表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
生まれ変わったのですよね?  作者: セリカ
289/378

287 またしても叱られました……


「さて、まずはここを何とかしますかな」


 2人が探索競争に出払いましたので、その間にここを生活ができるように改装したいと思います。

 本来でしたら、セリスが提案していたように私が始めから作り出せばよいのです。

 だけど、ここに滞在していることはなるべく知られたくないので、私がいつも通りに作り出してしまえばここにいると目印になる可能性もあります。

 この場所から離れたいところですが、シズクと合流がしたいし、カミラも直に戻ってきます。

 最低でも数日は動けません。

 なので、壊れた外観はそのままに内部だけ改装することで多少は誤魔化そうと考えたのです。

 だけど、マナの反応で感知とかされたら意味がないのですが、その時はその時です。

 取り敢えずはこの建物の現状の状態を把握したいと思います。

 床に手を当てて意識を集中するとこの建物の現状の規模が頭に浮かびます。

 1階はそれほど被害はないけど2階は2部屋ほどを残して半壊状態みたいです。

 破壊された場所は破棄して残っている外部の中にもう一つの建物の空間を作りましょう。

 少し狭くなってしまいますが、元々がそこそこ大きな建物なので、普通の小さな一軒家規模は確保できます。

 外壁部分に面している部分は防音効果も考慮してRC工法を応用しましょう。

 ただし、使っている材料はこちらの世界の鉱物資源だけどね。

 地面に接している部分の建物の基礎を再構成しつつ地中に眠っている近辺の地下資源を内部を作り変えるに必要な分だけ確保しましょう。

 間取りは2階の部屋はそのまま個室のままで再構成をして1階は居間と兼用の食堂と簡単なキッチンとお風呂場のスペースだけに割り振ってしまいますか。

 さて、イメージはできましたので内部構造を作り変えます。

 昔と違ってただ箱を作るだけではなくあちらの世界で建築関係も勉強をしましたので、以前と違って明確なイメージで建物が作れます。

 ただ固い鉱石で作るのではなく建物の構造を理解すれば最小限の力で強固な建物だって作れます。

 文明が発達しているとその技術力はとても素晴らしいと実感しました。

 初めは建築関係のことは特に気にしなかったのですが、シズクの故郷は地震という最大の災害が存在します。

 一度かなり大きな地震があった時に私の部屋がめちゃめちゃになってしまって悲しい事態が発生しました。

 自宅警備員必須装備の機材はくちゃくちゃになるはケースに飾ってあった大事なコレクションは倒れまくるとか……とても悲しかったです。

 いや、別に直せるんだけど、コミケの限定品とかが壊れると直したけどなんかね……。

 それでちょっと建築関係の知識も調べて本宅は地震に強い建物に魔改造させてもらいました。

 和風のお屋敷はそのままだけど、中身は別物です。

 シズクの家族はリフォームとかこまめな改修工事をしなくて済むので助かるとのことでしたから良かったけど、見た目そのまま中身別物とか先祖代々の建物をそんな風にしてしまってよかったのかと今でも思っています。

 まあ……勝手に巨大な地下室なんて作っている時点で違法建築なんですけどね。

 そんなことを考えている間に作業は完了です。

 再構成中に残っていた家具などは消去してしまったので、手持ちの椅子やテーブルだけ出したら、お風呂に割り当てたスペースに向かいましょう。

 取り敢えず何もありませんので、排水関係の逃げだけ作ったら浴槽を作ってついでに水を入れて適度な威力の火球を入れると……よし、私好みの温度になりましたよ。

 何度も作っているので温度調整は完璧ですね。

 次にキッチンの所に行こうと思ったけど、せっかく湯を入れたんだから風呂に入ることにしましょう!

 負け犬Tシャツと下半身の部分のボロを脱ぐだけでおっけいです。

 そして湯船に浸かると……癒されますね……。

 酷い目に遭いましたが湯に浸かっていると心が癒されます。

 だけど反省点が多すぎてこれからどうしたものか……サッちゃんには諭されましたがエルナを取り戻す案件が今の私の最大の目的です。

 エルナの核を持って行ったミアの行先は海上の中心に浮かぶ天空の城とやらなんだけど、どうやって行くべきかですね。

 向かったところでミアみたいな存在が何人もいたら厄介です。

 おまけに私はミアに触れられて肉体に命令をされてしまったら戦力外が確定なので私自身がお荷物になってしまいます。

 仮に天空の城に向かうとしてもどこかでミアを倒しておかないとどうなるか分かったものではありません。

 私がミアに勝つには触れられずに倒すしかないのですが、私一人では間違いなく勝てません。

 あの速さに対抗するにはシズクが相手をするしかありません。

 そして、卑怯とか言われてもいいのでシズクが相手をしている内にどんな手を使っても倒さなければなりません。

 シズク辺りは批難をするかもしれませんが、拘っている場合じゃないしね。

 とにかくこの胸元に刻まれた刻印を消さないことには私の体に時限爆弾がセットされているようなものです。

 実力的には旧神や魔王と互角になって安心をしていたのにまたしても差がついてしまいました。

 時間経過が同じだったらさして変化がなかったかもしれないけど、さすがに私達は5年でこちらは1000年も経過していたら話にならないよね。

 はぁ……課題が山積みになった気分ですが……んっ?

 私のマナの感知範囲に大きな反応があります!

 方角からして、ミアとの戦場になった方角です。

 これはカミラ改めサッちゃんが戻ってきたのか、新手の敵が現れたのかですが……しばらく反応が動かないと思っていたら、私がいる方向にまっすぐに向かってきます!

 結構な速度で近づいてきますので、もしかしたらミアかもしれません。

 今晩ぐらいは安心できると思って、セリスとガラティアさんを探索に出したのは失敗かな……。

 そして聞き忘れたのですが、この刻印があると私の位置が分かるとかでしたら、こちらに近づいてくる反応がミアという可能性は捨てきれません。

 せっかく湯船に浸かってくつろいでいましたが、即座に湯船から出ると脱ぎ捨ててあった下着とTシャツだけ着こんで表に出ました。

 得物は魔槍ミスティルテインを構えて相手がミアだった場合は即座に投擲して先制の一撃を喰らわしてやります!

 いくらミアの速度が異常でも魔槍ミスティルテインには必中攻撃がありますので必ず当てれます。

 上手く縫い付けることができれば重力魔術の『グラビティ・カノン』で消し去ってみせます。

 それが駄目なら、同じ手が通じるか分かりませんが同じく重力魔術の『グラビティ・フィールド』でミアの速度を減速させてなんとか時間稼ぎをしていれば、セリスが異変に気付いてくれればなのですが、すぐに戻ってくるはずです。

 万全の状態でしたら、セリスのサポートがあればなんとかなると思います。

 頭の中でシュミレーションをして待機をしていますが……寒い……。

 冷たい夜風が吹く状態で、私はいつでも槍を投擲ができる態勢でパンツとTシャツ一枚という姿です……かっこよくない……。

 しかも濡れたままだったから、身に着けている物が濡れて余計に寒い……普通の人だったら湯冷めして風邪を引いてしまうよね?

 慌てないで、ちゃんと身嗜みを整えるべきだったと考えていると目の前に現れたのはカミラです。

 雰囲気的に冷たい目でこちらを見ていますので、中身はまだサッちゃんのままみたいですね。

 私が安心をして構えを解くと気付いたら正面にいます。

 気付いたら近くにいるとかシズクに匹敵する忍者みたいです。


「おい、お前は出迎える相手に武器を向けるのが礼儀なのか?」


 おっと。

 サッちゃんはちょっとお怒りです。


「いや、私がいる方向にまっすぐ向かってくるし移動速度が速いからミアと勘違いをしたのです。武器を向けたことはすみません」


「まあ、それなら仕方ないか」


 意外とあっさりと納得してくれました。

 これがサテラだったら、私は罰として刺されている所ですね。

 ついでに確認したいことがあるので聞いておきましょう。


「ちょっと聞きたいのですが、この刻印が付いていると術者に位置が分かるとかの特典なんてありますか?」


 これは確認をしておかないと私は毎回警戒しないといけませんからね。


「それはない。逆に言えば効果範囲から逃れて永遠に逃げ切れればある意味で解放されるぞ?」


「追跡特典がないのは助かりましたよ」


「だから、刻印魔術は不便なんだよ。普通の者がずっと管理下に置くなんて投獄でもしていないと不可能だから使い勝手が悪いんだ。だが、私達と同じ不眠不休で行動可能な者が使った場合は有効な手ではあると言えるな」


 その役目がミアという訳ですが……いまならもれなく永遠の拷問付きという特典まであります。

 やはり何としてでもミアを倒さないと私には未来がありませんね。

 来訪者がサッちゃんだったので安心しましたが、緊張が解けて寒さの方が優ってきました。


「こんなところで立ち話もなんですから、建物に入りませんか? 実は寒さが身に染みている所なのです」


「ふーん……見た目は壊れかけの建物だが、中身はマナが集まった形跡があるので改良でもしたのか。今回のお前は器用だな。それはいいとして、そんな濡れた恰好で立っているのが悪いんだろ? お前の能力なら即座に解決できるはずだ」


 それは、生活系の魔術で何とかできると言いたいのですよね?

 だけどちょっと使えない理由がありまして……。


「えっと……取り敢えずお風呂に入りなおして温まれば問題は解決しますので……」


「はぁ? お前には水魔術の『リフレッシュ・ウォーター』という洗浄魔法があったはずだ。それに夜風が寒いのなら風魔術の『エア・アーマー』を常時展開をしていれば夜風など意味をなさないはずだ」


「えっと……事情がありまして現在使えません!」


 私が笑顔で答えるといきなり強烈な平手打ちをされましたよ!

 なぜに!?


「いきなりぶつなんて酷過ぎます!」


 私が抗議すると衣服の胸元を掴まれて追及がきました。

 なんか、目が怖いよ!


「使えないとはどういうことだ?」


「いや……あちらの世界でノアと能力を分けた時にその二つの魔法は譲渡してしまったので……てへ!」


 私が正直に答えて片目でウィンクして笑顔で答えるとまたしても平手打ちがきました!

 今度は往復ビンタで頬がどちらも痛い……なんで!?


「お前は馬鹿か!!! あれは最小限のマナで最大の効果を発揮する魔法だぞ! 譲渡するなど本物の馬鹿なのか!」


「だって……」


「だってではない! 私達の過去の魂の情報を使わずに分身体にソウルの魂の欠片を植え付けたのは知っていたがよりにもよってあれを譲渡するとはな……」


 サッちゃんはお怒りですが、途中から呆れた目で私を見ています……そんなにまずかったかな?


「過去の記憶を継承していれば決して手放さなかったはずだが……記憶継承をしなかったことが裏目に出るとはな」


「そんな大事なことだったのですか?」


「どの時間帯でも必ず所持していたぞ。お前はどのくらいの認識でいたんだ?」


「えっと……水魔術の『リフレッシュ・ウォーター』については好きな時に清潔になれる便利な魔法で、風魔術の『エア・アーマー』はマナの籠め方次第では全身防御ができるでいいですよね?」


「その程度の見解か……仕方がないので教えてやる。まずは水魔術の『リフレッシュ・ウォーター』についてだが、あれは空気中の水分を使って対象の不純物を浄化する魔法だ。ここまでは単なる便利な魔法としか思えないだろうが、対象の不純物を取り去るということは、傷口が塞がっていなければ毒などに侵されていてもその成分も除去ができるので聖魔術が得意ではない私達にはとても有効な魔法だ。強力な毒を注入されてもまずは浄化してしまえば余分なマナを消費しずに体の再生に専念ができるだろ?」


 そんな使い方があったのですか……なまじに自然治癒能力が高いから、そのうちになんとかなるとしか思っていませんでした。

 毒素を分解するなどの余分な工程をなくせば再生が早まったのですね。


「次に風魔術の『エア・アーマー』についてだが、全身の防御もそうだが、範囲を広げて風の流れを読めばマナ感知以外で索敵範囲が広がる。悠久の娘がそれで敵を察知する範囲を広げていただろう? お前はマナの感知に頼りすぎているからその点を押さえられたら相手に先手を取られる事態に陥るぞ」


「洗浄魔法についてはよくわかりましたが、マナに関しては……」


「お前、さっきのミアとかいう奴にやられて学習していないのか? あいつはマナの大きさまで誤魔化していたんだぞ? 奴の気配を覚えろとまでは言わないが、マナの大きさを隠せる存在もいる事を覚えておけ」


 まじですか!?

 確かにミアがエルナを殺すまではナオちゃんのマナの大きさと変わらないと感じていました。

 そして、セリスと戦っている時は私達が万全の状態の時と同じ大きさのマナになっていました。

 あの時はそんなことまで考えている余裕がなかったのですが、言われてみれば確かにそうですね。


「ソウルの奴もこの二つの魔法の重要性は知っていたはずだが……どうしてそうなったんだ?」


「えっと……洗浄魔法については、あちらの世界で魂の回収の仕事を任せていたのですが、いつも身綺麗にしたいから欲しいと言われたのです。私も最初はちょっと手放したくなかったのですが、私の場合は自宅にいるから汚れないし毎日お風呂にはいれるから問題はないと諭されたのです……」


「馬鹿が……あの魔法があれば治癒魔法が苦手なお前でも助けたい人がいた時に毒などに侵されていたら助けることが可能な上に治癒が出来なくても不純物を取り除くことで傷口の悪化も抑えられる使い方もできる使い勝手の良い魔法だぞ……なまじに自身の体の再生能力が高いのが仇になったな」


 あれ?

 サッちゃんが誰か他人を助けることを前提に話をしています。

 生命を狩るイメージしかないのに怪我などで困っている人を助けていたような……ちょっと殺戮者とは遠すぎるイメージが湧いてきたのですが?

 

「誰か助けていたのですか?」


「さあな。それでもう一つの魔法はどんな理由だ?」


 私の疑問はあっさりと躱されて次の問題を聞いてきました。

 これを言ったら、もっと怒られそうなんだけど……。


「えっと……単に風使いみたいでカッコいいからと言っていました」


「……呆れたな。お前といい今回のソウルはお調子者だな」


「うっうう……ですが、それでしたら再習得をすればよいのですよね? 一応方法は聞いていますがいまの私なら……」


「今のお前なら、私がこの1000年の間に殺した生命の魂とあの悪魔の眷属を滅ぼしたことで大量の魂を所持しているので可能だろうが、相当な対価が必要だぞ? 今回のお前は多くの魔術を習得しているので、現時点で初級魔術を習得をしようとしただけで、その対価は上級魔術を超えてしまう。逆に最初の頃に少ない対価で、上位の魔術を習得しておけば良いわけだが……本来は過去の時間で選択肢を増やしてあるのだから、一つの形に特化してそれに見合った能力と魔術を開放するべきなのだ」


「そう言われても最初の頃はノアが決めていたから私には選ぶ権利すらありませんでした。まあ、私の半端具合は置いといてその二つを再習得することにします」


 魂を対価に能力や魔術の解放の仕方は聞いていますので問題ありません。

 私がそう考えるとサッちゃんから意外なお言葉がきました。


「そうか。お前は殺された者達の魂を使って自己満足をするわけだな? ソウルはそのことを計算していたと思うがいまのお前にその判断ができるのか?」


「えっ!?」


「私が殺した者の中にはお前の知り合いも存在している。そしてあの悪魔の眷属にされて長い時を生きながらに苦しんでいた魂をお前が倒すことで開放された罪なき者たちを消費するんだな?」


「そんな風に言われると……」


「私は『強欲の殺戮者』などと言う不名誉な称号が付けられたが、お前に付く名があるとすれば、『強欲な道楽者』とでも付くのではないのか? そうなると生命を刈り取っていた私と魂を消費しまくるお前とでどんな差が出るんだ? まあ、私としては似たような評価がされると思えば気が楽になるな」


「……やっぱりやめます……足りないところは改めて努力することにします」


「そうか。詰まらんな」


 そんな話をされたら消費しにくいではないですか……知らない人たちはともかく私が知っている人達を使うのは気が引けます。

 私には魂の選別なんて出来ません。

 確か覇王さんはできるみたいなことを言っていましたが……エルナが捕らわれている以上はどういうことか分かりません。

 一応、サッちゃんに聞いてみると……。


「お聞きしたいのですが、消費する魂を選別する方法とかありますか?」


「しらん。お前、知らない奴ならどうでもいいみたいな考えをしているな? これなら少なくとも私の大事な者が殺されて変貌する前の私の方が生命に対する考え方はマシな気がしてきたな」


 なんか、サッちゃんの方が常識人みたいなお言葉が……。

 あれだけ殺しまくっているのに意味が分からないんだけど?

 まあ、そのことを追及するとまたぶたれそうな予感がするので言わない方が良いかと思います。

 とにかくサッちゃんは言葉と同時に手が出るからね。

 それにしてもサッちゃんからは説教をされてばかりいるような……。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ