偽偽悪
絵郎初の感想欄封鎖作品です。
他人の感想ではなく、自分自身で読んでほしいから……(←偽善)
ワイルドの戯曲『ウィンダミア卿夫人の扇』と、伊坂幸太郎小説『陽気なギャングが地球を回す』を読んで、思った詩。
ゆらぐ……ゆらいでゆく……
なにも知らない私たちは
北極の氷を見て南極を思い、
南極のペンギンは、北極にいるものと思いこむ
ゆらぐ……ゆらいでゆく……
満ちても引いてもおなじ潮
敵に塩を送る者は、その真心を疑われ、
殺戮を好む者は、真実の悪を疑われ……
当人さえ、
どちらの波を呑んで酔うのかわからず
毒を薬と、薬を毒と言い、
そんなものに依って、信じて疑わない
純粋さは失われ、輪郭のみがくっきりとした黒い影が、私たちを惑わす
善を隠すのが偽悪であり、
善を垣間見せるのが悪、
気取りきれなければ、悪か……
悪を隠すのが偽善であり、
悪を垣間見せるのが善、
気取りきれなければ、善か……
ゆらぐ……ゆらいでゆく……
まあ、そういうことってあるよね、って話。