表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
生まれ変わったのですよね?  作者: セリカ
27/378

26 仕込みは?


 翌日、学園に着くと、私達の出場枠を教えてくれましたが、アイリ先生は少々不貞腐れています。


「昨日は、あれからどうしたのですか?」


「うぅ……シノアさん! 私の話を聞いて下さい!」


「今日は、ダンジョンはお休みにしましたので、良いですけど」


 一応、試合なので、エルナの事を思うとお休みにした方が良いと判断しました。

 私もギルドに保管されている書物を読んでも良いと言われていたので、行こうかと思って、他のみんなにも好きな事をしましょうとお話ししてあります。

 それにしてもアイリ先生が何を抗議しに行ったのかも気になりますからね。

 私が思うに……無駄に終わったと思うのですが!

 みんなが帰った後に先生と2人っきりとか、まるで私が補習でも受けている感じなのです。


「それで、どうなったのですか?」


「実はあの後……」


 取り敢えず、出場枠のくじ引きをして、私とエルナは余っている所になったのですが、アイリ先生が何か言う前に私達が居ないと知ると「仕方がないなー」とか他の先生が言い出して、何事も無く終わったそうです。

 他の生徒の反応は様々だったらしいのですが、ユリウスの相手が空いていたので、本人の希望で私になったそうです。

 前回のテストの件をこっちでリベンジということですね。

 よろしい、遠慮なくお相手しますよ。

 生徒が居なくなってから他の教師を問い詰めたみたいですが、宝石などをもらっているのはアイリ先生だけです。実は他の先生はそれぞれの希望の物を定期的にもらっているだけなので、逆に「自分だけそんなにもらっているのか!」と責められてしまったそうです。

 実は、錬金魔術で作る物の方が安上がりなんですよね。

 手持ちの材料を調合したりするだけですから、売買すれば儲けもあると思いますが、めんどいので、していません。

 しかも、どうやって参加する資格を得たのか知りませんが、この国の第一皇子の舞踏会にいつかのドレスで参加していたことまで知られてしまって、呆れられてしまったそうです。

 なんであんな高い物を特注したのかと思ってましたが、玉の輿でも狙っていたのでしょうか?

 大体、貴族関連なのですから、毎回同じドレスを着て行く訳にはいかないでしょうに……そんなのに参加していたら、女性は衣装代が掛かりますから、お金なんていくら有っても足りませんよ?

 そんな事より、適度に自分の欲求を満たして、堅実に貯金をする事をお勧めします。

 世の中、いざという時にはお金を持っていたらどうにでもなると私は思っていますので、備えておかないとね!

 学園長からも生徒からそんなにもらっているのはどうかと言われたらしいのですが、逆に「学園長も受け取っていますよね?」と質問したら「シノアさんとは、公爵夫人のお話をしているだけです」と言われたみたいです。

 あんな高いワインをもらっているのに、大人って嘘つきですね。

 昨日は、その後に教師の何たるかをしっかりと説教されたみたいですが、同じ事をしているのに自分だけ正当化するとは良い性格をしてますよ。

 何だか少し可哀想になってきましたね……最初は生徒からは受け取れませんとか言っていたのを上手いこと乗せて受け取らせるように仕向けたのは私ですから、浪費家になったのは私の責任とも言えますね。

 このままですと、私が卒業した後が心配です。

 むしろ真面目な教師を堕落させたのですから……そうだ!


「アイリ先生、もし良かったらですが、私が卒業したら、私に雇われませんか?」


「えっ!? でも、私は冒険者とか出来ませんし……」


「教師を続けたいのでしたら、それなりに学園長と他の先生を何とかしてあげますが?」


「特に続けたい訳ではありませんが、今回の件で教師を辞めて故郷に帰ろうと思っていた所です……」


 それは、困ります……こんなに扱いやすい人を手放すなんて勿体ないです!


「でしたら、私に雇われても良いですよね? アイリ先生の事は気に入っているので、卒業後も仲良くしたいと思っていたのですよ」


「シノアさんと居れば安泰なのですが、私は一応は教師ですし……生徒に雇われるとか……」


 今まで、散々雇われているとの変わらない状態になっているのに、まだ教師なんて建前が残っていたのですか!

 よろしい!

 ここで一気に価値観を壊して、私の処に来るように仕向けてしまいましょう!

 何だか、こういう事をするのが楽しいのですよね!


「もう今日から、私に雇われてしまいましょうか? 卒業後は、私の世話というか事務的な事をしてくれる人が居ると良いと思っていたので、アイリ先生のような保護者的な人が欲しいと思っていたのです。今なら、学園長達に仕返しをさせてあげますよ?」


「仕返しって……でも、シノアさんに付いて行くのは魅力的でもありますよね。公爵家もありますから……」


 教師などという肩書があるから迷うのですよ。

 忘れていましたが、私は一応は公爵家の御令嬢という身分もありましたね。

 迷ってますが、かなり揺れていますので、楽しい権利をあげましょうか。


「学園長や他の先生に進呈してた物を、今後はアイリ先生から渡すのはどうでしょうか?」


「やっぱり、学園長も何か貰っていたのですね……愚痴しか聞いてもらっていないと言っていたのに……」


「そうですよ。アイリ先生が我慢してやっともらえたあのワインを何本もあげているのですのですから、ちょっと許せないと思いませんか?」


「あんな良い物を何本も! 私は、すごく耐えて1本しか飲んだことが無いのに……しかも、何も貰ってないと言って説教された挙句に減俸処分まで言い渡されました……」


 給金まで、減らされる予定でしたのですか。

 それは、不貞腐れますよね。


「チャンスですよ! いま、アイリ先生が私に付いて行くと言えば、昨日の仕返しどころか他の先生もアイリ先生の気分次第ですよ? もし断るのでしたら、他の先生にこの話を持って行くのですがどうしますか?」


「私は……そうですよね。シノアさん、私は貴女に付いて行きます! よく考えたら、教師なんて地味な仕事で給金も苦労の割に少ないし、昨日の仕返しも出来るなんて、こんな良い条件はありません!」


 落ち込んでいる時ほど、この手の甘い勧誘は心に響きますからね。

 プラスの面しか話していないのにデメリットの事をまったく気にしていませんので、後ほど都合のいい誓約魔術で縛ってしまいましょう!

 私は、令呪などという刻印を刻まなくても行使出来ますので、他の人には気づかれません。

 好条件を提示すれば、アイリ先生は必ず承諾しますので、楽しい人です。

 最近になって気付いたのですが、何故か私の誓約魔術は最上級になっているのです?

 特に何かした記憶は無いのですが……まあ、高いことは良いことです。

 別にアイリ先生を縛る必要は無いのですが、この人はたまに欲望に負けて何かしますので、お仕置きが出来るようにしておいた方が楽しそうだからです!

 セリスは、私に絶対に反抗とかしないし、シズクは、逆に喜ぶし……なので、アイリ先生の反応はすごく良いのですよね!


「では、早速ですがこれを学園長に見せて、真実を聞き出すといいですよ」


「このワインなのですか? 私も欲しいです……」


「アイリ先生には、後からちゃんとしたのをあげますので、それを決して飲んではいけませんよ? それはちょっと細工がしてあるので、飲むとやばいのですよ」


「飲むとやばいって……細工って、何ですか?」


「そのワインには、飲むと同じワインをどうしても飲みたくなるように私が錬金魔術で細工がしてあるので、そのワインの匂いを嗅がせるだけで素直になります」


「シノアさんは、錬金魔術も使えたのですか……それにしても、そんな危険な物を飲ませても大丈夫なのでしょうか?」


「大丈夫です。それ以外には特に何もありませんので。副作用などもありませんし、一度飲んでしまうとそのワインを前にすればどんな堅物でも飲みたいという衝動に駆られますので、あっさりと墜ちます」


「怖いですね……まさか前にもらったのも同じでは……私は大丈夫なのでしょうか?」


「あれは正規品なので問題ありませんし、アイリ先生はお気に入りなのでそんな事はしませんよ?」


 後で、誓約魔術でこっそり縛るけどね!


「他の先生方のも順番に渡しますので、まずは学園の頭を押さえてしまいましょう! それを見せればエレノアさんは全てを悟りますので、アイリ先生に逆らえませんよ?」


「そうですね……昨日の事もありますので、行ってきます!」


 墜ちた教師が行ってしまいました……後で、酔わせている内に、私が現在掛けれる最高の誓約を掛けておきましょう。

 シズクのように視界や心まで読める範囲までは掛けれないのですが、ほぼ全てが支配出来ます。

 最初は、こんな魔法は使わないと思っていたのですが、せっかくあるのですから使いたくなってきたのです。

 虐げられた生活が長かった反動なのか段々と使いたくなっているのですよね。

 街中で、話を聞いて理不尽に奴隷になっていた人は、こっそりと解除して逃がしてあげているので、それはそれで、役に立ってますからね。

 いつか私の眼を取ったあの先生にも必ず掛けて仕返しをしたいです。




 私の試合は、8戦目らしいのですがユリウスはどのくらいの実力なのでしょう?

 考えてみたら、学問も優秀でSクラスの代表なのですから、王子の身分なのに努力家ですね。

 普通でしたら、王子であることを使って何かしてくると思ったのですが、それもしないとは、私が現れなければ優秀な成績を収めて卒業出来たのに運が悪いですね。

 前回の再テストの件がなければ、初戦で適当に負けようと思ってましたが、こうなったからには、私の全力で優勝を目指しましょう!

 3期生の実力は知りませんが、実戦を知らない学生に負けるつもりはありません。

 最大の敵は、反対のブロックのエルナですね。

 正直、正面での剣の戦いになったら、確実に力負けします。

 速度では、私が優っているのですが、やたらと勘が良いので、不意打ちとかしても防がれてしまうのですよね。

 後になって分かったのですが、あのベルセルクという職業は数十年振りに使い手が現れたとのことです。

 あの職業を得ると理不尽な戦闘能力を発揮するらしいので、レベルが高くなくても脅威らしいのです。

 実際に模擬戦の相手をすると以前よりも攻撃が重いのですから、まともに受けると腕が痛いのです。

 シズクに相手を頼もうとすると、まともに剣すら合わせてもらえずに寸止めされるのでつまらないとか言ってますが、シズクがまともに受けたら大変なことになってしまいますよ。

 騎士団の人達も嫌がっているし、セリスは意外と剣を受けるのですが、綺麗に流してしまうし、メイドの仕事があると言って直ぐに居なくなってしまいます。

 職業を変えただけで、あんなに変わるなんて卑怯過ぎますよ。

 私にも何か職業の恩恵が欲しい所ですが、エレーンさんに聞いたら、主様しか変更出来ないらしいです。

 エレーンさんは、現在は『監視する者』になっているそうですが、以前は『殲滅する者』とか『道楽者』とか付いていたらしいです……それって、職業と呼べるのかな?

 しかも、主様はその時の気分で決めるので、いまの私を見たら……きっとろくでもない名称を付けられるに違いありませんから、無しの方が良い気がします。

 主様の名前を聞いたら、教えたいけど教える事がどうしても出来ないようですので、何か誓約のような物が掛けられているみたいです。

 ついでにどうして、道楽者などという職業だったのか聞いてみたら、たまたま助けた異世界人の人が料理人で、助けてくれたお礼に料理を振舞ってもらったら、あまりの美味しさに感動してしまって、2人で異世界の料理を再現する為に主様の仕事を放置してたらしいです。

 一応、使徒などは倒していたらしいのですが、食材の現場に居たのをついでに狩っていた程度で、ほぼ無視していたら、主様に見つかって、「いまの其方に相応しい称号を与える」と言って、付けられたとのことです。

 500年ぐらいは、その人が亡くなった後も子孫達と可能な限りこの世界に食の文化を広めたから、どこの国に行っても食べられるようになったそうです。

 特に甘い物はかなり力をいれたので、ほとんどのお菓子も再現出来たみたいですね。

 まあ、最強の後ろ盾がありますから、止めることなど出来ないでしょうね。



 考え事をしながら、散策しているとシズクが紳士のおじさんとカフェのテラスにいますが……まさかシズクの彼氏ですか?

 それにしても親子以上の歳の差があると思うのですが……シズクはおじさまが趣味なのでしょうか?

 そんな事を考えていたら、シズクがこちらに気付いて呼んでます。大声で、お姉様と呼ぶのは止めて下さい。


「お姉様ー! こちらで、一緒にお茶しましょう!」


 呼ばれてるので行きますが、その人は誰ですか?


「良く聞こえてますので、もう少し控え目に呼んで下さいね。ところでそちらの方はどなたでしょうか?」


「この人は、お姉様を私と引き合わせてくれた人なのです! あの時にお姉様が私を身請けしてくれなかったら、今の私は無かったので、恩人さんです!」


「お久しぶりです。また、お目に掛かれましたが、以前とは雰囲気が違いますのは私の気のせいでしょうか?」


 ノアの時に会っている方ですか。

 私の事は、なんて説明しましょうね。


「お姉様は、二重人格なのです。あの時は、ノアさんという裏の人格だったのです。いまは表のシノアお姉様なのです!」


 私は、二重人格ですか……まあ、説明も省けるのでシズクの設定に従いましょう。


「私は、シズクの言う通りで、貴方とは初めて会うことになるシノアと申します」


「なるほど、私は娯楽地区で、カジノのオーナーをしていますカシムと申します」


 カジノのオーナーとか……ノアは何をしていたのでしょうね?


「娯楽施設は行ったことは無いのですが、ノアは行ったのですね」


「お恥ずかしい話ですが、店の利権書まで全て取られてしまって、接待する事を条件にお情けで全てを返してもらったのです」


 あっちの私は、そんなことをしていたのですか!

 カジノとか羨ましいです!

 私も遊びに行ってみたいです!


「知らない事とは言え、ノアが失礼なことをして済みません」


「いいえ、大変勉強になりました。今後もお付き合いをさせて頂けると私も助かります」


 何か勉強になることが有ったのでしょうか?

 まあ、悪い話になってないのでしたら、問題はありませんね。


「それで、シズクはカシムさんとお茶をしているというわけですか」


「昼間は、散歩してからここでお菓子とか食べているのですが、たまにカシムさんと会うと一緒にお姉様のすごさをお話ししているのです!」


 私の話とか余計な事を言ってなければ良いのですが……。

 この子は口が軽いというか……私を過大評価するので、困っているのですよ。


「明日の大会にも代表で出場なさると聞きましたが、シズクさんから一緒に見ないかと誘われたのです」


「学園の大会って、一般の方も観戦出来るのですか?」


「一般の観戦チケットなどもありますので見れます。ここだけのお話しですが、大会は賭けの対象にもなっていて結構なお金も動くのです。でも、今回はあまり美味しくないかも知れませんね」


 学生の大会を賭けの対象とは、許されるのでしょうか?


「その手の事はあると思っていましたが、今回は美味しくないとはどうしてですか?」


「シズクさんから、活躍はお聞きしていますが。シノア様達『黒の暴風』は若手の中ではかなり有名になっていますので、シノア様達が出ると分かれば賭けが成立しにくいと思われます」


「お姉様は、最強ですから、絶対に負けませんよ!」


「うーん……エルナが反対のブロックにいますから。他の人には負けないと思いますが、エルナとはまともに戦ったら私が敗北しますよ?」


「エルナ様と言われると久しぶりに現れたベルセルクの方ですね。確かに油断のならない方になりますね」


「でも、エルナお姉ちゃんは完全な力押しだし、魔法が苦手なのでお姉様なら勝てると思いますが?」


「あんまり強力な魔法は禁止だし、エルナにそんな殺傷力の高い魔法は使いたくありませんので、接近戦に持ち込まれたら無理ですね」


 私の攻撃の魔法は半端に強力な魔法が多いので、使えないというか、ミリアさんもいるので見せたくありません。

 シズクぐらいの力量があれば魔法無しでも勝てそうなのですが、私は、どちらかというとそこそこ前衛もこなせる後衛という感じなので、正直に言うと護衛の要らない魔導士が正解かと。


「いまは、見えませんがシノア様のレベルは800以上ですので、この国に勝てる者など女神様の側近ぐらいしか居ないと思いますが?」


 えっ!?

 ノアは使徒の力を使えているのですか?

 それにしても、レベルの計算が合わないのですが、どこからそんな力が?

 それならば、あの変態達を圧倒できたのは納得出来ましたが、セリスの話だと、力が足りないからと言って魔法で強化もしていたみたいなのです。どうなっているのでしょう?


「それは、ノアの時だけですから、いまの私はシズクより少し上ぐらいですよ。一応は、エルナに勝つ方法は考えていますので、接近戦で抑え込まれなければ勝機も見えるかもですね」


「それを聞いて安心致しました。噂では、魔法職と聞いていましたが、私はそれでもシノア様に賭けたので、勝って頂けるとかなり美味しい思いが出来ます。現在は、エルナ様が優勝するという見方が大勢を占めています」


「まあ、それが正当な認識と思いますよ。私は、基本的には魔導士というポジションで、ダンジョンで遭遇した人に見られていますからね」


 普通に考えたら、この大会は戦士系の人が有利ですから、魔術師と思われている私が勝てると思っている人は少ないはずです。


「なので、決勝だけは、シノア様が勝てば賭けていた者は儲かるでしょうね。この大会の賭けは、今日が締め切りですから、二日以内に賭ける対象を決めなくてはいけませんでしたので、事前の情報収集は必須です」


「私もお姉様にお小遣いを全て賭けました! なので、エルナお姉ちゃんが勝つと、しばらくはここに来れなくなってしまいます。お姉様に期待しています!」


 子供が賭け事とは、関心しませんね……私も色々としていますので、何も言いませんがまだ間に合うのかな?


「まだ、その申し込みは間に合うのですか?」


「私が行けば、まだ間に合いますが、お姉様もですか?」


「では、大金貨10枚を私に賭けますので、シズクにお使いをお願いしますね」


「そんなに賭けるのですか! これは、お姉様は勝つ気ですね! 急いで行ってきます!」


 街中なのに、すごい速度で駆け抜けて行きますね。

 普通はぶつかると思うのですが……しかも、エルナからもらった子供用とはいえドレスに近い服なのにね。


「これは、楽しみになってきましたね」


「まあ、さっきも言いましたが接近戦に持ち込まれたら、私に勝ちはありませんので、必ず勝てるとは言えませんよ? 素直に負けるつもりもありませんけどね。まずは初戦のユリウスですが、彼の実力はどんな物でしょうね」


「第三王子殿下ですね。中々の努力家と聞いています。実戦経験は無いので、学生の範囲でしたら強いですが、今回は運が悪いですね」


「後は、三期生の方達の実力になりますが、エルナに票が集まっているという事は、そこまでの実力は無い事になるのかな?」


「三期生には、第二王子のクロード殿下が居ますが、順当に行けば、シノア様と準決勝で当たるようになっております。御二人が居なければ、確実に優勝でしたね。実は3連覇が掛かっていたのですが」


 何と、2人も王子が居たのですか。

 どのくらいの強さか分かりませんが、目を付けられないことを祈りましょうか。


「第二王子さんは、どのような方なのですか?」


「自由な方なので、王家には固執しないで、将来は冒険者になるつもりのようです。現在は、仲間と共にダンジョンに挑戦していると聞いています」


 実戦経験があるのでしたら、ちょっと侮らない方が良いですね。

 私の唯一の武術の槍術は初級から変化はありませんが、そこそこは使えると思います。今回は、なるべく剣で挑もうと思っています。

 剣術の技能は無いのですが、適度にエルナの相手はこなせているので、試してみたいのもあります。


「どこまでの階層まで降りているのか分かりますか? 」


「確か、現在14階層を2組のパーティーで進めていると聞いています」


 ちゃんと正攻法で、攻略しているみたいですね。

 私達は3人だったけど、完全にシズクの無双劇場だったので、楽が出来ました。

 セリスと2人だったら、ちょっと苦労していたので、ノアには感謝していますよ。


「正攻法で、攻略されているようですね」


「私の記憶が正しければ、シノア様達は3人で攻略されてましたかと」


「よく覚えていましたね。なるべく目立たないように深夜に潜っていたのですが?」


「シズクさんの件から、ずっと注目をしていましたので、先日45階層を突破なされたことも知っています。シノア様が居るので、問題無いと思っていました」


 うーん、見ている人は見ているということですね。

 しかも、この人はノアの能力を見ているので私の評価が高いようです。普通でしたら私を見ることが出来ないのですから、ノアは逆に見せていたのですね。

 絶対的な強さがあれば、逆に見られている方が良いのかな?

 まあ、今の私は弱っちいので、ノアと会話が出来るようになれば少しは打開策があると思いますが……。

 確か、エレーンさんが言っていた通りなら、今も私の行動をずっと見ているという事になるので、私が考えている事も知っていると考えた方が正しいと思います。

 ねぇー私が話したいと思っている事がわかっているんだから、夢で良いから、現れてよー。

 ……自分に話しかけるとかちょっと虚しいのですが……。


「お姉様、ただいま戻りました!」


「おかえり、シズク。私はそろそろ戻りますが、このまま居ますか?」


「私も一緒に帰ります!」


「では、私も店の方に戻ることにしますので、近い内に遊びに来て下さい。場所はシズクさんが知っておりますので、お待ちして下ります」


「色々とありがとうございます。私も行ってみたいので、ぜひ伺わせて頂きますね」


「シズクさんにも負け越していますので、ぜひご一緒に来て下さいね」


「はい! お姉様と一緒に行きます!」


 この子はいつの間にカジノに通っていたのですか……羨ましいじゃなくて、年齢制限とか気にしなくていいのでしょうか?

 それにしても、私も行ってないのにカジノに通っているとは……けしからんですね。

 ちょっとお仕置きでもしょうかと考えていたら、スタスタ歩くセリスとカインさんが話しながら、後ろを歩いていますね。


「カインさんは、今日もセリスお姉ちゃんを頑張って口説いてますね。私が読んだ漫画に、しつこさは誠意に変わると書いてありましたが、セリスお姉ちゃんはまったく変化が無いので大変だと思います」


「毎日、話しかけているのですか?」


「それはわかりませんが、以前に話しかけてカインさんを応援したら、寝る前にすごく説教をされましたので、話しかけないようにしています。セリスお姉ちゃんは、普段は優しいのですが、説教モードになるといくら謝っても懇々と怒られてしまうので、怒らせないようにしています」


 2人は、一緒の部屋に居ますが、そんなことがあるのですか……私がお仕置きをするより、セリスの説教の方が効きそうですね。


「前にお姉様に迷惑を掛けた時は、朝まで怒られました」


「あれは、私がもう良いと言ったはずでは?」


「お姉様が許しても私は許しませんと言って、ずっと……あっ! セリスお姉ちゃんには、今の話は内緒にして下さい! もしばれたら、一晩中説教と折檻されてしまいます!」


「折檻って……シズクは好きなのではないのですか?」


「お姉様は、丁度良い感じで叩くので、気持ち……じゃなくて。セリスお姉ちゃんは、加減を知らないので、とんでもないことになるし、適当な所で回復させてまた続けるから、恐ろしいのです!」


 私の叩き方は気持ち良いそうです……今度、思いっきり叩いて上げますよ!

 それにしてもセリスってば……私の事になると感情がいきなり高まるのですが、どうしてなのでしょうね?

 しかし、そこまでするとは、これからはセリスに言い付けようかなーとか言ってみるのも楽しそうですね。


「私がセリスに言って、手加減するように頼んでおきますか?」


「止めて下さい! 今でもお尻の感覚がなくなるまで、叩かれています! 声が外に漏れないように風の魔術で音を消しながらなので、精神的にもきついのです! もし外に音が漏れたら、次の日も続きがあるのです!」


 自分の声を自分で魔法で打ち消すとか、器用ですね。


「まあ、それで良いのでしたら、私は何も言いませんが」


「お姉様は、何も知らなかったと言う事でお願いします」


 必死のシズクも良いですね。

 それにしても、近くに居るので分かるのですが、いまのセリスは特に嫌な感情を出していませんので、意外とカインさんの事を嫌ってないのかも知れませんね。

 表向きの態度はいつもと変わりませんが、私には、セリスの感情が流れてきてしまうので、誤魔化せませんね。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ