表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
生まれ変わったのですよね?  作者: セリカ
275/378

273 襲撃されているみたいなのですが……


「いやー、中々快適な乗り物だったのじゃ! ん? ところでお主は何をしておるのだ?」


「見てわからないのですか?」


 土下座です。

 私がちょうどカミラに土下座をしている所に現れるとか……あと5分ぐらい遅れてきてくれればカミラに立つことのお許しをもらう時間があったのです。

 カミラの威圧してくる視線を強く感じたので、頭を上げにくかったとも言います。

 そこにセリス達が到着したから、やっとカミラの意識がそっちに向いただけなんだけど……来なかったら来なかったで、未だに頭があげれなかったかもね。

 そして、私のガラティアさんに対する答えはカミラが答えてくれました。


「シノアは、くだらないことを考えて妄想をしていたので、反省をしているのです」


 カミラの魅力を引き出す素晴らしい提案なのにくだらないと言われてしまいましたよ。

 今夜はエルナに捕まらなかったら、絶対に着てもらってコスプレの素晴らしさを伝えてみせます!

 なんか、私もいつの間にかシズクの趣味に染まってしまいましたね。


「そうなのか? それで、お主は誰なのじゃ?」


 私に対する反応はそれだけで、初めて見るカミラに興味があるようです。

 ここで私が紹介してもいいんだけど、するとしたら……「ガラティアさんを狙撃して撃ち落した、カミラさんです!」とか言ったら面白そうなんですが、その場合は私が更にカミラに撃たれてしまうけどカミラが謝罪している間にうやむやにして逃げ切ってみせます!

 だけど、私の反応に気付いたのかカミラが先に自己紹介をしてしまいました。


「私はカミラ・セイルーンと申します。よろしければカミラとお呼びください」


「我の名はガラティアじゃ! そこのシノアの知り合いなのじゃ」


「貴女がガラティアさんですか? その名は私が撃ち落した龍の名と思いましたが人化もできるのですね」


「我を撃ち落したのはお主だったのか!?」


 あっさりとカミラが自分で罪を暴露しました。

 ささ、カミラも私の隣で土下座をしながら謝るのです!


「その件は申し訳ありませんでした。シノアの知り合いとは知らなかったのです。本当に申し訳ありませんでした」


 カミラは私と違って土下座をしないで、その場で頭を下げて謝罪をしています。

 最強の誠意を見せる土下座をした方が余程のことがない限りは、仕方がないと諦めて許してくれるのに使わないとは……ここで、ガラティアさんが激怒でもして更に謝罪でも求めれば……。


「死ななかったので、我は特に気にせぬぞ? それよりもあれはどんな魔法なのじゃ? 当たる直前まで反応に気付けなかったばかりか、我の防御を貫通して被弾してからの威力には驚いたのじゃ!」


 こら!

 どんな魔法とか威力なんてどうでもいいでしょ!

 死にかけたはずなのに気にしないとか考え方がおかしいよ!

 そんなことよりもカミラを責めなさい!


「これで狙撃をしたのですが、本当に申し訳ありません」


 まだ、肩に担いでいたスナイパーライフルを見せています。

 あんな威力になるのはカミラだけなんだからね?


「そんな物があの威力とは……恐ろしい武器があるのじゃな。それともう謝罪は不要じゃ」


 もうおしまいですか?

 そんな簡単に許してしまったら面白くないのに……私はカミラの土下座が見たかったな……。


「お心遣いありがとうございます」


「ところで話は戻るのじゃが、お主は一体何をしたのじゃ?」


 カミラとの会話が終わると再び私に質問してきました。

 先ほどはくだらないの一言で終わってしまいましたが、ちょっとだけ反論をしようと思ったら……。


「ただの病気です。シノアにはくだらない妄想癖があるのですが、今回は私に対して不埒な考えをしたので反省をしていたのです」


 私がなにか言う前にカミラが説明してしまったよ!

 しかも更に病気扱いをされてるんだけど切ないです……。


「そうか病気なのか? お主にそんな持病があるとは意外じゃったな」


 これが病気だと言うのなら、殆どの人が病人では?

 異性に対するロマンが理解できないとは……悲しいです。

 そんなことよりも撃ち落されたことを気にしないのであれば、用件は何なのでしょうか?


「それで、なにをしに来たのですか? ここに近づくのは嫌だったのでは?」


 いまならわかるのですが、過去に強欲さんに攻撃されて死にかけたのですよね?

 てか、ガラティアさんっていつも死にかけているんだけど生き残っているのが不思議です。


「おおっ! 死にかけていたので、すっかり忘れていたのじゃ!」


 やっぱり撃ち落されて死にかけていたのね。

 今回はセリスをすぐに向かわせたけど、今まではどうしていたのやら……きっと運の数値とかあったら、かなり高いのかと思います。


「この娘の町が襲われているのじゃ!」


「なんですって!?」


 大変なことではないですか!

 それを忘れるとかガラティアさんは記憶力ダメダメですね。

 だけど。


「でも、十分な戦力を有しているはずなので、交戦中とかですか?」


 個の力が強力な魔族も撃退ができるのですから、それほど心配する必要はないと思うのです。

 だけど、未だに目を覚ましていないナオちゃんが一緒にいるのが気になります。

 それに大抵の相手なら、好戦的なガラティアさんも参戦すれば問題がないはずなのにこちらに来たのは?

 察するに伝言役のナオちゃんと足代わりに使われたガラティアさんといったところですね。

 そして、ナオちゃんは墜落した時に気を失ったと予測します。


「ただの魔物や他の地域の者達ではないのじゃ!」


「魔物や他勢力じゃないのですか? だとすると襲ってきたのはなんなのですか?」


 私が知らないだけで、現在この世界には驚異的な存在がいたとか?


「アスリアの代理人と滅びたはずの天魔族じゃ!」


「駄女神の代理人? それとガラティアさんは天魔族を知っているのですか?」


「女神アスリアを駄女神とまで言う者はお主が初めてじゃ。 我は過去に天魔族の奴らに殺されかけたから、よく知っているのじゃ」


 また死にかけたとか言っています。

 もしかして、生き残っているのが奇跡なのでは?

 次からは死にぞこないのガラティアさんとか、不死鳥に呪われた火龍と命名してあげましょうか?

 女神アスリアの代理人とやらはともかく、天魔族は私以外にはもう存在しないはずです。

 サテラ達の言葉が本当ならばですが……。

 

「まず聞きたいのですが、戦況の方はどうなのですか?」


「かなり押されておる。アスリアの代理人が率いる魔物に関してはなんとか戦えていたのじゃが、途中から強い個体の天魔族の奴らが参戦してきてからは防戦するのが手一杯じゃ。なんせ奴らは上空から一方的に攻撃してくるわ近づけば手練れの戦士と変わらない戦闘能力を持っている奴らばかりじゃ。それになんとか近づいても奴らには無敵の英霊が付いておるので本体とまともに戦えない状態なのじゃ」


「ふむ……天魔族はそれぞれ英霊持ちですか……それは厄介ですね」


 取り敢えずアスリアの代理人とやらは脅威ではないと想定するとして、天魔族の方が脅威かと思います。

 私も数回しか召喚したことはないのですが、召喚者と同じ強さで現れて意志を持って戦うのですが、その能力は生前の能力をそのまま引き継いでいるので、召喚主が強ければ強いほど強敵が増えてしまいます。

 しかも心に住んでいる人数が多ければ多いほど一度に召喚される人数が多いのですから、厄介極まりない存在です。

 取り敢えず一番長生きしている怠け者に確認してみましょう。 

 もしもし、エレーンさん。

 今の状況を聞きましたか?

 (……ちょっと待ってください)

 なぜ?

 できれば早く答えてください。

 表では、私が目を瞑って思案をしているように見えているので、代わりに状況を察してそばに来ていたシズクがいますので、会話を引き継いでもらいましょう。

 (シズクにお願いがあります)

 (お姉様、何でしょうか?)

 (ちょっと、エレーンさんに質問してくるので、代わりにシズクが他の状況確認をお願いしたのです)

 (わかりました。町がピンチみたいなので早々に決断をしてください)

 これで、外はおっけいです。

 それで、まだですかー。

 (……)

 あの……本当に早く答えてくれませんか?

 それともゲームばっかしやってて外の状況を見ていなかったとかではないですよね?

 あの怠け者なら十分にあり得ます。

 そんなんだから、すべてを失う羽目になるのです。

 (お待たせいたしました)

 おっ!

 やっと反応しましたよ。

 (シノアちゃんに言っておきますが、ちゃんと火龍ちゃんの話始めたところから私達は見ています。ゲーム三昧なのは認めますが、私のことを何度も怠け者と呼ぶのは止めてください!)

 だって、間違っていないでしょ? 

 (違います! 私はすごく努力をしたので、今ではサテラと互角に戦えているのです! お陰で最下位から脱出したので、一番弱いのはステラになったのです!)

 ふむふむ……すごい努力の方向がなんかおかしい……私の中には3人しかいないんだから、虚しい争いですね。

 そんなことよりも私は天魔族最後の生き残りではなかったのですか?

 半分だけだけどね。

 (それは間違いありません。でも、シノアちゃんのように僅かに血筋を引いている者もいるかもしれませんが、その場合は本来は火龍ちゃんの説明にあった英霊が呼べません。あれは血が薄れると使えなくなるので天魔族は同族婚しかしないのです)

 私はハーフどころかクォーターよりも血が薄いけど、女神さまの力で生まれ変わった恩恵で最も強力な種族特性が発揮できているにすぎません。

 そして、現時点ではサテラとステラさんの魂が欠けてしまったから召喚不能状態です。

 唯一残っている特性はマナの翼で飛べることだけです。

 すると女神アスリアが天魔族を復活させたと考えるのが妥当ですよね?

 (そうかもしれません。天魔族は本来はアスリアの守護をするべくして生み出された種族です。私から奪った権限を使って時間に干渉したかもしれません)

 奪ったというよりも取り戻したと考えるのが正解なのでは?

 (真の女神である主様が私に命じた時点で、全ては私の物です!)

 職務怠慢の怠け者が何か言っています。

 (私は休憩をしていただけなので、怠け者ではありません!)

 いや、女神レア様に聞いたんだから、私の考えの方が正解です。

 悔しかったら、私が驚くような働きをしてください。

 あっ!

 もう体もないし私の中にいる居候ですから、無理でしたね。

 (酷いです! もうシノアちゃんなんてしりません! しばらくは話しかけられても応じません!)

 あらら……ちょっといじめすぎて拗ねてしまったようです。

 他にも聞こうと思ったのについ言い過ぎてしまったかな?

 もういじめないから話を続けてもいいですか?

 (……)

 ねぇねぇ。

 (…………)

 おーい。

 (………………)

 反応がない……どうやら居留守を使っているようです。

 仕方がないので後で眠りに就いてサテラとステラさんを交えて話すことにしましょう。

 2人に会う為には完全に眠るしかないので、その間の私は完全に時間が来るまで目覚めないという欠点があるので、いまそれをやるのは時間の浪費です。

 私が目を開けると背後に移動していたセリスを除いて、みんなが私の前にいます。

 

「お姉様。それでエレーンさんから何か聞けましたか?」


 最初に質問をしてきたのはシズクです。

 しかし、なんて答えようかな?


「残念ながら、特に得る物がありませんでした。ただ、私以外の天魔族はまずいないとの言質はもらいました」


「お主は天魔族だったのか!?」


 ガラティアさんが驚いています。

 実際は、女神レア様の力で呼び起こされた血筋を引いているだけの半端者なんだけどね。


「一応はです。だけど、今の私には英霊が呼べないのでマナの翼が出せるだけですけどね」


 そう言って背中に意識をしてマナの翼を広げました。

 私の背中に生み出された4枚の光り輝く……えっ!?

 

「お主は4枚持ちか……しかも銀色の翼とは初めて見たのじゃ」


 出した自分も驚いているのですが、私の翼が銀色に変わっています。

 最近までは、片方づつに黒2枚と白2枚という偏った色をしていたのですが、どうして変化したのですか?


「お姉様の翼が変化しています! なにか変わった物を食べたのですか?」


 シズクも私の翼の色が変化しているので、驚いたみたいですが食べ物で変化するとか、どうしてその発想に至るのですか?

 色の付いた水を与えると変化する花と一緒にされている気がしてきましたよ。


「まあ! シノアの翼の色が美しい銀色になりました! 私の翼は金色らしいので、早く出せるようになって並びたいと思います!」


 エルナは素直に綺麗だと喜んでくれました。

 こういう反応をしてくれるのはエルナだけです。

 カミラはジッと見つめただけで何も言いませんでした。

 ちなみにセリスは無反応です。

 

「ちょっと待つのじゃ。翼が出せるようになるとか申したな? お主も天魔族なのか?」


 エルナの発言で、ガラティアさんの興味が私ではなくエルナに移りました。

 滅びた種族が身近に2人もいるとは思っていなかったと思うけど、エルナは基本的には人族です。


「違いますよ? 私は一応は人族なので、天魔族ではありませんよ? そのうちに翼が出せるようになるのはシノアと恋人関係だからなのです」


「なんと!? 天魔族と他種族が恋人関係になるとそのような能力譲渡ができるのか!? これは飛べない種族は天魔族と恋人になるとそんな利点が生まれるとは初めて知ったのじゃ」


 いや、そんなのありませんからね?

 私の眷属になったから、私の過去の魂から力を引き出しているのだと思います。

 だけど、セリスとカミラとシズクは自分の意志で出せません。

 唯一セリスだけが、ダンジョン攻略中に聖女の意志が目覚めたときに発現させています。

 アホみたいな人格だったけど、光り輝く聖なる翼といったイメージでした。

 もしも現在のセリスが翼を出せるとしたら、黒か血のように真っ赤と予想しますよ。

 そんなことよりも……。


「私が天魔族なのは置いといて、状況というかみんなの意見はどうなのですか?」


 駄目な年長者に質問をしている間に代わりにシズクに聞き込みをしてもらっていたのは、みんなに意見を丸投げする為なんだけどね。

 私は残念なことに助けに行っていいのか判断ができないのです。

 正直な本音を言ってしまうと見捨てるとというか関わらない方が良いと思っているのです。

 もしも私が手助けをするとすれば、襲撃時に町に滞在しているか、オーリスの町に眷属の誰かが留守番をしているのでしたら、迷わずに向かいます。

 要するに自分に揉め事が降りかかった場合だけ対処をするするだけだし、私が一番求めている人達はここにいるので、冷たいようですが心が動かないのです。

 現状で眷属以外で、私が助けたいと思うのは付き合いの長かったライラさんかアイリ先生に限られると思います。

 まず死なないアルカードとかガルドは覗いてね。

 こんなことを誰かに話したら、心がないとか言われそうなので言いませんけどね。

 それに軽く聞いただけで、相手の戦力を考えると私達が向かったところで、どれだけ影響するかです。

 そして、最大の問題は助けに向かうということは、女神アスリアと敵対することになります。

 私としては、お互いの領域を侵さない約束でもしてひっそりと暮らしたいのが本音です。

 だけど、シズクの表情を見る限りはやる気みたいだし、エルナは意識が戻らないナオちゃんを抱きかかえて仕返しでもしたいと考えている表情をしていますので、向かうことは決定事項だと思います。

 はぁ……私の目的が達成されたと思ったら、次の問題が発生するとは……正直、女神アスリアの中身次第ではこちらの手札は全て見抜かれているので勝率はかなり低いのです。

 例え今回は相手を倒すもしくは退けても次は完全に対策される恐れがあると思います。

 私的には戦いたくはないんだけど、雰囲気的に無理かな?



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ