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生まれ変わったのですよね?  作者: セリカ
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36 困った人ですね

 ようやく本来の生活に戻りました。

 正直、学園で学ぶ事が無いので、ダンジョンに潜る事の方が重要なんですよね―。

 セリスと2人の時は時間をフルに活用していましたけど、いまは学園がお休みの前の日だけ内部に滞在出来ます。

 流石にエルナとカミラは睡眠を取らないといけませんからね。

 シズクは、お昼寝とかしていれば、徹夜とか平気だそうです。

 46階層に降りたのは良いのですが、何故か湿地帯なのです

 ここはダンジョンの中なのに地形がおかしいです。

 そして、もう1つ問題もあるのです……実はエルナ達と40階層を探索していた時に私は念願の転移魔術が使えるようになったのです!

 1ヶ所だけマーキングしておくと、パーティーメンバーだけ転移出来る優れものです。

 残念ながら1ヶ所しか登録出来ないのですが、その階層を好きな地点から再開出来るので素晴らしいのです。この魔術は初級とか付いていないので、もしかしたらこれ以上発展しないのかも知れません。

 階段付近に登録なんてしていて誰かに見られたくないので、小部屋か行き止まりとかにマーキングしてたのですが、こんな開けた所に手頃な場所なんてあるのかな……。

 ここの敵は沼地に住んでいそうな魔物と周辺にはリザードマンが結構徘徊していて、突然池から背後に現れるとか危険極まりないです。

 たまに魔法を使ってくるリザードマンもいるのですが、判別が出来ないので、エルナとシズクにはセリスが『マジック・シールド』を掛けています。

 この魔法は、威力の弱い魔法なら数回は無効化してくれるのですが、威力が大きいのだと一撃で壊れてしまいます。こまめな更新が必要ですが、前衛には良い魔法です。

 最初に交戦した時にエルナが剣を合わせている相手が『アイス・ランス』を使って来たので、それでエルナが大怪我をした時には焦りましたよ。

 かなりの怪我でしたが、腹部でセリスに治せる範囲でしたので、まだ助かりました。頭とかに撃たれていたら、死んでいたかもしれないですからね。


「シノア、そろそろ戻る時間なのですがどうしますか?」


「安全そうな場所が無いので、明日は最初から別のルートを探索しましょう。池の近くに登録しやすい場所があるのですが、大抵リザードマンが陣取っていますし、そこで再開すると池からと同時に襲われるので危険ですからね」


 エルナも沼地に足を取られて戦いにくいみたいで、疲労気味です。

 カミラは、私のそばでエルナの援護に集中させていますが、まともに休憩もしていないから、この中で1番体力が無いので疲れているでしょうね。

 いくら魔法で回復するとは言っても精神的な物は蓄積されますからね。

 敵を足場にして斬り込んで行くシズクは、まったく気にしていないみたいですが。


「転移と同時にお姉様の魔法で周りを焼き尽くすのはどうでしょうか?」


「それは私も考えましたが、もしも他の冒険者の人達が居たら、一緒に巻き込んでしまいますので、駄目です。現在は私の感覚で最短ルートを通って下の階段に向かっているので、ちょっと回り道をすれば手頃な場所があるかも知れません。今日は戻りましょう」


 転移と同時に範囲魔法を使えば良いのですが、未開のダンジョンならともかく、ここは結構な人達がいるのでまずいです。

 

「取り敢えず、戻ったらギムさんにでも聞いてみましょう。こんなめんどいところだったら、覚えていると思いますので」


「泥だらけになりましたから、早くお風呂に入りたいです。シノアの魔法で綺麗になれるけど、お風呂の安堵感は違いますからね」


 お風呂大好きのエルナは、さっきの怪我よりそっちですか。

 お腹に穴が開いたので、痛覚遮断があるとはいえ必死に痛みに耐えていましたが、私の真似などしなくて良いのにね。

 私の場合は、施設で生まれた時からの慣れなので、声とか出すともっと酷い目に合うから出さなくなっただけですよ?

 宝珠を使って戻るとクロード先輩達が居ます。この時間から潜るのでしょうか?

 時間的に明日は学園に行くのは無理なのでは?


「おう、シノア達はいま戻りなのか?」


「そうですがもしかして、いまから行くのですか?」


「ようやく15階層のボスに挑めるからな」


「時間的に明日の学園に差し支えるのでは?」


「そんな物はちゃんと申請してあるから、俺達は明日は行かないぞ?」


「申請って、何ですか?」


「はぁ? お前ら、学園に申請もしないでそこまで潜っていたのか……改めて恐ろしい奴らだな……いつもは、どうしているんだよ?」


「学園から、帰ったらすぐに直行して、途中で軽く食事をしながら、日付が変わるちょっと前に戻っていますよ。後は、学園が休みの日の前は、ずっと潜ったままですね」


「……そんなハードな生活をよくやっていたな……俺は感心するというか、お前らがどうしてそんなに強いか理解したぞ」


 もしかして、学園に申請したら、授業免除とか有ったのですか?


「申請すると、どんな事が出来るのですか?」


「まずは、実技が免除される。お前らの実力なら、もう卒業資格もあるはずだぞ。学問も試験さえ30位以内を維持出来ているのなら、教師からの許可をもらえば授業を休んでも良いはずだ」


 あれ……そうすると私は、全て条件を満たしているではないですか!

 

「他の奴らは知らないが、シノアだったら完全に問題無いから、俺はてっきりたまに学園に来ている程度と思っていたんだが……」


「エルナとカミラは、テストの順位はいくつですか?」


「私は、15位ですね」


「シノア、順位は張り出していますが、当然見ていませんよね……。私は、一応8位です」


 カミラって、頭が良かったんですね。

 確かに掲示板とか見ませんが、当然とか言われてますよ……段々、カミラの私の扱いがおざなりになって行きます。

 では、2人も問題ありませんね。


「2人は、この事は知っていましたか? いつもの後から知っていたのでは? とは、言わないで下さいよ?」


「申請とか、私は知りませんよ? 私は、シノアがダンジョンに行くというから、一緒に居たいと思っただけなので、考えた事もなかったですよ?」


「そのような制度があるのは聞いた事がありましたが、詳しくは知りませんでした」


「お前ら、揃って恐ろしい奴らだな。しかも小さい子まで連れているが、一緒に居るのなら、かなりの実力者なんだろうな」


「シズクですか? うちの最強の前衛ですよ。わかりやすく説明すると試合をしたら、エルナが5秒で死んでしまいます」


「まじか……俺だったら、瞬殺じゃね―か」


「ちょっと! シノア! その説明は酷すぎると思います! 間違ってはいませんけど、私を比較対象に使うのは止めて下さい!」


「おい、否定はしないんだな。これは、見た目で判断していたらいかんという見本か……」


「エルナお姉ちゃんは、勘が良いのでもうちょっと凌げると思いますので大丈夫ですよ!」


 もうちょっとって、結局然程変わらないだけだし、勘だけとか言われてもね。

 

「シズクちゃん……あんまりフォローになっていないと思うのですが……私は、傷つきましたよ! 私の傷ついた心を癒したいので、今日は一緒に寝ましょうね? 拒否は認めませんからね?」


「5秒と10秒は、大きいと思うのですが……それは構いませんが痛くしないで下さいね」


 ちょっとって、10秒だったのですか。

 さらに追い打ちをしている気がするのですが。私に矛先が向かなければどうでも良いですが。


「シノア……私って、実は大した事がないのかな? ちょっと自信を無くしそうですよ……」


 いつもは、気にせずに流しているのにちょっと落ち込んでいますよ。

 学園でも結構一目置かれるようになったのですから、自信も付いていたと思います。

 私なんか、次の日にボロ負けしたけどね!


「大丈夫ですよ。私もまともに戦ったら、エルナと同じですから、シズクの動きと刀の速さがおかしいだけです」


「お姉様! 私がおかしいとか酷いです! 日々の鍛錬の成果ですよ!」


 (シズクの強さは、わかっていますがここは、私に合わせて下さい。エルナが落ち込んでいますよ?)

 (そうでした……ついムキになってしまいました……どうしましょう)


「真正面からの剣の試合でしたら、エルナが勝ちますよ。シズクは速さに特化していますから、剣で斬り合うとかしませんからね。そんな事を言っていたら、私は2人にも勝てませんよ?」


「エルナお姉ちゃん、ごめんなさいね。ルール無しの戦いと思ったのです」


「2人にそう言ってもらえるのでしたら……もう今日は、帰ったらシズクちゃんは私の物になってもらいますからね?」


 それでも、構う事はするのですね。


「まあ、話が解決したのなら俺は行くが、明日にでも担任にでも聞いて見るといいぜ。でも、お前らの実力は知っているはずだから、向こうから言ってきてもおかしくないんだがな」


「ええ、明日にでもしっかりと聞いて来ますよ。いい情報をありがとうございました―」


 そのまま先輩達とは別れましたが、アイリ先生にどうやって聞きましょうね。

 別に強制的に話させても良いのですが、それでは面白くないですからね。

 理由によっては、面白い事が出来ますので、明日が楽しみです!



 翌日の放課後に恒例の準備室で2人でお話をしています。

 朝から質問したら、後で2人でお話ししますからお願い、と言われましたからね。

 これは、もうみんなの前で言えない事が確定しましたので、楽しみです。

 最早、紙切れ同然の威厳を守るのも大変ですね。


「それで、授業免除の申請の話をどうして教えてくれなかったのですか?」


「それは……どうして今頃になって、そんなお話をするのですか?」


「昨日、偶然にもクロード先輩と夜遅くにダンジョンの入り口で会いました。時間的に疑問に思ったので、聞いたら教えてくれましたよ?」


「クロード殿下とお会いしたのですか……」


「別に強制的に聞けるのですがアイリ先生が自主的に話してくれるとお仕置きが軽くなりますよ?」


「どうして、お仕置きがもう確定なのですか! 私は……」


「アイリ先生はもう少し平常心を保つ事を鍛錬した方が良いですよ? 朝の質問から、挙動不審になっています。何か後ろめたい事を隠していますと行動で示しているので、バレバレです」


「シノアさんは、諜報する人か密偵なのですか……」


 誰が見ても怪しいとわかるのにそんな事にも気づけないとか、まるで小動物のように構いがいのある人ですね。


「それで、どうしますか? 私に命令されて素直に喋るか自ら告白するか選んで下さい。3分だけ待ちますよ」


 なんか頭を抱えて悩んでいますが結果は同じなので、少しでも罪が軽くなる方を選ぶしかないと思うのですが、苦悩している姿を見ていると楽しいですね。


「最初は……聞こうと思ったのですが……シノアさんは、疲れた様子もなく普通にしていたので、別に問題無いと思ったので……」


「それで?」


 それだけで、あんなに悩む訳がありませんよね?


「シノアさんから……毎日お土産が貰えるので……」


「要するに私が毎日学園に来る方がアイリ先生の懐が温まるからという事ですね?」


「最初は使わずに残して置いたのですが……ちょっとだけならと……換金して使い込んでいる内に欲しい物がどんどん増えてしまったので……」


「私は、アイリ先生が色々と手回しをしてくれたので、そのお礼にとそこそこ換金率の良い物を渡していたのですがどうも間違いでしたね」


「許して下さい! 深く反省しますので、お仕置きはしないで欲しいのです!」


 最近教えた土下座をしています。

 シズクの世界では、心から謝る時は、この姿勢で判決を待つみたいなので、以前にちょっとやってもらったのですが早くもまた見る事になるとはね。

 私も経験がありますが、これ屈辱的なんですよね。


「私は問題有りませんが、エルナとカミラはきつかったでしょうね……私の無謀なノルマをこなして、くたくたになって帰ってからも、寝る前にはマナを全て使い切ってからしか寝れないとか大変だったと思いますよ?」


「あの……どうしてマナを使い切っているのですか? そんな事をしたら、精神的な疲労があるから、結構きついと思うのですが……」


「教師なのに知らないとは……マナの最大容量を増やすにはこのぐらいしないと飛躍的に伸びませんよ? そこそこでも増えますが、全て使い切った方が効率が良いのですよ。2人は口には出していませんが、最初の頃は朝も起きるのが大変そうでしたからね。お蔭で今では、戦闘中にマナ切れなどはしないですよ?」


「それは知っていますが、全て使い切るというのはかなりハードだと思うのですが……私は、どうしたら良いのでしょうか……」


 流石に自分の行動がエルナとカミラにも影響しているとわかったので、半泣きで震えていますよ。

 私的には、2人には申し訳ないのですが、速く成長してくれたので、結果的には良かったと思っています!

 でも、これをネタにして罪悪感を与えれるので、そんな事は言いませんが、どうしましょうね。


「取り敢えず、私達の申請を通しておいて下さいね」


「それは、勿論します!」


「じゃ……罰として、アイリ先生もダンジョンに連行します」


「えっ……私は、学園の授業が……」


「エレノアさんに言えば、きっと喜んで許可してくれますよ? 最近、ある教師に弱みを握られて愚痴っていましたので、絶対に反対はしないはずです」


 最近では、学園で一番力を持っているのは、アイリ先生ですからね。

 尤も私の贈り物を代わりに渡しているだけなのですが、ちょっと調子に乗っていますからね。


「でも、私はダンジョンに行っても戦力になりませんし……シノアさん達は46階層と聞いていますが、そんなところに私が行ったら死んでしまいます!」


「大丈夫ですよ。私が絶対に守りますので死んだりしないし、アイリ先生みたいな楽しい人は、絶対に死なせません」


「私は楽しい人ですか……9階層までしか行った事が無い私は、絶対に死にそうです……まだ彼氏もいないのに……」


 彼氏が欲しいのでしたら、まずはアルコールを控える事を覚えた方が良いと思います。

 本人は気づいていませんが、ちょっと酒癖が悪いので、お洒落してバーに通っていても、相手の男性が最後には引いているとマスターから聞いていますからね。


「アイリ先生は、地味にレベル30もあるし、セリスの予備の服ならサイズが合いそうなので、一撃で死んだりはしませんよ」


「それで、私なんかを連れて行って、何をさせるのですか? 戦いとか無理ですよ……」


 お金が大好きなアイリ先生にピッタリな仕事がありますよ!


「お金になりそうな物を回収するお仕事です。 いつもはセリスが全てやってくれるのですがたまには楽をさせてあげようかとね―。回収したものはセリスに渡せば収納持ちなので、安心ですよ?」


 ついでに職業を探索系か盗賊系に変えたら効率が上がる気がするのですが?


「それを拒否する事は出来ないのですか?」


「嫌でしたら、代わりにこないだ買ったワインを全て私が没収してしばらくは極貧生活をしてもらうか、1時間ぐらい鞭打ちの刑で全てを水に流すかです」


「ワインだけは、絶対に嫌です! 死んでも守ります! それで、どうして鞭打ちなのですか!」


「こないだ、1時間ぐらい鞭で叩かれたので、誰かにやってみたいな―と思っただけです。痛いのは最初だけですから、慣れると感覚が麻痺して来ますので、大丈夫ですよ?」


「そんな事をされて大丈夫な訳がありませんよ! それにどうして、シノアさんが叩かれたのですか? 意味がわかりません!」


「まあ、流れで叩かれた? 背中に火が付いたと思えば良いだけですよ?」


「そんな風に思えるのはシノアさんだけと思います! ほとんど拷問ですよ!」


 回復魔法があるので綺麗に治りますから、叩かれている間だけ痛いだけなのですが?

 どうも痛みに平気というか慣れているのは私だけなので、もしかしたら泣き叫んだりしちゃうかな?

 ちょっと見てみたいのですが……アイリ先生って、お仕置きとかされる姿がすごく似合うのですよね。

 

「それで、どれを選びますか? アイリ先生の好きな物を選んでください」


「全て嫌です!!! 私が悪いのは十分に理解して反省しますので、他の事にして下さい!」


「我が儘ですね―。では、何故か私達の間でお約束になってしまったお仕置きを受けるのでしたら、今回は許してあげますがどうしますか?」


「何か知りませんが極貧生活や鞭打ちで死にそうになるよりは、それでいいです! それにしても、どんなお仕置きなのでしょうか? シノアさん達がしているぐらいなので、ましとは思うのですが……」


 まあ、ましなのですがいい歳をした大人にするのは、屈辱かと思うのですが本人が選んだのですから、良いかな?


「では、めんどいのでもう変更しませんからね? アイリ先生……パンツを降ろして黒板に手を突いて、お尻を向けて下さいね?」


「えっ!? どうして? 体が勝手に! 何をするのですか!」


「今から、100回ほどお尻を叩きますので、耐えて下さいね! もう反論は聞きませんので、大きな声を出さないようにしないと、誰かに聞かれたらお終いですからね? では、覚悟して下さい!」


「ちょっと! 本気ですか! 止めて下さい!」


「中々的が大きいので叩きやすそうですね!」


「気にしている事なのに! 許して下さい!」


 その後、しっかりと叩いてあげましたので、途中から泣きながら声を抑えていました。最後にはなんかシズクに近い表情をしていたので、変な性癖に目覚めなければ良いのですが。

 回復魔術などは、絶対に使わないように言っておきましたので、治るまでの間に反省してもらいましょう。

 気のせいかちょっとお尻が大きくなった気がしますが、腫れているだけですから問題無いでしょう。

 お尻が痛くて足に力が入らないとか泣き言を言っていたので、自分でエレノアさんに申請しましたが、久しぶりに愚痴を聞かされる羽目に……。

 それにしても、この間のカフェの奢りの借金もかなりあるので、当分は無駄遣いはしないと思うのですが、何となく泣き付いて来そうですね。

 私の食事量を軽く見ていたようで、がっつりと食べてあげましたので、顔が青くなっていましたからね。

 もしも、これ以上に金遣いがあんまり酷くなるようでしたら、お屋敷に引き取って、真っ当な生活に矯正するのも面白そうですね。

 真面目な人が過分な物を得ると堕落する良い例ですね。



 帰ってから、みんなには、しばらくはそのまま探索を続ける話をすると。


「では、どのくらいの目安で滞在するのですか?」


「最低でも、安全地帯を確保するまでは戻りませんが、私としては、50階層まで戻る気は無いですね」


「それですとダンジョンの中で寝るのですか?」


 流石にエルナも危なくて眠ってはいられないと思っているのでしょうね。


「私とセリスのどちらかは見張りをしますので、問題有りません。私は、別に数日ぐらいなら、寝なくても平気ですからね」


 本当は、私とセリスは、睡眠を取らなくても良いのですけどね。


「シノア、睡眠はしっかり取らないと体に良くありませんよ?」


「まあ、森で生活していましたので、大丈夫です」


「シノアがそう言うのでしたら良いのですが、私の抱き枕が……」


 そっちの心配ですか!


「食事に関しても、私の収納ならいくらでも入るので、食べる物には困りません。何か作るのでしたら材料は持って行きますので、現地で作りましょう。魚もいるので、ちょっと料理してみたいですね」


「魚って……あの強いナマズみたいなのですか? 美味しいのでしょうか?」


「一応、ダンジョンの魔物はちゃんと調理すれば食べられる事は、確認していますので、大丈夫です」


 食道楽のお姉ちゃんに確認をしたので、間違いありません。

 野生のに比べると味が落ちるとか言っていますが、お姉ちゃんは舌が肥えているから、ちょっと美味しい物より落ちると味に文句を言うのですよね。

 こないだも私が美味しいと思っていたスープを「ダシがちょっといまいちですね―」とか言ってましたが、違いなんてわかりませんので贅沢ですよ。


「お風呂に入りたいのですが……いつかのあれしか無いですよね? 流石にあそこで入るには勇気がいります。他の人が来るかもしれないですから」


「それでしたら、私が『ストーン・ウォール』で建物を作りますか? いまの私なら、簡単な平屋の建物ぐらいなら、作れますよ?」


「それなら、見られないので、安心出来ますね」


「あの魔法は石の壁を作り出して、進路を塞ぐものだと思ってましたが?」


 納得したエルナと違ってカミラは半端に知識がありますから、気付かなくても良い事を聞いて来ますね。


「あの魔法は、ちゃんと制御すれば自分の想像した形に作る事も可能なのですよ。ただの盾とか壁ぐらいにしか考えていないから、そこまでしか出来ないのです。中級土魔術になると応用が可能なはずなのですが、見た目に使える魔法ばかり注目しているから駄目なのか、一部の人だけしか伝えてないのかわかりませんが」


 実はそれだけだと駄目なんですけどねー。


「シノアは、洗浄魔法もそうですが、魔術の知識が高いですね」


「まあ、暇さえ有れば書庫に籠って調べ物をしていますので、色々と試してはいますよ」


 初めから知っている知識とは、言えませんけどね。

 

「風の魔術でしたら、私よりシズクの方が多くの魔法が使えますよ。時間がある時は、カミラも風魔術の適性があるのですから、シズクから教わると良いですよ? 適性については個人差があるので、シズクの使える魔法は全て試しておくと良いですね」


「私の使える魔法は一通りスクロールに転写しておきますので、後でカミラお姉ちゃんに渡しますね!」


「わかりました。それでは、お願いしますね。シズクさんは忍法と言っていましたので、あれがそうなのですよね?」


「そうです! 私は無詠唱で魔法が使えるので忍術に近いのを使っているだけです!」


 まあ、私ぐらいしか元ネタがわからないので、仕方ないですけどね。

 しかし、忍者って剣もすごいし魔法も使えるとか優秀ですが、シズクのイメージがかなり美化されていますので実際はどうなのでしょうね?


「私以外は、皆さんがすごすぎるので、たまに私は役に立っているのか不安になります」


「カミラは、十分に活躍出来ていますので、そんな事はありません」


「そうですよ。私が相手をしている時に近付いて来る魔物を的確に攻撃してくれるので、私は安心して前に出られるのですから頼りにしていますよ?」


「カミラお姉ちゃんは、狙撃する順番の判断力は良いので、遠距離支援は優秀ですよ!」


「2人が前で派手に戦っているから、そう思うだけですので、自信を持って下さいね。むしろ私が魔法の検証ばかりしているので、あんまり参加していないし、全体を見るのはセリスに丸投げしていますので、みんなのお蔭で私は楽しまくっています」


「ありがとうね。でも、シノアが私達の身を常に見ている事は、私も知っていますので心強いです」


 最初の頃に比べると実に理想的なパーティーになってきましたよ。

 決して、私が痛い思いをせずに楽できるからではありませんが、仲間が居るのは良いですね。


「いまの私達なら、もう1人ぐらいなら、守りながら戦えるので、やっぱりアイリ先生を連れて来れば良かったかな?」


「アイリ先生をですか? 体調が悪いのか変な体勢で歩いていましたが、どうしたのでしょうね?」


 私がしっかりとお仕置きしたので、痛みで歩きにくいだけなんですけどね。


「最近、浪費家になってしまったので、ダンジョンにでも連れて行って、バイトでもさせようかと思ったのですよ」


「それは、シノアがお小遣いをあげ過ぎだからですよ? こんな事を言うのは失礼なのですが、アイリ先生は典型的な欲望に弱い人ですから、扱いやすいでしょうね」


「知っていたのですか……それにしてもエルナも良くわかっていますね? これ以上お金にだらしなくなったら、お屋敷に連れて来て矯正しょうと思っていたところですよ。私のせいでもありますからね」


「既にシノアに逆らえないぐらいの弱みでも握られているようですが、シノアを見ているとお母様と手口が似ているので気付いた頃には遅いでしょうね」


 それは、サラさんも最初に甘い誘惑をして、引き返せない所まで来ていると相手に思わせると言う事になるのですが怖いですね。

 そんな事を考えているとキャロが来ましたね。


「皆さま、お食事の用意が出来ましたので、食堂の方にいらして下さい」


「もう、そんな時間でしたか……ねぇねぇ、キャロって、ダンジョンに行った事はありますか?」


「私ですか? 行った事はありませんです。地方の村から、出てきて住み込みで働かせてもらっているだけです」


 この子は、レベルは低いですか何となく育てればそこそこ良い所まで行けると思うのですよね。

 ちなみにこんな感じですが。



 名称:キャロ


 種族:人間


 年齢:18


 職業:無し


 レベル:9


 技能:初級短剣術 初級土魔術 初級裁縫 初級料理人 危険感知 

 

 固有能力:幸運

 

 

 いつか女神様が言っていた普通の人のレベルなのですが何となく覆っているマナが濃い気がします。

 それに初めて見ましたが固有能力に幸運とかありますが、もしかしたら、これのお蔭ですぐに殺されなかったのかも知れませんね。

 危機感知などは、あの時に増えたと思いますが!

 

「キャロは自分が魔法が使える事は知っていますか?」


「私にですか? 使った事はありませんし、私はただの村娘でしたので、シノア様達のように戦いなどもした事もありません」


「自分の能力を見た事もありませんか?」


「鑑定紙は高いので、普通の人は調べたりはしないと思います」


 確かにちょっと庶民的には高めですし、気にしなければ見る必要もありませんからね。

 ちょっと試しに私が魔法を転写して、渡してみましょう。


「ちょっとこれを使ってみて」


「これは、魔法習得スクロールですよね……こんな高価な物を私に使うのは……」


「構いません。それでキャロに何か言うつもりは無いので試しに使ってみて下さい」


「それでは、使わせていただきますが習得出来なかったら、お許し下さい」


 使わせてみると成功です。

 ちなみにいま使わせたのは、土魔術の石化魔法です。


「私に魔術の適性が有った事にも驚きましたが……覚えれましたが、これはなんの魔法なのでしょうか?」


「そこの椅子にちょっと使ってみて下さい」


「えっと……『フレッシュ・トゥ・ストーン!』」


 キャロが使うと椅子が完全に石化しましたよ!

 初めてで、レベル9しか無いのに完全に成功するとは思いませんでした!

 てっきり半端に石化すると思っていたのですが、キャロの土魔術はかなり高い適性があると思います。

 実は、いまの私でも魔物に対しては完全石化は出来ないので、キャロに可能だった場合はかなりの有望株ですね。

 今ので、かなり疲労してうずくまってしまいましたので、いまのキャロにはきつかったでしょうが、初めてでこれはすごいですよ!


「はぁはぁ、すごく脱力感があるのですが、いまのは何が起こったのでしょうか?」


「すごいですね……石化の魔法とか初めて見ました。椅子が完全に石になってしまいましたよ? スクロールを作れるのですから、シノアも使えるのですよね?」


「これを私がやったのですか!? どうしましょう……大事な椅子を石にしてしまうなんて……私のお給金から引いて下さい……」


「いや、そんな事はしないけど、この魔法が使える事の方が驚くことなんですよ? ちなみに現在は私以外に使える人がこの国には居ないので、キャロは2人目です。おめでとう!」


「私がそんなすごい魔法を……」


「取り敢えず、食事をしたら、ここに来て下さいね」


 その後、食事が終わってから、私が転写出来る初級の土魔術を全て教えたら、全て習得出来ました!

 なので、明日から連れて行くことにしました。シズクが私の魔術師用のコスプレとかいう無駄に性能の良い付与もしてある衣装がありますので、少し仕立て直してもらえば防具はそれで良いでしょう。ちょっと手頃に使えそうな護身用の短剣と魔力を増幅出来る杖を私が作っておきましょう。

 本人は、足手まといにしかならないと言っていますが、死にたくないとか言っているアイリ先生より見込みがありそうです。

 ついでにマナポーションも沢山作っておいた方が良いですね。



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[一言] 「知っていたのですか……それにしてもエルナも良くわかっていますね? これ以上お金にだらしなくなったら、お屋敷に連れて来て矯正しょうと思っていたところですよ。私のせいでもありますからね」 矯…
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