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生まれ変わったのですよね?  作者: セリカ
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3 出会いと

 当然の様に泉で目が覚めました、貴重な服がボロボロになってます。

 あの後、何とか神殿から脱出できたのですが神殿の周りにも沢山居て、頑張ったのですがマナが切れて動けなくなった所を滅茶苦茶にされました。

 なまじ部分的に噛まれたり食いちぎられたりしてたので、拷問かと思いました。

 あーいう時こそ、一思いにやってくれた方が良いのに……とにかく痛かったですよ。

 どうせ動けないので、整理してみますと私の血にはエルフと天魔族とあと2種族の混血となりますが一つは恐らく人間と思います。

 見た目が人になっているからね。

 私はどうも他の使徒とは違うようですね。

 レベルが固定されずに上げれるけど、サテラさんからもらったレベルが反映されないのは何故なのでしょう?

 せっかくいきなり強くなれると思ったのにちょっとショックです。

 増えていた英霊召喚を使う為の条件は何でしょう?

 使えたとして、お話とか出来るのでしょうか?

 サテラさんは呼んでもらえる時が楽しみと言っていましたので、おそらく可能と判断致します。

 貰ったアイテムを確認したいのですが早く動かないかな。

 マナ切れで、かなりダメージ受けていたので、まだしばらくは無理と思いますが。

 しかし、あの鏡に魂だけ閉じ込める魔法は考えてみたら恐ろしいですよね。

 この世界のレベルの概念がわかりませんが、私より圧倒的な強者なのに魂だけ封印されて、肉体は無防備な所を破壊して、最後に鏡を割ってしまえば死亡とか、強さとか意味無いですよね?

 あれ?

 そうするとサテラさんのお姉さんは何故止めを刺さずにそのまま放置したのでしょう?

 悩んでいるとやっと少し動ける様になってきましたよ。

 まずはもらったアイテムを出してみると、少ないと言ってましたがいっぱいありますよ。

 まずは薬? ポーションの類ですね。

 謎の薬品が10種類と体力回復ポーションが10本とマナのポーションが何と30本もあります!

 これは嬉しいですね、私はマナが命ですから、これはいざという時に使いましょう。

 あと、エリクサーとかいう薬が5本あるのですが何の薬なんでしょうね?

 後は槍が5本と剣が2本と衣服が10着とインナーみたいなのが10着と、これは下着なのかな?

 ちょっと面積が少なすぎる気がするのですが、まあ個人の趣味なのでしょう。仕舞っておきますが、20枚もあるよ!

 後は指輪が3つと腕輪が2つとブーツが2つと立派な靴一つと調味料みたいな物が4種類ほどとマナが込められた紙が12枚ほどありました。

 そして、開け方のわからない箱があるのですが……中身が気になりますのでいつかサテラさんを呼んだ時に聞いてみましょう。

 一番気になったのは、サテラさんの日記です!

 読んではいけないと思うのですが、情報を得る為にも読みたいです!

 しかし、私はよく考えたら字なんて読めない事に気付きました。

 そんなの教えてもらってないしね。

 諦めかけていたのですが……あれ?

 何故か読めます!

 そう言えば、さっきもポーションのラベルの文字が読めましたよね。

 どうして、文字が読めるかは気になりますが、良い事なので良しとしましょう。

 私の中に居るので死んではいませんが、読んでみたいです……どうしましょうか。

 今の私にはとにかく情報が不足しているので、何でも知りたいのです。

 心の中で、サテラさんに謝りながら読む事にしました。

 日記の内容は戦争に参加してからの事が一行日記の感じで、書いてあるようです。



 〇の月×の日

 今日から私とステラ姉さんは戦争に参加するようにと告げられたので、私は生きている間はここに書き残していこうと決めました。


 しばらくは戦果報告みたいになってますが、確か10歳の時と言ってましたから、内容からするとサテラさんは最初からかなり強い方ですね。


 〇の月×の日

 今日は幼なじみの子が戦死してしまいました……仲の良かった子だったので、死ぬ間際に私が魂を受け継ぎました。今の私には呼べないけど、必ずまた再会してみせると誓いました。


 段々と書く間隔が大雑把になってきましたね。

 もっとこまめに書いてあれば情勢がわかるのですが……かなり適当ですよね?

 

 〇の月×の日

 条件を満たしたので、みんなを呼べるようになりました。数年振りだったけど、みんな私の成長に合わせて同じぐらいになっています。親友のユーリーは私と違って凄く育っていて、会えたのは嬉しかったけどちょっと切なくなりました……姉さんとは双子なのに私と違い過ぎるし、成長の条件が知りたいです。


 呼び出すのに数年も掛かっているので、かなりレベルを上げないとダメな気がしてきました。

 これは最低でもレベル100とか要るのではないでしょうか?

 サテラさんは私と変わらない体形をしていましたよね?

 はい、分かりましたよ切なくなった理由が……。


 〇の月×の日

 私は10人の召喚が出来るので、戦場ではほぼ敵無しで戦っていたら、 魔龍王様に使徒にならないかとお声を掛けてもらいました。

 〇の月×の日

 使徒の力をもらった私は一人で1軍と戦える強さになったし、姉さんも神王様の使徒になったので、二人で戦えば無敵とも言えました。特に姉さんの鏡面結界さえあれば、レベルの高い相手の使徒でも捉えれば勝てるので、余裕です。

 〇の月×の日

 力を過信しすぎていました……今日、私の大事な人が私を助ける為に死んでしまいました……戦いが終わったら一緒に暮らそうと約束してたのです。姉さんは慰めてくれましたが、心に居るとはいえ、私には納得が出来ませんでした。


 ここから日記の間隔が更に曖昧になっていますね。

 大事な人というのは婚約者の方なのでしょうね。このまま読んでも良いのかな……。


 〇の月×の日

 私が集めて育てていた孤児の子達が一緒に戦うと言ってますが、私は戦いよりも平和に暮らして欲しいのです。

 〇の月×の日

 気が付けばもう100年も戦っていますが、いつになったらこの争いは終わるのでしょう? あの日から私は甘さを捨てたので、戦場では恐れられる存在になっていましたが、もう疲れてきました。

 〇の月×の日

 今日、私の一族の村が皆殺しにされてしまいました。最後の部族でした。元々の数も減っていたので、さほど時間は掛からなかったみたいです。私と姉さんのような存在を恐れて、またこれ以上強くさせない為に。天魔族は全ての相手から危険視されていましたから。これで生き残っているのは私の知る限りは8人になりました。

 〇の月×の日

 周りの敵対する勢力を倒したら、神王様が魔龍王様の不意を突いて襲ってきました。私の仲間もかなり倒されてしまいました。昨日まで一緒に戦っていたのに……。

 〇の月×の日

 かなり劣勢でしたので私も覚悟を決めてかなり倒してやりましたが、相手には姉さんが居ます。まだ対峙してはいませんが私は戦えるのでしょうか?

 〇の月×の日

 姉さんから、こっちの陣営に来て欲しいと誘いの手紙が来ました。神王様は私を最高位で迎えるとの事ですが、私に仲間を裏切れと? しかも相手は卑怯にも、握手しながら背後から斬りかかってきた奴なんですよ? 大方、私があちらの使徒をほとんど倒してしまっているから、穴埋めに欲しいだけと思います。

 〇の月×の日

 取り敢えず姉さんとは話がしたいので、二人で会う約束をしました。

 〇の月×の日

 まさか姉さんに謀られるなんて……相手は姉さん以外に3人も使徒がいましたが、1人は倒して、いま森に隠れています。流石に戻れるか怪しいですね。

 〇の月×の日

 気配を消して隠れていますが、まだ探しているようです。姉さんとは感覚的に繋がっているので、私がまだ潜んでいる事はわかっているはずですからね。

 〇の月×の日

 10日ほど経ちましたが、まだ諦めずに探しています。私をここに足止めするだけでも十分なのでしょうね。

 〇の月×の日

 使徒の1人が私が養って居る子達を始末してやったと叫んで宣伝しています! あいつだけは絶対に殺すと誓いました。

 〇の月×の日

 姉さんが念話で、何人かは助けて匿っているからと言ってます。返事をして聞きたいのですが応えたら所在が知られてしまいます。あの子達の安否も知りたいのですがどうすれば……。

 〇の月×の日

 姉さんからの念話でこの先の神殿で一人で待っているから来て欲しいと……そこで、私を捕らえるのかな? 最初の時も4人で来たのに信じられるわけがないよ!

 〇の月×の日

 このままでは、時間だけが過ぎてしまうので行く事にします。1対1なら私は負けませんが、姉さんの方が英霊が多いので、結界に追い込まれたら……残りの二人の使徒も強敵ですから、数で負けますね。あの結界は最強ですが、捉えるのが難しいので追い込む数が必要なのです。


 ここで日記は、終わっていますね。

 この後は、戦いになって敗北もしくは相打ちになったのでしょうね。

 しかも100年も戦っていたとありますので、今はどうなのか分かりませんが、戦禍の絶えない時代だったのですね。

 そして、最後には身内のしかも双子のお姉さんと戦う事になるなんて、悲しいですね。

 生き残りが8人と書いてありましたから、二人が相打ちなら6人になります。今でも生きているのでしょうか?

 もう少し現在の情勢がわからないと何とも言えませんが、取り敢えず私のレベルを上げないことには、この森から出て、誰かに会う事も出来ません。

 この森は魔物の強さがばらばらなので、弱い魔物だけと思ったら、いきなり化け物クラスの魔物まで現れます。まずはどんな敵と遭遇しても勝てる力が必要です。

 サテラさんの持っていた槍なんですが、見るからに強そうですけど私に使えるのは一つだけでした。後は何らかの呪いなのか、制限が掛かっていて、意識して装備しようとすると、急に重くなったり、気分が悪くなったりしてしまいます。

 私には武器鑑定のような力があるので情報は読み取れるのですが、一つを除いては名前や詳細も分かりません。

 その使える1本がこれですが



 名称:バルディッシュ・アサルト


 効果:マナを込めると威力と突貫力を高めることが出来る


 状態:正常



 私の切れる棒と違って立派な武器ですね。

 しかも長いから、わざわざ接近しなくても中距離で攻撃出来るなんて素晴らしいです!

 少し重いですがマナを込めると、込めた量に比例して軽くなっていきます。

 今日から、これを使わせてもらいましょう。

 私には槍術などありませんから、適当に振り回すだけですが、その内に使えるようになる事を祈ってます。

 剣もあるのですが情報すら読み取れません。

 しかも、装備しようとすると体が異常に重くなります。

 なので、取り敢えずは収納に封印です。

 帯剣は、切れる棒のままなので、かっこわるいです。

 防具に関しては、6着は私服みたいですが、3着は何か力を感じる軽装の鎧みたいな物ですね。一つはサテラさんが着ていたドレスのような服が有りますが、私には着れないようです?

 何となく着る事を拒否されている感じがします。

 これは先ほどの剣や槍と同じように何らかの条件が必要と思われます。そうなると私に着れるのは私服と二つだけになります。一つは肌の露出が多い服で何か力を感じますが、ちょっと恥ずかしい感じが……。

 もう一つはミニスカートの軽装の服のようなので、これが一番良さそうです。

 何となくマナが増えた気がしますし、私の周りを見えない力が覆っている感じがします。

 後の私服は、立派なドレスと軽い服と寝間着のような物なので、とりあえずは仕舞っておきましょう。

 ブーツに関してはどちらも履けましたので、軽いのにしました。

 やっと、物語の最初の始まりにきた感じですよね。

 もし、次に女神様に会うことが出来たら、服と簡単な武器ぐらいはサービスして欲しかったと訴えましょう!


 改めて狩りに出かけると動きが軽くなった気がします。

 走る速度もなんか早くなったような?

 多分このブーツに何らかの魔法が込められているのでしょうね。

 そして、いつもより敵の攻撃を躱し易くなっています。

 この槍にしても適度にマナを込めれば軽いし、よく切れます。

 これなら、魔法を使うより効率的に戦う事が出来ます。

 いつもなら、熊みたいな魔物の攻撃を受けるとざっくり切られて最悪なのですが、怪我はしないで吹き飛ばされるだけで済んでいます。

 噛まれても痛みはありますが、食いちぎられたり出血もあまりしません、見た目とは違って、この服はすごく丈夫です。

 ブーツに関しても、噛まれたら相手の牙が折れたので凄いですよ。

 これなら、頭と肌の露出している所だけ防御を完璧にすれば、もう怪我をしなくて済みそうです。

 魔法を使ってくる魔物がいても、以前でしたら風穴が開いたりしてましたが、衝撃で吹き飛ばされる程度で済むなんてすごすぎます。

 怪我はしなくなりましたが、攻撃を受けると痛みだけはあります。これでサテラさんが持っていた痛覚遮断があれば、何も気にせずに戦えますので私にも欲しいです。

 これなら、しばらくは安心して、レベル上げに専念できますので、サテラさんには感謝ですね。


 ちょっと余裕が出てきたので、薬品とかも調べてみました。

 私の錬金魔術を使えば薬の効果なども分かる事に気付きました。ちょっと分からないのをなめたりしてましたが、この分からなかった薬品は毒薬の類ですね。

 ちょっとピリッとしましたが、私には毒物などは効かないみたいなので安心しています。もしかしたら、死んですぐに意識が戻っているのかも知れません。

 中には、合成専用と明記してあるのもありました。

 みんな少しずつ舐めていたのですが、これ、生まれ変わる前でしたら、即終了してましたね。

 そして、このエリクサーなる薬はすごすぎます。失われたところ以外はどんな怪我でも速攻で治して、体力とかマナも全快させるとか、勿体なくて使えません!

 ちょっと舐めてみたら、味もとっても美味しいのでちょっと飲みたくなってきましたが、普通に飲んだりしたらアホですよね?

 飲みたいですが我慢して仕舞っておきましょう。

 スクロールには、なんか強力な魔法が込められていましたので使ってみたいのですが、1回使うと無くなってしまうので、勿体ないから仕舞っておきました。

 知識としては知っている攻撃の魔法ですが、私には決して使えない魔法ですね。

 恐らく、いざという時の切り札とかでしたのでしょうね。

 使い方は、マナを込めて解放するだけなので、今の私にも使えますが……ちょっと、使ってみたいな―。


 あれからかなりの日数が過ぎたと思うのですが、そこそこ戦えるようになったし、移動範囲も増えてきたし、何よりもマナを貯蓄しておく能力のような物も使える様になりました。

 私には自分の劣化版の分身を作る事が出来る様になりました。かなりマナを使いますが、取り込めば使った分だけ回復します。

 なので、試しに可能な限り作り出してみましたが、8体まで可能なようです。

 一応、話しかけると返事もしてくれて素晴らしいのですが、戦闘力などは皆無でした。

 あっさりと殺されてマナが大量に減っただけです。

 試しに収納に仕舞おうとしたら、不可能でした。取り敢えずマナの保険として泉に待機させてますが、何とか連れて歩きたいです。

 作るだけ作って、自分のマナを全快にしておけば、沢山の魔法が使えるのに半端な能力ですよね。

 色々と探索した結果、この森では廃墟となったお城の跡と洞窟が一番気になりました。

 お城の方は、敵が強すぎて今の私には入り口の辺りの魔物を倒すのが精一杯なので、もっと強くならないと中の探索は無理です。

 洞窟の方は5階層ぐらい潜ったところ、敵はそこそこの強さなのですがどこまでの深さなのか皆目見当もつきません。ただ奥の方から強者の気配がしますので、ここも今は深くまで降りるのは無理ですね。

 そして、いくつか街道のような所に出ることが出来ましたので、これは人里とかに行けるかも知れません。今はもう少しレベル上げに励みたいとこですので、たまに見に来る様にしましょう。

 出来れば誰かとお話をしてみたいですね。考えてみればサテラさんと話したのもいつだったやら……。

 精霊魔術があるので、しーちゃん達とお話し出来るかは試してみたのですが、会話は不可能で、私のお願いを聞いて少し手助けしてくれるレベルです。

 あの子は今頃どうしているのかな?

 固有能力から精霊の寵愛が無くなってから、みんなの声が聞こえなくなったのです。

 加護はあるのにね。

 もう少し、この白い氷が降っている間は頑張ってレベルを上げる事にしました。


 そして、日差しが暖かくなって、気持ちのいい風が吹く様になった時の頑張った結果がこれです。



 名称:シノア


 種族:見た目は人


 年齢:不要


 職業:不要


 レベル:25(+700)


 技能:初級槍術 初級体術 初級精霊魔術 中級火魔術 初級水魔術 中級風魔術 初級級土魔術 中級雷魔術 初級聖魔術 初級闇魔術 初級錬金魔術 初級武器創製 鑑定 気配感知 危険感知 並列思考 魔力索敵 魔力操作 


 固有能力:精霊の加護 紅玉の魔眼 反転 吸収 英霊召喚 次元収納 ?の加護 ?の使徒



 生まれ変わる前のレベルも超えて、女神様が言っていた、この世界の鍛錬した者の近くまでは上げれました。

 普通はこの短期間で上げる事は不可能ですが、私には疲れないとか睡眠が不要という強みがありますからね。

 唯一の弱点はマナが切れてしまった時です。

 ちょっと調子に乗って洞窟を9階層まで探索したら、マナ切れで倒れてしまいました。

 ポーションを使おうと思ったのですが、私はアホの子でした……動けないのにどうやって、収納から出して飲めと。

 お約束通りにぼこぼこにされて、気が付いたら泉にいましたよ。

 この体のもう一つの欠点は、マナがあとどれだけなのかが切れるまでわからないのです。

 大体、使った魔法でわかるのですが、ちょっとピンチになると乱用してしまった結果、突然倒れて何も出来なくなるのです。

 今の私ならもう少し行けると思うのですが、余裕がなくなるとつい使ってしまうし、それに私は貧乏性なので、勿体なくてアイテムを使うのを躊躇してしまいます。

 しかし、どうやって技能を上げれば良いのでしょうか?

 増えた物もあるのですが3つ以外は、初級のままです。

 上がると思って、貴重なマナを使っていたのですが変化無しです。

 知らない間に中級になっている物もありますが条件が分かりません

 普通の人はどうやって上げているのでしょうね?

 今日は可能な限り遠出をしてみようと思って、現在探索中です。

 ちょこちょこと魔物を倒しながら進むと多数の気配を発見です。これは弱いですが結構な数と見ましたが、中には強い気配も感じますので、どうしましょう?

 しばらく集中していると反応が減ったり増えたりしています。

 今までこんな反応は無かったので、ちょっと行ってみましょうか。

 まあ、最悪は全力で逃げれば良いので取り敢えず向かってみましょう。



「なんでこんなに魔物がいるんだ!」


 いつも通り、街道を王都から戻る若様とお嬢様の護衛だったんだが、今回に限ってやたらと強い魔物が度々襲ってくるのだ。今度の襲撃はさらに仲間を呼ぶハウンド・ウルフが居る。

 厄介なことにこいつは群れで行動して、半数になると近くの仲間を呼ぶとかふざけたスキルを持っているので、速攻で全部倒すか範囲魔法で倒すのが望ましいのだが、一部の個体が通常よりやたらと強い。


「アレン、私も外に出て戦います! このままでは負傷者だけが増えて皆殺されてしまいます!」


「ダメです、お嬢様はそこから魔法で援護に徹していて下さい!」


 お嬢様はそこそこ剣術と魔法は使えるが所詮は学院のレベルだから、接近戦とかまず無理なので、馬車から魔法で俺たちの補助をしてもらえば良いのだが。そろそろやばいな護衛がもう俺以外に二人しかいない。

 最初に魔術師の奴がやられたのは痛いな……強がりを言っているが次に魔物が増えたらお終いだな。


「まさか……何故、マンティコアが来るんだ?」


 森の奥に行かないと現れない魔獣だ。知能も高いので魔法も使ってくる個体もいるぐらいだ。

 全滅確定かと、思った所に突然少女が声をかけてきた。

 

「あのー、助っ人いりますか?」


「はぁ? 何を言っているんだ!君こそ直ぐ逃げなさい!」


 突然現れた小娘に倒せるわけがない、むしろ被害者が増えるだけではないか。


「しかし、どう見てもそちらはもう満足に戦えないと見ましたので、私が狩りますね」


「待つんだ!」


「あれなら、なんとかなりますので、防御に徹していて下さいね」


 俺が止めるのを聞かずに魔物の群れに突っ込んでいったぞ!

 俺は夢を見ているのか?

 あの娘はなんの躊躇いも無くハウンド・ウルフを倒していくぞ……かなりの俊敏性もあるので、そこそこの強敵なのだが。

 マンティコアとも対等に戦えているし囲まれて背後からも襲われているのにまるで、見えているように反撃もしているし、あの娘は何者なのだ?

 ただ一つ言えることは、我々はここで死ぬのは免れそうだ。


 あら、これは人が襲われていたのですか。

 あの犬は、適度に減ると仲間を呼ぶので、最初の頃は散々な目に遭いましたが、格上になってからはいいカモなんですよね。

 適当に狩ると仲間を呼ぶので、一度どれだけ呼ぶのか試しましたら、諦めないのかずっと呼ぶのです。私は疲れたりしないので、むしろありがたかったです。

 確かあれを黙々と狩った後に中級火魔術になっていたような気がします。最近は見なくなっていたので、まさか狩りつくしてしまったのではと思っていましたよ。

 まったく見なくなっていたのですが、こんな所にいるとは。ちょっと替わって狩りたいのですが、人もいるので様子を見てましょうか。

 段々、護衛の人が倒れていきますが、何故、魔法を使わないのでしょうか?

 この犬は、キリが無いので、範囲魔法とかで一気に殲滅しないと普通の人にはまずいと思うのですが、魔法が使える人は居ないのでしょうか?

 それにそろそろ限界のようなので、ちょっと行って見ますかな?

 このまま見殺しにするのは良くないですからね。

 あっ、羽の生えた魔獣が来ましたよ。

 流石にあれは、犬より強いので、あの人達の戦いぶりから言って無理でしょうね。

 よし、ちょっとお手伝いに行きましょう。

 一声掛けて、手伝おうとしたら、逃げなさいとか言われました。

 ちなみにこの人はこんな感じですね。



 名称:アレン


 種族:人間


 年齢:30


 職業:騎士


 レベル:32


 技能:中級剣術 中級護身術 中級衝撃耐性 中級体術 気配感知


 固有能力:



 これが普通の方の能力なんでしょうか?

 魔術とかありませんね。

 レベルは私より高いので、体力勝負と言ったところかな?

 そう考えてみると、私はおかしいのか技能なんかも多いので恵まれているのかも?

 よく見たら鑑定が無いので、私の能力はわからないですね。

 すると、この人は私の身を案じてくれたのですね。

 まあ、この人から見たら、どう見ても小娘ですし、当然ですよね。

 取り敢えず狩ってしまいましょうか。

 まずは犬を殲滅したいのですが、ちょっとばらばらに散らばっているので、先にでかいのから倒します。

 この魔獣は飛べるし、たまに魔法も使います。飛ぶと空から遠距離攻撃をしてくるので、まずは翼を切り落とすのが先です。

 上手く爪を躱して接近して、片方を落とすのに成功しました。これで飛べなくなりましたが、こいつは魔法が使えるタイプの様で『ファイヤー・ボルト』を連発してきますし、気を付けないと尻尾でも攻撃してくるのです。あのとげとげの塊に当たると痛いんですよね。

 おまけに距離を取ると犬が背後から襲ってくるし、まったく卑怯な魔物です。

 気配感知と危険感知がなかった頃は、背後からとか攻撃を受けまくりでしたが、今は、対応出来ますので、余程速くない限りは躱せますし、反撃も可能です。

 うざい『ファイヤー・ボルト』をいくつか躱していると段々と手数が減ってきましたね、そろそろマナ切れかな?

 この服に当たる前にマナを少し集中すれば、初級魔術なら、打ち消せますので、便利なんですよね。

 ようやく近づけますので、後は尻尾を斬ってマナが切れればただの大きな犬と変わりません。

 槍に多くマナを込めて一気に首を落として、こっちはおっけい。

 後は、犬ころを殲滅したいので。


「おじさん、馬車の近くの犬を頑張って倒してください!」


「そんなことをしたら、仲間を呼んで君の方に集中してしまうぞ!」


「構いません、魔法で一気に倒したいので。散らばっていると倒しにくいのです」


「君は、このハウンド・ウルフの特性を知っているのか……わかった、君に任せた!」


 おじさん達が周りの犬を倒すと私と対峙している個体の最後尾の犬が呼び始めました。

 私の前には一気に10体に増えた犬がいますがこれなら、後ろを気にせずに範囲魔法が使えます。

 中級雷魔術になった時に使える様になった魔法で一気に殲滅しましょう。


「ライトニング・ストーム!」


 唱えると全ての犬に電撃で、攻撃が当たります、この魔法の良い所は必ず相手に当たる事なので、殲滅するのには向いています。耐性の高い相手には麻痺程度になってしまいますが、それぐらいしか欠点が無いので非常に使えます。

 おじさん達も安心して座り込んでますが大丈夫かな?


「終わりましたよ!」




 正直、俺は驚いている……

 囲まれても動じないし、背後からの攻撃にもやすやすと対応できるし、あのマンティコアを倒して、ハウンド・ウルフを魔法で全て倒すなど誰が想像したか。

 最後に使った魔術だが、雷撃の魔法を使える魔術師はあまり居ないのにこの娘は槍で近接格闘も出来る。

 しかも、どう見てもお嬢様より年下にも見える娘の強さでは無い。

 見た目と年齢が合わないとは、エルフかドワーフなのかも知れない。

 公爵様のお抱えにもこれほどの使い手は居ない。

 この娘は何者だ?

 いや、そんな詮索よりも、まずは我らの命の恩人なのだ失礼の無い様にしなくては。


「危ない所を助けてくれて、ありがとう。そして、最初の失言を許して欲しい」


「ん? 失言とかありましたか? あれは私の身を案じて言ってくれたのですよね?」


「君の強さを知らなかったので、我らのせいで犠牲者が増えてしまうと思ってね」


「私を見れば、普通に考えたら無理に見えますよね?」


「私からもお礼を申し上げます」


 あら、綺麗な子が出てきましたね。



 名称:エルナ・バレンタイン


 種族:人間


 年齢:15


 職業:魔法剣士


 レベル:10


 技能:初級剣術 初級弓術 初級護身術 初級聖魔術 中級料理人 


 固有能力:



 この子は一応ですが私と同い年です。

 このぐらいレベルが普通なのですから、私が強いとは思いませんよね。

 出来ればお友達とかになって欲しいのですがお嬢様とか呼ばれてましたし、無理かな。


「お姉さん、ありがとうございました」


 次に出てきたのは、大人しい感じの子ですね。



 名称:カイト・バレンタイン


 種族:人間


 年齢:10


 職業:剣士


 レベル:6


 技能:初級剣術 初級護身術  


 固有能力:


 

 男の子ですが可愛い子ですね。

 何となく、ぎゅっとしてあげたいです。


「取り敢えずまだ息がある人を治療致しますね。ただし軽い治療しか出来ませんが」


 そう言って、回復魔法のキュアを使ってみたのですが、今まで使ってなかったのでわかってなかったのですが、傷をふさぐのと少しだけ体調を良くした程度でした。

 言い出しておいてこのぐらいしか出来ないとは。


「君は聖魔術も使えるのか。しかもあの戦闘のあとに皆を治療まで出来るとは、さぞ有名な冒険者なのだな」


「えっと……私は冒険者ではありませんし、こないだまでそこの森で暮らしていた世間知らずですよ」


「森って、この魔狼王の森でか?」


 何か不味い感じの名前の森ですね。

 暮らしていたのは本当ですが普通ではありえないのかも?

 まずいですよ、早くもぼろが出そうです。


「私を育ててくれた方が亡くなってしまったので、ちょっと降りて来たのですよ」


「君の強さを見れば暮らしていたのも納得出来るな、我らが諦めていた魔物を倒してしまったしな」


 おおっ良かったです!

 納得してくれましたよ。

 これ、普通に接触して、話をしていたら間違いなく頭のおかしい子と思われていたかもね。

 亡くなった方には申し訳ありませんがウルフ君に感謝しますよ。


「宜しければ君の名前を聞いても良いかな? 私の名前はアレンと言う。この馬車の護衛の隊長している」


「私はシノアと申します」


「私はエルナ・バレンタインと申します、この子は弟のカイトと言います」


「姉上、僕が自分で言おうと思ったのに……」


 残念がっている表情も可愛いですね……報酬にお持ち帰り出来ないかな?

 そんな事を考えているとエルナさんが話しかけて来ましたよ。


「この後、シノア様はどこに行かれるのですか?」


「特に目的はありませんので、散策していたのです」


「宜しければこのまま私の家の領地まで御一緒して欲しいのですが。今回の御恩にも報いたいし、護衛料も出来る限り手配致しますので。どうでしょうか?」


 私、初めて様で呼ばれましたよ!


「私の事は普通にシノアとお呼び下さい。ちょっと町とかに行ってみたいと思っていましたので、護衛の件はおっけいですよ」


「それではシノアと呼ばせて頂きますね」


「護衛の件は俺からも頼むよ。正直色々とぎりぎりだったので、君のような強者が居てくれれば助かるよ」


「宜しければ道中で、世間の常識などを教えて頂けると助かります。ずっと森にいたので、世の中の事もわかりませんし、知り合いも居ませんので」


「では、目的地まで、私とお話しをしながら行きましょうか」


 よし!

 ようやく他の人と話が出来ますよ。

 これで、しばらくはボッチ生活から脱出が出来ますので、こちらとしても嬉しいですよ!



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― 新着の感想 ―
[良い点] まだ少し読んだ程度ですが、いい内容だと思います。 [気になる点] 読んでいる途中に、いきなり視点変更されると少し理解するのに時間がかかるので、視点変更する時は予め何かで区切って欲しいなと思…
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