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生まれ変わったのですよね?  作者: セリカ
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84 古城に行きましょう


 朝食を終えてから、工房でシズクを待っていると、何故かセリスも一緒にいるのですが?

 

「お出かけになるとの事なので、私も付いて行こうと思うのですが、宜しいでしょうか?」


「シズク、2人で行く予定していましたが、セリスに話したのですか?」


「そっ、その……昨日は、セリスお姉ちゃんと一緒にベットで眠ったので、眠る時についお姉様と一緒に探索に行く事を漏らしてしまったのです……」


 昨日は、それでお仕置きされたのに、口が軽い子ですね……。


「シズクがあんまり楽しそうにしているので、何気なく聞いてみたら、口を滑らしたので、シノア様の従者としては、付いて行くのが当然かと思いました」


「ちょっと森の探索をしてくるだけなので、心配はないと思いますよ?」


「シノア様が以前に断念された古城と聞きましたので、サポート要員として私がいた方が安全かと思います」


 うん。

 絶対に付いて行く意思が感じられますので、説得は無理だと思います。

 まあ、セリスが居た方が万が一強敵がいても、シズクのサポートを丸投げ出来るので、安全面を考えれば連れて行く方が良いですね。


「わかりました。では、3人で行く事にしますので、誰かに感づかれない内に行きますよ」


 さっさとパーティーに組み込んで転移する事にしました。

 いつまでも話をしていると、時間を持て余したエルナやお小遣いをもらいにステラさんが来ますからね。

 泉に転移しましたが、いつ来てもここは気分の良い所なんですよね。

 女神様の気配はしません。時間がある時は来ているのですが、あれ以来全く会えないのですよね。

 決して、女神様におねだりしたい訳ではなくて、また大人の姿の女神様に抱きしめてもらいたいだけなのです。

 女神様に抱きしめてもらうと、私はすごく安らぐ気持ちになるので、すごく恋しく感じるのです。

 セリスが私の手を握っている時もそんな感じらしいので、同じように私は女神様に触れていると満たされるのでしょうね。


「シノア様、ここはいつ来ても満たされる気分になりますね」


「セリスも同じ気分になっていたのですか?」


「はい、シノア様と触れている時に近い感じがしますので、気持ちが落ち着きます」


「ここは、私の女神様との唯一の接点なので、私の眷属のセリスにも影響があるのでしょうね」


「ここにお姉様の女神様がいるのですか?」


「まだ一度しか会えていないのです。たまにここを覗いているらしいので、私は時間がある時に来ているのですが、まったく会えません」


「お姉様の女神様に私も会ってみたいです! 泉の女神様なので、きっと綺麗な人なんでしょうね!」


 大人の姿は確かにそうなのですが、普段はどう見ても幼女なので、シズクの友達と言っても間違ってないと思います。


「シノア様の女神様は、この世界の神達とは違って、真の女神様なのですね」


「他の世界の女神様らしいのですが、どうしてこの世界に介入しているのかは分かりません。エレーンさんには何かさせていたようですが、失敗したとか言っていました。私には自由にするように言っていたので、行動に制限が掛かってないのです」


「すると、エレーンお姉さんは何か制限が掛けられているのですね?」


 そこに気付きましたか、中々シズクは鋭いですね。


「エレーンさんは、この世界で最強の存在ですが、戦う事を禁じられているので、相手がエレーンさん自身に攻撃を仕掛けてこない限りは攻撃が出来ない制限があるそうです」


「そうだったのですか……するともし戦争になったら、この国はちょっと危険な状態になるかも知れないですね」


「この国を取り巻く情勢を知っているのですか?」


「オリビアお姉ちゃんから聞きましたので、この国の状況と周辺の国の情勢はある程度は知っています」


「オリビアが話したのですか?」


「色々と防具やアイテムの付与をしてあげる時に聞きました。この国にはランクSSSの人がいるから、共に戦ってくれたら何とかなるかもしれないと言ってました。私もエレーンさんが参加してくれるのでしたら、問題はないと思っていたのです」


 シズクの考えはもっともですが、オリビアに教えてあげるかは別ですからね。


「それで、シノア様はもし戦争が始まったらどうなさるのですか?」


「カミラにも同じ質問をされましたが、セリスはどうしたいのですか?」


「私は、シノア様に従うだけです。もしそのような事態になったら、孤児院の人達を保護してもらえるようにお願いするつもりです」


「先の事なので、どうするか分かりませんが、私は自分が大事に思っている人の為にしか動きません。正直に言いますと、国とか興味がありませんので」


「でしたら、お姉様はこの国の為に戦う事になると思います」


「どうでしょうねー。それよりも古城の方に行きますので。出発しますよ」



 それから、半日ほどかけて古城に着きました。あの頃と変わっていませんね。

 壊れた城門の辺りには骸骨の騎士が徘徊しています。当時は、あいつが強かったので、中に進む事が出来なかったのですよね。


「さて、どのように進むべきか意見を聞きたいのです。今の私なら、いきなり魔法で焼き尽くす事が出来ますが、どう思いますか?」


「お姉様……それでは、探索ではなくて破壊しに来ただけになってしまいますので、ここは順番に魔物を倒しながら進む事を提案いたします」


「私もシズクの意見に賛成致します。むやみに範囲魔法などを使うと、他の魔物を呼んでしまうと思います。それとシズクに聞きたいのですが、なぜパンツを穿いていないのですか? 先ほどから気になっていたのですが?」


「それは……お姉様のお仕置きで、現在下着禁止なので穿けないのです。ここなら、誰もいないので気にせずに戦ってますが……」


「それなら仕方ありません。せめて得意の風魔術でスカートが捲れないようにした方が良いですよ? 貴女は動きが激しいので全て丸出しになっていますからね」


 開き直って、魔物を斬りまくっていましたが、もし誰かに見られたら最悪でしょうね。

 それにしても今それを聞いて来るとはね。


「風魔術を纏う事も禁止されてますから……『エア・アーマー』も使えないのです……やっぱり丸見えとかおかしいですよね……」


「仕方ないので、戦闘の時だけは魔術の風で押さえるのを許可します。使っても良いですよ」


「ありがとうございます! お姉様!」


 誰も居ないとは思いますが、シズクに変な噂が立つのは好ましくありませんからね……私は、もう手遅れなので、いまさら何か増えても気にしませんが……。


「では、倒しながら進む事にします。強敵が出て来た時は、セリスはシズクの守りを最優先でお願いしますね。それでは行きましょうか」


 城門に進むと5体ほど骸骨の騎士がいましたが、今の私達の敵ではないのであっさりと倒せました。ちょっと進むと数体ずついるので、当時の私が例え最初の相手を倒しても進むのは無理でしたでしょうね。

 進むにつれ弓を放って来る者や魔術を使うタイプもいます。あの時は気にしていませんでしたが、こいつらの名前はガーディアンなのですよね?

 カミラが居たら、鑑定が出来るので疑問に思ったかもしれません。ガーディアンとは、守護者を指すのですが、それならば、この城にはこいつらが守護すべき存在が居るのでしょうか?

 番犬のような大型の犬の魔獣もいたのですが、名前に必ずガーディアンが入っているのです。進んで行く内になんか嫌な予感がして来ましたよ。

 日も暮れてきて夜になったので、一旦魔物が少ない地点にマーキングして、泉に転移して戻りました。

 私とセリスだけならそのまま進むのですが、シズクは、回復力は異常でも睡眠は必要ですから、休ませないといけませんからね。

 テーブルだけ作って、食事をしてから、軽くお茶しています。もうちょっとしたら、お風呂でも作ろうかな。


「お姉様、あそこの魔物は同じ魔物なのですが、進むにつれて少しずつ強くなっていますね?」


「そうですね。最初の城門に居たのはレベル30ぐらいでしたが、最後に遭遇した相手はレベル50でしたからね」


「やっぱりそうでしたか。動きと耐久力が良くなって来ましたから。今の所は問題有りませんが、どこまで強くなるかです」


「まあ、調査依頼なので、危なくなったら撤退します。無理はしないようにしましょう。この城はかつて魔狼王フェリオスの城だったかも知れないらしいので、本人に遭遇したら私達に勝ち目はないと思われます」


「魔王とかゲームみたいで、討伐してみたいのですが、どのくらいの強さなのでしょう?」


「アルちゃんのレベルが本当なら、神や魔王のレベルも同じぐらいか少し下と予想します。何せアルちゃんはエレーンさんと一緒に狩る側でしたからね……」


「お姉様、アルちゃんのレベルはいくつなのですか?」


「見せてくれた能力では、レベル5000の永遠の乙女になってますよ」


「アルちゃんのレベルはそんなにあるのですか!? そうすると魔王のレベルは最低でも4000以上は、ありそうですね……ゲームの基準で考えたら、一撃でこちらが倒されてしまいそうです」


 シズクの言っているゲームの考え方をしたら、始まったらいきなり魔王が現れてゲームオーバーですよ。

 ただ、この世界のレベルは高いからと言って、必ず強者とは限らないのですよね。

 能力次第では、レベルの差は簡単に埋まってしまうので、私は単純にレベル=体力とマナと思っています。

 身体能力も上がりますが、生かせなければ意味が無いですからね。

 今日は、本城の手前まで進めましたから、明日は城内まで入ってみたいですね。

 城内に入れば、私が強力なマナを感知できるので、それで強さを判定すれば良いのです。私が危険と感じたら、そこで終了です。

 考えていても仕方ないので、久しぶりに即席のお風呂を作って、ゆったりしています。外壁を作らなかったので、2人が躊躇していました。この泉には私と関わりがある者以外は近づく事も出来ない事を教えると、やっと入りました。自然の中だから開放的になるので、気分が良いと思うのですけどね?

 そんな事を言ったら、みだりに素肌を晒すのはいけないとか、羞恥心が……とか色々言われました。エルナが居ないから、私はそんなものは知りません!


 

 翌朝、シズクが起きるのを待ってから出発しました。お屋敷に戻らなくて良かったのかと聞かれましたが、夜に戻らなかった時点で追及が確定しているので、調査が終わるまでは戻りません。

 エルナは適当に言い訳すれば、見逃してくれるのですが、カミラは小言が長いですからね……。

 適当にはいはい言っていると、今度は泣きだしてしまうので、私がすごく罪悪感に駆られてしまって謝るしかないのですよ。

 最初の頃のからかいがいのあるカミラはどこに行ってしまったのやら……。

 転移してから、本城の前にいた番犬らしき魔獣を倒して中に入ると、意外と静かです。

 てっきり沢山の魔物が徘徊でもしていると思ったのに、拍子抜けです。

 ですが、1つだけわかるのは、大きな力が感じられることです。

 方角的にお城の最上階に何かいる事だけは間違いないようです。

 警戒しながら進んで行くと、メイドさんがいますよ?

 何故か箒で通路を掃いています。ゴミなどは落ちていないので、そこはモップなのでは?

 と、聞いてみたいのですが、怪しいと思いつつ近づくと何か語り掛けて来ましたよ?


「大変です……大きなゴミが紛れ込んでいます……掃除しなければ……」


 もしかして、ゴミって私達の事ですか?

 私が違いますと反論をしょうとしたら、一番近くにいた私の体に何か巻き付いて来ましたよ!

 気付いた時には、体を拘束されて引き寄せられています。メイドさんの姿が魔物になっています!

 見た目は大人しい感じのお姉さんなのですが、下半身が蜘蛛のように巨大化しています!

 掴まれると首に何か刺して来ました。何か入ってきているみたいですが、一瞬嫌な気分になったので、多分毒ですよね?

 私には毒などは効かないので問題無いのですが、シズクだったら危険でしたね。

 ただ、糸で完全に縛り上げられている状態なので、まったく動けません!

 細い糸で何重にも縛られているとはいえ、簡単に引きちぎれると思ったら、これめちゃくちゃ丈夫です。

 私のレベルで解けないとは、この蜘蛛のメイドさんのレベルって、いくつか見て見ると……。

 



 名称:ゾア


 種族:アラクネ


 レベル:172


 技能:中級体術 中級闇魔術 初級魔術完全無効 糸操作 再生 硬化 毒精製 擬態 気配遮断


 固有能力:眷属召喚



 えっ!?

 いきなりレベルが私達に匹敵しますよ!

 しかも、名前もある魔物とか、ドラゴンのおっちゃん以来ですよ。


「お姉様、今お助けします!」


 糸を結界の様に張り巡らしているので簡単に近づけないようです。こいつの毒にやられたら、ちょっとまずいと思います。


「シズク、不用意に近づくと何か毒攻撃をしてくるので、気を付けて下さい」


「あれ……どうして喋れるのかな……あの毒を打たれたら全身が麻痺するはずなんだけど……」


「もしかして、会話が出来るのですか? そちらさえ宜しければ、戦う気は無いので、出来たら、解放して欲しいのですが?」


「久しぶりにここまで来たご飯だから……この通路に縛られているから……全てきちんと保管して食べたいので無理です……」


 口調は大人しいのですが、私達は餌が確定のようです。

 この通路から動けないとか言ってますので、召喚でもされて、ダンジョンのボスみたいにされているのかも知れません。


「多分ですが、私は美味しくないと思うけどね」


「大丈夫……好き嫌いは無いので……最初に血を全て吸ってから……ゆっくりと食べるから……」


 このメイドさんの飲み物は、どうも血のようです。あんまり美味しくないと思うのですが?

 それに私の血を吸い尽くすのは無理だと思うのですけどね……マナが自然回復しない状況じゃないと、勝手に回復していきますからね。

 逆にこれで私のマナが勝手に減っていくから、大きい怪我をすると回復が追いつかないのが欠点なのですよね。

 シズクが頑張って近づこうとしていますが、段々と糸が巣を作るように展開していくので、これちょっとまずいですね。

 仕方ありませんね……この状況だと私は悲惨な目に遭うのですが、このままだと2人が拘束されるのが確定していますので、怪我を耐える覚悟でなんとかしましょう。


「2人とも下がって距離を取って下さい!」


「この餌は……うるさいな……毒をもっと注げば黙るのかな……」


 ちょっとピリッとするだけなのですが、体に何かを注入される感覚はあまり気分が良くないので、もう止めて欲しいから、追加される前に何とかしましょう。

 (お姉様、どうしてですか?)

 (巻き込まれるからですよ)

 (まさか……)


「我は呼ぶ 灼熱の炎よ 我が敵を包め フレイム・ストーム!」


 私と相手との間を中心にマナを籠めて発動させました。糸だから焼き切れると思って使いましたが、焼切れてるけど私も燃えてます!

 めちゃくちゃ熱いのです。これが火炙り体験かと思いますが、まさか自分で自分を焼くとは思ってもみませんでした!

 以前に幼虫の魔物の粘液を焼いて落とした事がありますが、今回は全身なので、最悪です!

 水魔術のクリエイト・ウォーターを気休め程度に自分に掛けながら、体の治癒に多くのマナを回していますので、早く治りました。全身に火が付くとか身をもって知る事になりましたが、二度と体験したくないと誓いました。

 今回は着ていた服が手頃なの物だったので、最早衣服としての機能が無くなった、ぼろきれ状態です。

 あっちも燃えていますが結界状になった糸も穴だらけになったので、一旦2人の所に戻りました。


「お帰りなさい……お姉様……自分と一緒に相手も燃やすなんて、不死身とはいえ勇気がありますね……」


「ネタでステラさんを火炙りにしょうとしましたが、これは最悪ですね……流石にこのお仕置きは止めておきましょう」


「恐ろしいお仕置きを考えていたのですね……私は、一度で良いので、お姉様の考えている事を覗いてみたいです」


 可能だったら、見せてあげますよ?

 見られて困るような事もないし、私のプライベートなんて、無いようなものですからね。


「シノア様、お召し物が大変な事になっていますので、着替えますか?」


 え!?

 いま着替えるのですか?

 本人は、しごく真面目に言ってくれるのですが……時々、セリスの考えている事が理解出来ないです。


「まだ倒していないので、後で着替えます。『クリムゾン・フレア』を使えば倒せたかも知れませんが、私も焼死してしまいます。マナを籠めた『フレイム・ストーム』にしましたが、糸だけは焼き切れたので良かったです。切れなかったら、熱い思いをしただけになっていましたよ」


「しかし……もう衣服としての機能をしていないので……」


「じゃ、これで良いですね?」


 首のチョーカーに触れてマナを籠めると、ダンジョンのいつもの服装に入れ替わります。他の服もこの機能が欲しいですね。

 本来なら、キーとなる言葉を言わないと発動しないのですが、念話の要領でチョーカーに語り掛けると発動する事に気付いたのです。

 シズクが悔しそうに失敗品とか言ってましたが、毎回あの台詞を言わなくて済むので、素晴らしい事です。


「最初からそれを着ていれば、火傷しなくて済んだのではないでしょうか?」


 この魔法少女の服の魔法防御力がすごく高いのは知っていますが……。


「台詞はなんとかなったのですが、手で触れていないと発動しないので、す巻きの状態では触れなかったのですよ……」


「お姉様が常に着ていれば問題無いのですよ! お姉様の為に私の全てを出し切った最高傑作なのに、戦闘前にしか着てくれないし、せっかく考えた台詞も念話でいんちきするから、私は悲しいです!」


「いや……アルちゃんの能力のおかしい服に近いんだけど……これサテラのエロドレスに匹敵するから、改造水着で戦っている気分になるので……」


「それは魔法少女のコスチュームなのですから、それが普通なのです! ヒロインが恥ずかしがっていたらお話になりません!」


 それは、漫画やアニメの設定なだけで、実際にこんな姿に変身して戦うとか、羞恥プレイ以外無いかと思います。

 私にシズクの知識が無ければ受け入れられたのですが、あちらの常識を知ってしまった以上は、気になって仕方がないのですよね。

 お馬鹿な話をしている間に向こうの火が消えて、焼け爛れた部分が再生していきます。残っていた上半身のメイド服が無くなったので、上だけ見たら痴女ですが、魔物の癖に胸がけしからん大きさに……。

 

「おのれ……まさか自分ごと攻撃するなんて……こんなに生きが良いと無傷は無理なので餌が欠けるけど仕方ないね……」


 どうも無傷で捕まえて、大事に食べるつもりだったみたいです。食べられる経験は昔に森で体験しましたので、もう結構です。

 あの頃は、死なないと手足から食べられたりもしてましたから、痛い以前にかなりの恐怖でした。戦闘不能になって動けなくなったら、早く殺して欲しいといつも思っていましたよ。

 あの経験があるから、体を食べられたり、拘束されて多少の拷問ぐらいでしたら、私は痛いけどへっちゃらです。


「おいで……我が眷属達よ……」


 そんな事を言うと床に魔法陣が現れて、私よりちょっと小さいぐらいの蜘蛛の魔物がわらわらと出てきましたよ!

 

「お姉様、この狭い通路が蜘蛛で溢れてきました。これを倒してあの蜘蛛女の所に行くのは、手間が掛かりそうです!」


「ちょっと多いので、私の魔法で焼き払った方が早そうですね。セリスがとても嫌そうな顔をしていますから、早く始末しないとね!」


「大丈夫ですシノア様。ちょっと気分が優れませんが、戦闘に支障はありません」


 だけどセリス顔が非常に嫌そうです。

 流れてくる感情がもの凄く嫌だと言ってます。

 幼虫を体内に仕込まれた経験があると言っていましたから。蜘蛛で調教とかどうやってやるのか知りませんが、普通の蜘蛛が体内を徘徊とかしたら、かなり気持ち悪そうですね。

 まあ、こんな狭い通路に密集してるから、範囲魔法で一撃ですよ。


「私が焼き払って、まだあの元メイドさんが生きていたら、シズクに任せますからね」


「お任せ下さい、お姉様!」


「では、試したい魔法で」


「この状況で、魔法のテストをするのですか?」


 珍しくセリスが疑問形で聞いて来ます。本人としては最大火力で全て焼き払って欲しいのでしょうね。


「詠唱も足して、マナも籠めるから多分かなりの威力になりますので、大丈夫ですよ」


「勿論、シノア様を信じていますが……一直線の通路なのですから、詠唱付きの『イグニス・フレア』などで、全て消し炭にして欲しいと思っただけです」


 なんと、セリスの口から消し炭なんて単語が出てくるとは。余程早く視界から消したいのでしょうね。

 それでは、シズクが残ったら処理すると信じて、残りのマナを全てつぎ込んでしまいましょう!


「我は求める煉獄の炎よ 数多の力となりて 我が敵を焼き尽くせ クリムゾン・スフィア!」


 私の言葉と共に複数の黒い炎の球体があちらに現れると膨れ上がって触れた魔物を片っ端から焼き殺すというよりも消滅させています。

 この魔法は、『クリムゾン・フレア』が指定範囲に巨大な炎を召喚するのに対して、同じ炎だけど規模を縮小した炎の球体を広範囲にいくつか発生させる魔法のようですね。

 見た感じは、一点集中か広範囲にばら撒くかの違いみたいです。この魔法を大軍に使ったら、嫌な魔法ですね。

 いまの魔法でかなり焼き尽くした所にシズクが例の必殺技の構えをしていますよ。


「最終奥義! 絶剣!」


 メイドさんまでの道が開いたら、素早く居合の間合いまで詰めて相手の首を刎ねましたが私の記憶が正しければ、以前は確か秘奥義とか言っていた様な?

 毎度の事ながら、まったく刀が見えないのですが実は抜いたフリをして、風魔術で首を刎ねたのではないかと思うぐらいですね。

 ちなみに私はマナの使い過ぎで倒れ込んでいますけどね!


「なに……景色が回る……体が動かない……あれ……」


 首を刎ねられた事に気付かずにそのまま死んでしまったようです。体だけになって襲って来るかと思ったら、無理みたいですね。

 以前に首が無くなっても襲って来る魔物がいたので、レベルが高いので警戒していましたが、大丈夫なようです。

 私は倒れたままでしたが、セリスとシズクが残った蜘蛛を倒して一息つきました。この後の魔物は更にレベルが上がるのでしたら、内容によっては撤退しないと危険かもしれません……セリスの気持ちは分るのですが、せめてマナポーションを飲ませて欲しかったです……私だけぶっ倒れているのって、ちょっと切ないです。



 それから、一定の間隔毎に同じようなメイドさんが居たのです。鑑定すると同じ蜘蛛の魔物だったので、変化する前にシズクが斬り殺すか、私が魔法で即死させるなどして、順調に進んでいます。

 例え気付かれて変化して襲ってきても、近づく前になるべく魔法で撃退するのです。また拘束されては堪らないので、シズクと2人で『エアリアル・ニードル』で滅多刺しとかもしました。

 建物の中の通路で、『クリムゾン・フレア』を使ったら、通路が消滅するから、道を作らなければいけないし……『アース・ミーティア・ランス』を使っても通路も串刺しになるので、道が通りにくくなる欠点が……。

 何体か倒していく内に、私が『ライトニング・パラライズ』で麻痺させている内にシズクが倒すのが最も楽な方法でした。

 お試しで使った『ライトニング・ジャベリン』という雷の槍を投げるのは速度が速く、そこそこ威力が有って良いのですが、半端に当たると変身して、面倒な事になるので止めました。あの雷の槍は私がちょっと気に入ったので、バンバン撃ちたいのに残念です。

 実はあの蜘蛛女は体術もかなり強くて、一度あの手刀にこの防御力の高い服をまさかの貫通されました。久しぶりにお腹に穴が空いてすごく痛かったです……。

 パワーも見た目より強力だし、下半身があんなに大きくなったのに速度が速いんですよね……足の数は伊達ではありませんでした。

 それとこの城の部屋に入ると魔物が全くいないのです。通路にいる魔物だけ注意すれば良いので楽なのですが、不思議ですよね?

 まあ、お蔭で転移のマーキングがしやすいです。

 もっとも、私とセリスには休息とか睡眠が不要なので、シズクを休ませる為に戻っているだけになりますね。



 そんなこんなで、古城の最上階の手前まで来たのです。特に門番らしき魔物がいないのですが、大きな気配だけはします。この扉の向こうに絶対に何かいると思いますが、それがこの古城の主なのかな?

 少しだけ開けて中を見ると……なんかでかい蠍のような魔物がいますよ。

 鑑定をしょうとしたら、レベル以外は不明と出ますよ?

 今までは、魔物でこんな事はなかったので、驚きました。ちなみにレベルは250もあります。

 詳細がわからない魔物と戦うのはいささか不安ですが、どうしましょうね?



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