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魔王となった勇者は運命に抗う  作者: 魔王勇者アストラル・サード
第1章 始まり編
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初めてのダンジョン

現在、俺はアリスたちとギルドに来ている。え?どうしてかって?俺も知らん。アリスがどこかにいっている間にアリス以外の3人に問いかけてみる


「なぁ、どうしてギルドなんかに来ているんだ?」

 

そして、意外にも3人全員の口が開いた。

 

「「「「決まってるでしょ?」」」」

 

それに続いてマナが説明してくれた。

 

「そうだったわね。あなたは冒険者になって間もないから、知らなくて当然だったわね。これから私たちはパーティーを組むの、そのためにはギルドに申請しなきゃいけないの。それにダンジョンにはひとりで潜ることは許されないの····」

 

(無知でごめんなさい····って知らなくて当然のことなのかよ!)

 

「というか、君たちは確か、王国騎士じゃなかったっけ?そっちには行かなくていいの?」

  

問いかける。すると今度はカーマが答えてくれた。 

 

「私たちは、王国騎士を辞めたのです。だから問題ないのですよ?」

「なんで王国騎士を辞めたんだ?」 

「私たちは、元々、貧乏だったのです····だから、給料が安定している、王国騎士になったのです····でも!仁さんのおかげで、王国騎士なんかにならなくても、もう一生お金には困らないのです····」

 

(へぇー、王国騎士ってのは収入が良いのか····)


そんなことを思いながら俺はカーマに質問してみる。

  

「ちなみに月、どれくらいの給料なの?」

 

カーマから即答で返事が返ってきた。 

 

「月、銅貨100枚なのです」 

「へぇ~····って、えぇぇぇぇ!?そんなに安いの!?」

「そんなこと言うのは、仁だけだと思うのですよ····この国の平均月収は、銅貨50枚なのです」

 

そりゃ、金貨10枚を急に渡されたら、拒否するわな····

 

「だから、仁には私たちを盗賊たちから守る義務があるのですよ」

 

そりゃそうだよ、だって、大富豪がそこら辺に歩いてたら、盗賊も襲いに来るよ····

 

「わかった!その義務、果たそうじゃないか!みんなは俺が守ってやるよ!」

「よろしくなのです!」

「そういえば、今日はダンジョンってやつに行くのか?」

 

気になったので聞いてみた。すると今度はリーが答えてくれた。

 

「もちろん····です、今日は私たちの...武器と防具を作るための素材····を取りに行くん····です」

「丁度良い、俺も自分の防具を作るための素材が欲しかったんだ!」

「仁さんには防具要らないんじゃ?」

「正直要らないんだが····ほら?いつまでもこんな格好じゃ、他の冒険者になめられるからな」 


俺の防具は、綿で出来た服と、ズボンだけだ。····正直に言うとただダサいのが嫌なだけなんだけどな! 


アリスがパーティー申請を終えて戻ってきた。


「パーティ申請終わったけど、少し時間がかかるってさ」

「分かった」


俺たちは連絡が来るまで、楽しく会話をすることにした。

 

数分後、冒険者プレートに連絡が入った。そこにはアリス、ルー、カーマ、マナの名前が並んでおり、その下には、「ファイブナイツ」と書かれていた。

 

「この名前は····アリスが考えたのか?」

「そうですよ····あ!もしかして今、ダサいって思いましたね?」

「いやいや!そんなこと思ってないから!」

「嘘だ!絶対思ったでしょ?ねぇ····思ったでしょ?」


不覚にも俺は、「ファイブナイツ」という名前ををダサいと思ってしまった。

 

「はい····思いました····」

「やっぱりね····そうですよ!どーせ私はネームングセンスが皆無なんですよ!」

「そ····そんなことより、これからダンジョンに行くんですよね?」

「あ····仁が話を反らした!····まぁ良いわ」

 

俺がギルドの時計を見ると、時はすでに正午を過ぎてしまっていた。

 

「時間がないから、急いでダンジョンに行こう!」


俺たちは急ぎ足でダンジョンに向かった。


◇ ◇ ◇


「へぇ~、ここがダンジョンか~」

「そうですよ。気を付けてくださいね、トラップがそこら中にありますので····」

「トラップ!?こんな浅い所からトラップがあるなんて····」

 

その時、『カチッ!』という音が響いた。


「「「「「あっ...」」」」」

 

地面に魔法陣が描かれていく。

 

「これは····転移系の魔法陣····です!気を付けてくだ····さい!」


リーが忠告をしたその瞬間、俺の視界は光に包まれた····


転移させられた先は真っ暗で何も見えない空間だった。


「アリス!ルー!カーマ!マナ!何処にいる!」


「『ライト』」

俺がそう唱えると、部屋が一気に明るくなる。その光に気付いたのか、アリスたちが近寄ってきた。 


「全員いるな?」

「「「「はい!」」」」


俺はみんなの返事を聞いて、とても安心した。


俺たちが頑張って脱出口を探していると、アリスが扉を見つけた。


「なんでしょう····この扉は?」


アリスがその扉を開くと、光が溢れてきた。

 

「ここは····」

 

その部屋の中央には王の玉座があった。そして、そこには服を着た骸骨が座っていた。

 

「この骸骨は誰なんでしょうね?」

「おそらく、魔族だよ····」

「魔族!?で、でもどうしてこんなところに...」

「多分、魔王に追放されたんじゃないか?それか、魔王から逃げてきた、というのもあるかもしれない。」


突然、俺の頭に声が聞こえた。

 

「お前たちはここで何をしているのだ?」

(え!?骸骨が動いた!?)

 

なんと、玉座に座っていた骸骨が動き出したのだ。

 

「ダンジョンのトラップに引っかかったら、ここに転移させられた」

「それは災難であったな...それでここに残るつもりか?それともダンジョンの入り口に戻るか?」

「戻せれるのか?」

「もちろんだとも。何せ、このダンジョンを作ったのはワシだからな」

「マジかよ!」

 

思わず、大声を出してしまった...。アリスたちが、俺のことを凝視する。 


「それじゃあ、転移させるぞ~」

「お願いします」

 

足元に魔法陣が現れると同時に光に包まれた。


「ここは...」

「突然、骸骨が動いたと思ったらダンジョンの入り口に戻ってきてしまいましたわ····」


どうやら俺にしか、声が聞こえていなかったらしい。 


「いったい····あの骸骨はなんだったのでしょう?」

「恐らく、このダンジョンの建築者だろう····」

「え!?あ、あの骸骨が····ダ、ダンジョンマスター!?」


アリスがメチャメチャびっくりする。

俺はびっくりするアリスの裏でリーにダンジョンマスターについて質問してみる。


「ダンジョンマスターってそんなにすごいの?」

「すごいも何も、このダンジョンはまだ1回も攻略されて····ない」

「てことは····」

「私たち、ラッシュ王国の記録を一瞬で超え····た」


俺は少し考えた。そして、その意味を理解する。


「まさか!」

「そう····そのまさかなのですよ?」


ダンジョンの攻略とは、すなわちダンジョンマスターの討伐。そして、そのダンジョンマスターは骸骨になっていた。つまり····


「あの骸骨を倒していたら····」

「この国の英雄になるに違いなかったのですよ!」


えっへんと、カーマが腰に手を当てる。


「あああああああ!」

「後悔しても仕方ないのですよ····時間はもう戻らないのです····」

「最悪だ····」


こうして、初めてのダンジョン攻略は後悔に終わった。

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