19 設定って、なに?
15階層までの道を見つけたので、今日は早目に帰ることにしました。
このまま15階層の探索もしようと思ったけど、流石にセリスが可哀想になってきましたからね。
「今日は、この辺で戻りましょうか? 」と、聞いたら……。
「ほんとですか! 少し、気分が優れないので助かります! ありがとうございます!」
うん、ごめんね……こんなに嬉しそうに答えるなんて、相当きつかったのですね。
ある意味で、私の求めていた接し方になったのですが……ちょっと罪悪感でいっぱいです。
「少しは慣れたのかな?」
「大丈夫かと思いますが……早く匂いを落としたいと思います」
ちょっと蟲の体液が付いてますからね。
そうだ!
「うーん、慣れる為にもお昼ぐらいまで、我慢してみる?」
「えっ……そ、そうせよとおっしゃるのでしたら、私は耐えますが……ぐすっ……」
あっ、調子に乗り過ぎました!
いまにも泣きだしそうです!
「ただの冗談だから、周りのみんなに気付かれてしまうし、ちゃんと洗ってさっぱりしましょうねー」
「ほんとですか? 」
「そのつもりで、早く切り上げたのだから、早くお風呂にしましょう」
「はい……」
やり過ぎはいけませんね。
しかし……セリスって、いじめると可愛いと思ってしまったのは内緒です。
翌日、学園から戻るとシズクがなんかひざまづいているのですがどうしたのでしょう?
「お帰りなさいませ、御屋形様!」
はぁ?
御屋形様って、なに?
「えっーと、シズクに聞きたいんだけど……それって私のことかな?」
よく見ると、昨日スケッチした服装に着替えてますね。
向こうの世界で言うミニスカ忍者とか言う服装なのですが。
背中に小太刀を左右に背負って、腰には太刀を差していますが……。
「そうにございます! シノアお姉ちゃんは、私の主ですから、そう呼びましたが!」
あの漫画の設定だと……御屋形様と言うのは、美形のお兄さんでは無いですか?
私は一応は女の子なのですが……。
「シズク……私は女の子なので、その設定だと私はお兄さん扱いになってしまうのですが……ちょっと傷つくよ……」
「あっ! そうでしたね……では、お姉様にします!」
主人公のお姉さんですがスタイル抜群の美女じゃん……私は違う意味で傷つきますが……
「その設定は、私には酷ではないでしょうか? どうせなら、シズクの演じている操ちゃんが良いですよ……」
「それだけは駄目です! その為にこのコスプレにしたのですから!」
コスプレとか言ってますが……ふむふむ、分かりました。
服装でそのキャラになりきることですね。
あと、元気なのは良いのですが、主従関係になっているよ?
私は、そんなの望んでないのに……ちょっとお仕置きでもしようかな?
「私は、配下とかの関係より、友達の関係を望んでいるので、漫画の設定は出来れば辞めて欲しいのですが?」
「えっ!? 私は、お姉様の配下なのは本当のことですよ? それにこの方がなりきれるので認めて下さい!」
「ダメです、却下します」
「そんな御屋形様! じゃなくて、お姉様! そこを何卒お願い致します!」
ちょっとおどおどしてた、あの可愛いシズクちゃんはどこに行ったの?
刀を持った時もそうでしたが服装を変えたら、その役になりきってしまってますが。
この設定をこれから続けていくのはちょっと嫌ですね。
このお姉さんは、操ちゃんがおいたをするとそういうお仕置きをするのですか……ちょっとお仕置きしましょう!
「シズク、私がお仕置きをしやすいようにパンツを下げて、そこの壁に手を突きなさい」
「えっ!? それは……分かりましたお姉様……これで良いのでしょうか?」
……まったく嫌がらずに行動しましたよ?
昨日は冗談で言ったら非難されたのに!
ええ!
分かりましたよ!
お姉様をやれば良いんですよね!
差し出されたお尻をそのまま叩いてあげます!
良い感じに音が響くように叩くと、なんか嬉しそうなのですが……。
「シズク、何故お仕置きされているか分かっていますよね?」
「お姉様に粗相をしたからです。どうぞお気の済むまでお仕置きして下さい!」
粗相はしてないのですがこの娘はお尻を叩かれて喜んでますが……13歳でこれでは、将来が心配です!
この感じる感覚は……いつぞやのエルナと同じ物を感じます……。
「はぁ……もう良いので、次に同じことをしないようにね……」
「ありがとうございます! また、至らない時はお願いします!」
つい真っ赤になるまでやってしまいましたが感謝されてしまいました!
エルナじやないけど、この娘も変なスイッチがあるのですか。残念です……。
「シノアって……そういうのが好きなの? 私もシノアが喜ぶのでしたら、お仕置きされても良いのですが……」
あっ……よく考えたら、エルナも一緒に居たの忘れてました!
セリスは何事も無かったようにしてますが、リンさんは……「久しぶりにお嬢様にやってみたい」とか呟いています。
ギムさんは、「お前さんは、どうもそっち系が好きみたいだな。途中から、楽しそうに叩いていたな」とか言うし。
シズクは……「この痛みがお姉様の愛の証なんですね……癖になりそうです……」……この残念娘はマゾですか!
頭が痛いです……。
まあ、それはこの際置いといて、気分を切り替えましょうか……。
夕食を済ませてから、ちょっとダンジョンに行くことにしたのですが、エルナがぐずってきます……。
「シズクちゃんを連れて行くのでしたら、私も行っても良いですよね?」
自分も一緒に行きたいとか言ってますが危険ですからダメです。
大体、私の条件をクリアしていませんよ。
「ダンジョンは死ぬかも知れない危険があるし、エルナは課題をクリアしていませんから、ダメですよー」
「シズクちゃんだって、同じなのに……」
「この娘は、近接戦闘なら、私やセリスより強いので問題ありませんよ? 昨日、見てましたよね?」
「それはそうなんだけど……」
「では、修行に励んで私に一撃を入れれるようになったらねー」
「うっ……シノアのいじわる――――!」
お嬢様なのに叫びながら、出て行きましたが……リンさんが「何て、はしたない……ついでにお仕置きを……」とか言いながら追いかけてます。
あーあー、可哀想に……追いつかれたら、また説教されますし、もしかしたら、お尻を叩かれますよ。
その後、ダンジョンの15階層に来ましたが、シズクの実力なら問題無いでしょう。
向こうの世界は、戦いとか無い平和な世界でしたから、戦えるか心配していたのですが。
魔物と戦うのは大丈夫かと聞いたら、むしろ期待してたようです。
小さい頃から祖父と山で動物なども狩った経験もあるし、道場の跡取りとしても期待されていたので、時代錯誤な修行もさせられていたとか。
5つ年上のお姉さんがいるらしいのですが、剣術とか見向きもしないので、シズクは物心が付いた時から剣のみ教えられるだけで、世間の娯楽は全て禁じられていたそうです。
その反動で、お姉さんに協力してもらって、隠れて漫画などの趣味にはしっかり浸かっていたそうです。
早速、でかい蟻が来たのに驚くどころか我先にと斬りかかって行きます。
「秘剣! 一の太刀!」
秘剣?
私には上段から斬り倒したようにしか見えないのですが……しかし、硬い甲殻の部分に斬り込んだのに見事に真っ二つです!
私とセリスは関節の部分を狙わないと斬れないのにすごいですね。
「必殺! 風刃斬!」
風刃斬?
例の居合抜きなのですが、それとは別に『ウィンド・カッター』の魔法を使って、敵を十文字に斬ってます。
技能の詠唱破棄のお蔭で無詠唱で魔術が使えるので、上手く組み合わせていますが、十文字にする必要は無いのでは?
私から見たら、マナの無駄遣いにしか思えません。
ちょっと団体さんが来ましたので、魔法で倒そうと思ったら、もう突撃してます!
「奥義!回転乱舞!」
……二本の小太刀で舞うように切り裂いてますが、どの辺りが奥義なのでしょうか?
その後も何か技の名前を言いながらばしばし倒して行くのですが、疲れるどころかすごく楽しそうです。
あの娘の記憶にある中二病というやつですね?
完全に主人公になりきって、戦ってます。
私とセリスはすごく楽です。
セリスなんかは、蟲とあんまり戦わなくて済んでいるので、嬉しそうです。
私も普段は使わない魔法を試しに使っている状態です。
そんなことをしてたら、もうボスの扉の前に着きましたが、シズクは怪我一つ無いのですよ。
私がもらっていた粘液とか全て躱してしまうのです。恐ろしい娘です。
しかも、まったく疲れた様子がありません。この子は人間なのに体力とかおかしいです!
あの高速回復とかいう能力のお蔭で疲れ知らずみたいですね。
「お姉様、この扉は何でしょうか?」
「この扉の向こうが15階層のボスが居る部屋なのです。今更聞くのも何ですが、戦ってみてどうでしたか?」
「はい、すごく楽しかったです! 漫画やアニメのように敵を倒すとか、元の世界では出来ませんから!」
「向こうの世界は平和で、戦いとか無いのにシズクは怖くないの?」
「最初は不安しかありませんでしたが、向こうでは出来なかったことが出来るので、お姉様に身請けしてもらって、今は感謝しかありません!」
えっとー、普通はまったく別の世界に来てしまったので、帰りたいとか思うのでは?
「それなら良いのですが。元の世界に帰れる方法が見つかるまでは私が何とかしますからね」
ん?
何やら考え込んでますがどうしたのでしょう?
「あの……お姉様さえ宜しければ、私はこのまま残りたいと思います」
えっ!?
「元の世界には、両親や友達とか居るので帰りたいとは思わないのですか?」
「おじいちゃんとお姉ちゃんと友達には会いたいとは思いますが、元の世界に帰ったら、言われるがままの修行生活なので……それにここなら、魔法も使えるし、私の身体能力もすごく上がってますし、何より自由です」
「いまは良いけど、その内に死んでしまったりするんだよ? 怖くないの?」
「怖くないと言えば嘘になりますが、私は自分を試したいのです! 普通でしたら、こんなことはあり得ないし……こういう世界に憧れていたのも事実なのです!」
まあ、本人が望んでいるのでしたら、問題無いですね。
私としても、この娘を手放したく無いと思ってますからね。
「心残りがあるとすれば、私が見ているアニメや読んでいる漫画の続きが見れないのが残念です……」
向こうの未練がそれだけとか……余程厳しく育てられたりしていたのでしょうね。
あれ?
両親は良いのかな?
「御両親には会いたくないの?」
「お父様とお母様は、いつも私を厳しく躾けているだけで、私の大事なグッズを居ない間に捨ててしまうので、嫌いです!」
まあ……行き過ぎた教育は、反感を買うので、良くないみたいですね。
「それでは、ボスの部屋に入りますが、無理でしたら撤退しますからね」
「どんな強敵なのでしょうか? ボスとかかっこいいですねー! 私は楽しみです!」
うん、まったく怯まないですね。
完全にゲーム感覚のノリですね。
扉を開けると、複数の蟻と芋虫と一体だけ知らない個体がいます。あれがボスかな?
見てみるとクィーン・アントという名前のようですが大きいですね。
「お姉様! あの大きいのと戦っても宜しいでしょうか?」
この子は、いきなりボスと戦いたいと言ってますが!
「あれがボスだと思うけど、どんな攻撃をしてくるか分からないよ?」
「むしろ、その方が面白そうです!」
……要するに完全なバトルマニアですね。
セリスには、何か有った時の為に、最優先でシズクに回復魔法を使うように指示しておきました。
「最初に私が範囲魔法で攻撃します。その後は私達がサポートしますので、シズクはボスに攻撃開始して下さいね」
「心得ました!」
いまいち、この設定は調子が狂うのですが……。
先程、使えるようになった魔法を試してみましょう。
深く意識するとついでに詠唱の文章が浮かんでくるので、大体はこれで単体魔法か範囲魔法なのか予想が出来ます。
効果は知りませんが試しに使ってみて、しょぼかったら、前回のボス戦に使った魔法を続けて使いましょう。
「我は願う 炎よ集いて我が敵を包め 荒れ狂う炎よ 掌握せよ フレイム・ヴァイス!」
魔法が発動すると、敵を中心に炎が舞い上がったと思うと中心に向かって魔物ごと巻き上げて行き、そのまま炎が圧縮されて消えてしまいました。これ恐ろしい魔法ですね!
敵を焼きながら炎で圧死させて倒すとか、人には使えませんよ!
セリスとシズクが驚いていますが、私もあまりの威力に驚いています!
「かっこいいです! 流石はお姉様です!」
シズクには大好評です。
「こんな魔法が有ったのですね……出会った時にこれを使われていたら……」
セリスは別の感想をお持ちのようですが、少し前に使えるようになったことは黙っておきましょう。
「では、参ります!」
ボスまでの雑魚は殆ど今の魔法で倒してしまったので、突撃していきましたよ。
私とセリスで残りの雑魚を対処しつつシズクの援護をしょうと思いましたが、いらなそうですね。
雑魚の蟻と違って足の数がやたらと多いのですが、躱しながら順番に斬り落としています。
粘液とか単発では無く複数吐いてくるのに全て躱してます。
私だったら、確実に半分は被弾してますね。
クィーンのお尻から雑魚が定期的に生み出されますが、出てくる所が分かっているので、出たと同時にシズクの風魔術で倒してますから増えません!
あの娘のマナの容量はどのくらいあるのでしょうか?
地味にマナを使い続けているのですが、まったく衰える様子が無いのです。
大体、飛んだり跳ねたりしているのにあんなミニスカートが絶対にめくれないのは何故と思って、よく見て見たら……ちゃんとマナで風を体に循環させていますよ。
後で聞いたのですが、漫画の操ちゃんは絶対にスカートがめくれない設定らしいです。私には出来ないマナの無駄遣いです……。
そうこうしている内に足を全て斬り落として、居合の体勢になってます。
「奥義! 真空風神斬!」
また何か言っていますが、同じ剣の軌道に風の魔法を連続で乗せて攻撃しています。
ただ、威力はそこまでではないらしく、頭部から本体まで完全に真っ二つになるまで続けています……あんな攻撃の仕方があるんですね。
流石にマナの使い過ぎみたいで肩で息をしていますが、ちょっと恐ろしい力技です。
「お姉様! 任務完了です!」
なんか、ポーズをしながら台詞を言ってますが……まあ、あちらの世界では、あれが主流なんでしょうね。
頼もしいのですがなんというか……私は、お姉様が固定なのですね。
珍しくボスの居た所に宝箱がありますね。
罠を警戒しつつ開けてみると、金貨と何か剣が入っていますが、何かな?
名称:インセクト・キラー
効果:昆虫系の魔物にダメージ大
状態:正常
……次の階層の敵は何か知りませんが、今更いらないのでは?
まあ、私達は使いませんが、普通の冒険者の人達でしたら、遅いよ! とか言って怒りそうですね。
後で、セリスに売却してもらっておきましょう。
シズクが無双をするので、予定より早いですが16階層に着いてから帰還することにしました。
強いとは言え、シズクは初めてだし、今日はこのぐらいにしておきましょう。
屋敷に戻るとエルナがまだ起きていて、剣の練習をしているみたいです。
「ただいまー、遅くまで練習してるんだね」
「お帰りなさい! シノア達が戻ってくるまで、お母様に稽古を付けてもらっていたのよ。ちょっと帰りが遅いから心配していたのですよ?」
あー、いつもは分身を身代わりにして、抜け出していましたからね。
今日は早くから行ったのですが、こんな時間まで起きててエルナは大丈夫なのかな?
「少し眠いですけど、まだお風呂にも入って無いのでベットには入れません……このまま眠ってしまうとリンに朝からお説教されてしまうので……」
「お姉様、私に使った洗浄魔法を使えば宜しいかと思いますが?」
「洗浄魔法?」
そんな魔法有ったのですか?
「最初に会った時に、私が汚れていたので綺麗にしてくれた魔法ですよ」
ちょっと意識してみるとこれですか。
試しにエルナに使って見ましょうか。
「リフレッシュ・ウォーター!」
するとエルナから、汗の匂いとがしなくなって、爽やかな感じになりました。
何これ?
すごく便利な魔法ですよ!
着ている服まで、洗濯されたように綺麗になってます!
これからは、時間がある時はお風呂にして無い時はこれにしましょう。
「シノア、ありがとう! こんな便利な魔法まで使えるのですね。では、このまま一緒に寝ましょうね?」
しまった!
いつものギムさんの工房の部屋で、お話しをするつもりだったのに……仕方ありませんね。
たまには素直に一緒に寝るとしますか。
私は、桂昌院 雫。
ここに来るまでは、名門の剣術道場の後継者として育てられていました。
家は厳しいけど、両親の目を盗んで、お姉ちゃんに協力してもらって趣味に没頭する日々を送っていたのですが、ある日の学校の授業中に突然この世界に召喚されてしまいました。
この世界に来た時は気付いたら奴隷にされてしまっていて、もう家に帰れないと知った時は途方にくれていたけど……。
初めのうちは必死に抵抗したり逃げ出そうとしたけど、逆らったりすると胸がすごく苦しくなって大人しくしないと止めてもらえない……こんな縛りがあると知った時は一晩中泣きはらした。
私の価値が無いと判断すると直ぐに売られてしまった……私はどうなってしまうのかと思うと何も考える気力も湧かなくなっていた。
しばらくして、異様な気配のするお姉さんが私を見て質問をしてきた……最初はこのお姉さんがすごく怖かった……見た目とは裏腹に達人とかを越えたレベルのオーラというか感じがするので、とにかく怖かった。
お姉さんが私の末路は性奴隷らしいと教えてくれた……そんなの嫌だ!
私が泣き出すとお姉さんが私を買うと言い出したけど、それはそれで、この後に殺されてしまうのではないかと思いました。
お姉さんが何か呪文を唱えると私の胸に有った模様が消えました!
確かこれが奴隷の印だったはずなので、私を助けてくれたのかと思いましたが、お姉さんが私に命令すると私の意志とは別に体が動きます!
痛い思いはしなくなったと思ったら、私の体の自由は無くなってしまったみたいです……。
おまけに私の考えていることが全て筒抜けになってしまいました。
そしたら、お姉さんの声が直接頭に聞こえてきました。
「私に従っていれば悪い様にしないので、付いて来なさい。この念話は貴女にしか聞こえてないから注意してねー」
「私はどうなってしまうのですか?」
「それは私の本来の人格のシノアが決めると思います。あの娘なら貴女を大事にしてくれるはずです」
「本来の人格?」
「そうですー。私は一時的に目覚めている人格なので、もう少ししたら引っ込んでしまいます。貴方の本当の主はシノアという人格になります。色々と聞きたいかも知れませんが、今は余り時間が無いので素直になることをお勧めしますよー」
私は言われた通りにして、付いて行くことにしました。
豪華そうなお店に入って、ご飯を食べさせてもらいました。
ここに来てからは、パンとスープしかもらってなかったので、すごく美味しかったです!
ノアお姉さんは、「遠慮しなくても良いので、好きな物を好きなだけ食べなさい」と言ってくれたので、最初は遠慮していたのですが、お言葉に甘えて一杯食べました!
大きなお屋敷に着いて、セリスさんとゆう綺麗なお姉さんとギムさんとゆう、おじさんが待っていました。
二人に少し話をしたら、ノアお姉さんは眠ってしまいましたが、目覚めると瞳の色が変わって、雰囲気もまったく別人のようになってました。
試しにとか言って「パンツ脱いで」と言われた時は、この人はお姉さんと同じなのだと実感しました。
それから、シノアお姉ちゃんが色々と頼み込んでくれたお蔭で私は、ここに住めるようになりました。
シノアお姉ちゃんが私を見て能力がすごく良いと言ってますが、私の何がすごいのでしょうか?
物心が付いた時から剣術を仕込まれているのですが、私はただの中学生です。
剣術の腕前に関してだけは、私には才能があると言われていました。練習は大人の人達に混じってしていましたので、同じ年代の子には敵無しでしたが、両親からは、男の子だったら……とも言われたりもしていました。
お蔭で、私は遊ぶ事などは全て禁止されていたので、学校の友達から教えてもらったアニメや漫画に強く惹かれて、余計に趣味の世界に没頭して行ったのです。
シノアお姉ちゃんは、鑑定という能力で見た私のことを色々と教えてくれましたが、私っていつの間に強くなったのでしょう?
お試しということで、シノアお姉ちゃんと模擬戦をしたのですが、私には動きがゆっくりと見えるし、何となく次の動作が分かります?
私が剣が少し使いにくいと言ったら、シノアお姉ちゃんが刀を作ってくれました!
受け取ると、まるで私の為に作られた刀と思うぐらいに私にぴったりと馴染みました。
もう一度模擬戦をしたら、今度はシノアお姉ちゃんに圧勝出来ました。
防具も作ってくれるというので、操ちゃんのバトルコスチュームを連想しました。
私が頭でイメージすれば、シノアお姉ちゃんに筒抜けなので、逆にこれは便利だと思いました。
最初は私の思考が全て読まれているなんて嫌と思ってましたが、シノアお姉ちゃんは、なるべく私の心は読まずにお話ししようとしてくれるので良い人です!
出来た服をもらった時は感動しました!
ギムさんは見た目は頑固そうなおっちゃんなのに、注文通りの可愛い仕立てで作ってくれたし、着てみると感触もすごく良いです!
最初は刀を背中に背負ったら、抜けなかったです……漫画だとあんなに簡単に抜いていたのに私には無理でした。
小太刀なら抜けるので、逆になってしまいますが太刀の方は腰に差すようにしました。
シノアお姉ちゃんが戻ってきたので挨拶をしたのですが、御屋形様は不評でお姉様にしたら、私のコスプレしている操ちゃんが良いと言うのですがそれだけは譲れません!
そしたら、お姉様にお仕置きをすると怒られてしまいました。
普通なら恥ずかしいから嫌なのですが、漫画の操ちゃんはお姉様には素直に従っていたので、同じようにしたら……痛いけどなんかすごく良くなってきました。
これなら、たまにはおいたをして、お仕置きされるのも悪くないと少し思ってしまいました。
ダンジョンに一緒に行くと色々と教えてもらいました。もう試し斬りとかしたくて仕方なかったので、操ちゃんが言っている台詞を言いながら倒しまくりました!
主人公になりきって、こんなに好きなように立ち回るのはすごく気分が良いです!
私は風の魔法が使えるみたいなので、必殺技に近付けるように工夫をしながら心で念じると思った通りになります!
ちなみに魔法に関しては、シノアお姉ちゃんが習得用のスクロールにいくつかの風魔術を籠めた物をくれたので、私は念願の魔法使いにもなれました!
私の考えでは、ゲームみたいにレベルが上がったら覚えていく物だと思ったのですが、この世界では誰かに魔法のスクロールを作ってもらって覚えないといけないのです。本人に適性がないと習得が出来ないそうなのです。
覚えられない物もありましたが、大体は覚えれましたので、後は実践あるのみです!
特に『エア・アーマー』という魔法は、最小限で纏えばスカートもめくれないので素晴らしい魔法です!
ボスの部屋に着くとかなりの数が居ますが、私はあの大きいのと戦いたいです。
シノアお姉ちゃんが範囲魔法を使うと言うので見ていましたら……なにあれ!
すごくかっこいいです!
台詞もアニメの魔法使いみたいだし威力も凄いです!
シノアお姉ちゃんは、素晴らしいです!
その後、ボスと戦わせてもらいました。ちょっと時間が掛かりましたが倒せました。
最後の居合に風の魔法を連続でごり押しして真っ二つにしたら、もの凄く疲れましたが達成感が心地よいです!
それにしても、私はあれだけ動いて走り回っていたのに全然疲れません?
シノアお姉ちゃんが言うには私には高速回復という固有能力があるそうなのです。回復力が半端ないのではと教えてもらいました。
これだけ、強くなれるなんて異世界に来て良かったです。
最初は最悪な状況だったけど、シノアお姉ちゃんの配下になったお蔭で私は幸せです!
おじいちゃんとお姉ちゃんと友達のみんなとは会えなくなってしまいましたが、私はこの世界で生きて行くことを決めました!
だって、元の世界ではこんなことはあり得ないので、私はこの出会いに感謝しています!




