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生まれ変わったのですよね?  作者: セリカ
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92 カミラのお悩み2

  

 目が覚めると、カミラがアルカードさんじゃなくてアルカさんの方に衣服を脱がされて何かしています。

 少しボーっとしますが、まだお湯に浸かっていた感じがしますので、それ程は時間は経っていない筈です。どちらが私を着替えさせてくれたのでしょうか?

 お風呂から上がった記憶が無いので、体も拭いてくれたと思うのですが……気にしてはいけませんね?

 それにしても、カミラの体に布を巻いていますが、新しい遊びなのでしょうか?


「あの……お二人は何をしているのでしょうか?」


「エルナ様、これは!?」


「これは、カミラさんが男性になる為の変装なのです」


「そうでしたか? カミラにも男性になりたい願望があったのですね? 形から入ろうとするなんて私も見習わなければいけませんね?」


「違います! アルカードさんの提案で、見た目を変えれるか試しているのです!」


「そうなのですか? でも、どうしてそのような事をしているのですか?」


「先程問題を起こされましたので……特に、私はこの国の騎士団に目を付けられたかも知れないので、姿を変えないと彼らに見つかって、また問題が起きると思いまして……」


「なるほど……それで、布で無理矢理その揉み応えのある胸を締め付けているのですね?」


 私の胸の表現が……最近はシノアと一緒になってたまにエルナ様も揉むのですが、出来れば止めて欲しいのです。


「そんなに締め付けて苦しくはないのですか?」


「ちょっと苦しいのですが、それ程ではありませんので、問題はありません」


「カミラさん。それでは、これを着て見て下さい」


「これは?」


「以前にシズクさんがカミラさんに合わせて作っていた物です。何となく似合いそうと言って仕舞ってあった物を一応持ってきました」


 シズクさんが私をどのように見ているのかわかりました。着てみると私にサイズがピッタリと合うのですが、これで剣でも持っていれば貴族の護衛の剣士ぐらいには見えそうですね。

 

「こうしてみると、ダンスで私に話しかけてくるどこかの貴族の子息みたいですね? カミラは目がきつめですから、中々似合ってますよ?」


「……済みませんが、エルナ様も私の目がきついと思っていたのですか?」


「最初にシノアに言いがかりを付けて来た時は、私とシノアの愛を引き裂く悪女と思うぐらいでしたね? でも、今は鋭い目で遠くの敵を射るかっこいい目と思いますよ?」


 ……今となっては懐かしい出来事でしたが、あの時から私のイメージは悪女なのですか……お屋敷での姿さえ見ていなければ、あの頃はお慕いしておりましたのに……エルナ様、私は少し傷つきましたよ……。

 きつい目と鋭い目の違いを教えてもらいたいのですが、聞きたくもないですね……。


「これなら、見た目は目付きの鋭い護衛の剣士に見えると思いますので、大丈夫かと思います」


 アルカードさんもアルカさんの姿で満足そうに言っています。きついから鋭いになっただけですね……。

 ステラさんのお蔭で胸で何かを言われる回数が減ったのですが、今度は何かあると私の目つきを指摘して来るのは何故なのでしょうか?

 これなら、まだ胸の事を言われていた方がましだったと思います……。


「それにしても、私とシノアのクッションが変形しないか心配ですね?」


「それは大丈夫かと思います。私が昔に変装させた娘も特に変化しませんでした。ただあの娘よりも締め付けている物が大きいので、本人が窮屈なだけでしょう」


「カミラって、頭も良いのに胸が大きいなんて、お母様の話と随分と違いますね?」


「あの……それはどのような意味なのでしょうか?」


「私のお母様は今は普通の大きさですが、学園に在籍中は私の半分くらいしかなかったそうなのです。そして、お母様がいつも試合に負けていた方は、胸が大きいのですが学力は最下位だったので、頭の栄養が全て胸に行ってしまったからお馬鹿さんなのだと言ってました」


 ……なんという偏見ですか……勉強は本人の努力次第なので、胸は関係無いと思います。


「当時、お母様は学力はトップだったので、私が勉強が出来ないのは当時の自分よりも胸があるから、その分だけ栄養が偏っているとまで言われました。私は勉強などしたくないので、納得していましたよ?」


 私のサラ様の見方が変わりそうです……そんな事が事実でしたら、女性の学歴は胸に比例してしまいます。

 そんな事を言っているのですから、普段から勉強などしていないシノアが学年トップなのをまったく疑わないのですね?

 シノアにこの話をしたら、確実に意味の解らない言い掛かりを付けて、私に理不尽な嫌がらせをするのですから、聞かせたくないです。

 もしも、私がシノアの女神様に会う事が出来たら、私の貢献度を上げる為にもシノアの胸を成長させて欲しいとお願いしたいと思っています。

 これが実現すれば、私の失禁する癖を永続的に取り消してもらえるかもしれないのです。

 ちょっと前に少しだけ厳しく注意をしたら、起きた時にベッドが大変な事になっていて、エルナ様に更に弱みを握られて最悪な状態なのです。

 シノアの洗浄魔法で他の人には気づかれていないのですが、セリスさんから、どうしてベットのシーツが綺麗になっているのかをかなり追及されたのです。シノアとエルナ様が私に丸投げするので、誤魔化すのにすごく苦労しました。

 綺麗になっているのですから、問題は無いのに、何故あそこまで追求して来るのか不思議です……。

 それにしても私の胸がクッションですか……エルナ様の私に対する認識を一度しっかりと聞きたいのですが、適当にはぐらかされてしまうのでしょうね。


「それにしてもカミラの男装姿は中々似合っていますね? 次の舞踏会に行く時は、その姿で私をエスコートして下さいね? 丁度良いので、私の婚約者としてしまえば、私の防波堤になるので助かります。最近、私がお屋敷に戻っている時は、お母様が嫌がる私を脅してお茶会などに連れて行くので、私の自由時間が減っていたのです」


「エルナ様にはそろそろお相手が望まれるのは当然かと思いますが、私を婚約者とするのは後々に不都合かと思うのですが……」


「構いませんよ? 家は弟のカイトが継ぐのですから、私は時期が来たらシノアと愛の旅に供に行きますので、結婚など絶対にしません。私はシノアに全てを捧げていますので、いずれは私もカミラと同じにしてもらうつもりですよ?」


 いま何か私と同じと言われましたが……まさか……。


「私は、シノアとは普通のお友達なのですが、エルナ様の方がシノアに夢中なのでは……」


「私が気付いていないとでも思ったのですか? お屋敷では他の方に聞かれるといけないと思って話しませんでしたが、ずっとシノアを見ていたのですから、気付くのは当然ですよ? それにカミラのシノアを見る目はセリスさんと同じですから、海から戻ってから確信しましたよ?」


「セリスさんと私が同じなのですか!?」


「出会った頃から、セリスさんからは、シノアに近い感じがします。最初の頃はたまにシノアと間違えそうになった事もあるのですが、それは海から戻った時からのカミラにも言える事なのですよ? 何か儀式でもして、意識とか感覚でも繋がっているのではないのですか?」


「……」


「それにシズクちゃんがたまにシノアの眷属になりたいと言っていましたよね? セリスさんとカミラがその眷属とやらになっているのでしたら、納得がいくのです。眷属とは親族や従者の事を示すと思いますが、2人の態度や行動を見ていればわかります。特にダンジョンの中にいる時はセリスさんは全体を見ていますが、常に見ているのはシノアです。カミラも最初はシノアに守られていたのに、今では常にシノアを守る立ち位置にいますので、わかり易かったのですよ?」


 シズクさんがたまに口にしていましたが、よく聞いていましたね……普通でしたら何の事かわからないと思ったのですが……。

 それにダンジョンの中では常に前に出ているのに、後ろの事まで把握しているなんて、私のエルナ様の認識を改めなくてはいけません。

 シノアがいつも脳筋などと言っているので、私も鵜呑みにしていたようです……。


「これは中々の洞察力ですね。カミラさん、エルナさんは絶対の確信を持っていますので、これを説得するのは無理かと思いますよ?」


「アルカードさんじゃなくて、アルカさん!」


「カミラ、安心して下さい。私はシノアが教えてくれるまでは絶対に言いだしませんので、ここで認めなくても良いのですよ?」


「エルナ様、私はその……」


「この話はこれでお終いです。それでカミラは私の提案を受け入れてくれますか? 駄目でしたら、いまの話をセリスさんにすれば、カミラと違って素直に従ってくれると思うのですが、シノアに感づかれそうですね?」


「それは……」


「カミラさん、即答できない時点で認めているのと同じなのですから、これはエルナさんの優位は動きませんよ? エルナさんはカミラさんの性格を理解した上で必ず従う交渉を持ちかけています」


「それで、カミラのお返事はどうなりますか?」


 これは、私には拒否する事は出来ません……。

 エルナ様は、お願いする時は必ず相手を従わせるだけの情報を持ってきます。

 いまに思えば普段から、その情報を使うタイミングが良いのですから、もしかしたら色々な事に全て気付いているのに知らないふりをしているだけなのですね。

 シノアに教える訳には行きませんので、従うしかありません。


「わかりました。私はエルナ様の提案に従います。なのでセリスさんには今のお話をしないと約束して下さい」


「お願いを聞いてくれてありがとうございます! 勿論ですが、セリスさんにはこのお話はしないとお約束しますよ? このお話はね?」


「エルナ様は他に何を知っているのですか?」


「さあ? 私には何の事かわかりません。乙女の秘密は沢山あるのですよ?」


 ……必要な承諾だけ得たら後は知らないとか……何となくノアさんと話している感じになります。

 エルナ様から情報を引き出すにはお願いを聞くしかないのですが、この先が思いやられそうです……。


「では、カミラのその姿の時は私の婚約者になるのですから、カミル様と呼ぶ事にしますね?」


「なんというか安易な名前ですね……」


「シズクちゃんがたまにシノアの事を……いけません。これは失言でしたが宜しいですね?」


 何となくですが、この手の事はシズクさんが情報源のようです。

 たまにシノアを説得したいから、ノアさんと代われないか言っていた頃がありましたので、確証は得られませんが、ノアさんの事にも気付いていそうです。

 

「エルナ様がそう仰るのでしたら、それで構いません」


「それでは、カミル様。次の舞踏会までにダンスの男性のステップをしっかりと覚えて置いて下さいね? カミル様は努力家で物覚えも良いので、すぐに習得出来ますよ?」


「はぁ……頑張って、練習をしておきます……」


 私は妾の子でしたので、あの家ではパーティーなどは無縁でした。

 それに愛人として売り渡される事も決まっていましたので、余計な者に知られない処置までされていました。

 それでもいつか私も素敵な男性と踊れるように密かに練習をしていたのですが、最初に踊るのが男装をしてエルナ様と踊る事になるなんて……所詮は夢でした……帰ったら、頑張って男性のステップを覚えなくてはいけません。


「後は、私の事はエルナと呼び捨てにして下さいね?」


「それは何故でしょうか? エルナ様は私にとっては主家の御方なのですから、恐れ多い事なのですが……」


「私は、この国では一般の方として振舞うつもりなのですから、不自然ではありませんか? それに後ほど私の婚約者を演じてもらうのですから、今のうちに慣れてしまえば良いと思ったのです!」


「エルナ様、私には演技とは言えそのような事は……」


「カミル様は、頭の固いお方ですね? 私としては、主導権を握って引っ張ってくれるほうが、私が守られていて目立たないので、助かるのですよ?」


「しかし……」


「シズクちゃんが書いていたお話の男性もいいですね!」


「シズクさんが何か書いていたのですか?」


「向こうの世界では女性を口説く時は壁に押し付けたりして、かっこいい言葉を囁くのが主流らしいのですよ? 状況によっては無理矢理に言い聞かせたりもしてるそうなのですよ?」


 それはノアさんと夢の中で散々見せられたドラマとか言う物ですね……お蔭で私まで向こうの世界の常識や娯楽もしっかりと学習させてもらいました。こちらの世界で、エルナ様に壁ドンなどして口説いたりしたら、即座に無礼者として捕まってしまいます。

 しかも、公爵令嬢様のエルナ様を平民の方や身分の低い貴族の学生の方が無理矢理とか……確実に死罪どころか身内にまで責任が及んでしまうので、無理です。

 エルナ様はご自身の身分を気にしていないのか分っていないのか解りませんが、そんな事を気にしないで言うのはシノア達ぐらいです。

 それにしてもシズクさんには困りましたね……御庭番などと言う組織を作って、コスプレとシノアの料理のダメ出しだけしかしてないと思っていたら、そんな物まで書いてエルナ様に読ませていたのですか……。

 シズクさんを自由にさせておいたら、この世界はいつかオタクの世界に染まってしまうかもしれません。

 既にオタクなどと言う言葉を理解していること自体が、シノアの言い分ではありませんが、私もかなり汚染されているということです……私の場合は、ノアさんと勝負に勝つためには同じ知識を学ばないと勝負にならないからです。

 やっと対戦格闘ゲームなる物なら、3割までは勝てるようになったのですから、私としてはもっと練習をしないといけないのに、現在シノアが居ないのが非常に痛いのです。

 こちらの世界ではあんな物は普及出来ないと思いますが、そう思うとノアさんの仮想空間はとても便利です。

 

「申し訳ありませんが、私はそれを知らないので出来ません」


「カミル様は読んでいないのですか? いま、お屋敷の者達の間で密かに流行っているのですよ?」


「そうなのですか? 私は1人の時は勉強をしていますので、余りそういった物は読みませんから……」


 もしかしたら、たまにベットに寝転んでお菓子を食べながら読んでいる物がそうなのでしょうね……リンさんの気配が近づくと机に座って勉強をしているふりをしています。ばれてないと思っていますが、リンさんはしっかりとカウントしていますので、蓄積された時が恐ろしいです。


「カミル様は詰まらない事に時間を使っていますね? 若い内は出来る事をしておかないと後悔しますよ?」


「エルナ様、出来る時にしっかりと勉学に励んでおかないと、後ほど後悔するのは自分だと思うのですが……」


「そんな事は適当にある程度出来れば良いのですよ? 仕方ありませんので、カミル様は帰ったら、シズクちゃんの本を全て読破するようにして下さいね? これは宿題ですよ?」


「……」


 そんな宿題はいりません。

 大体、私はノアさんから強制的に叩き込まれているので、悲しい事にもっと鮮明に理解していますから、必要がありません。


「仕方ありません。アルカさん、男性の姿になって、私をシズクさんのお話のように口説いてくれますか? カミル様には実地で覚えてもらいます」


 エルナ様がそう言うと、すぐに男性の方の姿に変化しました。お願いですから、実行しないで下さい!


「ふむ、それはシズク殿に協力して書いた絵のような行動で宜しいのですか?」


「壁に押し付けて口説いているシーンなどがいいですね! ちょっと体験してみたいと思っていたのですよ!」


 なんという事でしょうか!

 アルカードさんは、シズクさんのお手伝いまでしていたのですか?

 しかも絵を書いていたと言っていましたので、まさかですが漫画本を作っていたのですか!?

 そんな物を普及されたら、この世界の読み物の価値観が変わってしまいますよ!


「では、もう少しエルナ殿と釣り合いそうな姿になります」


 すると、アルカードさんの姿が私達と同じぐらい年代の行動力のありそうなカッコいい青年に……ちょっと私の好みの姿です。


「あの絵に近い姿ですね? それにしても悪魔とは便利ですね」


 そのままエルナ様を壁際に立たせて、壁ドンなんてしています。


「ちょっといいか?」


「これは何のつもりなのでしょうか?」


「いつも俺を避けているみたいだから、こうでもしないとお前は話を聞かないだろ?」


「私は貴方のような粗暴な者と話をする必要はありません」


「おいおい、そんなつれない事を言うなよ? こないだ変な奴らに絡まれている所を助けてやっただろ?」


「私は、貴方に助けなど求めたつもりはありません」


「お前、あのままだったら、あいつらに連れて行かれて人生が終わる所だったんだぜ? あいつらは女なんて金稼ぎの道具としか見てないやつらで有名なんだぞ?」


「あの時の事は感謝をしていますが、私は貴方のように暴力で何でも解決する人は嫌いなのです。貴方はいつもそうなのです……その度に怪我をする貴方を見るのが私は嫌なのです!」


「なんだ? それは俺の心配でもしているのか? そうかそうかお前、俺の事が気になっているみたいだな?」


「し、知りません! 話が無ければ、私は早く帰りたいので失礼します!」


「おい、待てよ。よし決めた。お前みたいな面倒な女はここで俺の物にしてやるよ」


 腕をすり抜けようとしたエルナ様の腕を掴んでいます。私には二流の芝居に見えるのですが……。


「放して下さい! 人を呼びますよ!」


「こんな時間に誰も居やしないよ。今からしっかりと俺の物だと教えてやるからな」


 そのままベットの方に押し倒していますが……思い出しました!

 これはこのままヒロインの女性をて、て、手籠めにしてしまうシーンではありませんか!

 シズクさんは何でこんな話を漫画にしているのですか!

 おませさんなのは、ノアさんの知識からわかるのですが、これはダメですよ!

 アルカードさんがエルナ様の服に手を掛けていますが、もしかして破くつもりですか!?


「もうそこで止めて下さい! その先は知っているのでやらなくても結構です! 実行するアルカードさんもそうですが、エルナ様もどうして抵抗しないのですか!」


「あら? カミル様は知っていたのですか? この後は、無理矢理ですが2人は結ばれるのです。少女の方も男性を好いていましたので、実は期待していたのですよ?」


「私が止めなければ続けるつもりだったのですか!?」


「エルナ殿が止めなければ続けましたが。私は手慣れていますので大丈夫ですぞ?」


「ギリギリで止めるつもりでしたが、服ぐらいなら破かれても問題はありませんよ? アルカードさんはシノアの執事だし、悪魔なのですから、私は見られても構いませんよ?」


 一体何が大丈夫なのでしょうか?

 手慣れているという事は……この宿屋の受付の娘のアルカードさんを見つめる蕩けたような目から察すると……。

 エルナ様はいつもシノアに説教をしていますが、あくまでも男性の前で脱ぐ事は禁じますけど、アルカードさんのようなどちらにでもなれる存在に対しては問題無いという事ですか?

 とにかく、こんな物が出回っているのは良くありませんので、シノアに頼んでシズクさんを止めるようにお願いしましょう!

 痛みなどないのですが、胃の辺りが痛くなって来ました……。


「私は疲れてきましたので、私もそろそろお風呂に入らせていただきます……とても気分をさっぱりさせたくなって来ましたので……」


「つい話が弾んでしまいましたので忘れていました。カミル様もゆっくりと寛いできて下さいね?」


「では、残りの服はこのケースに入っておりますので、確認しておいて下さい」


「アルカードさんの選んできた服はどんな物か楽しみですね!」


「エルナ殿の要望に合う物を持ってきましたが、下着などはリン殿が選んでいましたぞ」


「リンがですか……すると私がここに居る事も知っているのですよね?」


「聞かれましたのでお答えしました。目的の方はシノア様に置いて行かれたので、気分転換の旅行と説明しておきました」


「素晴らしいです! アルカードさんは流石はシノアの執事ですね! 私の目的が知られたら、後からリンに何を言われるか分かりませんので。とても助かります!」


「かなり問い詰められました。後ほど戻られた時の説明は考えておいた方が良いかと思われます」


「大丈夫です。もしも私が男性になれたら、リンを手籠めにしてしまえばいいのです」


 エルナ様はリンさんを襲うつもりなのですか?


「そんな事をしたら、リンさんからきつい罰を与えられてしまいますよ?」


「カミル様の心配は大丈夫です。リンは常日頃から結婚をするのでしたら、自分よりも強い殿方が良いと言っていましたので、私の腕力なら絶対に勝てますから、さっきのお話のように既成事実を作ってしまえば良いのです! それで、リンが私に惚れてくれれば、あのいじめから解放されるので、良い考えと思いませんか?」


 ……あんな話の展開には絶対にならないと思います。

 それどころか更なる嫌がらせの理由になります。リンさんの事ですから苛烈な罰が待っていると思います。

 お屋敷のメイド達や騎士の方達が真似しないように、早めに回収しないと事件が起こりそうです。


「アルカードさんは、この後はどうするのですか?」


「私は一度お屋敷の方に戻りますが、お二人が目覚める頃には戻ってまいります。お休みの時だけでもアイリ殿に戻って来て欲しいと頼まれましたからな」


「アイリ先生は、意外と独占欲が強いのですね? まあ、アイリ先生も後が無いので頑張っているみたいですから、余り邪魔をするのも可哀想ですね」


 エルナ様も、自分で引き離しておいて、酷いお方です。

 アイリ先生がアルカードさんに夢中なのを知っているのに無理やり引き離した張本人なのですが、それを笑顔で実行するのですから、恐ろしいです。

 泣いて縋るアイリ先生はとても気の毒でした……エルナ様がアイリ先生の耳元で何か囁くと黙って耐えてましたが、私にはエルナ様が悪魔に見えましたよ。

 これ程の強烈な感情の持ち主がシノアに重い情熱を注いでいるのですから、シノアの性格が歪んでしまうのは仕方ないと諦めるしかないのでしょうか?

 とても私には勝てる気がしません……。

 アルカードさんが私に一振りの剣を渡してきたのですが、これは?


「カミラ殿ではなくて、カミル殿には、これを渡しておきます」


「済みませんが、アルカードさんは私の事は普通に呼んで下さい。それでこの剣は何でしょうか?」


「その姿ですから、剣士ぐらいには見えると思いますが、この国で男性が武器を携帯していないのはいささか不味いので、持っていた方が良いと思います」


「何か問題があるのですか?」


「貴族の者なら問題は無いのですが、武器を持たない者は襲われやすいのです。酷い時などは正規の騎士までもが理不尽な要求をしてくる可能性があります」


「民を守る立場の騎士がですか?」


「明日から、出掛ければわかりますが、この国の身分の差ははっきりしていますので、ある程度の実力があるのでしたら、女神の騎士になる方が有利なのです。なのでカミラ殿が相手をしたような者が大半を占めているのです」


 この国の事を詳しく聞いていませんでしたが、かなり腐敗していそうですね……明日からが思いやられます。


「軽くて細身の剣のようですので私にも少しは使えそうですが、シノアが居ないのにあの部屋に入れたのですか?」


「いえ、シノア様が居ないので直接転移が出来ませんから入れません。なので、ギム殿に手頃な剣を借りてまいりました。それなりに何か力のある剣と聞いています。かなり酔いが回っている時に何となく作った物なので、効力を忘れたとの事です」


 ……あのギムさんが酔っぱらって作った物とか大丈夫なのでしょうか?

 いつも飲んでいる姿しか見ないのですが、どんな状態が酔っぱらっているのでしょうか?

 武器や防具を作っている時は目が真剣なので、多分ですが大丈夫だとわかるのですが……。

 まずはお風呂にでも入って私の心を癒したいと思います。

 シノアがシズクさんのダメ出しの後とエルナ様の我が儘を聞いた後にすぐにお風呂に入りたがる気持ちが私にも分る気がしてきました。

 エルナ様はベッドに衣装を散らかしていますが……戻って来たら、まずは私の収納にしまう仕事が先になりそうです。

 私は一度で良いので、エルナ様に女性の身嗜みについて言ってみたいと思っています……。


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