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生まれ変わったのですよね?  作者: セリカ
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44 不毛ですね


 話がまとまった所で、宿に帰ろうとしたら、何か岩場の方が騒がしいですね

 何をしているのでしょう?


「ところで、あれは何の騒ぎなのですか? 結構な人が集まっていますか?」


「いけない……忘れてました。シズクちゃんが魔法陣の前で通せんぼをしているのですが,通ろうとする人達をみんな倒しているのです!」


 そう言えば、先ほどそんな事を言っていましたね。

 

「私も最初に、こちらに着いてから戻ろうとしたら、シズクちゃんに負けて……くーちゃんも没収されてしまったのです……」


 ユリウス達をこちらに連れて来てから戻ろうとしたけど、シズクは反対したのでしょうね。

 エルナは確かに強くなりましたが、それはセリスが常に優先的にサポートしているから戦えるのであって、あんな乱戦では私にもサポートする自信はありません。

 私の最大の欠点は、自分はどんな怪我でも治せますが、他者の傷は軽い物しか治せません……先ほど、嫌という程理解しましたからね。

 セリスは、死者蘇生は出来ないけど重症であっても治す事が可能です。

 誰にも見せていませんが、詠唱とマナを多く使う事で失われた体の再生も可能です。

 つまりセリスは、全力で癒せば最上級聖魔術に近い回復力を扱う事が出来ますが、それをなるべく見せたくないので、大きな怪我をしても咄嗟に半分以上を回復させているから、大怪我をしていなと思っているだけです。

 そんなサポートを無しで、あんな魔物の群れと戦うなど自殺行為以外ありません。

 シズクも怪我さえ受けなければ戦えますが、一撃でも強力な攻撃をもらってしまったら、確実な死が待っています。

 あの子は私の事を知っていますので、私だけなら、どうにでもなると判断してくれたのですね。

 しかし……風魔術で得意の結界だけ張って高みの見物でもしていれば良いのに……。


「それは学生だけで、済んでいるのかな?」


「クロード殿下も来たのですが、手も足も出ずに足元に倒れているはずです……ここの騎士団の方達も来たのですが……」


 まともに戦ったら、シズクに勝てる者などまず居ません。

 お屋敷にいる、どう見ても凄腕の暗殺者みたいな人が庭の掃除をしていたので、鑑定したらレベル70のアサシンだったんですよね!

 なんで、落ち葉の掃除なんかしているか聞いたら、シズクに負けて弟子入りしたそうで……庭の手入れをすると心が研ぎ澄まされるとか言ってましたが、絶対に間違っています!

 どう見ても熟練された格上のおっちゃんがシズクに負けるのですから、対等に戦うのでしたら、あの速度を見切れる技能でも無いと話になりません。

 急いで、現場に向かうと……大の大人が何人も囲んで抵抗を止めなさいとか言ってますが……クロード先輩と気絶した騎士の人達があちこちに倒れていますので、完全に負けていますよ。

 スク水姿で2本の小太刀を構えてますが、長物の刀を使っていないという事は、ここに居る人達は対等な相手とも認められていませんね。


「もうお終いですか? 私に勝てないようでは、この先に進んだら必ず死にますよ? その程度の腕では未熟過ぎるので出直して来なさい。お姉様が戻るまでは、何人たりとも通しません!」


 どこかで、聞いた事のあるような台詞を言ってますが……シズクのいまの考えを読むと……

 (カミラお姉ちゃんの事も心配ですが、もう助けているはずなので、今は道を死守して相手を殺さずに気絶だけさせるなんて、いまの私は最高にカッコいいです! お姉様が戻るまでは邪魔をさせないとかやってみたかったのですよね! 結構な時間が経ちましたが大丈夫かな……)

 さっきの台詞は、操ちゃんのお姉様が敵の親玉と対決している時の足止めの時の台詞を置き換えただけですね。

 私の脳内にそのシーンが何故か強く思い出されています。

 きっと、ノアが私にわかるようにしているんでしょうね……便利なのですが、思い出させる方法が地味に嫌な方法ですね。 

 心配もしてくれていますが、どうも自分の設定に酔っていて、私に気付いていませんね。

 いつもだったら、この位置まで近づけば絶対に気付くのに、もう病気ですね。


「シノア、そろそろ何とかしないと騒ぎが大きくなると思うのですが?」


「もう手遅れなような気がしますが……ここで止めても騎士団の人達のプライドがズタズタになるような……」


 隊長らしき人が覚悟を決めて前に出ています。

 あの人が負けたら、すごくまずい気がしますね……そろそろ止めましょうか。


「シズク! 私はここにいますが何をしているのですか?」


「えっ! ……お姉様!!!」


 気が付くと、挑もうとしていた隊長さんを無視して消えたと思ったら、私にしがみ付いています。


「私は、とても心配したのですよ! お姉様が負けるはずが無いと思っていましたが、島の方から異常な力を感じたので、もしかしたらと……」


 さっきまで無双していたのに、いまは私に抱き着いて泣いています。

 こういうシズクも可愛いですね。


「心配をかけましたが、何とか2人共無事に戻れましたよ」


「はい! 私は信じていましたので……」


「どうかしましたか?」


 シズクがカミラをじっと見つめていますが……まさかとは思いますが、何かに気付いたのでしょうか?

 泣き止んで、カミラの前に行くと。


「カミラお姉ちゃんですよね?」


「そうですが……どうかしましたか? 何か私におかしい所でもあるのかしら?」


「セリスお姉ちゃんと同じ気配がします」


「えっ!?」


 シズクは気配とかで判別できるのですか!

 

「シズク。いまは、取り敢えず戻りましょうね?」


「わかりました。カミラお姉ちゃん、これを一口だけ飲んで下さい。それで納得します」


 ポーションの瓶ですがあれは何?


「よくわからないのですが、これを飲めば良いのですね?」


 言われて素直に飲んでますが……。


「お酒のようですが、私にも飲みやすく美味しい物ですね」


「納得出来ました……お屋敷に戻ったら、お聞きしたい事がありますので、正直にお話を聞かせて下さいね」


 中身は酒みたいですが……あっ!

 カミラはアルコールに弱いので食前酒程度しか飲めなません。いまの酒はかなりきつい匂いをしていましたので、本来のカミラが飲んだら絶対に倒れるに違いありません!

 既に味覚も変わっているので、強ければ強いほど美味しく感じるはずです!

 何でシズクがお酒なんて持って……あの瓶はどこかで……あっ、思い出しました!

 あれは、小分けした魔王殺しです!

 何かに使いたいと言ったので、ちょっとだけ渡した小瓶です!

 あんな物を美味しいなどと言って飲める人間はいません!

 これは、完全にばれていますよ!

 何事も無かったようにさっさと帰ろうとしたら、隊長さんが声を掛けてきましたね……ここまで騎士団を壊滅させてしまったら、当然ですよね!


「済まないが、君がその子のお姉さんで良いのだろうか? 向こうの島に取り残されていると聞いて、我らはここにゲートがあると教えられて来たのだが……恥ずかしい話だがこの有様だ。出来れば状況の説明はしてもらえないかな?」


 ユリウス達が知らせて何とか手配した人達を叩きのめしたのですからね……このまま黙って去る事は無理ですよね!

 (シズク。足止めには感謝しますが、後で、この後始末の罰は受けてもらいますからね?)

 (何故ですか! あの程度の実力では、死にに行くだけですよ? むしろ褒められると思っていたのですが!)

 (結界だけ張って放置しておけば、簡単には入れなかったでしょ?)

 (それはそうですが……)

 (どうせ、やってみたいシーンでも有ったのでしょ? ノリノリでしたからね。取り敢えずお仕置き確定です)

 (そんな……どうして……もしかして、私の思考を読んで傍観していたのでは?)

 (そんな事より、今は適当に誤魔化しますので、私に合わせて下さいね?)

 (わかりました……最近のお姉様のお仕置きは嫌がらせに近いんですよね……)

 普通のお仕置きでは、まったく反省しないからでしょ!


「どこからお話をすれば良いのかわからないのですが、ゲートの先で魔物に襲われていたユリウス達を救助しただけですよ?」


「だったら、君は何故ゲートを使わずに戻って来たんだね? それとその子にここを守らせたのは、君の指示なのかな?」


「私は、海から戻っただけです。先ほどシズクが言っていた通りですが、この子に勝てないようでは、向こうの魔物には勝てませんよ?」


「海から戻るなど普通はあり得ないのだが……強力なドラゴンが居たと聞いているが、君なら倒せるとでも言うのか?」


 この隊長さんは上から目線では無いので、話をするのは構わないのですが、めんどくさいな……鑑定したけど、レベル38の魔術も使えないただの騎士だから、絶対に死ぬよ。

 これだけは、言いたく無かったのですが知名度があると信じて使いますか。


「王都でダンジョンに潜っている黒の暴風というパーティーを御存じですか?」


「いま、王都で注目のパーティーだな。うちの息子が目の当たりにしたらしいが、恐ろしい集団と聞いている」


 あんまりいい評判ではありませんでしたね……どこの階層で見かけたのか知りませんが、普通にしか戦っていないのに……。


「私がそのパーティーのリーダーをしているシノアと申します。ギルドで調べてもらえれば確認は出来ると思います」


「まさか……このような幼い少女が……女性のみとは聞いていたが……」


 幼い……。

 一応、学生なんですが、私はシズクと同じに見られているようです……地味に心が傷つきましたよ!

 この隊長のおっさんも胸で判断するのですね!

 女性を胸で判断する者は敵です!

 滅びればいいのですよ……。


「話は、もうお終いです。結界は解いてあるので、好きなだけ魔法陣を調べて下さい。それでは失礼します」


「待ちなさい。一体どうしたのだ? まだ詳しい話が聞けてない……」


「そうそう、向こうの魔法陣は魔物が破壊してしまったので、もう使えませんよ? だから、海からしか帰る方法が無かったんですよ。これ以上は私からのお話はありません」 

 

 そのまま何か言っていましたが無視して帰りました。


「シノア、あれで良かったの?」


「何か言って来たら、エルナにお願いしたいので何とかしてくれますか?」


「それは、構いませんがどうしたのですか? 急に機嫌が悪くなったのですが?」


「あの隊長さんは、言ってはならない事を言ってしまっただけですよ」


「うーん……シノアが気にする事と言えば……あっ! わかりましたよ! そんなに気になるのでしたら、今晩から私がマッサージしてあげますので任せて下さい!」


 流石ですね……伊達に私の観察をしているだけあって、気付きましたか!

 ですが結構です!

 そんな事をしても無駄なのですから……。


 

 宿に戻ると入り口に痴女のオリビアさんがいますがどうしたのでしょうね?

 助けたのにケチでも付けて来るのでしょうか?


「戻って来たのね……」


「ええ、何とか無事に戻りましたよ?」


 これは、死んでいれば良かったとでも思っているのでしょうか?

 それにしては、複雑な感情を感じますが?


「た……助けてくれて、ありがとうございました……貴女が来てくれなかったら、私は死んでいましたわ……わたくしの怪我も治してくれたのは貴女でしたから……」


 なんと!

 今まで、私の悪口しか言わなかった口が感謝の言葉を言ってますよ!


「同じ学園の生徒が困っているのですから助けただけですよ?」


「ミヨナだけでは回復も間に合いませんでしたから、貴女が早く来てくれなければ、助けが遅れても死んでいましたので、貴女には2重の意味で命を助けられた事になります」


 確かに出血は酷かったのですが、死にはしないと思うのですが。


「いまさらなのですが貴女にしてきた事を謝罪したいと思いますの。今までの事を思えば虫が良いと思いますが、どうしても謝罪がしたいのです」


 いつも会う度に高圧的な態度を取っていたのに、私に頭を下げていますよ。

 感情がわかる私には、彼女の行動が嘘偽りない事がわかります。

 ノアは言っていました。

 私は感情に左右され易いと……今の彼女の感情は、私に対する感謝と謝罪の心で一杯です。

 普通の人だったらこんな時はどうするのかわかりませんが、この思いに触れていると、私は彼女の事を好ましく感じます。


「頭をあげて下さい。もし私に謝罪がしたいのであれば、今から友達になってください」


「私にそんな資格は無いと思いますが……」


「それを決めるのは私です。それとも私を友達にする事は嫌ですか?」


「私は……貴女を貶める事ばかりしていたのに……貴女には負けましたわ……お言葉に甘えまして、わたくしを貴女の……シノアさんの友達にして下さい」


「同じ学年なのですから、シノアで良いですよ。私もオリビアと呼ばせてもらいますね」


 私の行動をじっと見ていたエルナとシズクは驚いていますが、同時に納得もしているようです。

 カミラに至っては、私の取る行動がわかっていたみたいですね。

 こんな事を考えるのは無粋なのですが、今の私を維持する為にも彼女の感情は歓迎なのです。

 エルナに続いて、公爵家のお友達を手に入れました!

 

「ありがとうございます、シノアさん。私は誰に対してもこの口調なので、気にしないで下さい。わたくしのこの命は貴女の為に使わせてもらいますね」


 えっ!?

 なんか誰かと同じ事を言ってます……すごく嫌な予感がしてきました……。

 シズクの記憶にあるゲームで言うと、今まで最低の好感度だったのに、今の彼女は好感度が非常高くなりましたね。

 隠しキャラ的に過剰に変化していますよ。

 私にとっては良い事なのですが……まあ、ついでだから、これもあげようかな?


「そんな大げさに考えなくて良いからね? それとオリビアには、友達になった記念にこれを差し上げます」


「この剣は、宝剣アルムスに似ていますね」


「まあ、恐らくほぼ同じ性能の剣ですよ」


「この剣がですか!?」


 ちょっと欠片を頂戴したので、詳細はわかったから作ってみたのですよね。

 実は、あの剣は無名の剣で、持ち主のレベル依存で強度が変わるのですよね。

 そして、こまめにマナを通す事によって持ち主のマナを通しやすくすると切れ味が増すという剣なのです。

 当時の剣の所有者のアルムスという方が、剣の力を信じてマナを馴染ませて、使徒になったので、強力な剣になったと予測します。

 だから、まったく使用していないオリビアがいきなり使っても、ただの見栄えの良い剣になってしまったのです。


「これからこまめにオリビアのマナを馴染ませると、その剣は本来の力を発揮出来るようになります。当然ですが貴女自身のレベルも高めないといけません」


「先ほど同じ性能と言いましたが、もしかして宝剣アルムスも同じなのですか?」


「当時の剣の所有者の名前がアルムスさんだと思いますが、当時の書物などが残っていたら調べると良いですよ?」


「確かに使徒として、戦われたのはアルムス様ですが……」


「その剣は同じく無名の剣なので、頑張って使いこなして、オリビアの名前を付けてあげて下さいね。貴女の頑張り次第で失った剣に近い物は再現出来ますよ?」


 中々良い剣なのですが、持ち主のマナを浸透させるのに年数が必要なので、レベルだけ有っても馴染んでいなければ、ただ強度がある丈夫な剣という最大の欠点があるのですよねー。

 ちょっと改良をしてあるので、あの剣よりは初期の状態が普通の剣より高い強度と切れ味のいい状態なので、使えない事もないのですが、ぶっちゃけめんどくさいので収納にしまったままだったのですよね!

 おっ、ちょっと感動していますね。

 めんどい剣だからあげたとは言えませんが、失った物と変わらないのですから、必要とする人に使ってもらった方が良いかと。


「わたくしの為に……」


 いや、収納の肥やしだから……あれ?

 なんでしょう……オリビアから感じる感情が誰かにすごく似てきましたが?

 気が付くと私を抱きしめて来るのですが、オリビアって胸が大きいから苦しいのですが!


「私の為にありがとうございます!」


「気に入ってくれるなら、嬉しいけど……」


 そのまま私に口づけして来るのですが、舌が!

 てか、この人なんか手慣れた感じですごく上手いのですが!

 しばらくして離してくれたのですが、ちょっとやばいですね……。


「ちょっと、オリビアさん! 私のシノアに何をしているのですか! 今のは流石に許しませんよ!」


「シノアさんとエルナさんの関係は理解していますが、私も参加させていただきますわ」


 何の関係?

 変な理解をしていますよ!


「私とエルナは……」


「わかっています。エルナさんが貴女に言い寄っている事は知っています。同じ公爵家なのですから、私にもチャンスを下さい」


 全然わかっていません!


「オリビアさん! シノアから離れないと殺しますよ? シノアは私の命の恩人でもありますので、害を成すものは決して許しません!」


「あら? 私が調べた情報によると魔物に襲われている所を助けられたのですよね? それなら、私も条件は同じです。私は怪我も治して命を救ってもらったので、貴女より恩義に感じていますよ? 今でもお腹に触れれば、傷口に触れて癒してもらった感触が思い出せますわ……」


 公爵家お嬢様というのは、みんな同じなのでしょうか?

 しかも、彼女は傷口に触れて癒した感触まで覚えているらしいのですが。怖いですね……。

 なんというか……エルナとセリスから感じる感情を融合したような感じです。

 言い換えるなら、重い愛と崇拝でもしているような……。


「私だって、シノアに怪我を……無いわ……怪我を治してくれるのはいつもセリスさんだから……」


「では、わたくしの方が上ですね。今日から、毎日この剣をシノアさんと思って大事にしますわ!」


「私だって、シノアが作ってくれたくーちゃんがあるのですから! シズクちゃん! 私のくーちゃんを返して下さい!」


「は、はい! どうぞ、エルナお姉ちゃん……」


 シズクが気迫に押されて剣を差し出していますよ。


「同じく剣をもらっているのでしたら、条件は変わりませんよね?」


「貴女は、今まで散々シノアに迷惑を掛けているのですから、むしろマイナスに決まっています!」


「それは、先ほどシノアさんが許してくれました。ですが今の私はシノアさんの頼みなら何でもしますよ?」


「それでしたら、私も同じです! シノア! 私の方が愛が上だと言ってあげて下さい!」


 私に振らないで欲しいのですが……。

 そして、その愛というのを止めて欲しいのですよ。

 私の事を思ってくれるのは嬉しいのですが、エルナは地味に独占欲も強いのですよね。

 今は、オリビアが何でもしてくれるのでしたら、まずはして欲しい事がありますよ。


「そうそう、キャロに会ったら、彼女には謝ってあげてね? あの件で怖い思いもしていますので」


「キャロですか? わかりました。シノアさんのお願いですし、彼女に許してもらえるのでしたら、足でも舐めろと言われても必ず実行致します」


 どうして、そこまでする話になるのかな……エルナとは違う意味で重いよ!


「公爵令嬢の貴女がメイドさんにそんな事をしたら、問題が発生するのでしないで下さいよ?」


「シノア! そんな事より、私が上と言って下さい!」


「エルナさんは、言ってもらわないと安心出来ないのですね……それは愛が足りない証拠ですね。これなら、私にも勝機がありそうですわ」


「なんですって! 私の愛が貴女に負けるはずがありません! この痴女!」


「言葉遣いがはしたないし、沸点の低い方ですね? 私は、痴女でも構いませんわ? シノアさんが裸で学園を過ごせと言えば、堂々と過ごして見せますわ?」


「オリビア……貴女、本気なの?」


「既にこの身はシノアさんに捧げた身なのですから、出来て当然です? エルナさんには、無理ですよね……所詮はその程度の覚悟なのですから」


「わ、私だって、出来ます! 貴女には絶対に負けません!」


 もう、2人の論点がおかしいよ!

 なぜ、脱衣合戦になっているの?

 さっきの足を舐める話より酷くなってきました。

 これは、迂闊な事を言ったら、絶対に実行しそうなので言えませんね……。

 この不毛なやり取りは、どうもオリビアの方が上手みたいですね。

 段々と話し声が大きくなってきたので、生徒が集まって来ましたよ。

 そのまま入り口で2人が意味の分からない言い合いをしているので、そっと逃げましたが、エルナ2号が誕生してしまいました。



 あれから、宿で晩ご飯を食べている間も2人が戻ってこないのですが、争いが続いているようです。教師も止めに行ったらしいのですが、どちらの派閥を支持するのかとか言われて、困っているみたいです。

 原因の私は、そんなことは無視して、美味しい料理を堪能した後にお風呂に浸かっていますが、しばらくすると2人がお風呂に来ました。

 私を探してここに来たらしいのですが、食事はしたのかな?


「シノア、私の傷ついた心を癒して下さい……」


「わたくしも失礼いたしますね」


 ふむ……こうして2人を見比べると差がはっきりとわかりますね……。

 エルナは平均より少し大きいぐらいですが、カミラもけしからんと思っていましたが、オリビアはさらにけしからんですね……ちょっと揉んでみたいですね……。


「湯船に浸かれば自然に癒されますよ」


「あぅ……私のシノアが冷たいです……もう勝手に補充させてもらいます」


 湯船の中で抱き着きながらまさぐるのは止めて下さい。

 嫌いではないのですが、私は静かに寛ぐのが好きなのですよ。

 オリビアは私の近くで静かにしていますが、けしからん物が浮いています……つい見てしまいますよ。


「シノアさん。私の体に興味があるのでしたら、ご自由に使って下さいね」


 私の視線に気づいてはいるけど、あくまでも私の意思に任せると言ってます……。

 ここで、行動すると誰かさんが張り合うのでぐっと我慢ですが……ちょっと感触だけでも確かめたいですね。

 後日にエルナが居ない時にお願いするとして、今日もカミラの躾を……。


「ところで、2人は食事はしてきたのですか?」


「聞いて下さいよ! 勝負をお預けにして、食堂に行ったら、何も無いのですよ! 今日は、もう誰も来ないと思って片付けてしまったらしいのです! 酷いと思いませんか?」


「エルナさんが長々と言い掛かりを付けるから、仕方ありませんよ。私達だけの為に待たせるのも申し訳ありません」


 我が儘のエルナと正論のオリビアと言った所ですね。

 エルナはともかく、オリビアが権力を使わないのは驚きましたね。

 考えて見れば、確かに嫌がらせをしていましたが、あくまでも個人が出来る範囲で、権力などは使ってはいませんね。

 そう考えると、この国の貴族の人達は権力を持っている人ほどその力を行使をしたりはしませんね。

 むしろ、半端にある人ほど自分は偉いと主張する傾向のようです。


「話を聞くとオリビアの言っている事の方が正しいと思うのですが?」


「そんな! シノアは、この痴女の肩を持つのですか!」


「甘んじて受けますが、いい加減に痴女扱いは止めてくれませんか? 公爵家の者が率先してルールを破るのは示しが付きませんよ?」


「それはそうなのですが……このまま何も食べないで寝るなんて……昼間は海の家で働いて、その後に探索もしていましたから……」


「わかりました。そもそもは私が原因なので、食堂の方に私がお願いして、何か作って頂けるようにお願いします」


 完全にどちらが大人の対応をしているのか明白ですね。


「食堂の方達はもう本日の仕事は終わっているみたいなので、私が2人に何か用意しますが、エルナもそのような言い方はダメですからね」


「ありがとうです! シノアならそう言ってくれると信じていました! オリビアにもそのようなつもりは無かったのですが、申し訳ありません」

 

 そろそろ仲良くして欲しいのですが……食料に関しては、私はかなり貯め込んでいるので問題はありません。

 別に食べなくてもマナポーションさえあれば良いのですが、気持ちの問題ですからね

 一緒に食事をして、オリビアと変な争いはお終いにして欲しいです。

 エルナには思うところがあるかも知れませんが、私は今が全てなので。

 みんなも感情を感じ取れればもっと理解しあえると思うのは私だけかな?

 そう考えるとこの能力は悪くないと思えますね。


「私も宜しいのですか?」


「私の収納には、常に食べ物は沢山あるので、問題有りませんから、オリビアにも御馳走しますよ」


「ありがとうございます。貴女の作る料理は美味しいと聞いていましたので、食べてみたかったので、嬉しいです」


「シノア! 私は、出来れば、お肉が食べたいです!」


 早速リクエストしています。時間的に微妙なので、そんな物を食べてお腹にお肉が付いても知りませんからね。

 まあ、ここの食事は海の幸がメインでしたから、エルナには物足りなかったのかも知れませんね。

 お風呂から上がったら、浜辺に簡易の建物でも作って、クロコダイルのステーキでも作りましょう。

 もう掃除もしてある厨房を借りるのは申し訳ないですからね。


「仲良く食べて下さいよ? 過去の経緯はともかく、私の友達が争っているのは悲しいです……」


「わかりました……ですが私がシノアの1番である事だけは、決して譲りませんので、それ以外は全て忘れますね」


「エルナさんには、何を言われても仕方ないと思っていましたのに……シノアさん、お心遣いは、ありがたく御受けさせてもらいます」


 仲良くはしてくれるみたいですが、謎の争いだけは続くみたいです。オリビアの方が一枚上手のようですね。

 その後、2人に食事を振舞ったのですが……。

 エルナは、お屋敷ではちゃんとした仕草で食事をしていますが、最近は、私達だけになるとマナーなど無視していい食べっぷりです。

 対照的にオリビアは上品な振る舞いで、食事をしています。

 最初に会った時はオリビアと同じだったのに、違う意味でエルナって堕落していますね。


 

 翌日も午後の帰る時間まで海で営業していたのですが、結局授業など最初に軽く話しをしただけでしたね。

 完全な教師を含めたバカンスですよ。

 私に至っては、泳げなくていじけて作ったお店で商売をしていただけですが、良いのかな?

 まあ、みんな楽しかったみたいなので私は気にしませんが、最終日はユリウス達もお店で頑張ってくれたので、この学園で私を邪険にしていた人達がいなくなって、私としては満足です。

 唯一の心残りは、カミラを私の眷属にしてしまった事だけです……しかも、私が本人の意思も確認しないで……。

 本人は、生き返らせた事に感謝してくれていますが、不老不死などと言えば聞こえは良いですが実質は私に永遠に付き従う従者ですよね……。

 

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― 新着の感想 ―
[一言] つまりセリスは、全力で癒せば最上級聖魔術に近い回復力を扱う事が出来ますが、それをなるべく見せたくないので、大きな怪我をしても咄嗟に半分以上を回復させているから、大怪我をしていなと思っているだ…
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