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生まれ変わったのですよね?  作者: セリカ
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51 英霊の力


 セリスのマナが回復してから、色々と検証をしながら神殿に向かう事にしました。年齢詐称のサテラを一度取り込んでから、改めて召喚しました。

 すると……私が出会った時の綺麗なお姉さんの姿で現れましたが、霊体が輝いているような感じです。

 私のマナの半分ぐらいが減りましたが、先ほどの分身体の時よりも強い感じがします。


「うん、こっちだと本来の私の姿になりますね。それでは試しに魔法でも使ってみようかと思います。ドラゴンでもいないかなー」


 いきなりドラゴンで検証とか、大丈夫なのでしょうか?


「どんな魔法を使うつもりなのですか?」


「私がいま使える最高の攻撃魔法を使ってみようかと思いますので、マナを回復させておいて下さいね」


「わかりましたが、この森には居ないと思いますよ? 確かこの大陸のドラゴンは全てエレーンさんが食材として狩ってしまったと言ってましたから……」


「食材ですか……エレーンさんは、こうと決めたら限度を知らないので、怖いんですよね」


 あの食べっぷりを見ていると納得出来てしまいます。

 人のものでも平気でつまんで食べてしまうとか、見た目は完璧なのにすごく残念なお姉さんなんですよね。


「そう言えば、サテラはエレーンさんと戦った事はあるのですか?」


「修行という名の特訓を姉さんと一緒に時間がある時にしていましたが、全てボコボコにされてました。槍魔天に昇華して初めて普通に戦えましたが、絶対に手加減されていましたね」


「サテラお姉さんがボコボコとか信じられないのですが……エレーンお姉さんはそんなに強いのですか?」


 昨日、サテラにボロボロにされたシズクが勝てないのに更に強いとか、どれだけ化け物ですか?


「エレーンさんの本来の戦闘スタイルは、大剣の二刀流です。私が昇華させる前は、どちらかの大剣しか使っていませんでした。2本を使わせた所までが限界でしたが、それも2人掛りでした」


 きっと、ギムさんに見せていたものと私の記憶を消すとか言っていた時の禍々しいものなのでしょうね。

 一体レベルとかいくつにすれば勝算があるのでしょうか?


「そんな話を聞いたら、絶対に勝てない気がしてきました……スフィアさんに一度負けたと言っていましたが……」


「私のお母さんは、使徒ではなかったけどレベルは2000ちょっとあったはずです。英霊も20人以上いましたので、天魔族最強の戦士です」


 自力でレベル2000とか、どうやって上げるのですか?

 取り敢えず、最低でもレベル2000を越えないとまともに相手にならないという事だけはわかりました。

 

「私がそんなレベルになるには一体どれだけの年月が必要なのでしょうね……」


「うーん、シノアちゃんは魔術が色々と使えるので、まともに戦うより魔法で戦った方が良いかと思いますよ? 私や眷属のカミラちゃんやセリスちゃんを盾にすれば良いのですからね」


「盾って……」


「私達は、シノアちゃんが無事なら死なないのですから、当然かと思います。それにエレーンさん1人でしたら、私達にも勝機はありますよ?」


「どうやって!?」


「エレーンさんとまともに剣で戦うとか勝てる気がしませんが、魔術なら、私より使えませんので、なんとか捉える事が出来れば勝機はあると思います。使えるのは中級までの攻撃魔法と補助魔法がメインで、最大の強味は転移魔術だけですが……一番厄介な能力なんですよね」


 なんと!

 それでしたら、現時点でも魔術だけなら、もしかしたらですが私にも勝てる要素がある事になります!

 でも、転移魔術が使える剣士とか対策が浮かばないですね。

 重力魔術で、対処が出来る気がするのですが……。


「でも、ガーディアンを呼び出されたら、魔術も通用しなくなります。2体のガーディアンの1人は魔術特化なので、この世の全ての魔術を行使出来ると聞いています」


「全てなのですか?」


「私のお母さんが勝てたのは、迷っているエレーンさんに数で押しただけなので、次に出会った時はその魔術特化のガーディアンに全ての魔法を封じられて英霊を無力化されてしまったので、あっさりと負けてしまったと言っていました」


 はい、私の長所も全て終わりました!

 この世の全てとかありえません!

 そんなのいんちきです!


「もう1人のガーディアンも何か卑怯な能力なのですか?」


「卑怯って……まあ、理不尽とは思います。次元が違いますからね。もう1人は防御に特化した騎士で、強力な魔法は使えないと思います。剣士としての技量も私ぐらいなので、よく練習相手になってもらいましたが、彼の持つ盾には私の槍の防御無効が通じないぐらいですね」


 サテラと同じ技量の時点で、強すぎるのでは?

 完全防御の盾とか、そんなの十分にいんちきです!

 それでは、その2人を呼び出したら、防御と魔術も完璧なので無敵ではありませんか。

 私には何も無しなのに、エレーンさんには特典一杯です!

 次に女神様に会う事が出来たら、ダメもとで何か一つで良いから、理不尽な能力をお願いしてみようかな……でも、そんな事を言ったら逆に罰でも受けそうなので危険ですね……。


「シノアちゃんは、エレーンさんと戦う予定なのですか?」


「ありませんが。ノアがいうには最低でもエレーンさんと戦って負けないぐらいにならないとダメらしいのです。理由はわかりませんけど、ねぇ? カミラ?」


「私に振るのは止めて下さい。教える事は出来ませんが、そのぐらいの強さがないと自称神達には勝てないです」


 ついにカミラの口から、自称神とか出ましたよ!

 言い方にしても完全に偉い様から、侮蔑対象になっています。


「クロノスはともかく、魔龍王様は国民の生活を第一に考えていたから、良い方だと思うんだけどな……」


「中には生きている者の為に努力した者もいますから、全てではありませんが、少しでも野望を持っている者は、この世界の創造主の座を狙っているはずです。最後の1人になった時にその権限を得られるので、悪意に満ちた者が生き残った場合は、この世界をどのように作り変えるかわかりません」


 カミラがいまとんでもない事を言いましたがそれ本当なの?


「そんなの職場放棄した神様が言っただけじゃなかったの? 私は、実質的に生き残った者が最大の力を持っているからぐらいにしか考えていませんでした?」


「シノアは知っていると思っていましたが……話す事が出来るという事は教えても良いみたいなので話しますが、現在の創造主の座は空席になっています。最後の1人になるとこの世界の支配権が正式に譲渡されるので、残っている資源を自分の好きなように創り変える事が可能になるそうです。そこで初めて真の神に昇格出来るので、いまは神様候補と呼ぶのが正しいのです」


 なるほど……まともな者がその座に就けば安泰だけど、残った者次第では恐ろしい世界に再構築されてしまうかも知れないのですね。

 それならば、私やエレーンさんはどうなるのですか?


「では、私は別の世界の女神様の眷属なのですがどうなるのですか?」


「それは、言えません……いずれわかると思いますので、いまは強くなる事だけ考えましょう」


 強くね……いまの話を聞いたら、そんなのいつの事になるの?

 1000年ぐらい頑張らないとダメな気がするのですが……遠いですよ。

 カミラだけがこれからの事を知っているのはずるい気がしますので、ちょっと嫌がらせがしたくなって来ました。


「ちょっと前にノアが私になんて言っているか知っていますか?」


「海の時ですか? 確か……無謀なお馬鹿さんとか……」


「それも言われましたが、違います! 弱っちいですよ! 王都に来た時にエレーンさんにも言われた事がありましたが、それから頑張ったのにノアから見たら未だに弱っちい扱いなんですよ! 下らない事を覚えていたカミラには罰をプレゼントしますよ!」


 自爆してくれたのですが、下らない事を覚えていますよ!

 腹いせに罰でも与えましょう!


「貴女の質問に正直に答えただけなのに理不尽すぎます!」


「私が良いと言うまで、下着の着用を禁止します!」


「何を言い出すのですか! 撤回して下さい! ちょっと体が勝手に!」


 まだそんなに命令の意思を籠めていなかったのですが、みんなの見てる前で脱ぎ始めましたよ。

 強く言ったから、強制力が働いたようです。

 顔を真っ赤にして、けしからん胸を気にしながら、短いスカートを押さえていますね。


「ちょっと、胸の膨らみが増えているのが許せませんね……押さえつけない物があるとこんなに変わるとは……」


「そう思うのでしたら、撤回して下さい! これでは、弓が引きにくいので戦闘に支障が出ますよ!」


「お風呂でも大きいと思ったけど、羨ましいですね。姉さんと同じぐらいに見えますが、双子なのにどうして私はこれだけしか……」


 サテラがカミラの胸を見て落ち込んでいます。

 姉のステラさんはカミラと同じレベルの大きさなのですか……いまのサテラでも、辛うじて膨らんでる程度なのですから、落ち込むのは理解出来ます。


「ここで、みんなに裁決をしてもらいましょう! 賛成が少なかったら、撤回します。この胸がけしからんと思ったら、手をあげて下さいー」


 ……残念な事に私とサテラしか上げていません。

 セリスは大きい方ですからわかるとして、シズクが賛成しないとは……私の楽しみが達成されないではないですか。

 (ちょっと、シズクは何で私の意見に賛成してくれないのですか? いつもなら、私と同じ意見にしてくれていたではないですか?)

 (それは、カミラお姉ちゃんとは前もって契約をしていて、この手の事はカミラお姉ちゃんに味方する約束をしているのです)

 (どんな約束なのですか? カミラには言わないから教えてほしいなー)

 (ダメですと言っても読まれてしまえばわかるので教えますが、私の作った衣装は頼まれたら必ず試着する代わりにお姉様が要求する理不尽な事を言って来たらカミラお姉ちゃんに味方するという約束です)

 やりますね……先に絶対に味方する者を説得しておくとは……だからたまにお屋敷で変な恰好をしてたいのですね。

 今度からは、シズクが居ない時にからかうとしましょう。


「約束なのですから、早く撤回して下さい!」


「仕方ありませんね……下着禁止は取りやめます……代わりに今度カフェに行った時に私と同じジュースをシャルム達の前で飲んでもらいます」


「何を言っているのですか! あんな異常な飲み物をクラスのみんなの前で飲んだら、私はおかしいと思われてしまいます!」


 急いで、下着を着直していますがまたもや酷い事を言ってますね。

 学園の帰りに女子6人でたまにカフェに立ち寄っているのですが、まだ私の事をおかしいと思っていたのですね。

 当然ですが味見をした者は全員トイレに直行しています。

 こないだ2人の時にカミラに飲ませたら、嫌がっていましたが、飲みだしたら美味しいとか言って飲んでしまいましたからね。

 既に私と同じ味覚になってしまったのに、まだ認めないとか、躾が足りないようです。

 お酒だって、隠れて度数が高い物を飲んでいる事は知っているのですからね!

 強い物を飲まないとマナの変換率がいまいちだし、マナに変換されるとすごく満足感がある事に気付いてしまったから、表向きは嫌がっていてもきつい物を飲まないと物足りないと感じているはずです。

 お蔭で酒代がすごい事になっていますので、卸業者の方は普段なら売れないような物を喜んで持ってきますよ。


「その異常な物を飲んで、仲良くおかしい人になりましょうね!」


「うぅ……帰りたくなくなって来ました……」


 そんな事をしながら進んでいますが、特に強い魔物も出ないので余裕です。

 シズクがサクサク魔物を倒してしまうし、サテラが槍で突けばみんな一撃で死んでしまうので、散歩でもしている感じです。

 目的地の神殿跡に着くと結構な魔物が徘徊しています。中には強い個体が混じっていますね。


「丁度良いので、私がいま使える最大の範囲魔法を使って殲滅しますので、ちょっと待ってて下さいね」


 そう言うと背中に黒い翼が現れて上空に飛んで行ってしまいました。サテラって飛べたのですか!


「サテラお姉ちゃんは天使だったのですね……羽が黒いから堕天使とか? でも、かっこいいです! 帰ったら、天使のコスを作るので着てもらいます!」


 1人だけ、目を輝かせて喜んでいます。セリスはともかく、カミラは知っていたようで驚いていません。


「カミラは知っていたのですか?」


「ええ、ノアさんも翼を使って飛んでましたから、シノアの事を聞いた時に天魔族の血も引いていると聞きましたので」


「ノアが飛べたのですか!? では、私にも翼があるのですね? どうやって出すのかな?」


 私も空が飛べるとか素晴らしいです!

 知っていたのなら、もっと早く教えてほしかったですよ!


「そこまでは知りませんが、戻って来たらサテラさんに聞いて下さい。ノアさんには翼が4枚ありましたよ」


「お姉様も天使なのですね! これは、サテラお姉ちゃんとお揃いの天使の服を作るしかありません!」


 私達がそんな事を話していると、なんかマナがサテラの周りに集まっている気がするのですが、どんな魔法を使うのかな?




「結構いるけど、十分に範囲内だからいけるけどマナが8割ぐらい減るかな? まあ、最悪私が消えるだけだからね。久しぶりだけど『ライトニング・テンペスト!』」


 サテラが上空で、神殿跡地の魔物に呪文を唱えました。あれは私が使えない魔法ですが、言葉と同時に神殿の周りに雷の嵐が吹き荒れています!

 弱い魔物は触れた瞬間に蒸発しているし、大型の魔物は絶え間なく電撃に撃たれて焦げているというか燃えてます!

 中級雷魔術にある『ライトニング・ストーム』の上位魔法と思いますが、あちらと違って威力が落ちないし範囲内は常に嵐のような状態です。

 こんなの街に使ったりしたら、小さな町は全滅してしまうのではないでしょうか?

 嵐が治まると魔物はみんな消し炭になったみたいです……しかも、周辺の地面は陥没しているし、残っていた建物が最早ただの石ころ同然です。

 これは……やばい魔法ですね……シズクはいつものようにかっこいいとか言ってはしゃいでいますが、セリスは唖然としています。

 カミラだけは、見た事がある感じですね……もしかして、ノアが使ったのかも?


「すごい魔法でしたね……」


「見るのは二度目ですが、海上と違って、陸地で使うと周りの被害が恐ろしいですね」


「一応、聞きますがノアが使ったのかな?」


「ノアさんがあの島で使いました。使徒以外は全て倒してしまいました」


 かなりの数が居たのに全てですか……いずれ私にも使えると思いますが、適当にお試しで使うのはまずいですよね?

 そんな会話をしているとサテラが戻って来ました。


「ただいまー。いまのマナで使える魔法としては中々良い魔法でしょ?」


「サテラお姉さんは、かっこいいです! ちょっと羽に触っても良いでしょうか?」


「いいけど、この体は、マナで構成されているから、感触は確かめられないよ? シノアちゃんに羽を出してもらうか分身体を借りた時の方が感触がわかりますよ?」


「わかりました! では、お姉様の羽を出して下さい!」


 私も出したいけどまずは方法を聞かないとね。


「私も出す事が出来るのですか? 出せるのなら、その方法を教えて下さい」


「普通に翼を出したいと思うだけですよ? シノアちゃんは今まで使っていなかったの?」


 なんと、普通に思うだけで出るとは………………あれ?

 ひたすら羽が出るように念じているのですが、まったく変化がありません!

 どうして?


「お姉様早く出して下さい! 天使の羽みたいで、ふわふわしてるから触ってみたいです!」


「残念ですが私には出せないようです……空が飛べると思って期待したのに……何か必要な技能でもあるのでしょうか?」


「えっーと……普通は物心が付いた頃から、出せるようになるので……飛び方は小さい頃から遊んで覚えるのだけど……多種族とのハーフだと稀に出せない子が生まれて来る事があるかな……」


「確か、お姉様はクォーターと以前に聞きましたから、無理なのですか?」


「さっき、カミラから、ノアが使っていたと聞きましたから、出せるはずです! カミラが今すぐにノアに聞いて来れば良いのですよ!」


「こんなところで眠るとか嫌ですよ! しかも無償では絶対に教えてくれないのですから、もっと嫌です!」


「では、今晩にでも聞いて来てくれたら、先ほどのジュースの件は取り消します」


 すごく悩んでいますが夢の中でノアに悪戯されるのでしたら、誰にも見られないのですから良いではないですか。

 私なら、教えてくれるのでしたら、拷問だって受けても良いぐらいですよ。


「……わかりました。その代わりに絶対にみんなの前であれを飲まさないで下さいよ……」


「勿論、約束は守りますけど別に飲んでもみんな気にしないと思うんだけど? それに本当は飲みたいと思っているんでしょ?」


「思ってはいません……」


「ふーん」


 私が飲んでいる時に物欲しそうにしているのは知っているんですからね!

 理性は拒否しても体が欲しがっているのに無理していますね。


「そろそろお話はいいかな? 良ければちょっとマナの補充をしないと私はそろそろ消えてしまいそうなのです。このまま消えても良いのですが次に来た時に消費するマナがわかりませんよね?」


「すっかり忘れてました。どうすれば良いのですか?」


「意識すると私と繋がっているのがわかると思いますが私が維持可能な分だけもらいますので許可して下さい」


「わかりましたって! すごくマナが減りましたよ!」


 私の保有マナの8割が持っていかれました!

 これがさっきの魔法の消費マナだとしたら、今の私だと詠唱なんて足したら絶対に倒れてしまいます!

 

「もう一つ同じぐらい消費する魔法がありますので、私に強力な魔法を使わせる時はこのぐらい必要と覚えておいて下さい」


「昔は、あんな魔法をみんな使っていたとは恐ろしいですね。もう一つも同じような魔法なのですか?」


「それほど沢山はいませんでしたが、魔術に特化した者なら使えましたね。私は近接戦闘の方が好きなので滅多に使いませんが、もう一つの方は単体の魔法です」


「今でも、こんな魔法を使える人がいるとなると、戦争とか始まったら簡単に町とか滅びそうですね」


「戦時中でもそれほど使われてはいませんよ? 平気で民間人に使う者もいましたが、大抵の者は戦う相手にしか使いません。あのぐらいの魔法を使うのですから相手にだって防ぐ魔法もあります。それに英雄願望の高い者が多かったので、力の無い民衆を殺して大量虐殺者の汚名が付くのは避けていました。無差別に民衆を攻撃する者はむしろ他の者の標的になりやすいのです。もう一つは、本人が術を広めなければ当然継承されないので、使い手が死んでしまえばそこでその魔法は失われます。捕まって洗脳でもされない限りは絶対に教えたりはしませんから」


「英雄ね……要するに恰好を付けたいだけですね。使える人には教えた方が戦力の強化にもなるし、なにかあっても弟子とかに継承されていた方がその国の為になるのでは?」


「私は単純に強い相手と戦っていただけです。魔術に関しては、伝える前にほとんどの者が戦死してしまって、受け継がれなかったのです。先人から受け継ぐ時にしても決して世間に広めずに、自分の死ぬ間際に後継者のみに伝えるようにする者がほとんどです。誓約魔術で縛る者もいたぐらいです」


「サテラは、どうやって覚えたのですか?」


「中級までは、お金で売り買い出来ましたが、上級以上は使える人にスクロールを作ってもらうしかないです。あとは技能を昇華させた時に本人の特性の魔法が覚えれます。稀に本人が自力で習得する事もあるのですが。私の場合は、エレーンさんのガーディアンの方にスクロールをいくつか作ってもらったのです。お蔭で私達は少数でしたが、強力な魔法が使えて、更には英霊を従えているのですから、当時はほぼ無敗の軍団として恐れられていたのです」


 それは、軍事力のバランスが一気に傾きますよね。

 英霊の状態でもあんな魔法が使えるとか、最早異常な力です。

 更に当時の天魔族は失われた魔術も使えるとなると恐ろしい戦力ですよ。

 クロノスが裏切ったりしなければ、この大陸はどちらかの陣営が統一していたかも知れませんね。


「シノア、わかっていると思いますが、貴女は全ての魔法を知っているのですから、その事を無暗に話したりはしてはいけませんよ? 以前クランの方に習得スクロールを渡していましたが、一つは失われた最上級魔術でしたよ……恐らく魔導士のジークさんが習得すると思うので心配はしていませんが、どこから話が漏れるかわからないので注意して下さい」


 カミラが小言を言ってますが、よくスクロールの中身まで見ていますね……子守りというより監視ですよね?

 でも、私は最上級火魔術は使えませんよ?


「えっ? あれは上級火魔術ですよ? 流石に使えない魔法は知っていてもスクロールに念写出来ませんよ?」


 私が使用が出来なくても唯一例外で教える事が出来るのは眷属のカミラとセリスだけです。

 カミラにだけは、色々と条件を付けて1つずつ教えています。

 大人しく従うセリスのような反応も良いのですが、カミラをからかうと楽しいのですからね!


「魔法のリストが知識としてあると聞いていましたが、区分けされているわけでは無いようですね……話す事が出来るので教えておきますが、シノアや私は詠唱を足す事で一つ上の魔法を行使可能なのです。足さない場合は威力が落ちるだけなのです。なので、上級まで習得してしまえば、全ての魔法が最上級まで行使可能になります。使えないのは昇華魔法だけと思いますが、私も昇華魔法の事は初めて知りましたので、これ以上はわかりません」


「本当ですか! 私って、もしかして魔術だけなら、全てを極める事が可能なのですね!」


「……喜んでいる所を申し訳ないのですが……全ては無理です……自分でも気付いていると思いますが色々と種類は覚えていますが技能が滅多に上がらないですよね?」


「確かにそうなのですが何でそれを……理由を教えてもらってもいいですか?」


「1つは貴女の基礎種族の範囲内を越えられないとの事です。そして……その技能や能力はノアさんしか開放が出来ないのです」


「種族とかはいいとして、ノアが許可しないとダメという事なのですか?」


「ノアさんの性格を理解しているのなら、もうお分かりですよね? 当然ですが貴女が楽になるような事はさせないので、最低限しか開放する気が無いのです。貴女が死に過ぎたり無茶な事をすると仕方ないから開放しているだけみたいですが……だからと言ってこの話を聞いてお馬鹿な事をしても絶対に開放はしないと思います。むしろ困っている方が楽しいらしいので……」


 ちょっと……単にノアが私の行動を面白がってるだけなのですか?

 私の願望なんですから、もっと楽して圧倒的に敵を倒す方がいいですよ!

 なんで、苦労する方向に持っていくのかな……。

 そう言えば、重力魔術が使えるようになった時も溺れて死ぬのを回避する為だったですね。

 誓約魔術だけ最上級なのは、アイリ先生のようなネタみたいな人を作れという意味なのかも?

 ちょっと!

 考えている事も筒抜けなんだから、もっと開放してよ!

 (ばーかー)

 ……いま頭にばかとか響きましたよ!

 自分の体なのに権限がほとんど無いのと同じですよ!

 ノアの……貧乳、意地悪、悪魔、チビ、ばか――――!

 言ってて、自分に当てはまるので虚しくなってきました……。

 すごくアホとか言って笑われている感じがします……。

 それから、廃墟になってしまった神殿の跡を調べると、地下に続く階段が有ったので進むと小部屋に扉が1つだけあります。

 扉の向こうからは何かやばい気配がするので、取り敢えず転移のマーキングだけして戻る事にしました。

 この先は、取り敢えずテストが終わってからですね。

 


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