249 争いはいけませんよ?
「セリス、発光弾改を打ち上げてくれませんか?」
現在遭遇していた魔物をシズク達が倒した所で、セリスにお願いをしました。
「どれを打ち上げますか?」
「先日に試しに使ったやつです」
「シノア様のお考えは理解できました。それでは打ち上げたいと思います」
ナオちゃん達は私とセリスが何を話しているのか理解ができなくて、セリスの行動を見守っています。
シズクは分かったみたいですが……なんとなく期待をしている目をしています。
そんな空気を無視してセリスが打ち上げ用の筒を出して点火すると大きな音を立てて筒の中身が上空に打ち上げられました。
「発光弾というよりは維持時間が長い打ち上げ花火ですね!」
シズクの指摘通りです。
元は花火の大玉なんだけど、昼間でも強い輝きを放ちながら、その輝く維持の時間が長くなるように改良したものです。
ノアが合図用に作らせたものなんだけど、こんなのを打ち上げたら目立つ事極まりないです。
もっとも相手にバレバレになるように作った傾向もあるので、これが観測されたらノアがその辺りに居ることの証明にもなっていたのです。
要するにこの近くでどこかに盗みに入るから、警戒態勢を強化しなさいと相手に伝えていたのです。
すると数日以内に予告状を目的地に出すんだけど……最初の頃は警備の強化程度だったのにノア達のやる事が過激になって滅茶苦茶するし手に負えなくなった所為で軍隊配備に近くなるから近隣の住民にはとても迷惑な合図です。
私がそこに住んでいる人達に迷惑が掛かり過ぎだと文句を言ったから、「要するに住民にも賄賂をばらまけばいいんだよね?」とか言ったと思ったら、登場と同時にお金をばらまくことで正当化したのです。
お蔭で逆に住民の人達が集まるから歓迎する風潮になったんだけど……普段から賄賂を有効活用している私としては、文句が言えませんでした。
だけど、自らの居場所をアピールする怪盗とか漫画やアニメじゃあるまいし現実には聞いた事がないんだけど?
そんなことを思い出していると遠くから飛んでくる飛行物体が見えてきました。
一度しか見せていないのにしっかりと覚えているなんて意外と賢いですね。
私達は普通に空を眺めていましたが、ナオちゃん達は近付いて来る存在に驚いて慌てています。
「シノア様! こちらに向かって来るのは『暴虐の火龍ガラティア』です!」
暴虐?
自分を美味しいとか言っている自分食いさんですよ?
なぜか私に懐いてしまったので、この森に来た時は呼べば必ず駆けつけてくれると約束をしたのです。
その時にいま打ち上げた発光弾を打ち上げて見せておいて、これを見たら来てくれると助かるかな?とか言っておいたのです。
どうせ忘れているかもしれないけど駄目元で打ち上げたら、かなりの速度で真っ直ぐこちらに向かってきます。
ナオちゃん達は、危険だからこの場を離れるように話しかけてきますが、呼び出したのは私なんですよね。
説明をしようと思ったんだけど、ガラティアさんが既に私達の上空にいます。
意外と早く来ましたね。
ナオちゃん達は逃げることを諦めて私を守るように立っています。
そして、ガラティアさんが上空から私達の言葉で、挨拶をしてきました。
「我、参上!」
せっかく上空で翼を広げて威厳のある姿でかっこよく登場したのに実に残念な台詞です。
シズクと何やら話していた気がしますので、きっと下らない登場シーンの台詞でも教えてもらったに違いありません。
私と目が合うと地上に降り立ちましたが、ナオちゃん達は戦闘態勢を取っています。
ガラティアさんにもそれが分ったので、3人に対して言葉を掛けてきましたが……。
「なんじゃ、病原体の吸血鬼がおるが我に戦いを挑むつもりなのか?」
おやおや、龍族からは吸血鬼の扱いが病原菌扱いとは地味に切ないですね。
確かに感染させて仲間を増やすのだから、あながち間違ってはいません。
「あたしは、シノアお姉ちゃんを守る為に一歩も引かないんだからね!」
ミリちゃんは勇ましいですね。
3人の表情から察するとガラティアさんはかなりの強敵なのだと思います。
このまま見ているのも面白そうなのですが、取り敢えず上から見られていると私が気に入りませんので、ガラティアさんには人化をしてもらいましょう。
「ガラティアさん、私は上から見られるのが好きではないのですが……」
そう呟きながら、片手にはガラティアさんの手足を斬り飛ばした風の刃をさりげなく作り出すとガラティアさんは慌てています。
やはり躾は最初が肝心ですね。
「待つのじゃ! 我は其方の呼びかけに応じてきたのじゃぞ!」
「でしたら、早く姿を変化させて欲しいなー」
「慌てるでない。その前に我の尻尾を再生させて欲しいのじゃ」
よく見れば尻尾が短いです?
まさかとは思うけど……一応確認をしてみましょう。
「もしかしなくても食べたのですか?」
「う、うむ……だが、お主が調理した時ほど美味くなかったのじゃ……時間は掛かるが、いずれ元に戻るのじゃが……仲間の集落には事情を知っておるロゾフの奴がおるから、我がなにをしていたのかがばれてしまうのじゃ! なので、あまり目立たない山頂の隠れることができる場所で、お主達が早く呼ぶの待っておったのじゃ」
アホですか?
尻尾が縮んだら恥と分かっているのに食欲に負けたとか……この世界の強者の部類の方達は美味しい物を食べることに情熱でも捧げているのでしょうか?
それはともかく今度からは暴食の駄龍と改名した方が良いかと思います。
「セリス、仕方がないので治してあげて下さい」
セリスもガラティアさんが間抜けだと思ったのか、無言で癒して尻尾を元に戻しています。
きっと呆れているのだと思うけど、私も同じく同意するよ。
尻尾が直るとガラティアさんは、その場で人化をしました。
以前と同じ巨乳のお姉さんの姿に……ちょっと揉んでみたいと思ったのですが、我とか言っているから気分が乗らないんですよね。
同じ揉むにしても私としては、言葉遣いと乙女の恥じらいが必須なのです。
弱みを握って嫌がる乙女に我慢をさせつつも恥じらいながら耐えている姿を見ると私は燃えてきます!
シズクにそれを語ったら、私が駄目な方に大きく傾いたとか言うんだけどね
でも、私の嗜好のお蔭で、不当な理由で困っていた不幸な乙女が何人も助かったのに理解ができません。
言っておきますが、弱みと言ってもお金に困っている娘を援助という名目で私とイチャイチャしていただけですからね?
勿論ですが、恥じらっている最初の頃だけです。
慣れてきたりすると私の対象外だし、相手もお金目当てに初々しさが無くなって私がその気になれないのです。
やっぱり恥じらいはとても大切です。
ちなみにミリちゃんは昨日の晩に試したけど、反応が面白くないから私の興味外となりました。
揉む度にお菓子の要求しかしてこないので、恥じらいとかまったくなかったからね。
「それで、なにようなのじゃ? また美味い物を食べされてくれるのか? それともそこの病原菌の者達を殺せば良いのか?」
私とガラティアさんが普通に会話をしていたので、警戒心を解いたナオちゃん達ですが、またもや病原菌と呼ばれたのが自分達と分かると再びガラティアさんを敵と認識したようです。
「あたし達を病原菌扱いするとは、許しませんわ! 例え勝てなくてもボコボコにして差し上げますわ!」
真っ先にマリちゃんが啖呵を切りましたが……勝てない前提なんだ。
「何を言われたのかよく分らないけど、マリーナの敵ならあたしも許さないよ!」
ミリちゃんは自分がウィルス扱いされたことが分かっていないようです。
だけど、双子の姉妹のマリちゃんがやる気なら相手の実力に関係無く戦いを挑むみたいですね。
最初にガラティアさんを見た時に真剣な表情をしていましたので、ミリちゃんも相手の実力は理解をしているみたいです。
「シノア様……この火龍とお知り合いなのでしょうか?」
ナオちゃんだけは、剣を構えているけど冷静に私に意見を求めています。
「まあ、こちらに戻ってからの最初の知り合いかな?」
「そうなのですか……宜しければ仲裁をお願いしたいのです。マリーナ達は熱くなっていますが、私達ではまず勝てません」
ガラティアさんを呼んだのは私なのですから、当然ですね。
しかし、吸血鬼と龍族は敵対関係にあるみたいです。
それにしても……まったく動じないセリスはいいとして、シズクも傍観しているとか自分の手下なんだから、助け船ぐらいだそうね?
どうせ、3人がピンチになるギリギリで助けるつもりだったと思いますが、窮地を救って自分の強さをアピールでもする予定なんだろうね。
シズクを見ていると絶対に配下になりたいと思えないよ。
「申し訳ないのですが、争うのを止めてくれませんか?」
私がにらみ合っている3人に声を掛けました。
「我は何もしておらぬぞ? そこの病原菌共が己の実力も弁えずに我に挑もうとしておるだけじゃ」
だから、その病原菌呼びが駄目なんですよ。
「シノア様、お力をお貸しください! この無礼な龍を懲らしめたいのです! あたし達だけでは勝てませんがシノア様がお力添えをしていただければ、絶対に負けませんわ!」
だから、争いは止めなさいと言っているのにマリちゃんは私に加勢を求めています。
「棟梁も手伝って! あたしも頑張るから棟梁の必殺技で倒してもいいよ!」
ミリちゃんも話を聞いていないのか、シズクに必殺技を要求しています。
様子見をしていたのに僅かに目元が動いたので、シズクがその気になりかけています。
お願いだから、私の声が届いて欲しいのですが……こういう時は背後の過激なできるメイドさんにお願いして止めてもらいましょう。
「セリス、私の話を聞かない者達を拘束して下さい」
私が声をかけるとセリスが上空に手を翳すと戒めの言葉が発動します。
「シノア様の言葉を聞けない愚か者は罪を数えなさい『チェーン・ジャッジメント!』」
セリスが聖魔術の拘束魔法を唱えると3人に対して無数の輝く鎖が降り注ぎ拘束しています。
「むっ、これは!」
「セリスお姉様! あたしは罪人ではありませんわ!」
「なにこれ?」
ふむふむ、意外と多いのはマリちゃんです。
この魔法は罪の数だけ拘束する鎖が増えて束縛する強度が上がります。
次に多いのはガラティアさんで、ミリちゃんは数本しかありません。
3人共抜け出そうとしていますが、数本しかないミリちゃんでも拘束されてない部分は動かせますが、引きちぎることは無理みたいです。
ガラティアさんは体を動かせる程度で、マリちゃんなんて完全に身動きが不可能とか……マリちゃんの罪がすごく知りたくなってきました。
私としては、盗み食いとかしまくっているミリちゃんの方が多いと思っていたのですが、本人が罪と認識していないからだと思います。
ちなみにこの魔法は術者よりもレベルが高い相手には発動しません。
まあ、セリスは私と同じで、この世界におけるレベルは最大なので相手が神とか魔王じゃなければ、この魔法で拘束できない存在はいません。
ただし、相手の深層意識に己が罪もしくはそれに準ずるものを認めていなければ無意味なんだけどね。
まあ、取り敢えずこれで私の話が通じると思います。
「シノア様が、お前達に話があるので黙って一言一句聞き逃さないように聞きなさい。余計な言葉を発した者は命の保証はできません」
3人を拘束したセリスが3人に言い放ちましたが……脅しまでしています。
マリちゃんだけは理解をしたのか、表情が青ざめています。
出会った時に体を吹き飛ばされていますから、セリスが有言実行すると知っていますからね。
「まあ、落ち着いた所で話をしたいと思います。まず、ガラティアさんを呼んだのは私なので、マリちゃん達も敵対行動をしてはいけません」
マリちゃんは黙って首を縦に振っています。
ミリちゃんは……。
「あたしは何も悪い事はしていないよ!」
直ぐにセリスの手にマナが集まる気配がしたので、私がセリスの手を掴むと魔術の発動は止めましたが、私に「体に手は出しません」と言葉を残しミリちゃんに近付くと胸元の懐に手を入れると弄ったと思ったら、お菓子の箱を取り出しています。
「それはあたしのだから、返して!」
冷めた目でミリちゃんを見ながら一言。
「これは、シノア様の所有物資です。今朝方にシノア様が朝食後の片づけをしている隙に家具の棚に入っていた物を盗み出したのは知っています。シノア様が貴女を可愛がっているので見逃しましたが、本来ならば極刑に値します」
いつの間に……私は気付いていなかったのですが、抜け目がないですね。
それにしてもお菓子を盗んだぐらいで極刑とか怖いな。
「そうなんだけど……シノアお姉ちゃんは許してくれるよね!」
盗んだのは認めるけど、許して欲しいと私に笑顔でお願いをしてきます。
まあ、別にいいんだけどね。
「仕方ありませんね。それはあげますので、次からはちゃんと私に報告してから持ち出しましょうね?」
「わかったよ! シノアお姉ちゃん、ごめんなさい!」
晴れて自分の物になったので、嬉しそうに謝っています。
しかし、セリスの次の行動で悲しみに包まれてしまいました。
「それでは、余計な言葉を発した罰として、これは没収致します」
「ちゃんと、あたしの物になったんだから、返して!」
「わかりました」
そう言いながらも中身を開封して、全て食べてから空になった箱を足元に投げています……セリスが大人げないいじめをしていますね。
「あたしのチョコクッキーが!!!」
「滅多に食べませんが、流石はシノア様が購入された物なので、美味しくいただきました」
「セリスさん、酷いよ!」
「貴女に体罰の類は痛みに鈍感なので効果が薄いと判断をしたのです。幸いにもシノア様の目を盗んで食べ物を手に入れていたので利用させていただいたのです。次に同じ事をしたら分かりますね?」
「ううぅ……わかったよ……もう大人しくしているから、次は止めてよ……」
ミリちゃんが涙目になって静かになりましたが……次とか言っているから、まだ持っているのかと思います。
ちょっと持ち物検査をしてみたくなったのですが、私は寛大なので聞かなかったことにします。
これで2人は大人しくなりました。
次はガラティアさんの方を何とかしましょう。
「ガラティアさんもいきなり病原菌扱いをするのは問題だと思います」
「……済まぬが聞かれたので、我は話しても良いのか?」
「構いません。それにしてもガラティアさんが大人しくするとは予想外ですよ?」
私の見立てでは、ガラティアさんのマナの反応はとても大きいのです。
ちょっと魔王クラスに及ばないぐらいなので、セリスの魔法を何とかして破れると思っていたのですけどね。
「我はこの魔法を知っておる。この魔法に拘束されるということは、その者が我よりも上との証明にもなるのじゃ。あのオーガ・ウォーリアと互角に戦う娘と一撃で消滅させたお主がいるのだから、我に勝ち目などないのは明白じゃ」
意外と物わかりがいいドラゴンさんです。
「では、今後はそのような発言は控えて下さい。現在は吸血鬼になっていますが、私の大事な子達なのですからね」
「わかったのじゃ。それにしては姉のような態度のようじゃが、見た目的にその娘たちの方が成長しているように見えるのじゃが……」
「私は最初に出会った時にガラティアさん達に事情を話していると思いましたが?」
「おおっ! そう言えばこの世界には5年ぶりでも時間経過は1000年近くも違うと言っておったの」
お肉ばっかし食べていた気がしたのですが、ちゃんと話を覚えていたみたいです。
「納得して頂ければ幸いです。セリス、3人の理解が得られたみたいなので、拘束を解いて下さい」
私がセリスに指示すると3人の拘束が解除されました。
マリちゃんは直ぐにセリスの元に駆け寄って背後に隠れていますが、ミリちゃんはその場で空箱を眺めています。
お菓子ぐらいで、そこまで落ち込むとは……シズクが近づいて「精神力の修行が必要ですね」とか呟いていますが、本人は聞いていないみたいだけどシズクの修行の矛先があちらに向いているので、ミリちゃんには悪いんだけど耐えて下さいね。
そして、ガラティアさんは背伸びをしてから私の元に来ます。
「それで、我になにようなのじゃ?」
「先に謝っておきます。呼び出したのに色々とあったので私としては申し訳ないと思っているのです」
「我はそんなことは気にせぬぞ。第一にお主は我の命の恩人だしの」
ナオちゃんが暴虐の火龍なんて言っていたのに物わかりがいいですね。
それでは、本来のお願いを頼みたいと思います。
「私達はファルモニウムの森のある目的地まで行きたいと思っているのですが、このまま徒歩で向かうと7日も掛かるらしいので、背中に乗せて運んでくれるととても助かるのです」
「そのぐらいなら容易い事じゃ。我としても早く呼ばれて尻尾を治して欲しかったところじゃったからの。我は大抵の場所は知っておるが、それで目的地とは?」
「この森にマナの泉と呼ばれる場所が存在しているのです。知っていますか?」
「はて? この森にそんな場所があったかの? 凶暴な魔物が潜む湖ならあったが名前からして違うじゃろな」
「恐らくですが、私達と初めて出会った場所の近くだと思います」
「むむ……どこじゃったかな?」
残念ながら覚えていないみたいですね。
地図で見た時にこの森はかなり広い森だったと記憶していますので、私も知らなければ小さなマナの泉を見つけるのは難しいでしょうね。
私達の会話を聞いていたナオちゃんが、話に加わってきました。
「ここから南東に真っ直ぐに進んだ場所です。私達もそうなのですが、魔物の類は近づくことができない場所なのです」
「ナオちゃん達は近づけないのに行けるのですか?」
「この剣を持っていれば辿り着けます。以前に私だけが入れてマリーナ達は何かの力が働いて進むことができなかったのです。なので3人で手を繋いで入りました」
ふむ……要するに吸血鬼は魔物に近い分類をされているのかもしれませんね。
レンの時は私が手を引いて連れて行きましたので、気付けなかったみたいです。
「わかったぞ! 我らも近付くとどうしても方向を変えてしまう地域があるのじゃが、あそこだな! 確か、ここから南東の方角の辺りじゃな」
ガラティアさんにも場所が分かったみたいですね。
それなら話は早いです。
「多分そこで合ってると思うので、私達を運んでくれませんか?」
「構わんが、我はその近くまでしか行けぬぞ?」
「いえ、多分ですが、私が同伴していれば、ガラティアさんも行くことができる筈です」
恐らくですが、私もしくは女神レア様との関連がある者だけが入ることができる聖域になっているのではないでしょうか?
女神様は言っていました。
あそこは女神レア様がこの世界で唯一関渉ができる場所だと。
なので、その関係者のみが近づくことを許されているのだと思います。
ナオちゃんが入れたのは、私が作り出した大剣を所持していたからと思います。
それによって私との接点を認めてもらえたのかと予測します。
「それならば、大体の位置は分っておる。向かうので、我の背に乗るが良い」
ガラティアさんは龍の姿に戻ると私達を背に乗せて飛び立ちました。
改めて上空から下の景色を見ると大きな森です。
こんな所を徒歩で移動とか目印がなかったら大変ですよ。
ナオちゃんにその事を尋ねると剣にエルナの場所に導いて欲しいと念じると風が行き先を教えてくれるそうです。
方向がずれると僅かに風の抵抗を受けるので、風の流れに逆らわなければ辿り着けるとの事です。
帰る時も町の事を考えて念じると同じ事が起こるそうです。
あの剣にそんな機能まであったとは、製作者の私も知りませんでした。
なんにしてもこれで目的地には直ぐに着きそうです。
上空には他の飛行生物もいたのですが、ガラティアさんのブレスで消滅するかいつぞやに戦ったことのある駄龍と同じく炎の弾幕の魔法みたいなもので片っ端から叩き落としているので、私達は何もしなくてもいいみたいです。
不利と悟って逃げ出している魔物もいるのですが、ガラティアさんの容赦のない追撃攻撃で遭遇する魔物は全て落とされていくので、この辺りから暴虐とか言われているのかな?
やっぱり空路を使って移動するのは楽ですね。
あの時にお肉にせずに仲良くなっていていたのは幸いでしたねー。




