62 神殿地下2
「シノアにとても似合っていて可愛いですよ!」
「私の想像通りにお姉様によく似合っています! 頑張って作った甲斐がありました!」
「はぁ……そうなのですか……でも、これはメイド服なのですよね?」
「私の好きな格闘ゲームのキャラコスプレなのですが、ポニーテールにした事でそっくりになりました! 髪の色と丁度武器も同じですから、私は感動しています!」
格闘ゲームとは何ですか?
ふむふむ……向こうの娯楽の人物ですか……キャラ設定とかいうのが、銀髪の悪魔とか終わりの使者とか、どう見ても悪役の設定では……。
「ちなみに聞きたいのですが、これ敵キャラの設定ですよね?」
「はい、ラストに出て来るボスキャラで、アニメだと、その前にお姉さんがいて、倒すと覚醒して魔王になって、主人公達を殺して世界を滅ぼすエンディングになっています」
えっ!?
物語の最後が主役を殺して世界が滅亡して終わりとか、そんな話で良いのですか?
「それは、俗にいうバッドエンドではないのでしょうか?」
「通常の設定では、救済の名のもとに人類の首を刎ねて殺しまくる魂の回収者なので、最後に刈り取った魂を使って世界を作り直すのです。主人公が勝利すると、残った滅亡寸前の世界を生き抜くエンディングになってしまいますので、ネットでも意見がかなり分かれていました。回避するには、お姉さんを味方にするしかないのですが、絶対に死んでしまうルートしか無いのです」
うーん……やっている事はただの大量殺戮者なのですが、最後には神様扱いと。主人公達が勝利すると、滅亡寸前の世界を残った人類で生きるのもかなりきついのでは……まあ、そんな事よりも今は、目の前の相手を何とかしないとね。
「それは、後で聞きますので、エルナはまた挑戦するのでしたら、いってらっしゃーい」
「つい見とれてしまいました。行ってきますね。少しづつですが、何となく戦い易くなって来ましたよ」
そう言って次の相手と戦っています。最初に比べると安心できる戦いをしています。
「中々感じの良いメイド服ですね。シズクちゃん、帰ったら私にも作って下さい」
「サテラお姉ちゃんは、お姉様と背格好も同じなので、帰ったら直ぐに作りますね!」
「ありがとうねー、いまの時代の服装も悪くありませんが、シズクちゃんの作る服は斬新な物が多いので、楽しいですね! あの頃は、地味な物しかないから、たまに異世界人が迷い込んで来ないと変化が乏しかったのですよね」
永遠の乙女とか言いながら、昔を思い出しています。これに突っ込むと、私が理不尽な攻撃をされてしまうのですよね……私の記憶が正しければ、4000年弱前から何年眠っていたか忘れましたが、普通に400歳ぐらいなのですから、大おばぁちゃんと呼んでみたいです。
エルナの方を見ていると、剣の威力を上げる技能で段々と早く倒しています。どうも相手の攻撃の癖のような物がわかってきたらしく、防御を捨てて初めから力押しになって来ました。結局そこに行きつくのね。
残りが10体になるまでエルナに倒させたと思ったら、ここでサテラから中断の声が掛かりました。もう面倒なので、そのままエルナに破壊させてしまえば良いのですよ……間違っても私に残すとか止めて下さい。
「そろそろ、残りはカミラちゃんに相手をしてもらおうと思うのですが、面倒なので残り同時に連れて来ますね」
「待って下さい! 私は、後方支援の弓使いなのですよ! 残りはまだ10体もいるのに近づかれたら、私は終わりです!」
「でも、倒せますよね? この中で、私の次に戦闘に関して強いのは間違いなくカミラちゃんです。シノアちゃんは、魔法が使えなかったら、弱っちいので除外です」
またしても、私が弱っちい発言が来ました!
こんなに頑張っているのに、まだ弱っちい……もう、この言葉を聞くだけで私の心はズタズタにされるぐらいにトラウマになっています!
それにしても、カミラがそんなに強いなんて……仲間が強い事は良いのですが、私って、どうして武術の方面の技能が上がらないのですか?
わかってはいるのですが、もう速度強化をしないとシズクの刀も見えないぐらいに差が開いているのは……。
「ですが……私は……」
「ここにいるメンバーにだけは、実力を知ってもらっておいた方が良いと思って提案しました。それとも私と全力で模擬戦でもしてみますか?」
「わかりました。残りは私が始末させていただきますので、連れて来る必要はありません」
カミラはそのまま収納から、弓を取り出してマナの矢を撃ち出しました。しっかりと魔弾の力を籠めています。
しかも相手に当たる手前で矢が4つに分散して4体を消滅させています。いつの間にあんな攻撃が出来るようになったのでしょうか!
あの弓は、最近になって新しく強化しなおしたカミラの弓なのです。普通の矢も使えますが、マナさえあれば矢が要らないとゆう便利な弓なのですよ。
名称:オクタグラム・ディーヴァ
効果:マナを籠める事で、8つの力を解放可能 思考制御可能
状態:正常 ガーディアン専用
職業にガーディアンと付いていないと、弓の弦がピクリとも引く事が出来ないのですが、事前に弓に付いている宝玉に属性のマナを籠めておけば、その効果が乗った攻撃が出来るという優れものです。
思考制御というのがいまいちわからなかったのです。ある程度自分の意思で命中精度を変える事が出来ると聞いていましたが、あの分散したのもその一つなのでしょうか?
確かカミラに頼まれて、火と雷と闇を2つづつ籠めましたが、いまの消滅というよりは焼き尽くしたのは火の力を使ったのでしょうか?
もしそうだとしたら、半端な魔法よりも恐ろしい攻撃力があるという事になります。
続けて第2射を放ちましたが、これは正面の1体の体に大きな穴を空けて倒してしまいました。近づくまでに半分を倒すとかすごいです。
そのまま弓をしまうと、正面の敵を手刀でコアまで切断してしまいました。カミラが素手でゴーレムの鎧事コアまで切断とか、どうなっているの?
側面からの剣も手の平で受け止めています!
一番後方にいたゴーレムが知らない内に弓兵になって矢を放ったのですが、それも難なく素手で掴んでいます。あんな芸当が出来るなんて、すご過ぎます!
「カミラお姉ちゃんは、いつの間にか武術家に転職していたのですね! 何かの拳法の伝承者みたいです! こんどチャイナドレスを作るので、必ず着てもらいます!」
シズクは違う意味で驚いていますが、また新しい衣装が増えるだけですね。
「カミラがあんなに強いなんて知りませんでした。これからは、私の練習の先生になってもらいたいですね」
カミラに教師とか向かないと思います。
特にエルナが相手では、厳しい事もまず言えないのでダメでしょうね。
よく見ると手の部分にマナを纏わせていますが、あれは『ウィンド・ブレイド』を最小限に維持しているのですね。
攻撃の時だけマナの濃度が上がっていますので、それで相手の鎧も貫けたのですね。
剣を受けている手の平にだけ圧縮した風を作って、それで弾いたり受け流していますが、あれはもしかしてネタと思っていた『エア・アーマー』魔法ですか?
常に翡翠眼を発動させているみたいなので、恐らくマナの流れも見えていると思います。どこで、あんな体術を習ったのか……まさか夢の中でノアに習ったとか?
考えている内にあっさりと全て倒してしまいました。
「どう? カミラちゃんは強かったでしょ?」
「驚きました……ボロボロにされた私と違って、怪我もしていません。サテラとも戦えるのではないかと思えるぐらいに強いですが、どうしてわかったのですか?」
「シノアちゃんの鑑定はまだ完成していないから、表向きの能力しか見えていないと思いますが、私の知らない魔眼を持っているから、きっと早く覚醒すると思います。私には、カミラちゃんの能力が数値化して見る事が出来るのですよ? 鑑定の技能を磨き続ければ、そこまで見る事が出来るのです。カミラちゃんの身体能力の数値が部分的に私に近いくらいあるのに驚きましたので、どのくらい戦えるのか見てみたかったのですよ」
「では、サテラと戦ってもいい勝負が出来るのですか!?」
「体術だけの組手なら、今みたいに魔術で部分強化をすれば私の相手が出来ますが、私と全力で戦うにはまだ色々と足りませんね。特にあの戦い方では、私の槍に触れてしまったら、一方的になってしまうので、先ほど私と戦ってみないかという提案よりもゴーレムの相手を選んだのですよ。彼女はどうも私の事もよく調べているみたいなのです。こないだ付き合って愚痴を聞いてあげましたが、シノアちゃんの中に居るノアという人格には一度会ってみたいですね」
「サテラさん、その辺りにしてもらえないでしょうか? 何でもかんでもシノアに教えてしまうのは、ノアさんに止められているのです」
「仕方ないね。まあ、乙女には秘密があるという事で、ここまでにしましょう。それでいいかな?」
「貴女のせいで、隠しておきたかったのに……鑑定の技能がそこまで見えるなんて、またノアさんに質問したい事が増えてしまいました……」
「でも、カミラは、すごいですよ! これならダンジョンも楽勝で突破出来そうですから、頼もしい限りです!」
「はぁ……言っておきますが、私は今まで通りに後方の支援に徹しますから、前で戦う事はしませんよ?」
「どうしてなのですか!? そんなに強かったら、私はもっと楽になるので、ガンガン敵を倒して下さいよ!」
「はぁ…………それでは、貴女が成長しないので意味がありませんし、後衛でも自衛出来る為と貴女に後悔させない為に私は自分を鍛えているだけです。全ては貴女の為なのですよ?」
えー……私の為でしたら、目の前の敵を全て倒してくれる方が良いと思うのですが……それにしてもノアに鍛えて貰えばこんなに強くなれるのでしたら、私も強化して欲しい所です。
「それでは、カミラはシノアの為に強くなったのですか……これは強力過ぎるライバルが出来てしまいました……まさかカミラがシノアをそこまで愛していたなんて……手間の掛かる問題児扱いをしていると思っていたのに、私の見る目もまだまだですね……」
「あ……エルナ様、私は別に愛してはいませんので、むしろ問題児の方が正しいので、エルナ様の見る目は間違ってはいません」
「どんな理由かは分かりませんが、カミラには負けませんからね?」
「いえ……勝ち負けを気になさるのでしたら、負けで良いので、愛とかは止めて下さい……」
「あっはははー、問題児とか思われていたのですか! 確かに間違ってはいませんが、ご主人様も大変だね!」
戦いではボロボロにされて、カミラの強さを確認したら、私がどんどん変な方向に屈折されていきます……一体、ここに何しに来たのか目的を忘れそうです。
とにかくサテラをなんとかしないと、私の主導権が全て奪われてしまいそうなので、お姉さんのステラさんに期待してますよ……。
早く次の部屋に行って色々とリセットしたいです。
「ところで、次の部屋には強敵がいるかもとか言っていましたが、このまま行っても大丈夫なのですか?」
「エルナちゃんもかなり強化出来たし、防御に徹していれは死なないんじゃないのかな? シノアちゃんは最初から、全力で魔法を使うつもりでいた方が良いと思います。私が先陣を切ります。一緒に倒しても構いませんので、私が危険と判断したら迷ってはいけませんよ?」
「こんな短時間でエルナが強化って……えっ!? どうしてエルナのレベルが108まで上がっているのですか?」
「それは、あの特殊なゴーレムを38体も頑張って倒したからですよ? 自分のレベルだって、上がっているでしょ?」
確かに私も169になっています。もしかして、あのゴーレムを倒すと1体につきレベルが1つ上がるのですか?
いくら何でも美味しすぎるというか、あり得ないでしょ?
「お姉様、きっとあれはゲームに出て来る経験値の塊のはぐれモンスターなのですよ!」
この世界はゲームだったのですか……するとプレイヤーが存在するのですね……直ぐにでも私の設定を最強に変更して下さい!
「あれは、特殊な方法で使徒の力を変換させて作ったゴーレムなのです。本来の使い方と違って、倒されると相手に直接吸収されてしまうので、もう奪ったり出来なくなってしまうのですが、この方法を使えば使徒を越える存在も作り出せます」
「あの力にそんな使い方があったのですか……すると奪って変換してしまえばもう絶対に取られないので、その方が良いのでは?」
「これは、エレーンさんのガーディアンにしか出来ないので、無理でしょう。あの人は、使徒や神達を散々狩りまくったので、力はいっぱい持っていますから、自分の親しき人達の強化に使っていたのです。当然ですが、亡くなってしまえば、同時に失われますので、他の神達には決して真似は出来なかったでしょうね」
これが可能でしたら、私の持っている力をエルナとシズクとキャロにも振ってしまえるのです。今度エレーンさんに相談してみるのも良いですね。
もしくは、何とか私に取り込む事が出来れば、一気に強くなれるので、素晴らしい事だと思うのですが、どうも私が苦労する様に仕組まれているらしいので、多分無理でしょうね……見えているのに使えない力とか意味がありませんよ!
緊張しつつも扉を開けると1人の男性が立っていますが、他には何もありません。
「貴方がこの部屋の主なのですか?」
「ふむ、貴女があの方の言っていた面白い存在ですか……確かに興味の惹かれる存在ですが、少しだけ試してみましょうか?」
誰が言ったのか知りませんが、面白い存在とか酷すぎます!
と……いうか、エレーンさん以外に居ません。私に新たなトラウマでも植え付けたいのでしょうか?
「どうして私の評価は、まともではないのですか! 何者か知りませんが、面白い存在の意地でも見せてあげますよ!」
「シノアちゃん! そいつを全力で吹き飛ばして!」
サテラが何か言っていますが、ちょっとムカついていますので、当然ですが全力で行きますよ!
「我に従え異界の炎よ 紅蓮の炎よ焼き尽くせ 我が前に立ち塞がりし者に等しく滅びを与えん! クリムゾン・フレア!」
おまけでマナも多めに籠めたのですから、何者かは知りませんが消滅してしまえばいいのです!
「ふむ、そのレベルでこの力は面白いですね」
指定範囲に直接発動する魔法なのに、燃え盛る炎の中から声が聞こえるのですが!
「ダメか! なんで、こんな化け物を用意するのですか!」
サテラが、魔法が発動中なのに突っ込んでいきます。巻き込まれてしまいますよ!
距離が縮まると炎の中から、腕が伸びてきて、片手で槍を弾くともう片方の腕がサテラの胸を貫いています!
あの無敵かと思っていたエロドレスの防御力を貫くのですか!
「早く、続けて魔法を叩き込んで、少しでもこいつの抵抗値を削って下さい! トゥール・ハンマー!」
サテラが続けて、至近距離から、頭を吹き飛ばしたのですが一瞬で再生して、サテラの首を掴んで持ち上げています。
「ふむ、中々良い判断ですが貴女は人形のようですから、消しても問題はありませんね」
そう言うとあっさりとサテラが消滅してしまいました。この人は何ですか?
あまりの事で、シズクとカミラも動けないでいます。
「ふむ、お終いですか? 今でしたら、少し消耗しているので、チャンスはありますよ?」
「貴方は何者なのですか?」
「彼は悪魔のようですが、それ以上はわかりません……」
「ふむ、私の正体だけでもわかるとは中々良い目を持っていますね。そのお嬢さんの言う通り気まぐれで声を掛けていただいた名も無き悪魔ですよ?」
確か種族として存在している魔族とは違って、精神生命体と知っていますが、現世に留まるには依代がいると書いてあったと思いますが……。
「恐らくですが、かなりの高位の悪魔と思います。まさか実在しているとは思いませんでした」
私達が話している内にエルナが斬りつけていますが、サテラが瞬殺されたのを見ていなかったのですか!
「よくも私の可愛いサテラちゃんを殺しましたね! 私が絶対に仇を取ります!」
大剣に全力のマナを回していたみたいですが、片手で受け止められています!
「ふむ、中々勇しいお嬢さんですね。ですが貴女は普通の人間のようですから、始めから全力で仕掛けてくるのは正解ですが、相手の力量を見る目も鍛えた方が宜しいかと」
「貴方に届くとは思ってはいませんが、これがいまの私に出来る最大の攻撃なのですよ!」
「ふむ、これは失礼致しました。強い意志を感じる魂の持ち主ですが、貴女はテストの対象外なので、そこで見ていて下さい」
悪魔が指を鳴らすと黒い影がエルナを拘束して、釣り上げています。殺す気は無いみたいで安心しましたが、こんな化け物をどうやって倒せばいいのでしょうか?
「お姉様、如何致しましょう? 正直に言って私には勝てる気がしません……先ほど、サテラお姉ちゃんが頭を吹き飛ばしたのに瞬時に再生するとか、どこにダメージを与えても致命傷にもならないので、私の力が及ぶとは思えません」
セリスは私の指示待ちのようですが、キャロはどうしていいのかわからないのか相手に恐怖しています。
「カミラはどう思いますか?」
「いまの私達では、まず勝てない存在ですが……」
要するにノアなら勝てると言いたそうですね……しかし、相手は私を試すと言っていますので、それでは意味が無いと思われます。
「シズク、相手のかく乱だけに徹してくれますか? 私達3人で可能な限り抵抗して見せますが、それで相手が納得してくれれば恐らく終了するかと思います」
「シノア、本気ですか!?」
「相手はサテラは倒しましたがエルナは殺さずに捕らえているだけなので、私達の正体もわかっているはずですから、これは先ほど彼が言った通りテストなのですよ。ならば、いま私達が全力で挑む事が相手の望む結果になると思います」
「それで納得してくれれば良いのですが……何をしても全滅は確実ですから、シノアの案に従います」
「恐らくですが、魔法で攻撃するよりも武器にマナを乗せて攻撃した方が効果的と思います」
「どうして、そう思うのですか? サテラさんは、少しでもいいから削って欲しいと言っていましたが、私達の最大の魔法を使った方が良いのではないですか? 特に悪魔なのですから、セリスさんの聖魔術は効果的かと思います」
「彼は、私の魔法やサテラの魔法に対してはまったく防御をしませんでしたが、サテラの槍による突撃やエルナの剣だけは、受け身を取っていますので、もしかしたらですが、直接攻撃だけは少しはダメージが与えられると私は思うのです」
それでも私達の攻撃が届くとは思えませんが……学園の実技テストと思って、挑戦するだけです。
「キャロ、魔法を使う事は出来ますか? 無理でしたら、そこで見ていてくれればいいです。きっと貴女は殺される事はありません」
「大丈夫です……とても怖いのですが、私に出来る事でしたら致します。いまの話だと魔法は効かないのではないでしょうか?」
「効果が薄いだけで、効いてはいます。私が合図したら、相手の真下に貴女の最大のイメージを籠めた攻撃をしてくれればいいです。あれなら魔法ですが物理に近い攻撃なので、多少は効くはずです」
「わかりました。いつでも使えるように発動寸前まで高めておきます」
「では、悪魔の先生に採点でもしてもらいますよ!」
私と同時に4人で挑みますが、もう1つ消費の激しい無敵の盾を呼びますよ!
「我、シノアの名において命じる 我に眠る英霊の魂よ顕現せよ! エインヘリアル召喚!」
私の背後に本来の姿のサテラが現れます。やっぱし胸の大きさが私と同じぐらいになっただけですね。
「サテラ、魔法では無く直接攻撃だけで、戦って下さい!」
「あいつのマナが余り減っていませんが、何をしていたのですか!? まあ、さっきのお礼がしたいので、必ず突き殺してやりますよ!」
シズクの攻撃だけは受けても弾くだけに徹していますが、カミラとセリスの攻撃にだけは遠慮がないみたいで、カミラの手刀は受けるとそのまま腕を派手に吹き飛ばしています。
セリスは早々に腕を斬られたカミラの回復に回っているみたいなので、立て直したカミラが連続で攻撃を仕掛けています。スナイパーというよりも完全な武術家ですね。
私の攻撃に対してだけは、初めて手から伸びたマナの剣で直撃だけを防ぐ形を取っています。もしかしたら、この武器ならダメージが通るのかも知れません。
その隙を狙ってサテラが攻撃しています。全てを弾く事は出来ないらしく、突き刺す事には成功しているのですが、直ぐに治ってしまうので、本当に倒せるのか不安になって来ましたよ。
しかもサテラが大きなダメージを受けると、それを補う為に私からどんどんマナを吸い取っているので、隙を見てマナポーションを飲まないと持ちません!
「ふむ、これは中々息の合った攻撃ですね。このままですと、今の私を維持するマナが無くなってしまいそうです」
「だったら、今度はあんたが消滅しなさい!」
「それはまだご遠慮致します。変わった天魔族と思っていましたが、真実は、あの娘は天魔族の力を受け継いでいたのですか……これは確かに面白いですね。もう全て絶えてしまったと思っていたのですが、血だけは残っていたのですね」
「シノアちゃんがいる限りは天魔族は不滅になっただけです! このまま押し切れば最後に勝つのは私達です!」
勝ち誇った事を言っていますが、サテラの消費が激しいので、多分その前に私が倒れてお終いだと思います。
言いたくないのですが、余り攻撃を受けていないように見えるのに何故かサテラが持っていくマナが多いのです。あの攻撃に何かマナの消費が大きい技でも使っているのかもしれません。
「それでは、そろそろ貴女達の駒を減らす事にしますか」
そう言うと真っ先にシズクがエルナと同じように黒い影に拘束されてしまい、セリスも首を刎ねられてしまいました。セリスが死んでしまった場合は、私が直接関渉しないと生き返る事が出来ないので、一気に2人も減ってしまいました!
カミラは無事ですが、サテラに任せて私の横に来ています。セリスが居なくなった事で回復手段が自分の回復では間に合わなくなってしまったようです。
今のセリスなら、吹き飛ばされた部分でも瞬時に回復出来るのですが、カミラでは、時間が掛かるので無理は出来ないみたいですね。
私が直接治せば早いのですが、そんな事を戦闘中に出来るわけがありません。
「シノア、どうしますか? セリスさんがいない以上は私はそれほどのダメージを与える事は出来ません。サテラさんとシノアが攻撃している時に弓で攻撃する方法がありますが、果たして当たるかどうかです……せめて少しの時間で良いので相手の動きを止める事が出来ればやってみる価値はありますが……」
ポーションを飲みながら考えていますが、このままだと次にカミラが倒されて、マナの尽きたサテラが消えて私が倒れるだけの未来が待っています。
ここで勝負に出た方が、まだ望みがありそうですね。
「カミラはここで相手を狙っていてください。私とサテラで何とか動きを止めて見せます。当てれると判断したら、私達に構わず必ず攻撃してください。頼みましたよ!」
「わかりました。私もこの攻撃に全ての力を注ぎますので、これが外れたら、私は戦力外と思って下さい」
「サテラ、何とか私の攻撃が通るように相手を押さえて下さい!」
「何をするか知らないけど、止めれば良いのですね? では、後は任せましたよ!」
「ふむ、私を止めると言われてそのまま捕まる訳がありませんよ?」
「キャロ!」
「アース・グレイヴ!」
突然足元から鉱石の槍が突きだしたのには冷静に躱していますが、サテラがそんな隙を逃すわけはありません。
回避した鉱石の槍にサテラが相手事体当たりして、突きさして止めたので、私がそのまま残りのマナを籠めて肩から斬りつけました。途中で止まってしまいましたが、背後からカミラの放った矢がそのまま被弾して吹き飛びました。これでダメだと私に攻撃する手がもう無いのですから、終わって下さい。
煙が晴れるとサテラは消滅しています。悪魔の方は体が半分吹き飛んでいますが、生きているようです。
辛うじて、武器を手放してカミラの攻撃から逃れました。残念ながら私はいまの攻撃でほとんどマナを使ってしまったので、転がって見ているだけなのです。
カミラもいまの攻撃にマナを使い過ぎたらしく、動けないようなので、これでダメでしたら詰みましたね。
「ふむ……仮初の依代とはいえ、私がここまでされるとは面白いですね」
どうも余裕で喋っているので、まだ再生する力もあると見ましたが、どう来るのでしょうね?
「それで、この場合はどうなるのでしょうか? 残念ながら私はもう喋る事しか出来ない状態なので、ここで貴方に倒されると私は終了です」
「貴女を殺してしまうと、貴女の中にいる存在が現れてしまって、私はあっさりと敗北してしまう事になるのでそんな事はしませんよ?」
「その事まで知っていたのですか。先ほど貴方は試すとかテストなんて言っていましたが、結局はどうしたいのですか?」
「私は、世界に退屈しているただの名も無き悪魔です。あの方がいつか面白い者がここに現れると言っていたので、ずっと待っていたのですよ」
「あの方というのは、エレーンさんの事ですよね?」
「そうです。私達が挑んで唯一敗北した御方です」
「お姉ちゃんは恐ろしく強いですからね。ちょっとちょろいのが欠点ですが、貴方のお蔭でまだまだエレーンさんには届かない事が勉強になりましたよ」
「なんと! 貴女はあの方の妹御でしたか」
「一応、そうらしいのですが、弱っちい妹です」
「ふむ……宜しければ私と契約を結びませんか?」
「契約ですか?」
「そうです。貴女といれば、何となく面白い事があるような気がするのです。現状の力でこの様子ですから、いずれはあの方に匹敵すると見ました。何人かはあの方に付きましたが、貴女に付いた方が退屈しないで済みそうです」
すると、エレーンさんにはこの悪魔が何人も付いているいるという事になりますが、戦力が過剰過ぎるでしょ!
「その契約の内容が知りたいのですが、私に不利というか詰まらない内容でしたら、嫌ですよ?」
「大した事ではありません。私に名前を付けて力を譲渡してくれれば、貴女の配下として絶対の忠誠を捧げます」
えっ!?
こんな強い悪魔が私の配下になるのですか?
名前はともかく、力なんて無いけど?
「それは魅力的な話なのですが、私にあげられる力なんてありませんよ?」
「貴女には余剰レベルが1000ほどあると思いますが?」
「貴方にはこれが見えるのですか? 私にはまったく使えない力なのですが、これで良いのでしたら、あげますよ?」
「それでは、契約成立ですね。私に名前を与えて下されば、その時より貴女の配下となります」
この使えない力で、こんなすごい配下が手に入るとは……名前はどうしょうかな……シズクがさっきから、ムラマサ師匠とか囁いていますが絶対に却下です!
名前を付けて、マッチョなお爺さんになったら、私は違う意味で倒れてしまいますよ!
私としては、ロイさんみたいな執事が欲しいと思っていたので、執事に相応しいような名前が良いですね。
この人は、アルちゃんみたいに恐ろしく強いので、配下と言っていますから……。
「決めました! 貴方の名前はアルカードにします! それでどうですか?」
「ふむ、中々良い響きですね。では、今より私は貴女様に仕える僕になります」
姿が変化して、カッコいい男性になりましたが、何故か執事の恰好をしています?
「姿が変わったようですが、何故執事の格好になったのですか?」
「ふむ、これはシノア様が名前を下さった時に流れて来たイメージなのです。仕える者としては相応しい姿と思います」
ついでに鑑定してみると、先ほどまでは見れなかったのですが、見えるようになりましたが……え!?
名称:アルカード
種族:悪魔
年齢:無限
職業:悪魔公
レベル:1000
技能:最上級体術 最上級火魔術 中級風魔術 上級雷魔術 闇の支配者 上級誓約魔術 転移魔術 上級魔術耐性 上級魔術無効 上級精神異常耐性 鑑定 威圧 気配感知 危険感知 並列思考 魔力索敵 魔力操作 魔力感知 痛覚無効 詠唱破棄
固有能力:シノアの加護 魅了 眷属召喚
私の使えないレベルが全て向こうに移っています……お蔭でレベル1000とか頼もしい存在になりました!
おまけに能力が素晴らしく高いので、これで私は当分は楽が出来るはずです!
感心ばかりしていないで、取り敢えずセリスを生き返らせたりして色々しないとね。




