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生まれ変わったのですよね?  作者: セリカ
61/378

59 真面目過ぎますよ

 

 翌日、学園に行くと順位表が張ってあります。本当にエルナが4位になっています。

 こんなに一気に上がると増長しそうで困るのですが……私としては、元の10位ぐらいになってくれればいいのですよ。

 どっちかというとエルナよりもアイリ先生の方が喜んでいます。

 今朝から、頑張った特別手当が欲しいなどと意味の解らない戯言を言ってます。

 昨日の夜だって、私は面白かったのですが、被害者がいたので、あの後は大変でした。

 酔っぱらって、寝ていたアイリ先生をベットに運んでギースさんが居なくなったら、突然起き上がって、口を押えたと思ったら、戻しまくるのでベットが大惨事になってしまいました。

 しかも、横で寝ていたキャロも被害に巻き込まれたので、気の毒な事に……2人は同じ部屋でベットが近いので、起き上がった時にベットにぶちまけないつもりが、キャロの方につまづいて倒れた時に吐いてしまったらしいのですが……。

 気持ちよく眠っていたのに、突然胸元に甘酸っぱいゲロが撒き散らされてしまったので、当然のように起きたみたいです。まだ廊下にいましたから悲鳴が聞こえたので、見に行ったら、初めてキャロが怒る所を見ました。

 まあ、時間も遅いので、洗浄魔法で綺麗にしてあげました。流石に生々しい感触が拭い切れなかったので、ついでにキャロと2人で酔っ払いも風呂で洗う事にしました。途中から、「こんな駄肉が大きいから教師としての自覚が足りないのです!」とか言って、説教を始めてしまいました。

 酔い冷ましの薬を飲ませましたら、自分がキャロに何をしてしまったのか自覚したようで、言われるままに叱られています。

 うん……自分より年下の子に風呂場で正座をさせられて説教されている姿は、大人の女性としての威厳などありませんね。

 ちらちらと私に助けて欲しいような目を向けてきましたが、当然無視して、キャロにもっと叱るように応援したいぐらいです。

 途中からは、説教というよりも自分より胸が大きいからダメなのですとか言っていますので、キャロも薄い胸を気にしていたのですね……その気持ちはよくわかります……とても良くわかります……。

 しかし、土下座に続いて正座で叱るという向こうのスタイルは実に良いですね。

 最近は、シズクがパンツを脱ごうとしたら、即正座させてしまえば、そのまま放置で反省させれるので、とても楽です。

 面倒でしたので、そのまま3人で寝ていたら、朝起きるとアイリ先生は私の耳元でずっと「頑張った先生にご褒美をあげたくなる」とか繰り返し囁いていました。私は寝ると起きるまで意識が完全に停止してしまうので、無駄なんですけどね。

 キャロの姿が見えないので聞いたら、セリスが部屋に来たらしく、私とキャロが寝ていたのを見ていきなり機嫌が悪くなったので、出て行ったセリスに弁解をしに行ってしまったらしいのです。

 なぜセリスの機嫌が悪くなったのかは知りませんが、朝から騒がしい人達です。


 そして、初めて私は掲示板を見ていますが、隣でエルナが機嫌良く私を突いています。


「これで、私は文句無しに付いて行けますね?」


「それは良いのですが、初めから真面目にやっていれば問題無かったのでは?」


「上の方なんて、良い事はありませんよ? 私は下らない学問の争いよりも適度な位置で、そこそこ頑張って楽がしたいのです」


 下らないとか言っていますが、何をする為に学園に通っているのでしょうね。


「先生達に聞きましたが、試験などを手抜きなどするから、Sクラスに出来なかったと嘆いていましたよ?」


「Sクラスに行くなんて、そんな息の詰まる所など遠慮致します。最初の頃は、同じ公爵家というだけで、なにかとオリビアが張り合ってくるし、ユリウス殿下とのお見合い話なども噂されていましたので、学問も実技も適当にさせてもらいました」


 きっと、私が楽をしたいとか適当に済ませようとする考え方はエルナの意思が反映されているのですね。

 エルナの事は残念なお嬢様と思う反面とても好感が持てるのですよ。

 考えてみれば、一緒に行動するようになってから、私は努力する気が薄れているのですよね。


「サラさん達は何も言わなかったのですか?」


「お父様とお母様は、私の好きなように振舞っても良いと言ってくれましたので、私は好きにさせてもらっているのです。その代わりに家では淑女のなんたらを厳しく教えられました。シノアと冒険に出掛けれるようになってからは、それからも解放されましたので、シノアと一緒にいれば私は完全に自由なのです!」


「それって、私をダシに遊びたいだけでは……」


「勿論、シノアの事は愛していますので、そんなつもりはありません。好きな人と一緒に居たいと思っているだけですよ?」


 好きなのはいいけど、愛は要りません。

 どうしたら真っ当な道に戻せるのか、誰か教えて下さい……。


「シノアに提案があるのですが、学園を卒業したら、神聖ヴァリスに行きませんか?」


 確か西方にある狂信者の国とかギムさんが言っていたような?


「なにか目的があるのですか?」


「詰まらない勉強の合間に知ったのですが、あの国には性別を変える技術か魔法があるみたいなのです! しかも、容姿は変えずに部分的だけ可能らしいので……もし可能でしたら……私はシノアの子供が欲しいのです!」


「はぁ!?」


「何度も言わせないで下さい! シノアとの愛の結晶が私は欲しいのです!」


 頬を赤くして、照れながら言っています。まさかここまで、思考回路がおかしくなっているとは……完全に病気ですね。

 カミラの方を見ると呆れたように溜息をついています。貴女が敬愛していたエルナが壊れてますよ!


「カミラにちょっと聞きたいのですが、エルナが言っている事は可能なのですか?」


「可能かどうかは知りませんが、あの国は確かにそんな方法があるとの噂です。シノアが男の子になればハーレムパーティーですから、良かったですね」


「もしそうなったら、カミラは徹底的に愛してあげますからね?」


「その時は、全力で拒否させていただきます」


 エルナではありませんが私は、カミラが悩んだり困っている姿を見るとなぜかもっといじめたくなってくるのです。

 カミラって、半端に耐えて逆らうから、なんとか泣かせたいというか屈服させたくなるのですよね。

 しかし……本当に可能でしたら、カミラの事は優しく徹底的に調教したいと思います。


「また下らない事でも考えていそうですね……」


 ちょっとカミラを見ながら考え込んでしまったので、私の楽しい考えに気付いたみたいですね。


「何も考えていませんよ? エルナには困ったなーと、ちょっと思っただけですよ?」


「……私の体を見ながらですか? いまの貴女を見ていると夢の中の事を思い出しそうです。どうしてこんな子に……」


 んー?

 もしかして、もうノアに似たような事でもされて経験済みなのでしょうか?

 それだとちょっと面白みに欠けそうですね。

 まあ、どうせそんな事は私には恐らく無理なので関係無いですよね?


「もし行く事があったら調べてみますが、男の子になる気はありませんからね」


「残念です……その時はシノアに私の子を産んでもらえば……。あと、シノアでしたら、私は誓約魔術で縛られても良いのですが……いつかまたシノアのメイドをする事がありましたら、今度はご主人様に甘えるメイドの役がしてみたいです……」


 エルナが男の子になったら、私が襲われてしまうみたいですが、私は多分ですが子供は作れないと思いますよ?

 どうもエルナは束縛願望もあるみたいですが、私には既に2人も支配している人がいるので、間に合っています。

 肉体的だけに限定すれば更に2人もいますので、考えてみたら、私って4人も自由を思い通りに出来るよね?

 カミラとセリスも含めれば6人ですがカミラは小言が増えて反抗的だし、セリスは私の意見には肯定しかしないので、2人を足して割ると丁度いいのではないかと思うぐらいです。

 アイリ先生だけが何かしでかしても全く反省をしないので、遠慮なく体罰が出来て、私の心のオアシスになっています

 まあ、簡単なお仕置きぐらいしかしませんが、基本的にはみんな自由に振舞っていますよ。


 

 明日は、神殿地下に挑みたいと思います。思わぬレベルアップをしたので、苦戦はしないで済みそうですが、エルナとキャロだけ置いて行く訳にはいかないので、対策を練る必要がありますね。

 昔の私みたいに、扉を開けたら首を斬られるとかになったら、どうにもなりませんからね。

 やっぱり英霊状態のサテラに最初に入ってもらうのが正解かな……マナさえあれば無敵なので、即死だけはありえませんからね。

 ただ……マナに直接関渉する攻撃を受けるとマナの減りが早いので、私はマナポーションを沢山飲まないといけないという欠点があります。

 帰ってから、時間が早かったので、工房でポーションとか作っていたのですが、気付いたら、アルちゃんが横で見ているのです。いつの間か自然に横に居るとかちょっと怖いんですけど?


「アルちゃん、出来れば気付かない内に横に居るのは止めて欲しいのですが……」


「シノアが調合に集中をしていたから、声を掛けてはいけないと思いました」


「気を使ってくれたのは嬉しいのですが、今度からは、声を掛けてくれると私は嬉しいです」


「うん、わかった」


 感情は乏しいですが素直なので助かります。


「今日は、どうしたのですか?」


「シノアにちょっと注意をしたいと思ってきました」


「私にですか?」


「あの殲滅魔法を使うのはよくありません。使い手は全て滅ぼしたはずなのですが、まさかシノアが使うとは驚きました」


「アルちゃんは、あの魔法を知っているのですか!?」


「あれは、最終的に術者を狂わせる危険な魔法なのですが、使える者はかなり限定されます。最上級土魔術に至って、人の命を軽視する者が使えるようになりますが、術者の欲望次第でいくらでも範囲を広げる事が出来ます」


 私が使った訳ではないのですが、話を聞く限りは範囲内の生命を全て吸い尽くす魔法と聞いています。

 その魔法が最上級土魔術みたいなのですが、今の私には使えません。使うノアが、人の命なんて何とも思っていないからなのでしょうね。

 どちらにしても今の私には、その魔法を知っていますが、使用不可能なので使えません。

 しかし、この事を素直に聞いても良いのでしょうか?


「術者を狂わせるとは、どういう事なのでしょうか?」


「あの魔法を使い続けると奪った命に比例して本人の精神を蝕んでいくので、待っているのは精神崩壊か生命を狩る事しか考えない別の存在への変化です。シノアは全く影響が無いみたいなのですが、今後はどうなるかわからないので、使わない方が良いと忠告をしています」


 威力もすごいのですが、精神面にも影響するとか危険な魔法ですね。


「いまの私には使えないのですが、狂いたくはありませんので、使わないようにします。よく考えたら、あんな事があったのに何も騒ぎになっていない方が不思議ですね?」


「あの夜に近辺の住民の思考操作をしたので、争いに気付いている者はいません。貴族院の方でも反乱分子が始末された程度になっています」


 何それ?

 そんな簡単に何も無かったかのように処理されているとか、恐ろしいですね……あれだけの人が消えたのにおかしいでしょ?

 私は、最悪この国には居られないと覚悟はしていたのですが、何も話題にもなってないので、不思議には思っていましたが……。


「あれだけの事がそれで終わったのですか?」


「あの範囲に結界を張って、住民に夢として操作したのは私なので、褒めて下さい」


「アルちゃんは、私達の事を知っていたのですか?」


「散歩をしていたら、シノア達を見かけました。何かしょうとしていたので、邪魔が入らないようにだけしました」


 どおりで周りが静かだったのですね。

 あれだけ派手に暴れていて、気付かれない方がおかしいのですよ。

 それにしてもそんな事が可能だなんて、友達になっておいて良かったです。


「そうでしたか、アルちゃんには感謝しますが、何か欲しい物とかありますか?」


「でしたら、私の頭を撫でて下さい」


 言われる通りに撫でてあげると可愛いですね。

 とっても嬉しそうにしていますが、何となく抱き締めたくなって来ました。


「こんな事で良いのですか?」


「うん、私はとても嬉しいです」


「貴族院というのも聞きたいのですか教えてくれますか?」


「マスターにその時の事を報告したら、反乱分子にしてしまおうと言って、言いくるめて来ると言ってましたので、それ以上はわかりません」


「そのマスターとは、アルちゃんのご主人様なのですか?」


「マスターはマスターとしかわかりません。最近はうざいので一応報告はしますが、それ以外は無視しています」


 主なのに無視されているとか切ない人なのですね……私も主なのにシズクは暴走しまくるし、カミラは私を問題児扱いしているので、少しだけ同情しそうです。

 そんな事を考えていたら、頼んでおいた酒瓶を持ってカミラが戻って来ました。


「頼まれた物を持ってきました。そちらの方は初めて見ますが、シノアのお知り合いなのですか?」


「私の友達でアルフィンです。通称アルちゃんといいますので、仲良くしてあげて下さいね」


「カミラ・セイルーンと申します。シノアの友達ですが、宜しくお願いします」


「……」


 反応がありません。カミラの胸をじっと見ています。

 これはエルナと同じ事になりそうです。


「駄肉」


「えっ!?」


「私は駄肉とは話をするつもりはありません」


 うん、どうも胸が大きい人は、興味の対象外のようですね。


「あの……もしかして、駄肉というのは私の事なのでしょうか……」


「そんな無駄に胸が大きいのですから駄肉で十分です。こないだもうざい駄肉が私に馴れ馴れしくしてきましたが、貴女の事はシノアの駄肉2号と呼びます」


 すると1号はエルナですね。

 面白いから、様子を見ていますが、次から私の駄肉とか呼ぶのは止めて欲しいのですが……


「申し訳ありませんがシノアの友達なのは良いのですが大変失礼な方ですね……初対面の人を駄肉呼ばわりとは……えっ!? 殲滅の魔女って?」


 カミラの言葉に突然反応して、アルちゃんの雰囲気が変わりましたがこれは私が最初に会った時と同じ……。


「シャドウ・アンカー」


 アルちゃんが魔法を唱えると影がカミラの手足を串刺しにして釣り上げています!

 ダンジョンで試した時はこんな明確に使えなかったのですが、よく見るとアルちゃんの影が伸びている黒い槍に比例して減っています。

 

「いきなり攻撃して来るなんて……貴女は一体……」


「ちょっと、アルちゃん止めて下さい!」


「この駄肉は私を見ました。油断していましたが、その目は私の偽装鑑定を看破出来るのですね。シノア、この子を消しても良いですか?」


 私には見えないのですが、カミラの翡翠眼なら見る事が出来たのですか!

 カミラを消すとか言っています。いまは感心している場合ではありませんね。


「アルちゃん、お願いですから、止めて下さい! カミラは私の大事な友達なのです!」


「この駄肉はよく見るとシノアの眷属となっていますが……そうですか、仕方ありません」


 アルちゃんが魔法を解除すると、黒い槍が消えてカミラがその場で、うずくまっています。急いで怪我を治してあげましたが、痛みに慣れていないカミラにはきつかったでしょうね。


「シノアの人形なので、今回は見逃しますが、二度と私を見る事は禁止します。次に覗いたら、拷問してから破壊します」


「アルちゃん、どうしたのですか? それとカミラを人形呼ばわりをするのは止めて下さい! カミラは、私の大事な友達なのです!」


「……わかりました。シノアに嫌われたくないので駄肉にします。1つだけ警告しますが、何でも見る事は止めた方が良いです。どうもその目は見る事に関しては偽装の妨害を無効にする力があるようですが、余り軽々しく乱用すると今回のような事になります」


「御忠告はしっかりと覚えておきます。貴女も私の正体を看破出来るのですね」


「私には、誤魔化す能力を無効にする能力があります。もっとも先ほど私を見たのですから、知っていると思いますが、私の能力は早く忘れてしまいなさい」


「残念ながら、ちらっと見ただけですから、細かい能力までは覚えていません。シノアのように記憶力はよくありませんので、じっくり見ないと覚える自信はありません」


「本来なら、直ぐにでも記憶を消してあげたい所なのですが、貴女は世界の輪から外れてしまっているので、操作不可能のようです」


「そこまで、わかるのですか……」


「既に試したのですが、拒絶されたからです。残念ですがそろそろ時間なので、戻らなくてはいけません。次に私をあの名で呼んだら、その駄肉を斬り落としますから注意して下さい」


「カミラがアルちゃんを覗いた事は謝りますが、そこまでしなくても……私も覗こうとした事はあるし……」


「私の隠蔽レベルはマスターと同等なのです。言われたくない事をその駄肉が言うからつい消したくなったのです。見ただけでしたら、記憶を消去する程度にします。せっかくシノアに褒めてもらって気分が良かったのですが、もう行きます。次に会ったら何か罰を与えますので、覚えておいて下さい」


 カミラにきつく言った後に私に小声で「ごめんなさい」と言って転移して行きました。

 余り感情を出さない子ですが、先ほどの呼び方はアルちゃんにとっては禁句みたいです。

 そうなると以前に私が覗いた時は見れなかったのですが、見ていたら記憶を消されていた所だったのですね。

 確かカミラは殲滅の魔女と言っていましたが、それはこの子の職業を指しているのでしょうか?


「それにしても、大丈夫でしたか? 手足を貫かれたのに悲鳴を上げないなんて、以前のカミラでしたら、絶対に泣き叫んでいたのに」


「もの凄く痛かったですよ……ただみっともなく悲鳴だけは上げないように訓練はしていました……海の時のような情けない姿を見られたくはないですから……ですが、声を出さないのが限界です。貴女のように大怪我をしたまま行動など不可能です」


「本当に訓練とかしていたのですか? 冗談で言ったのに実行しているなんて、カミラってマゾですか?」


「違います! 私だって、貴女の盾になるつもりなのですから、泣き叫んでいたら、逆に迷惑になってしまいます!」


「一応聞きますが、どんな事をしているのですか?」


「時間が空いている時にお風呂で自分で刺したりしています……布を口に喰らえていますし、私もシズクさん程の範囲は無理ですが、自分の周りぐらいでしたら風で声を消していますので、誰にも気づかれていないはずです……最近、ようやく声ぐらいなら我慢出来るようになりましたが、爪を剥いだ時はまだ涙が出ます……」


 痛みに慣れる訓練をした方が良いかもとは言いましたが、本当に実行しているとは、どこまで真面目なのですか!

 少し前まで普通の人間だったし、カミラは貴族のお嬢様なんだから、そこまで無理しなくても私とセリスで守るつまりでいたのに……。

 私は、物心が付いた時から、色々な実験とか虐待に近い目に遭ってきましたので、慣れるしか無い環境にいたから、感覚が麻痺しているだけです。

 セリスは、精神力の塊みたいなので、もの凄く耐えていますが……奴隷時代に比べればましとか言っているぐらいです。


「いやいや、そんな事を自分からするなんて、すごく勇気がいると思います。もう止めた方が良いですよ! 私と違って、カミラは普通の生活をしていたのですから、そこまでする必要はありませんよ」


「ノアさんにも相談しましたし、あの拷問の本の事も色々と経験しましたので、精神的にも耐えれるかと思います。最近は、ノアさんの罰ゲームが拷問か奉仕なのです……」


 ノアに相談とか間違っています!

 拷問の本って、もしかして『隠密少女 操ちゃん』ですか?

 あれは……内容が酷すぎます。絶対に民衆に販売する本ではありません!

 あんな事をされたら、私だって耐える自信はないです。

 ノアの事だから、絶対にやってみたいと思って、真面目なカミラを唆して、訓練と称して遊んでいるだけに決まっています!

 

「相談する人を間違っていると思うのですが……するとカミラは夢の中でも痛い思いをしているのですか!?」


「するかどうかは選べますので、毎日ではありませんが、最近は、痛い思いをした方が罰ゲームが楽な気がしてきました……」


 自分から、痛い思いを進んでするとかおかしいでしょ!

 はい、カミラはマゾ確定です。

 

「夢の中は、精神的な事は鍛えられますが、現実の痛みも知って置いた方が良いと思って、掃除がしやすいお風呂でしているのです。シノアが以前に言っていた溶かされたというのがわからないので、ギムさんに協力してもらって近い痛みはわかったつもりです……」


「はぁ!? ギムさんに協力してもらったって何を!」


「炉で熱した金属を少し触らせてもらいましたが……あれは未だに声を我慢するのはまだ無理です……本当は、炉に手を入れて見たいのですがそれだけは、絶対に認められないとギムさんに言われているので……」


 何しているの!

 私は、不可抗力でスライムに腕ごと溶かされただけで、そんな焼けた金属に触るのは嫌です!

 しかも、あの高熱の炉に手を入れたいとか考え方が間違っています!


「そんな事はもう止めて下さい! ギムさんがよくそんな協力をしましたね……」


「私が無理を言ってお願いしました。毎回、こんな事は止めろと散々言われています」


 当たり前です!

 どおりで、以前に私がカミラに悪戯をした時にあっさりと私を売ったのですね。

 私の為にそんな馬鹿な事をしているのを知っていれば、当然、カミラの味方になりますよ。


「とにかく私が知ったからには、そんな事は禁止します! 私は、カミラ達を盾にする気は無いので、そんな戦い方はしたくありません!」


「貴女の足手まといになりたくないので、慣れておいた方が良いと自分で判断したから、気にしなくても良いですが、貴女がそこまで言うのでしたら、現実ではもう止めておきます」


「それは、夢の中では続けるという事なのですか?」


「夢の中では、ノアさんと模擬戦の練習もしていますので、怪我をしないなんて事は無理です。ノアさんは、手加減などは絶対にしなくて、楽しそうに私をボコボコにします。努力の甲斐もあって、少しは体術みたいな物も覚えましたので、自分の護身なら少しは可能です」


 ノアの事だから、近接戦闘に不慣れなカミラを遊びながら甚振っていると思います。真面目なカミラは、訓練と信じてズタボロにされているに違いありません。

 どおりで、前回の森での反応が良いと思ったらそういう事ですか……気付かない内に背後に居た魔物を慌てずに無詠唱の風の刃で斬っていたので、いつ訓練してのか不思議に思っていたのですよね。

 ちょっと気になるので、カミラを見て見ると……。



 名称:カミラ・セイルーン


 種族:見た目は人


 年齢:不要


 職業:ガーディアン・スナイパー


 レベル:153


 技能:中級弓術 上級風魔術 初級聖魔術 中級体術 中級護身術 中級裁縫 魔力感知 気配感知 危険感知 気配遮断 急所感知 鑑定偽装


 固有能力:シノアの眷属 シノアの加護 ?の記録 翡翠眼 魔弾の射手 収納


 

 体術系が強化されています……弓職が少し変わっているし、風魔術は私より上になっています。

 魔力感知も増えているので、恐らく翡翠眼と一緒に使えば私よりもはっきりとマナの動きが見えているに違いありません。

 魔弾の力で、強力な遠距離攻撃も出来て、接近戦も魔法を利用した戦いが出来るとか短期間で恐ろしく成長していますよ。


「いつのまに職業を変えたのですか?」


「ノアさんに聞きましたら、ガーディアンの系統にした方がシノアからの力を受けやすいそうなのです」


「私の力ですか?」


「セリスさんは気付いてはいませんが、力が必要な時に、代償が必要ですが、ある力が使えるようになるのです」


「ある力とは?」


「いまは言えません。どうしても必要になったら使いますが、今の所はそんな事態にはならないと思います」


「代償とは、何ですか?」


「内緒です。シノアが知る必要はありません」


 きっとノアに何か対価を支払う代わりに緊急時の力でも借りる力に違いありません。

 ノアが無償で何かをくれる訳が無いので、何か致命的な事かも知れませんから、恐ろしいのですよね。

 待って……この間にセリスがカインさんを子供に生まれ変わる対価にセリスの髪の情報を支払ったと聞きましたよね?

 そうなるとカミラが支払える物は魂の情報しかないのですよね?


「それはカミラの魂の情報ですか? もしそうなら、絶対に使わないで下さいよ?」


「……セリスさんの事を例にしているみたいですが違います。あれはノアさんがセリスさんに諦めさせる為に言っただけなので、本来は別の物が消費されています」


「じゃ、ノアは必要が無いのにセリスの情報を消したのか奪ったのかは知りませんが実行した訳ですか?」


「セリスさんには言えませんが、もっと大変な物が対価として消費されています。本人が満足している以上は教えない方が良いのです」


 これは直接ノア本人に聞くしかありません。

 大事な事は制限を掛けて喋れないようにしているので、私が質問をすると半端に謎が増えるだけです。

 しかし、カミラを眷属にした時のように分身を作ってどれだけ声を掛けても反応はしてくれないし、夢の中で会いたくても、まったく会えません。

 私がいつも会って話がしたいと思いながら眠っても会ってはくれません……私が話をしたい事はわかっているのに……。


「わかりました。直接ノアと話がしたいので、私と夢の中で会えるようにカミラからお願いしてくれませんか? 私がいくら願っても会ってくれないのです」


「毎晩、私と何かをするのに夢中ですからね……わかりました。今晩にでもお願いしてみますが、期待はしないで下さい。基本的には直接関渉は出来ないと言っていましたから」


「それで、お願いします」


「もし会う事が出来たら、私の禁酒命令は取り消して下さいよ? きっとですが、そのお願いをするだけで、必ず対価を請求して来ますので……私がノアさんとのゲームに勝てれば良いのですが、私の勝率は1割にも達していないので、毎回ほぼ罰ゲームをする事になるのです……」


「ノアと夢の中でゲームなんてしているのですか? そんなの相手が全てお膳立てしているのですから、初めからカミラに勝ち目なんて無いに決まっていますよ?」


「それが……ノアさんは勝負事に関しては、不正のような事は絶対にしないのです。むしろ負けた時の方が喜ぶのです。知らないゲームでも、私が理解して自信が付くまでは決して挑んだりはしませんので、私がいつも決めているのです。私との差はあの恐るべき記憶力なのです」


「それでもかなり不利だと思うのですが……」


「負けても罰ゲームをするだけで、能力が得られたり知らない知識を教えてくれるのですから、破格の条件です。普通でしたら、一生かかっても得られない能力や、どんなに身分の高い者でも知る事が出来ない知識を知る事が出来ます。多少性格に問題がありますが、ノアさんは、決して約束を違えたりはしません」


 でも、制限を掛けているのですから、カミラ以外には漏れませんよね?

 上手い事を言ってますが、絶対に自分が楽しんでいるだけです。

 考えてみたら、ノアが一番カミラを良いように扱っていると思うのは気のせいでしょうか?

 何をしているのか知りませんが、会う事が出来たら、その辺もしっかりと聞く事にしましょう。

 私の大事な友達に酷い事をしているのには変わりがありませんよ。

 今晩、カミラに交渉してもらうとして、明日は神殿の地下に行きますが、強敵が現れない限りは何とかなると思います。


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