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生まれ変わったのですよね?  作者: セリカ
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96 淫魔のお姉様?


 アルカードさんが名前を呼ぶと魔法陣の中心に1人の女性が現れました。

 その姿はエルナ様が成長なさった感じで、私に近い目付きをしています。私が言うのもなんですが、シズクさんのお話に出てくる悪戯好きな悪女の印象を受けます。

 シズクさんと同じ黒髪なのですが、とても神秘的な感じがします。

 淫魔と聞いていましたが、外見的には人と変わらない気がするのです。アルカードさんから聞いていなければ、見分けが付かないと思います。

 

「久しぶりにノエル様が私を呼び出してくれるなんて、とても嬉しいのですが、どのようなご用件なのでしょうか? 今の姿もとても私好みなのですが、もしかして、私を可愛がってくれる為でしょうか! それでしたら、とても嬉しいです!」

 

 ……何となくですが、性格にとても問題がある方の予感がします……。


「ふむ、今の私は主たるシノア様からアルカードと素晴らしい名前を頂いているので、今後はそちらで呼ぶようにして下さい」


「はい! わかりました。今後はアルカード様と呼ばせていただきますが、そちらの方がアルカード様のご主人様なのですか?」


「この方はシノア様の眷属のカミラ殿なのだが、シャロンに聞きたい事があるので、質問に答えて上げて欲しいのです」


「アルカード様のご主人様の眷属の方ですか……」


 私をじっと見つめているのですが、言い方が失礼なのですが、全身を舐め回す様よう見るのは出来れば止めて欲しいのです。

 私の胸を見ている時の指の動きがまるでシノアを連想させます。

 少々……いえ、かなり不安なのですが、取り敢えずは自己紹介をして、お話をしてみる事にしましょう。


「初めてお目に掛かります。私はカミラ・セイルーンと申します。今回は、教えてもらいたい事がありますので、アルカードさんにお願いして呼んでもらいました」


「貴族の娘さんですか。私は、アルカード様の愛の僕になった元は人間だったシャロンと申します!」


 愛の僕ですか……確かアルカードさんは大公家の令嬢様と言っていましたが、話し易そうなので助かります。


「それで、シャロン様にお聞きしたいのですが……」


「ちょっと待って下さい! 私の事をお偉い様のように呼ぶのは止めて下さい。貴女のような可愛い子からは、どうせならお姉様と呼ばれたいのです!」


「ですがアルカードさんからは、元は大公家の御息女と伺っておりますが……」


「そんな国はとっくに滅びてしまいましたので、私に身分など存在しません! 今の私は先程も申した通りにアルカード様に全てを捧げた愛の僕なのです! 貴女からはシャロンお姉様と呼ばれない限りはお話しする事は出来ませんねー」


「しかし、シャロン様は……」


「せっかくアルカード様に呼ばれたけど続きがしたいから、もう帰ろうかなー」


「……」


 ……早くもこの方をお姉様と呼ばなければ会話も成立しないとは……早くも頭が痛いのですが……。


「では、シャロンお姉様にお聞きしたいのですが、質問をしても宜しいでしょうか?」


「どんな質問ですか? でも、出来ればもう少し愛するお姉様と思って、親しみを籠めて呼んでもらえると、お姉さんはとても嬉しいのですよ?」


 ……呼び方にまで、注文が来ました。私にはどのように呼べば良いのか皆目見当がつきません。


「あの……私はそのような事は経験が全くないのでわからないのです。どのように呼べば親しみが籠るのか分かりません」


「ほー……するとカミラちゃんはまだ恋愛もした事がないのですか?」


 カミラちゃんなどと呼ばれるのは……サテラさんとステラさんにも呼ばれてますが、長く生きている方は、自然とそう呼ぶ傾向になるのでしょうか?


「お恥ずかしながら、私は恋愛などもした事がありません」


「なるほど、そうですか……それは教え甲斐がありそうですね! 仕方ありませんので、出来るだけ私の事を好きと思って呼んでくれれば良しとします。それで質問とは何でしょうか? 私に答えられる事でしたら教えてあげますよ?」


 何を納得したのか知りませんが、取り敢えずは早く質問をして切り上げた方が良いと私の不幸のセンサーが反応しています。

 最近は、シノアの悪戯だけではなく、エルナ様の理不尽なお願いやシズクさんの謎の要望に応える時に、私の勘で身の危険を感じるようになったのです。本当に私の運の数値を見る事が出来たら、多分ですがマイナスになっているのかと思います。

 それにしても、出会ったばかりなのに好きになれと言われても。私はどうすれば良いのでしょうか?

 取り敢えずは、かつて敬愛していたエルナ様と思って話しかける事に致します。


「実は、このヴァリスには性別を変える魔法などがあると聞いて来たのです。実際に調べてみると誰もその事を知らないのです。ですので、シャロンお姉様がもしかしたらご存知かと思って。知っていたら教えて欲しいのです」


「うーん。ヴァリスの性別を変えるとの噂ですか……あっ! もしかして、あの事かな? 確かあの時にそんな噂になった事件がありましたねー」


「御存知でしたか! 宜しければそのお話を教えて欲しいのですが。宜しいでしょうか?」


「それで、その方法が分ったら、カミラちゃんが実践するのですか?」


「違います! 私の主家に当たるお方がその方法を求めているのです!」


「じゃ、カミラちゃんは命令でもされて、この国を調べに来たのですか?」


「違います。その方のお供として来たのです。私としては、エルナ様には無理だと説得して諦めて欲しいのです……」


「ふーん。そのエルナと言う者はカミラちゃんのご主人様なのですか? 先程、アルカード様はカミラちゃんの事をシノア様の眷属と言っていたのですが、どのような関係なのですか?」


「エルナ様は形式上はシノアの従妹になっています。私の事を身分に関係無く友達として接してくれる御方なのです」


「お友達と言うのですから、同年代の女性と思いますが、そのエルナちゃんも可愛い子なのですか?」


「私などよりも綺麗なお方です」


 少々歪んだ性癖と猫被りな腹黒い所さえなければ、理想的な御令嬢かと思います。

 今では、身体能力も強化されてしまったので、単純な力比べなどでも手に負えないのですから、始末に負えなくなっています。


「すると、その子が男の子になりたいのですか? きっと愛する子が同じ女性なので苦しんでいるのでしょうね……」


 苦しんでいるのではなく、単純にシノアを手籠めにしたいからだけとは言えませんね。


「それでは、そのエルナちゃんの魔術適性は何なのでしょうか?」


「魔術に関係あるのですか? エルナ様は聖魔術の適性があります。才能はあるのですが、覚えられる魔法が少ないのです」


「なるほど……さて、どうしましょうね?」


「教えてはくれないのですか?」


「教えても良いのですが、カミラちゃんは私に何を支払ってくれますか? 情報はとても大切な武器なのですから、いくらカミラちゃんが可愛くてもタダでは教えられませんよ?」


 ここでも私は何かを支払わなければいけないのですか……今の私に支払える物など無いと思うのです。金貨ぐらいしか思いつきませんが、私はこの国に散財でもしに来たのでしょうか?

 シノアへの支払いどころか、もしかしたら、追加の借金の申し込みをする事になるかも知れません。

 私がお金を貸して欲しいなどとお願いしたら、とても喜ぶ顔が目に浮かびます……。


「私が支払える物はお金ぐらいしかありませんが、如何程支払えば良いのでしょうか?」


「私はお金なんて、腐るほど持っていますので、そんな物はいりません。国が亡びる時に家にあった資産を根こそぎ回収したし、使い道が可愛い子を買うぐらいしか無いんですよねー」


 自分の国が滅亡する時に資産を根こそぎ回収するとか、抜け目のない方ですね……。

 しかも使い道がそんな事とは、エルナ様と話が合いそうです。


「では、何を支払えば教えてくれるのですか?」


「そうですね……夜明けまで、カミラちゃんの体を堪能させてくれたら、教えてあげますよ?」


「私の体ですか!?」


「うんうん。初めて見た時から、私の好みの可愛い子なので、味見がしたいと思っていたのですよね!」


 どうして、身分の高い方はこのような考えをするのでしょうか?

 味見などと言っていますので、何をされるのか恐ろしいです。

 夢の中で、散々ノアさんに色々とされましたので、大体は想像が付くのですが、頭が痛いです……。

 夜明けまでと言いましたが、時間的にはまだかなりありますので、その間ずっと続くのでしょうか?

 明日にでもエルナ様を説得する為にも知る必要がありますので、ここは我慢して耐える事にします。


「わかりました。私の体で宜しければ好きにして下さい。ですが必ず教えて下さると約束して下さい」


「勿論、必ず教えてあげます! カミラちゃんの容姿は私の若い頃みたいだし、特にその目が私の心をとても刺激するので、とても楽しみなのですよ!」

 

 この方も私の目の事に着目しています。シャロンさんと似た感じだと思うのですが?

 何が楽しみなのか知りませんが、朝までの我慢です。


「ふむ、話が纏まったようなので、私は一旦お屋敷の方に戻ります。1階の通路の奥の部屋を使うと良いかと思います。ここの娘に許可は取ってあるので、2人で話し合うと良いかと思いますぞ。では、エルナ殿が目覚める頃に戻って来ます」


 そう言った後に直ぐに転移してしまいました。2人になった途端に増々危険度が増した感じがします。


「では、2人の愛の巣に行きましょうか! 夜明けまでは時間はたっぷりとありますから、しっかりと私の事しか考えられない様にしてあげますからね!」


 アルカードさんが居なくなると話す内容が過激になってきましたので、ろくでもない方だと理解しました。

 エルナ様もこのような事を愛と言っておられますが、私はオズマさんとナリアさんの関係の方が愛があると思うのです。これは私が間違っているのでしょうか?

 私の肩に手を回して胸を揉みながら、部屋に向かっています。私は夜が明けるのがこんなに待ち遠しいと感じたのは初めてです。




 あれから、謎の愛の調教なる物を日が昇るまで受けさせていただきました。

 ノアさんと違って、てとも手慣れているので、不覚にも嫌ではありませんでした……。

 ただ……夢の中と違って、肉体的にも私は大事な物を失ってしまったようです。

 途中で、この方の鑑定をしたのに気付かれてしまって、私は更なる過酷な攻めを受けてしまいましたが、私には何も見る事が出来なかったのです。

 シャロンさんが言うには、上位の存在を除いては絶対に鑑定が出来ない能力を手に入れているらしくて、逆に私の能力を全て見られてしまいました。

 シノアの眷属である事は知らせているので、答えられる範囲はお答えしました……答えている間だけは、まさぐる程度になるので、仕方なかったのです……。

 痛覚の欠点さえ無ければ、自分もシノアの眷属になりたいと仰りました。体の支配権に関してはどうでも良いそうです。

 そんな事よりも、エルナ様が起きる前に内容を聞いておきましょう。

 この方をエルナ様に会わせるのは危険以外何でもありません。

 少々問題がありますが、エルナ様は私にとっても大事な方なので、この方を会せたら同じ事をするに決まっています。

 

「シャロンお姉様。約束ですから、私の質問の答えを頂けますよね?」


 約束の時間になったので、私がさっさと着替えて質問をさせていただくと、とても不思議そうな顔をしていますが、どうしたのでしょうか?


「カミラちゃんは私とあんなに濃厚な夜を過ごしたのに、どうして何も無かったように振舞えるのですか? 私が今までに落とせなかった者はいません。男女に関係無く1人の例外も無く私の虜になったのに、不思議で仕方がないのです」


「他の方の事は知りませんが、私には他に優先すべき事がありますから、シャロンお姉様に夢中になる事はありません」


「おかしいな……私の『マインド・コントロール』は相手の深層意識の深い所に確実に刻み込むので、絶対に私を意識せずにはいられなくなるのに……」


 いま何か魔法を使ったと言ってましたが、そんな事をしていたのですか?

 名称から、精神に影響する魔法だと思います。恐らくですが、私の魂が固定されているのと融合している魂の思考の方が強力なので、精神攻撃の類が私には通じないのかも知れません。

 シノアに言うと調子に乗るから言っていませんが、私の心は常にシノアの方にしか向かないのです。

 シノアに触れていて、シノアの事を考えるだけで、私の心は満たされてしまうのです。

 セリスさんが異常な考えをするのは、私よりも更に強力な思念に支配されているからなので、たまにあり得ない行動をしたりするのです。

 そんな事を教える必要は無いのですから、早く要件だけ教えてもらって、なるべく会わないようにしましょう。


「そんな魔法を使っていたとは知りませんでしたが、私の意思の方が強かっただけと思います。約束なのですから、早く教えて下さい」


「私の愛の魔法が負けるなんて……しかし、約束ですからね。それは闇魔術『ダーク・イリュージョン』で変化させているのですよ」


「その魔法はシノアも使っていましたが、部分的に変化させるだけなのです。幻術のレベルですよね?」


「その子は適性が無いからその程度しか出来ないだけで、完全に使いこなせば、姿や肉体的な感触も再現出来る魔法なのですよ?」


「あのショボい魔法がそんなにすごい魔法だったのですか……」


「確かに使い手によってはショボい魔法と言われても仕方ないんだけど、カミラちゃんも昨晩は体験したから分るでしょ?」


「昨晩ですか!? あれは悪魔の能力で変化していたのではないのですか?」


「ノエル様じゃなくて、アルカード様は性別無く自由に姿を変えられるけど、私は完全な悪魔じゃないし、淫魔の方にしてもらったから出来ないので、頑張って習得したのです。可愛い子に声を掛ける為にいちいち変装するのもめんどいから、私の最優先事項でした」


 はぁ……魔法の習得目的の動機が不純すぎます。

 先ほどの魔法もそうですが、完全に自分の趣味を優先させているのでしょう。

 お蔭で昨晩の事を思い出しましたが、もう二度と体験したくありません。

 

「ところで、噂の元になった事件とは何だったのでしょうか? 差し支えなければ教えてもらっても良いですか?」


「あー、それはね……私が変化して手当たり次第に喰いまくったからですよ! あの魔法を完全に使いこなせるようになったので、当時は色んな国で沢山の愛を囁いていたのですよねー。いくつかの国は滅びてしまったので、私が派手に行動した国で現在もあるヴァリスだけにその噂が残っているのだと思いますよ?」


 ……まさか、噂の原因が目の前にいるなんて……では、この方がそのような事をしなければ、ヴァリスに来る事はなかったのですよね?

 この方のお蔭で私はとても散財までした事になります。あの時にエルナ様が言いださなければ、ナオさんの将来も大変な事になっていたので、人助けをしたと思って目を瞑りましょう。

 

「この国の子達は女神ヴァリスに盲目的でしたが、私の愛の行動で可愛い子と良い男はかなり骨抜きにしたので、大変だったらしいですね」


「らしいとは、どうなったのか知らないのですか?」


「ちょっと高レベルの使徒に目を付けられてしまったから、本格的に動く前にさっさと他の国に逃げたのです。噂によると男性はみんな去勢されてから最前線に送られて、女性の方はヴァリスの教会のシスターにされて死ぬまで隔離されたと聞いています」


「……」


「あの頃は、私もまだレベルも能力も半端だったので、まともに戦ったら勝てる気がしませんでしたからねー」


「貴女は他の人の人生を狂わせてしまった罪悪感は無いのですか?」


「ちょっとカミラちゃんの目が怖いけど、自分だって楽しい思いをしているんだから、別に問題無いと思いますよ? 今の私にとって、人間は自分を強化する為の存在ですからね。それよりもお姉様と呼んで欲しいなー」


 元は人間だったのにとんでもない方です。

 もしかしたら、悪魔の眷属になるとそのような考えになるのでしょうか?

 何にしても、私から見たらこの方は危険極まりない方です。


「シャロン様、必要な事はお聞き出来ましたので、この度はありがとうございました。アルカードさんにも感謝しているとお伝え致します」


「私と深い仲になったのにそんな冷たい態度を取るなんて、久しぶりに私の愛の支配欲が高まって来ましたよ! カミラちゃんには印を付けてありますので、いずれ必ず私の物にして見せます!」


「私がシャロン様の物になる事は絶対にありません。そんな事よりも印とは何ですか? 私にそのような物を付けるのは止めて下さい」


「私の転移魔術は、アルカード様のように自分の記憶した所には行けませんが、1人だけなら印を付けておけば、その人物の元に直接転移が出来るのです。いつもは気に入った子に私が満足するまで付けておくのですが、カミラちゃんが素直になるまでは、絶対に解除致しません!」


 これは、シノアがアルフィンさんに付けられている物と同じと判断致します。そうなると、突然私の近くにいきなり現れる事が出来てしまいます。

 こんな問題のある方が皆さんの前に現れるのは好ましくありませんね……何とか解除できないのでしょうか?


「言っておきますが突然私の前に現れたら、好きになるどころかきっと嫌いになりますので、注意して下さい。特に他の皆さんの前で現れたら、今後は口も聞きません」


「つれないなー、でもそんな態度を取られると私も燃えてきます! それでは、カミラちゃんと2人の時しか声は掛けないと約束しますので、私の事はシャロンお姉様と呼んでくれる約束だけはして下さい」


「その様な呼び方はしたくないのですが……」


「もし呼んでくれないのでしたら、他に誰かいても場所もお構いなくカミラちゃんを襲います! それとも、見られるのが好きなのでしたら、私は一向に構いませんけど?」


 ……どうしょうもない性癖の持ち主かと思ったら、痴女の面も持っていたのですね。

 実力的には私を軽く超えるレベルと実力を持っているかと思われます。

 昨晩も可能な限りの抵抗をしたのですが、力だけでもエルナ様よりも強かったので、私には抵抗する術など全くありませんでした。

 どちらにしても、公衆の面前でそんな事をされたら、私の現在の人生が詰んでしまうので、妥協するしかありません。


「わかりました。仕方がありませんので、お姉様と呼ばさせていただきます」


「シャロンお姉様ですよ?」


「……」


「あれ、聞こえませんね?」


「……シャロンお姉様、これで良いのですよね?」


「心が籠っていませんねー」


「シャロンお姉様、私にはこれが普通なのですから、これ以上は無理です……」


「まあ、今回は呼ばせるだけで満足しますが、次までに私を愛しく呼ぶ事を課題にしておきますね? それと、私を呼びたい時は心で強く念じればいつでも来ますので、呼んでくれるのを期待してますねー」


 シノアではありませんが、下らない課題ですね……。

 どうしても力を借りたい時は、不本意ですが、呼んでみる事にします。永遠にそうならない事を祈るばかりです。


「じゃ、今回はこの辺で戻りますので、近い内に会いましょうねー! じゃあねー!」


 言いたい事だけ言って消えました。私はとんでもない方と関わってしまったようです。

 これなら、シノアに下らない悪戯をされているか、ノアさんと過ごしていた方が断然ましです。

 ベットに座って、私が精神的に疲れている所にアルカードさんが現れました。そろそろエルナ様が起きる時間のようです。


「おはようございます、カミラ殿。知りたい事は聞く事が出来ましたかな?」


 出来ましたが、私の精神力がとても消耗しました……。


「おはようございます、アルカードさん。情報は得られましたが、あの方は一体どんな方なのでしょうか? とても元大公家の令嬢様とは思えないのです」


「ふむ、あの者は私を呼びだした時から変わった娘でしたからな」


「差支えがなければ自分の魂を対価に何を要求なされたのですか?」


「それが、いきなり求婚されたのです」


「悪魔に求婚ですか!?」


「あの娘は自分の死後に魂を捧げる代わりに、生きている間は自分の伴侶となる事を要求して来たのです」


「悪魔とは、そんな願いでも叶えてくれるのですか?」


「下位の者なら、その場で従ったフリをして、早期に死ぬように仕向けるでしょうな」


「途中で戦争に負けて国が滅んだと言っていましたが、アルカードさんはどうしたのですか?」


「私は面白そうだったので、あの娘の提案を受ける事にしたのです。あの娘の魂はとても欲深い色をしていましたので、このまま成長すれば大きな力になるとも判断しました。途中で国が戦争に敗北した為に、全てを捨てるので私の眷属にして欲しいと頼まれました。あの娘の魂が色欲に大きく染まっていたので、淫魔にすれば面白いかと思ったのです」


 あの方の性格にも問題はあるのですが、アルカードさんが面白がって淫魔などにしなければ、不幸にならずに済んだ方はきっと大勢いたのでしょうね……。


「あの方は、悪魔では無く淫魔になったのですが、相手から魂を回収して自分を強化したのですか?」


「ふむ、能力の方は相手の願いを叶える代わりに魂を集めて、自分の趣味の為に強化していた筈です。初期の頃は大した力は無かったのですが、昨晩に出会った時に久しぶりに見たら、この国の古い使徒に近いレベルになっていましたので、戦えばそれなりの強さを発揮すると思いますぞ」


 この国の古い使徒の実力は分かりませんが、かなりの上位の存在になっているという事です。

 最悪の場合は呼び出して戦ってもらえば良いと思うのですが、自分の趣味を優先と言っていましたので、果たして戦闘が可能なのかは不明です。

 それ以前にまた同じ事をされるのでしょうか?


「あの方は戦う事は出来ると思いますか?」


「ふむ、アシュリアと呼ばれる国の体術を身に付けていたと思います」


「聞いた事も無い国ですが、どのくらい昔の国なのですか?」


「確か至高神と名乗っていたアシュリが滅ぼされたのは、三千年ほど前だったと記憶しています」


「長く生きている方なのですね」


「初期の頃の能力を考えれば生き残る事は無理だと思ったのですが、肉体を破壊されずに現在至っているのは、かなりの努力をしたと思われます。一度でも倒されて死んでしまえば、我らは精神体の世界に強制的に戻ってしまうのです。こちらの世界からの召喚に応じる為には、ある程度の実力がなければ他の者に蹴落とされてしまうので、下位の者が召喚に応じるのは難しいのです。その事も教えてあるので、死なない努力をして力を付けたと思われます」


「そうだったのですか……」


「あのように振舞っておりますが、元は世間知らずの少しプライドの高い貴族の令嬢だったのですから、生き残る為とはいえ、全てを捨てて下級の淫魔に生まれ変わるなど、身分の高い貴族の娘には大変な決断だったと思われます」


 そのような話を聞いてしまったら、少しだけ同情したくなってしまうのですが、現在があれなのですから、判断に迷います。

 いまはそれよりもエルナ様に説明をして諦めてもらって、フェリス王国に帰る事を優先しましょう。

 エルナ様は、闇魔術は使えないので、適性どころか習得は不可能なので、諦めてくれると思います。

 仮に習得などが出来たら、魔術の才能はあるので完全に変化出来ていたと思いますが、そう思うとこれで良かったのだと思います。

 使えていたら、きっとシャロンさんと同じ行動を取ったに違いありません。

 これからは、エルナ様が興味を持った事は事前に調べておく事にしましょう……そうしておかないと私の問題が余分に増えるだけなのですから……。


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