先輩にはたくさん話を聞いた。その10分間は魔法をあまり詳しく理解していなかった私にとっては濃密な内容だった。

要約すると、魔法を行使できるのは私だけでないこと。私のエナジードリンクが魔力を回復したこと。それで私が魔法を使えることに気づいたこと。同じ魔法だが効果が違うこと。


知らなかった情報が雪崩のように押し寄せてきた。


「わかった?今ここにいるみんなは私やあなたみたいに、ひとつずつ魔法を持ってるの」


嫌というほど分かりました。

……先輩のイジワルなところも。

よし、私も仕返しをしよう。


「そうならそうと最初に言ってくださいよー」


私の言葉を聞いて先輩は素早くツッコミをいれてくる。


「言ったよ!?私最初に言ったよ!信じてなかったのそっちだよ?」


「それはそうと、私は恋雲美乃(こゆくみの)です!」


「露骨にスルーされたし……」


先輩が軽くしょげてる。かわいい。

私はみんなにさっき浮かんでいた疑問をぶつける。


「皆さんはどういう能力を持ってるんですか?」


ヘッドホン先輩が苦笑いして答える。

「それは――」

「待ちなさい」


声が響いた。おそらく、ここにいる誰のでもない。部屋のどこからでもない。


表すなら、頭のなかに響いたというべきだ。


「っ!?扉が!」


先輩の一人が叫んだのが聞こえた。

言われて教室の扉を見ると、いつの間にか結界のようなもので覆われている。

私は急いで扉に駆け寄り横に引いてみる。さっきまでは軽やかにスライドしていた扉は、まるで鉄板のようにびくともしなかった。これも、魔法なのか?


「世界から一時的にこの教室を隔離してあるのです。あなた方は今、逃げられません」


今度ははっきり聞こえた。声のした場所……すなわち、教壇のほうを見る。そこには白と青を基調とした神々しいドレスのようなものを身にまとった黒髪赤目の女性がいた。いつの間に?


彼女は全員が自身を見ている事を確認し、淡々と告げる。


「初めまして、私の眷属の皆さん。私はあなた方の能力のもとになった存在――女神です」


次はまた日曜日に。

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