37 6人目ですね
昨夜は、色々と準備をしていたので、本日は朝から出発です。
キャロには、職業に魔術師を付けておいたので、少しはマナが増えていると思います。
私の服を仕立て直したので、硬化の付与がされてますから、ちょっとの攻撃なら耐えれるはずです。
本人は、こんな高価な物は着れないと言っていましたが、キャロは私と体格が近いのでこれが一番早く用意出来たのです。
シズクが後ほど、「魔女っ娘の服を改めて作るので楽しみにして下さい!」と言ってましたが、もしかしてあの恰好なのかな……魔女っ娘キャロとか名前はすごく似合ってますね。
私も護身用の短剣と魔力強化の杖を作って渡しましたので、準備は万全です。
ダンジョンに入る前についでにギルドの登録もしておきました。当然ランクGです。今回は受付の人もキャロのレベルを見たのですが「何日で、レベルとランクが上がるのかな……」とか呟いていましたね。
今回は、外回りで行く事にしました。
ギムさんに聞いたら、覚えていたらしく教えてくれました。
「あそこは、安全地帯を確保しながら行くのが普通なので、大抵は外周から行くのが普通だな」
「中央の方が近いと感じるのですが下に降りる階段に着けるのですか?」
「あそこの階層は、確かに中央から行くのが近道なんだが休める所がないので、余程のメンバーを確保しないと常に襲ってくるからお勧めはしないな」
「感覚的にどのくらいの差があるのですか?」
「地形的には奥が凹んだ形が50階層まで続くんだが、その娘も連れて行くのなら外回りの方が安心だろう?」
今回は、エルナ達の体調とキャロの育成を兼ねてゆっくりと行くつもりです。
意外なのは、魔物と戦闘になってもキャロが怯えたりしないので、少しづつ魔法の使い方を教えながら進めています。
キャロは私の説明をちゃんと聞いて、言われた通りに行動していますが、平気なのか聞いてみると。
「シノア様達はお強いので安心していますから。頑張って覚えます」
私より年上なのですがちょっと可愛いですよ!
やばいです……何となく守ってあげたくなるような保護欲が出てきました。
世の男性は、きっとこういう子が良いんでしょうね。
魔物の死体とかを見ても平気なのは、村でよく冒険者の人の狩って来た動物などの解体も手伝っていたので、あまり気にならないそうです。
エルナは問題外ですが、カミラも最初の頃は嘔吐とかしていましたけどね。
一応、キャロには、セリスの全支援と私の『ヘキサグラム・シールド』を使って防御していますので、余程の事が無い限りは大丈夫だと思います。
「シズク、キャロが倒しやすいように単体で誘導して上げて下さいね」
「お任せ下さい! 適度に戦闘能力は奪って連れてきますので確実に倒せると思います」
シズクが適度に弱らせたリザードマンをキャロの方に誘導してくれるので、当てるのは楽です。
「いっ、いきます。『アース・スパイク!』」
2回も使えば肩で息をしていますがここでは、この魔法が確実に倒せます。
指定した相手の地面から土の槍が出るので、弱って動きの鈍い魔物はみんな串刺しです。
少しづつマナポーションで回復しながら、適度に時間を空けて倒させていますが、中々の精度なので良いですね。
よく見れば、他の冒険者の方達もちらほらと居ます。
そろそろお昼なので、休憩の為に私が石の家を作ったら、めっちゃ注目されましたけどね!
「キャロ、調子はどうですか? もしきつかったら言って下さいね? 普通に考えたらキャロには厳しいところなので、キャロの安全重視で行きます」
「ありがとうございます。いまのペースでしたらなんとか付いて行けます。気のせいですが何となく最初よりは、少しだけ大丈夫だと思います」
いきなりレベルが5つもあがりました。ここの魔物でいくつまで上げれるのかちょっと楽しみです。
「じゃ、私とセリスでご飯の用意でもするから、みんなは休んでいてね」
「私もお手伝い致します! 主に食事の用意をして頂くなんて、とんでもないです!」
「キャロは、一番休まないといけないので、しっかりと体を休めていて下さい。ここでは、主とか関係ありませんので、気にしなくてもいいですよ?」
「しかし……」
「キャロ、シノア様がそう仰っているのですから従いなさい。貴女が慣れて来たら、一緒に手伝ってくれればいいので、いまの貴女の仕事は休む事です」
「セリスさん……わかりました、では、お言葉に甘えて少し横にならせていただきます」
先輩のセリスが言ったお蔭で、毛布にくるまって横になったら、すぐに眠ってしまいましたね。
実際は、かなり精神的に疲れていたはずですからね。
「さて、用意をしている間は、エルナとカミラはちゃんと勉強していて下さいね。その為にカミラに参考書を持たせているのですからねー」
「シノア、私も少し横になりたいのですが……」
「駄目です。ゆっくりと進んでいますので、それほど激しい戦闘はしていないし、もしもこれで成績が下がったらとんでもないので、しっかりと勉学に励んで下さい」
「せっかく、眠い授業を受けなくて済むと喜んだのに……」
この子は、学園に何をしに行っているのでしょうか?
エルナを慕っている人たちに今の姿を見せてあげたいですよ。
「カミラを見習って下さい。私に言われなくてもちゃんと勉強していますよ?」
「こんな所でも勉強とか、カミラは間違っていますよ?」
「エルナ様……学生の本分は勉強だと思うのですが……」
既に幻想を打ち砕かれたカミラは、改めて呆れていますね。
シズクは、何か絵を描いています。キャロの衣装みたいですが……本当にそれにするのでしょうか?
「シズク、一応聞くけど、それをキャロに着せるの?」
「よくわかりましたね! お姉様にこのステッキを作ってもらえば、魔法少女が誕生しますよ!」
こんな派手な衣装で地味に露出しているのですが……こんな服装で、町を歩いたら一日で有名になれそうですが……。
「作るのは構いませんが、その格好でお屋敷から出すのは禁止ですからね? 流石にその服装はキャロが泣きますよ?」
「えっ――! キャロお姉ちゃんのスタイルを生かしたかっこいいコスチュームなのに! もう台詞も考えてあるので、やってもらおうと思っていたのに!」
「……似合っているとは思いますが、この世界でその服装は、キャロが町中を歩けなくなってしまいますので、止めてあげて下さい。もっと魔法使いらしい服装にしてあげて下さい。この件でキャロを泣かしたら、お仕置きしますからね?」
「むむっ……言われてみれば、この世界では見ないので目立ち過ぎてしまいますね……残念ですがこれは、お屋敷の中で着てもらいますので、別の物を考えます」
屋敷の中では着てもらうのですか……お屋敷のお抱えの騎士団の男性が喜びそうですね。
食事を終えて少し寛いでから、出発しょうと思って簡易の建物から出たら、やたらと周りに魔物が居たので、私が範囲魔法で一掃してから出発しました。このルートは余り遭遇しないので、安全と聞いていたのに仕様が変わったのでしょうか?
ゆっくりと進んでいたので、階段近くに来た時には時間的には夜にななっていました。どうも周りも外の時間に合わせて夜になっているのですが、どういう仕組みなのでしょうね?
階段周辺には何組かが野営をしていたので、私達はちょっと離れたところに石の家を作ったのですが、ここは魔物が発生しないエリアから出ているので注意が必要です。
ナマズもどきを食べてみたかったので、食事は外で作ってしまいました。どうも他の冒険者の方達が隠れて様子を見ているみたいなのですが、何か目立つ事でもしているのでしょうか?
家の中にエルナの要望通りのお風呂を作って、みんなまったりしていますが、まだ家の周りを誰かが見ている感覚がします。
まあ、確かにこんな建物を作り出している方達はいないので、私達はかなり浮いています。『クリエイト・ウォール』という魔法なのですが、私のイメージとマナ次第で強度も変えられるので、とても便利なのです。
今回は事前に『ストーン・ウォール』も同時に使っているので、建物が強度の有る鉱石で出来ていますが『アイス・ウォール』と組み合わせれば氷の家なんて物も作れます。
最初は使っても何も起きない訳のわからない魔法だったのですが、並列思考と魔術並列起動がやっと私に意味がある様になった時に同時に使う事で初めて意味のある魔法だったのです。
要するに頭に中で同時に二つの魔法を行使しながら明確なイメージを構築しないといけないので、技能まで要求する魔法なのです。
私は、シズクのイメージのお蔭で効率良く簡単な建物を構築しやすかったので、大変に助かっています。
あちらの世界の建物は中々機能重視なので、素晴らしいのですよね。
お陰様で、私達はダンジョンの中なのに建物の中で寛げるので、多少の魔物がいる地域でも平気で休息が可能です。
他にも使えるけど意味が無い魔法があるので、何か組み合わせれば便利な事が出来るかも知れないのですが、私の中に眠っている知識は一体どうなっているのでしょうね?
一度組み合わせなどが分るとまるで思い出したように難なく実行できるのですが、これはノアの知識なのでしょうか?
何にしても便利なのであまり気にしませんが、可能でしたら、自分を解析とかしてみたいですね。
それにしても周りにいる気配は、珍しい物を観察している雰囲気では無いのですが、目的は何なのでしょうね?
1つだけ言える事は、好意的ではないのは私の感覚で分かるので、注意が必要です。
この他人の感情が察知できる能力があるのは本当に便利です。
「何が知りたいのか知りませんがごくろうですね―」
「シノア、どうかしたのですか?」
「いえ、ただの独り言ですから、さっぱりしたらゆっくりと休んで下さい。今晩は、私が見張りをします」
「この中にいれば安全なのでは無いのですか? 石の家とか言っていて、この壁は私でも破壊できないぐらいの硬さですよね?」
「まあ、密度を高く作ってありますので、この階層の魔物では破壊は出来ませんが油断は禁物です。なんにしてもしっかりと休息を取ってくれないと私が楽を出来ませんので、明日も頼みますよ」
「シノアがそう言うのであれば、そうさせてもらいますが無理をしないで下さいよ?」
エルナ達は私が作り出した建物に全く疑問を持っていませんので安心して休めると喜んでいます。
最初、カミラだけはすごく疑問に思って私に質問していましたが、シズクの「お姉様の魔法は偉大なので、何でもありです!」とか言ったら、セリスは当然だと賛同したし、エルナは私との愛の巣とか言い出すので、誰も疑問に持たなくなったのです。
キャロは何も知らないので、疑問すら抱かなかったけどね!
そのままみんなが寝静まって、周りを警戒しているとまだ何人かこちらを窺っているのかわかりませんが居ますね。
(お姉様、建物の周りに3人ほど気配がしますがどうしますか?)
寝たと思っていたらシズクから念話で話しかけて来ましたがよく気配がわかりますね?
(まだ起きていたのですか? 何人か居ると思っていましたが3人ですか。何をしているのでしょうね?)
(私が1人だけ拉致してきましょうか?)
いきなり拉致をしょうと提案して来るのですがあの漫画の設定通りに過酷な拷問でもする気ですか?
(何かされたわけではないので、いまは無視しておきます。シズクも寝て下さいね。私は以前にも言いましたが睡眠は不要なので問題有りませんが、シズク達は万全の体調でいて欲しいですからね)
(わかりました。お姉様にお任せして寝る事にします。おやすみなさい―)
(はい、おやすみ―)
さて、このまま何も無ければ良いのですが、少し他の冒険者の人達にも警戒しておいた方が良いみたいですね。
暇なのでポーションとか作っていたのですが、周りの気配が増えてきましたね。
時間的には明け方なのですが何となく不自然に集まって来ていますね。
これは、扉を開けたら結構な数の魔物がいると推測しますがこんな外れの場所に集まって来るとは思わないのですが……。
ちょっと屋根の一部を空けて覗いて見ると……なるほどね。
誰か知りませんが魔物を引っ張って来て、ここに集めていたのですか。
中々姑息な事をしていますがお礼に楽しい事をしてあげますよ!
引き付けて逃げようとしている冒険者に『アース・バインド』を使って足を固定してやったら、必死に防戦しています。
他にも3人ほどいたので全て固定してあげたので苦労していますね。
騒がしくなってきたので、他の冒険者が助けていますがこれなら、自分で片付けてくれそうなので、問題無いでしょう。
そろそろエルナ達の起きる時間なので、朝食の準備でもしてから、まだやっていたら観戦でもしますか。
「みんなそろそろ朝ですよ―。朝食の用意は出来ています。お風呂場の方に新しい水を用意しておきましたので、顔を洗って着替えたら、ご飯にしましょう」
「シノアの機嫌がとても良いのですが、何かあったのですか?」
エルナが紅茶を飲みながら聞いて来ますが、どうしょうかな?
(気付いていると思いますが、シズクは外の事をどう思いますか?)
(自業自得なので問題有りませんが、後で何か言い掛かりを付けて来るかも知れないので、状況を知らせておいた方が良いと思います)
死にはしませんでしたが当然こっちに何か言ってくるでしょうね。
「実は、明け方に他の冒険者からの嫌がらせを受けたのですが、ちょっとやり返しておいたのですよ」
「嫌がらせとは、何なのでしょう?」
「昨日も昼間に建物から出たら、魔物が沢山いましたよね? どうも誰かが引っ張って来て建物の周りに集めていたのですよ」
「そんな事は、冒険者の組合で禁止されているはずです!」
組合とか合ったのですか?
カミラって、意外と物知りなんですよね。
私は感心しますよ。
「それで、シノアはどんな事をしたのですか?」
エルナはもう私のした事に興味が行っているみたいですね。
「屋根の一部を空けてこっそりと何人かを地面に魔法で拘束して放置したので、自分達で集めた魔物を必死に倒していましたよ」
「それは……動けないのに大変でしたでしょうね」
「結構な数がいましたので、気付いた他の冒険者も駆けつけて、朝から頑張っていましたよ。エルナ達を起こすちょっと前までは、外で壮絶な戦いが繰り広げられていたので、私はワインでも飲みながら観戦していました」
「悪いのはあちらですが助けなかったのですか? 死人とか出ていたら問題になると思うのですが……」
カミラからは、あちらの擁護が出ましたが、私は、丁度良いお仕置きと思いますよ?
本当は、『ホールド・パーソン』で、完全に動けなくしょうと思ったのですが、今回は足だけにしているので、私はとても優しいと思うのですが?
「残念ながら、私は悪意のある者には、助け船は出すつもりはありませんよ? 心から反省して、助けを求めるのでしたら考えますがあんな事をするぐらいですから、私達が死んでも何とも思っていないはずです」
「それは、そうなのですが……」
「近い内にあちらから、何か言ってくるかも知れませんので、知っておいて欲しかったのです。私は、みんなを守る為でしたら、手段は選びませんので、いくらでも非情になります」
カミラはそのまま納得はしていませんが、何も言いません。
これから長い時を生きる私にとって、友達は何よりも大切な存在です。
以前にエレーンさんが遠い目をしていた事がありました。寿命で亡くなるのは仕方ありませんが、きっと助けられなかった後悔があるのだと私は思いました。
そんな思いは決してしたくないので、必ず守って見せます。
例え相手が神や魔王でもね。
その為にも今は、理不尽も撥ね退ける力が欲しいです。
支度が終わってから、外に気配が無いのを確認してから外に出ると、何か戦闘が有った事だけはわかりますね。
階段の方に向かうとまだ何組かの人達がいますが、私達に嫌がらせをしてた人達はいませんね。
そのまま次の階層に来ましたがどのルートにしましょうかな?
ここは、一気に中央のルートを全力で突き進んで先ほどの人達を追い抜いてしまうのが得策なのですが、キャロの危険性が高まるのでそれは無理ですね。
あの人達が左右のどちらを進んだかになりますが……。
「お姉様、どうなされたのですか?」
「どちらのルートにあの人達が行ったのかと思ってね。出来れば同じルートは避けたいのです」
「それなら、こちらの右の方から行きましょう。左の方は複数の人が歩いた形跡が残っています」
「私にはわからないのですがそんな事がわかるのですか?」
「僅かですが地面に足跡が少しだけ残っていますので、恐らく正しいかと思います」
足跡には気づきませんでしたね。
確かによく見ればまだ踏み歩いた形跡が僅かに戻っていませんね。
この階層の地形はしばらくすると元に戻るので、目印とか付けても無駄なのですよね。
魔力感知で探ってはいたのですが、私のわかる範囲にはもう居ないみたいなので迷っていました。助かりますね。
「では、右のルートから行きます。今日は階段よりも少し手前の辺りか次の階層まで行くかを目標にしましょう。なるべくなら、他の人達と遭遇しないのが望ましいですね」
「次に何かしてくる前に私が眠らせてしまいましょうか? お姉様の睡眠ポーションをその人達の野営地の空間に流せばしばらくは起きられませんよ?」
「それは、階段の安全エリアで見かけたら実行するとして、魔物が居る所だと永眠してしまうので止めましょうね」
「そうですか……そのまま自然に亡き者に出来るので、私達の犯行とはわからないので良いと思ったのですが……」
もう殺す気でいたのですか!
私も似たような事を考えていましたが……。
しかし、怖い子ですね……向こうの世界は平和と思ったのですが、常に殺し合いでもしているのでしょうか?
シズクの考え方は、漫画の内容に忠実に設定されているので、いまの忍者コスチュームの時は、何かあると直ぐに殺す事を提案してくるのですが……確か「隠密少女 操ちゃん」という漫画ですが、とにかく殺して解決する内容なので、教育に良くないと思います。
「シノア様、私もシズクの提案を実行するのが得策かと思います」
セリスまで、そんな事を言い出すなんて……シズクに汚染でもされたのでしょうか?
「2人ともダメですからね? 向こうが直接手を出してくるまでは、知らないふりで通しますので、絶対に実行しないで下さいよ? 絶対ですよ」
「わかりました……でも、近い内にお姉様にいちゃもんを付けて来るに決まっていますので、それまで我慢しますね!」
なるべく関わり合いたくないのですが……戦闘の様子を見ていましたが、実力的にシズクと戦ったら、あちらがみんな殺されてしまいますので、来ない事を祈っています。
それから反対ルートを選びながら50階層まで来ましたが、問題の人達がボスの扉の前に陣取って動かないですね。
仕方ないので、50階層の中間地帯で、家を作ってキャロの育成をしているのですがもう3日も動かないのですがどうしましょうね?
誰も通らない場所なので魔物の気配しかしませんが、常に周りを魔物が徘徊しています。
最近は慣れて来たので、家の上から範囲魔法で一掃してから、沸いた魔物を順番にキャロの練習相手にしています。
一通り全ての魔物を料理にしたのですが、ジャイアント・クロコダイルのステーキとサーベント・スネイクとかゆうのを焼いたのが美味しかったですね。
シズクがサーベント・スネイクを鰻丼とか言ってご飯の上に乗せて食べてましたが、中々美味しかったです。
甘辛いタレをシズク先生の要望で私が作ってあったので、色々と料理の幅が広がっているのですよね。
シズクの記憶を頼りに向こうの調味料を再現していますが、常にシズクにダメ出しされているので試食の時間は頭が上がりません。
美味しい物が食べられるので言う通りにしていますが、シズクの妥協の許さない追及は何とかならないのでしょうか?
今度、シズクのお尻に食道楽とか落書きでもしたいですね。
そして、ダンジョンに入ってもう10日目なので、一度お屋敷に戻らないとみんなも心配するし、私の在庫の甘味がそろそろピンチです。
「シズク、また様子を見て来てくれますか?」
「そう仰ると思って、先ほど見てきましたがまだ居ます。人数は24人ですが、眠らせてさっさとボスの部屋に行きますか?」
「そうですね……ここに陣取ってからは、キャロだけパーティーから外して全て倒させていますのでレベルの上りが良いですから、あと2日ぐらいなら構いませんが、それでも居たら眠らせてボスの部屋に行きますか」
「なぜ2日なのですか?」
「私の持っているお菓子の類が無くなるからです。意外とみんなが食べるから、持ってきた食料よりも減りが早いのです」
「お菓子が基準なのですか……」
「食材は現地で手に入るのですが、甘味類はまったく手に入らないし、エルナやシズクが沢山食べるから、予定外でしたよ」
この2人だけがやたらと食べるから、私の在庫が減りまくりですよ!
軽くデザートに出していたけど、普通に追加とかしてきますからね。
「それは……そうです! 常に何手か先を読んで行動しているので頭を使うから糖分が欲しくなるのです!」
適当に弱らせて、キャロの前に連れてきているだけだったと思いますよ?
セリスが一番配慮をしていたと思うのですが?
2日前から、エルナとカミラは、戦闘には参加しないで、一緒に勉強をしていますが……「どうしてここで、勉強をしなければいけないのですか! もう、あの人達を倒して進みましょう!」とか言い出しましたからね。
エルナが珍しく不満をまき散らしています。実は勉強が嫌いだったと判明しましたが、お嬢様の残念レベルが上がったような?
結局、更に2日間滞在したので、眠らせる作戦を実行しょうとしたら、居なくなっていました。
諦めて帰ったのか、ボスに挑んだのでしょうか?
まあ、関わらなくて良かったです。
さて、ここのボスは何でしょうね?
複数の首の蛇とか言ってましたが、キャロの安全優先で頑張りますか。
扉を開けると複数のサーペント・スネイクと一体だけ大きいのがいますね。
9つの首があってヒュドラとかいう名前ですが、ちょっと大きいですよ!
確かに蛇なのですがタイラント・ゴーレムと同じ大きさではないですか……取り敢えず数を減らしましょう!
「我 穿つは大気の意思 集約せし力よ我が敵を撃て エアリアル・ニードル!」
「いきます。『アース・ミーティア・ランス!』」
事前の打ち合わせ通りに私の魔法と同時にキャロが使えるようになった最大の魔法を撃たせました。
この魔法は、私のエアリアル・ニードルの土魔術版なのですが、複数の鉱石が槍状になって攻撃する魔法なのです。術者のレベルに応じて、鉱石の強度と数が変わってきます。
いまのキャロは、ここの魔物をほとんど狩らせましたので、レベル30にまでなっていますから、かなりの強度とそこそこの数が撃てます。
ただ、1回でほぼマナが尽きてしまうので、直ぐにポーションを飲むように指示を出していますが、回復させても2発目を撃てる所まではマナが回復しないので、最初の一撃だけになります。
私よりは恩恵はありませんが、最初だけならと、一度私の知っている詠唱を読ませて撃たせたら、あまりの精神疲労で倒れてしまいました。今回は詠唱を止めていますが、無しでも私の風の槍と同じ数が出せるのですから、安定して付けれたら恐ろしい範囲魔法になると思います。
「キャロは、ポーションを飲んだらしばらく休んでいて下さいね。後は、ボスの止めがさせる所まで私達が削ります」
「わかりましたがそれで宜しいのですか? そのままですと私だけが倒した事になってしまうのでは……」
「構いません。貴女の経験値にしてしまった方が速いのですから、教えた通りに次は密度を厚くして撃つイメージで放つのですよ」
本体はエルナが引き付けていますので、シズクが他の首を落としていますが再生が速いですね。
カミラのマナで威力を上乗せした矢の攻撃で倒せているのですが、しばらくするとまた動き出すのです。矢が刺さったままなので、自爆する矢でも作れば良かったです。
私も風の刃の魔法で首を落としているのですが斬られて直ぐに再生とかキリがないですよ。
ただ、私には相手のマナが見えるので明らかに減っているのがわかります。再生が出来なくなるまで削るしか無いですね。
地道に削っていると段々と再生の速度が落ちてきました。
やっと、再生がしない首が出てきましたよ。
本体もダメージも再生が追いつかなくなって、かなり満身創痍になって来ましたね
残り3本になったので、この辺で良いでしょう。
「キャロ、さっきの魔法は撃てますか?」
「まだ、少しマナが足りないと思います」
「では、もう一つの魔法は撃てますか?」
「そちらなら、使えます」
「では、それで止めを刺して下さい。もう十分に倒せるはずです。エルナも離れて下さいね!」
「では、いきます。『アース・グレイヴ!』」
ヒュドラの真下から、巨大な土の槍が突き出して、串刺しにしていますが流石に弱り切っているので、もう動かないみたいですね。
この魔法は『アース・スパイク』の上位版の単体の魔法なのですが、突き出す槍が大きいので、大きめの相手にはよく刺さります。
ジャイアント・クロコダイルなどは、動きが遅いので、この魔法のいい的でしたよ。
最大の欠点は、地味にマナの消費が大きい事ですね。
今ので、かなり息が上がっていますので、全快の時に3発も撃てるかぎりぎりかと思います。
「ポーションで回復したとはいえ、体調の方は大丈夫ですか? きつかったら、正直に言って下さいよ?」
「大丈夫です。まだ歩くぐらいは動けますので、少しだけ休ましてもらえれば助かります」
「では、キャロの体調が回復したら、次の階層に行って、戻りましょう。もしあの人達がいても直ぐに宝珠で戻りますので、相手にしないで下さいよ?」
「それは、わかりましたが居ると思いますか?」
「わかりませんが安全地帯と言っても私達が疲れて来た所に何かして来るかも知れませんからね」
「シノアは、用心深いのですね」
カミラは、そこまではしないと思っているみたいですが、私は、あの手の人達は警戒するに越した事は無いと思っているのですよ。
ちょっとした事で、何をするかわからない人達は確かに居ますからね……。
キャロの体調が整ってから次の階層に行くと、誰も居ないので安心しました。直ぐに戻って、お屋敷に帰りました。
ちなみにクリスタルには、私達6人で突破した事になっていたので、どうもパーティーを組んであの部屋から出れば、全員で倒したと認識されるみたいですね。
そして、キャロのレベルは32まであげる事が出来ました!
経験値を集中させたとはいえ、短期間でここまで育つとは、素晴らしいですね。
問題は、レベルは上げれたのですがマナが魔術師としては、少ないのが欠点になっています。
初級の魔法を複数回使う程度なら問題は無いのですが、中級の威力のある魔法だと、ボスに使った『アース・ミーティア・ランス』などは、1回しか使えないので、マナを増やさないとね。
普段から、あの魔法が使えれば、私が非常に楽になるので、頑張ってもらいましょう!




