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生まれ変わったのですよね?  作者: セリカ
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8 襲撃者

 出発の前日にギムさんがお屋敷にやって来て、おじいさんに軽く挨拶をしたら、早速私の防具を披露してくれました。

 黒を基準とした、スーツとミニスカートの一式と外套と手袋とインナーの上下でした。

 これは、中々良い感じなのですが私にサイズが合うのでしょうか?

 私がそんなことを考えているとギムさんが説明をしてくれました。

 これのベースの素材は昔にギムさん達が狩った黒竜だそうです!

 ちょっと図書館で魔物の生態も調べたのでわかりましたが、龍にも色々居ますがかなり強力な魔物ですよ。

 すると、ギムさんって、ドラゴンスレイヤーとかの称号とかも持っているのでは?

 驚いている私をそのままに説明を聞くと、この服には装備者に合わせて自動で、最適化されるので、サイズは問題無いそうです。

 しかも、多少の攻撃では、破れたりもしないし壊れても自動で修復もする機能もあります。

 何でも、倒した黒竜は無限再生とかゆう、ありえない技能を持っていた為とか……はい、そんな魔物をどうやって倒したのでしょうか?

 そんな化け物を倒すギムさんに勝てる気がまったく起きなくなりましたよ。

 更には、汚れたりしても自動再生の恩恵があるので、しばらくすると綺麗になるそうです。

 これ、服屋さんが廃業してしまいますよ?

 もし、早く直したい場合にはマナを注げば再生も早くなるそうなのですが、こんなすごい物が作れるのですね。

 そして、これを買える予算など有りません。

 ギムさんに手持ちにこれだけの物を買えるだけの予算が無いですと言ったら……。


「これから、わしの生涯の夢を叶えられるかもしれないので、金などいらん」と。


 いやいや、流石に無償とか……嬉しいけどいいのかな?

 それに、これから共に冒険する仲間と思えば、パーティーの戦力アップは当然とのことです。

 それにもうずっと使い道が無かったので、遠慮無く使ったそうです。

 おじいちゃんも「中々良い物だから、もらっとけば良いぞ」とか言ってます。

 それから、しばらくおじいちゃんと話しをしてくるので、「後で、着てみせておくれ」と言っていってしまいました。

 エルナも「ギムさん、私もシノアとお揃いのが欲しいです」と言ってましたが「わしの目に適ったら、考えるな」と言われてがっかりしてました。

 ギムさんとは小さい頃から、色々と構ってもらっていたので、孫娘みたいなものだそうです。

 まあ、直ぐに立ち直って私を引っ張って、「早速、着替えましょうねー」と言って、連れていかれました。

 一人で、着替えるからと言っても「私が手伝うから大丈夫よ」と言って聞きません。

 一体、何が大丈夫なのでしょうか?

 この子はお嬢様なのに気に入った娘の着付けとかしてるそうなので、屋敷のメイドさん達は断れなくて困っているそうです。

 最初に出会った時はまさにお嬢様と言った印象を受けたのに、最近は危ない子のイメージが定着しつつあります。

 そんなこんなで、着替えてみると中々私に似合ってます!

 黒が基準なので、私の銀髪が良い感じに映えますね。

 サイズもマナを込めたらすぐに私にぴったりになって、動きやすいです。

 露出しているのは首から上ぐらいなので、後は耐久性次第ですが、頭部さえ守れば痛い思いをしなくて済みそうです。

 サテラさんの装備の方が防具としては上なのですが、戦闘をしていると攻撃を受けた時に常にマナを消費するので、装備するのはもっとレベルが上がってからにしましょう。

 エルナは可愛いとか凄く似合ってるとか言ってますが、何を着ても同じことを言うので、後で皆さんに聞いてみましょう。

 今晩の内についでに耐久性のテストも軽くしておきましょう。


 今回の人員はエルナとカイくんとロイさんと前回は病気でこれなかったエルナの御目付係のメイドさんのリンさんと私とギムさんだけとなりました。

 本来はもっと護衛を付けるのですが、私とギムさんのどちらかが居れば問題無いので、この人員になりました。

 皆さんは荷物が結構あるのにギムさんは何も持っていないのです。私の次元収納はほぼ無限に入るものですが、確かギムさんも収納を持っていたと思いましたが?

 ちょっと気になったので聞いてみたら、確かに収納持ちで、容量の方はどうもレベルの数値だけの種類を入れれるそうです。

 なので、鍛冶に必要な物と自分の私物少々と貴重な素材と色んな種類のお酒を持てるだけ持っているそうです。

 ギムさんはレベル115なので115種類入れることができて、同じものなら10個ずづ入るのですが、大半はお酒らしいです。

 酒が無いと生きていけないとか言ってますし、さっきおじいちゃんと何を話しに言っていたのか分かりませんが、二人ともとってもお酒臭いです……まだ昼前なのにね。

 お昼の時もガンガン飲んでましたが、こんなに飲んでで大丈夫なのでしょうか?

 私が「そんなにお酒って、美味しいのですか?」と聞いたら「こいつは一生の友だぞ」と言って私にも勧めてきましたよ。

 おじいちゃんは、まだ子供なので止めた方がいいと言いましたが、好奇心が勝ってしまいちょっと飲んでみましたが……これ美味しいです!

 ギムさんが私がいける口とみるや「これも美味いぞ」と、どんどん勧めてくるではないですか。

 私もつい勧められるままに飲みまくってしまいましたが、中々美味しい飲み物ですね。

 エルナが「私もちょっと良いですか?」と言って、一口飲んだら、倒れてしまいました?

 どうしたのでしょう?

 ギムさんは「これはまずいのを飲ましてしまったな」と?

 えっ?

 私は全然平気なのですが、ボトルに度数80%とか書いてありますがこれ適度に刺激が合って良いと思うのですが。

 おじいちゃんは慌ててましたが普通は10%ぐらいのが主流らしくて、強くても40%になるそうです。

 こんな80%とかのお酒はドワーフぐらいしか飲まないそうです。

 普通の人が飲んだら、一発でダウンするそうです。

 でも、私は平気なのですが?

 もしかしたら、私の元の種族にドワーフでも混じっているからでは無いでしょうか?

 それなら、あの技能も納得できますが食べ物と同じで、すぐにマナに変換されているからなのでしょうね。

 もっと、とっておきの奴があるので今度はそれを飲もうと言ったところで、おじいちゃんがそれだけは止めた方が良いと警告をしています。

 ギムさんは強い酒を一緒に飲める仲間が出来て喜んでますが……まあ、くれる物ですから遠慮なく飲ませてもらいましょう。


 次の日に出発してから、ギムさんと魔物の襲撃の時の対応のお話しをすると、この辺りの魔物は二人にとって問題ないので、「昼間は酒飲んで寝てるから、夜の見張りをしよう」と言ってますが、夜はあの道具を使えば良いのではないでしょうか?


 「はっははは―、シノアよ気にしてはいかんぞ」とか言ってますがそれは道中は酒飲んで寝てるから、あとは宜しくと……。

 

 完全にサボる気でいますよ。

 まあ、私は眠る必要は無いし、この防具一式もらってますので、別に問題ないのですけどね。

 それにレベルも上げておきたいので、むしろ戦闘は全て引き受けてもいいぐらいです。

 ギムさんに教えてもらったのですが、6人までならパーティーを組んで均等に経験値を得ることが出来るそうなので、いまは少しでも私のレベルをあげておきましょう。

 ちなみに黒龍を倒した時は、ギムさんとおじいちゃんとラースさんと現在王都の司祭をしているミリアさんという方とその時の戦闘で亡くなった2名の剣士の方と途中で参戦してくれた魔法戦士の人らしいです。

 途中で、1人は、食い殺されてしまって、もう1人はブレスで蒸発してしまったところで、ラースさんが緊急の離脱アイテムで、逃げ出してしまった時に魔法戦士の方が参戦してくれたそうです。

 しかし……ラースさんは仲間を見捨てて逃げるとか、もう弁護とか不可能なレベルですね。

 これは、ギムさんやおじいちゃんに頭が上がらない訳ですよね。

 一応、討伐のメンバーだったので、名誉だけは手に入れたのですから、秘密にして許してもらう代わりに報酬無しで、生きてる間は生き残った3人の頼みは絶対服従を誓約させたそうです。

 自分の魔法で自らに枷を掛けさせたので泣いていたそうですが、黒龍を倒した名誉が残るだけ良いですよね。

 普通なら、逃げた臆病者か仲間を見捨てた卑怯者のレッテルを張られて、この国に居られませんよ。

 あれ、もう一人の魔法戦士の方はどうなったのでしょう?

 話によると倒した後に名前も告げずに去ってしまったそうです。

 かっこいいです。

 正直、彼女1人でも倒せるぐらい強い方だったらしいのです。

 その剣撃は取り巻きを一撃で倒してしまい、魔法は瀕死だったギムさん達を一瞬で全快させてしまい、補助魔法で3人の身体能力を倍に高めて、取り巻きが増えても範囲魔法か複数の分身のような物を召喚して黒龍以外は全て倒してしまうので、黒龍だけに専念出来たそうです。

 ちょっと……それはもう神様とか魔王クラスなのでは、無いでしょうか?

 普通にそんな超強い人がいるはずがありません!

 ギムさん達はお礼をさせて欲しいとお願いしたのですが「ちょっと困っていそうでしたので、お手伝いをしただけのですから、おかまいなく―」と言って、転移してしまったそうです。

 転移魔法とかあるのですね、ぜひ欲しいです。

 何しろ最初に声を掛けてくれた時も、ブレスを片手で防ぎながら「もしもし、お手伝いは必要ですか?」と言って、死を覚悟した時に現れたそうです。

 軽い人ですね……何か私も同じようなことをした記憶があるのですが……。

 どんな方なのか聞いてみると、金髪の長い髪でおっとりした背の高い優しいお姉さんという感じだったそうです。

 ふむふむ、そうすると女神様は確か赤い髪の小柄な容姿だったので、別ですね。

 もう一つ気になることがあります。分身のような物を召喚してと言ってましたが、それは私の分身体と同じなのでしょうか?

 もしくは、英霊召喚とか……そうすると生き残っている私と同族の可能性も出てきましたよ。

 同じだとすれば、最終的にはそんな強い分身体になるとしたら……これはもう絶対に闇魔術を上げなくてはいけませんね。

 普通はその技能を鍛錬すればある段階で技能が上がるらしいのですが、私は使い続けてもまったく変化が無いのですよ?

 火魔術だけは使い続けていたら何とか上がったのですが、あとは気が付いたら変化していたとかですね。

 ある段階と言っても人によってことなるそうですが、大体はその技能を使い続ければ上がるそうです。

 私は人では無いので、条件が違うとは思いますが、どうやって上げたら良いのか……。

 もし、その魔法戦士のお姉さんに会うことが出来れば、何か教えてもらえないかな。

 王都までの道のりには大体7日ぐらいかかるのですが、私がさくさく魔物を狩ってしまうので5日ぐらいで着きそうです。

 しかし、ギムさんはお酒しか飲んでないですよ。

 ちょっと戦っている所とか見てみたいのですが……。


「若い者に譲るから頼むな。それとつまみになる魔物を出来たら狩って来て欲しい」


 などと注文までも頂きましたよ!

 しかも、倒す魔物まで指定してきますが……良いんですけど、私は心の中でこういう大人にだけはなりたくないと思いました……成長しないけどね!

 特に問題も無く、みんなが眠ったら、ギムさんに一言告げて魔物を狩りまくっていたのですが4日目にめんどくさい人達に遭遇しましたよ。




「小娘! この間は、よく僕に恥を欠かせてくれたな!」


 確かギルドを出た時に訳の分からないことを言って来た変態のそこそこ美形の人ですね。


「えっーと、私の剣を持って突然倒れた人ですよね? あと、お漏らしをしながら気絶したお姉さんもいますね」


「その剣のお蔭で僕は、悪意のある騎士として街の笑い者になったんだぞ!」


「私もお漏らし痴女とか言われてもう歩けないわよ!」


 まじですか……そんなことになっているのでしたら、面白い話が聞けたのでもう少し街を探索すれば良かったです。


「そんな事を言われても、私は言われた通りに剣を渡しただけなので、絡まれた被害者だと思うのですが?」


「うるさい! だまれ! こうなったら、お前は僕の奴隷として犬のように躾て街で散歩でもさせて、僕が正しいことを証明してやる!」


 ……この人の頭の中の構造はどうなっているのでしょうか?

 そこそこ出来そうですが人格がいかれてますね。

 ここは、しっかりと教えておかないとダメですね。


「では、私も本気で抵抗させてもらいますよ?」


「ふん! 勝てる気でいるつもりか? ちょっと調べたら中々手練れのようだがこの人数に勝てるのか?」


 これは……今まで近くに魔物か何かといると思っていましたら、随分と私に視線が集中してきましたね。

 20人ぐらいの気配がします……変態の後ろから現れた5人も30レベルから40弱の人達ですね。

 どうやって、気配を消していたのかちょっと知りたいですね?

 周りの気配の人達も同じぐらいの感じがします。まずいですね……私は色々と技能はありますがレベルは負けてますし、これだけの人数はちょっと相手にするのは無理です。

 この容姿で相手が初見で侮ってくれるから、優位に勝てていたと思ってますからね。

 最初から、私を侮らずに本気で来ている相手にどこまで通用するかです。

 配置的に逃がすつもりは無さそうです……困りましたね。


「気が付いて、焦っているみたいだが絶対に逃がさんぞ!」


「ちょっと、小娘1人にここまで必要なのですか? 大の大人が恥ずかしいと思いませんか?」


「僕はどんな相手でも、全力で戦う主義なんだよ。ましてや、この僕に恥を欠かせてくれたお前には、絶望感もしっかりと与えて僕に歯向かうことが出来ないように躾ないといけないからな」


「全力って、人数を集めて襲うことがですか?」


「ここに居るのは僕の恋人達と奴隷だから、僕の力と言ってもおかしくはない」


 自分の実力ではなく、人数で力を誇っていますが、こんな人に従う人達も何か言ってやってくださいよ。

 私だったら、森にでも籠って自分のレベルを上げますけどね。


「人を襲うことに何も感じないのですか?」


「何を言っているのか分からないが、何事も勝てば正義なんだよ!」


「それ、本気で言っているのですか? 呆れてきますね……」


 ダメです。

 この人は話が通じないようです。

 私も変な所で感情が欠落していますが、あちらさんはどうも頭が壊れているようです。


「素直に従えば、誓約魔術で僕の奴隷にするだけで、痛い思いはしなくても済むぞ?」


 誓約魔術を行使すれば、奴隷などにする事が出来るのですか……嫌な魔術ですね。

 すると私に興味がなさそうな人は、多分ですが奴隷なのかも知れませんね。

 そうなると個人で複数の奴隷も所有できるのですか……私のような小娘を奴隷にしたいみたいですが、私以外は大人の女性しか見当たりませんから、何故私を奴隷にしょうとするのでしょうね?


「ちなみに素直に奴隷になったとして、私は先ほどのこと以外にどうなるのですか?」


「よく見れば、見てくれは中々良いな。僕が飽きるまではしっかりと体に教育もしてやるから、中々良いご主人様だろ? 壊れなければ5年もすればそこそこいい女になりそうだしな」


「……」


 最低ですね。

 か弱い美少女の私を弄ぶと言ってますよ。

 しかも、数年後の未来まで確定しているみたいですが、私は成長が出来ませんよ?

 確か先ほど、犬のようにとか言ってましたが、首輪でも付けて町中を引き回されそうですね。

 まだ、あちらは私が剣士と思っているので、最初の不意打ちが肝心ですね。

 しかも、ある程度足止めも多数に出来るのが理想的です。

 私の心に殺してしまえと語り掛けてくる気がするのですが、魔物ではないので、なるべくなら死者を出さずにここから脱出するのが理想的です。


「さあ、諦めて犬らしく、身に着けている物を全て捨てて、服従のポーズをするんだ!」


 だんだんと考えている内容と台詞も下品になってきましたよ……そんなことするわけがないでしょうに!

 ここは、先手を取って絶対に逃げ切って見せますよ。


「我、求めるは冷気の誘い、あまねく大気よ時を止めよ、『アイス・ストーム!』」


「なに! 剣士じゃないのか!」


 私を中心に発動させましたら、何人かは体の一部が凍っていて動けないみたいなので、成功しました!

 お試しの時より少し省略しましたが、恥ずかしい前置きを言った甲斐がありましたよ。

 何人かはレジストされましたが、離れている人でも魔法に抵抗が無い人は手足の一部だけでも凍ってます。


「こいつ魔法も使えるのか! しかも何だこの威力は!」


 あの変態は後ろの魔術師が結界を張ったようなので、無傷みたいです。

 正面にいたのですから、氷漬けになってしまえば良かったのに残念です。

 あちらにも中々反応の良い魔術師がいるようです。

 そんなことを考えていると、一斉に魔法と矢が飛んでくるでは無いですか!

 捕獲するとか言っていたのに完全に殺すつもりで来てますよ!


「我を守る盾よ 顕現せよ 『トライアングル・シールド!』」


 咄嗟に初めて使いましたが、私を囲む三角錐の結界が発動してくれたお蔭で全て耐えれるようです。

 地味にマナが減った気がするうえに10秒くらいで消えてしまいました、が中々便利な魔法です。

 よくわかりませんが頭にこれを唱えろと言われた感じがするので、疑問は残りますが助かりましたよ。


「まさか、矢も魔法も打ち消すなんて、あり得ない!」


 驚いてる内にもう拘束系の魔法を使って。


「我 願うは大地の戒め 『アース・バインド!』」


 うまい具合に何人かが地面に足を取られて固定されています、これなら全力で逃げ切れば行けます!

 抜けると思った時に何かが右足の腿に突き刺さってます。


「残念ねー。お嬢ちゃんは中々凄い魔術師だったようだけど、油断したわね」


 声のした方を見ると



 名称:ミランダ


 種族:ハーフ・エルフ


 年齢:80


 職業:スナイパー


 レベル:51


 技能:上級弓術 初級精霊魔術 中級魔術耐性 中級誓約魔術 気配感知 危険感知 気配遮断 読心術


 固有能力:天眼



 読心術とかあるのですが、もしかして私の心が読まれていたのでしょうか?

 相手の心が読めるなんてずるい技能ですね。

 しかも、この人は強いです。

 何で、こんな変態といるのか不思議です。

 そんなことより仕方ないので、攻撃しますが。


「我願う、数多の敵を撃て 『フレイム・ランス!』」


「セリス、防御を」


「ホーリー・ウォール!」


 ちょっと、詠唱で少しだけ増幅した私の複数の炎の槍が全て弾かれましたよ!

 気が付けば、さらに矢が両腕に刺さってるし、痛みで集中がしにくいです。

 剣を抜こうとしたら、手の甲に矢が刺さってますので、邪魔で持ちにくいです。

 まずいです!

 何か行動をしょうとすると正確に矢が飛んで来ます。

 あの天眼とかいう固有能力と読心術で私の行動がばればれと思いますが、ちょっと精密に当てすぎですよ!

 更に鎖のような物で手足が拘束されていくし、魔法を使おうとすると追加で矢を当てて来るし……急所は外されていますが、普通はこんなに矢で撃たれまくったら、死んでしまうのではないでしょうか……これはちょっとダメかな?


「これは、ちょっと動けないかな?」


「しかし、お嬢ちゃんはこれだけされてるのに悲鳴の一つも上げないとは大したものだよ」


「いえいえ、すごく痛いですよ?」


「お嬢ちゃんは、これだけ攻撃を受けているのに魔法を使おうとするから、妨害のつもりで急所は外したけど」


「こんなにズタボロにされるのは久しぶりですよ」


「やっと諦めてくれたので、良かったよ。これ以上は殺してしまいそうだったからね」


「やっぱり、私の行動を読心術で、読んでいたのですね。狙ってくる所が正確過ぎますから」


「この状況でそんな軽口が言えるなんて、痛みに耐性でもあるのかな?」


「有りませんので、ぜひ欲しいとは思っていますが良かったら、矢を抜いて欲しいのです。痛くて集中が出来なくて困ってますよ?」


「お嬢ちゃんは、鑑定もあるみたいだし出来れば殺したくないわ」


「ミランダ、でかしたぞ! どうだ、素直になる気になっただろ?」


「アース・バレット!」


 アホですか?

 これで素直になる訳が無いですよ。

 のこのこと正面に来たので、石の礫を腕に貫通させてあげましたよ。


「ぎゃあ――――このクソガキが!」


 思いっきり無事な方の腕で何度も殴られました。

 女の子の顔を殴るなんて最低ですね。

 口の中が血の味でいっぱいなんですが自分の血なのですが余り美味しく無いですね。


「おい! ウスノロ! さっさと僕を治せ!」


「はい……ご主人様」


 先ほど私の魔法を防いだ方ですが彼女の服装をみるとボロを纏っています。

 他の方と扱いが違いますねので、奴隷なのでしょうね。

 正直、この人が居なかったらこのアホに最初の魔法も通じていましたので、一番優秀だったと思います。

 しかし、久しぶりにこんなになるとは、やっぱりレベルは上げておかないといけませんね。

 魔物は警戒していましたが、まさか人に襲われるとは思ってもみなかったですよ。


「おい、誰か魔封じの首輪を持ってこい」


 そんな物があるのですか……そして、直ぐに着けられると確かに魔術が使いにくいですね。

 ちょっと、倍の力を使えば使えそうですがマナ切れになるのはまずいですからね。

 この状況なら、動けなくても不審に思われませんが、マナが無いと動けなくなるのが知られたら、更に厄介な事になりますからね。


「これで、やっと話が出来るな」


「貴方は、何もせずに動けなくなった私を殴っていただけでは、ありませんか?」


「まったく口の減らん小娘だな、どうだ素直に僕に従う気になったか?」


 ……ちょっと、どうしてここまでされて素直に従う気になると思ったのでしょうか?

 この人は確実にアホです。


「貴方の頭の中って、おめでたいですね」


 はい、さらに殴られまくりです……可愛い美少女がボコボコの血まみれですよ。

 魔術で治療が出来ると思って、手加減無しで殴りまくっていますね。

 なまじに魔術で治療できるのも考え物だと私は思います。

 私の場合は、自然治癒してしまうのですが、あまり殴られ過ぎると回復にマナが最優先で消費されてしまうので、困るんですよね……意識して、治癒を遅らせる事も出来るのですが代わりに同じ激痛が継続されるとゆう不便な体なんですよね。


「もういい、ミランダ。こいつに一番強力な枷をかけて僕の奴隷にするんだ」


「この子、中々将来性があるんだけど、どうしょうかな」


「えっと、ミランダさんでしたっけ? どうしてこんな変態といるんですか?」


 今度は蹴りが追加されましたよ。

 女の子のお腹を思いっきり蹴るとか最低ですね。

 矢が刺さっているままですから、更に痛みが増すのですが……ちょっと抜いて欲しいのですが抜いた所から治癒してしまうのも不自然なので困りましたね。


「誰が変態だ! このクソガキが!」


「ちょっと、止めなよ死んでしまうじゃない!」


「済みません、頭のイカレタ変態の間違いでした訂正しますね」


「こいつは!」


「止めなと言っているでしょ! ハインツは、まあちょっと……かなり問題は有るけど、夜は最高なのよねーだから、彼以上の人が見つからないとね」


 はぁ……中々の冒険者のようですが、こんなのに惚れているのでしょうか?

 何が最高なのかよくわかりませんが人を見る目がありませんね。


「それだけの強さがあるのに残念な人ですね」


「おい、早くしろよ!」


「3日は、私の独占で手を打つわ」


「分かったから、早くしろよ!」


 問答をしてる間に食らえ!


「ソニック・ブレイド!」


 変態の首を狙ったのに逸れて左手が落ちました。

 痛すぎて、狙いがずれたみたいです。

 せっかく少ないマナで攻撃したのに残念です。


「ギャ――――! 僕の腕が――――! このガキが! もう許さん、死ね!」


 変態の剣が私の胸に刺さったみたいです。

 めっちゃ痛いのと意識が遠のいて行きます。

 私の心臓の辺りを貫いていますので、体が死を認識してしまったようです。

 不死身なのに、人間が死ぬような攻撃を受けると私の意識が無くなってしまうのですよね。


「ちょっと、ハインツ!」


「ウスノロが早く僕の腕を繋ぐんだ! そして、最高の回復魔法をかけるんだ! クソが!」


「……いま繋ぎますので、少し我慢して下さい……」


「ちっ! 仕方ない、ムカつくから、代わりに公爵の娘を手に入れるか」


「何を言っているの? 公爵の娘に何かしたら、もうあの町には居られないわよ?」


「丁度あの町には飽きていたから、そのまま王都にでも行くぞ」


「護衛にあのドワーフがまだ居るけど、私は手伝わないわよ? ああ見えて、彼は街でもかなりの実力者だしね」


「こっちは、人数は居るんだ、いくら強くても1人では無理があるから、問題無い」


「流石に貴族に睨まれるのは御免なので、傍観させてもらうからね」


「勝手にしろ……とにかく代わりにあの娘でも手に入れないと気が収まらん!」


 なんてことでしょう……この後にエルナ達を襲うと言っていますが……私は恐らく泉で復活するかも知れませんがその場合、絶対に間に合いません。

 余計なことを考えずに最初から、殺すつもりで戦えば少しは結果が違っていたのに……悔やまれます。

 もう意識が保っていられません……。

 ギムさんエルナ……みんなごめんなさいね……私のせいでみんなに迷惑が……。




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― 新着の感想 ―
[一言] 何故私を奴隷にしょうとするのでしょうね? ですがしょう→しようだと思いました
[一言] この回ですが前半辺りは黒竜となっていたり黒龍となっていたりですが後半で黒龍となっていることがおおいのでどちらかに統一した方がいいかなって思いました。m(._.)m
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