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生まれ変わったのですよね?  作者: セリカ
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195 お店を開いてみました


「いらっしゃいませ! カフェ・ヴレンタインにようこそ!」


「宣伝をしていた子も可愛かったけど、貴女も可愛いわね!」


「私の事ですか?」


「勿論そうよ」


「お姉さん達みたいな綺麗な人に言われると照れてしまいますよ! それでは席にご案内いたします!」


「あの子から試食で貰った物は美味しかったので、楽しみしているわ」


 お客さんの女性をオープンテラスの席に案内して、注文を取ると後は厨房のガルドにお任せして私はまたお店の前で客引きと案内ですね。

 私が始めた商売とは、甘味がメインのカフェです。

 この国には甘い物をメインに販売しているお店が少なかったので、この手の商売は成り立つのではないかと考えたのです。

 出会った時にライザさんは渡したクッキーをとても美味しいと評価していました。

 そこそこ私の自信作でしたが、城塞都市の商店にも基本的に甘さを追求したスィーツなどが無いのです。

 お菓子と呼べるものは確かにあるのですが、凄く美味しいと言う訳ではありませんでした。

 この国の人達は主食が肉がメインなのかそっち系の美味しいお店は適度にあったのですが、甘味系はほぼ無いに等しかったのです。

 私の作ったクッキーで満足していたライザさんにチョコやクリームを使った物を試食させたら、出せば出しただけ食べてしまうから呆れたぐらいです。

 食べ過ぎると糖分の取り過ぎで太っても知りませんよ? と警告したら夜中なのに室内で剣の素振りをしだすので一応は気にしているようです。

 前日にシズクに可愛いウェイトレスのコスプレ姿で、人が集まりそうな往来で一口サイズのサンプルの試食品を提供させながら、ここに新しくお店がオープンした事を宣伝させたのです。

 女性陣は私を含めてシズクのお勧めのウェイトレスの衣装が支給されていますので、自分の衣装がお披露目されることをとても喜んでいました。

 見た目的には私とシズクが着る分には可愛いと思いますが、アイリ先生やライザさんが着ると謎の色気が……うん、わかっています。

 私に無い物がとても目立つ衣装なので2人が着た時はけしからんと思いました。

 セリスには可もなく不可もなく似合っているのですが……何分笑顔が欠落しているので、微妙なのです。

 私がお願いしても「シノア様以外に向ける笑顔などありません」と言い出す始末です。

 以前は私と手を繋いでいる時だけは笑顔を絶やさなかったのですが、今回は私と触れていないので無理だと言ってきたのです。

 流石に手を繋ぎながらの接客なんてできませんので、後で好きなだけさせてあげると言ったのですが……何かあったら自分が抑えきれないらしく、できない約束はしないとの事です。

 何が抑えきれないのか知りませんが、男性客の相手なんてさせたら殺人事件でも起こすかもしれないので接客よりも会計の仕事をメインにさせました。

 これならお金の勘定だけですから、多分大丈夫かと……。

 男性陣は今回は裏方に回ってもらいました。

 クロさんは片付けと洗い物がメインです。

 そして、調理に関してはガルドに一任しています!

 これに関しては私も驚きました。

 野営の時に食事の支度などはできるのは知っていましたがまさかスィーツ関係の調理まで出来るとは想定外でした。

 作り方に関しては、私の調理用の工房で作っている時に手順を覚えたらしいのです。

 剣の状態であっても近くの視野はあるらしいので、私の行動を見ていたそうなのです。

 知識としてはノアの我が儘空間から得たので、シズクの世界の手順は理解していたのです。

 そして意外なことに手先がとても器用なので細かい作業までこなします。

 お蔭で試食をして駄目出しをするシズクと違って一緒になって考えてくれるなんて……私の中でガルドの評価が一気に上がりましたよ。

 今回は、フェリス王国ではまだ作らなかった物まで作りました。売れ行き次第では向こうでも広めて見ようかと思います。

 

 最初のシズクの宣伝以外は後はお店に来てくれた人達の口コミのみにしましたが、次の日からもそこそこのお客さんが来てくれるようになりました。

 女性のお客さんが多めですが中には男性のお客さんもちらほらいます。

 4日もすると意外とお客さんが来てくれるようになりましたので、落ち着いたら私も厨房に入りたいので、別の人を雇ってこのまま営業するのも悪くないかと思い始めたぐらいです。

 特に人気があったのは今回初めて作ったクレープです。

 色々な物をトッピングができるので中々好評なのです。

 組み合わせ次第では、1つの注文で色んな味が堪能できるのが魅力的なそうなのです。

 ここの商品の価格はそれほど高く設定していないので、一般的な庶民の方にも支払える金額になっています。

 あっちで売る時はばれるまで高くしょうと思っているけどね!

 この国は貴族制を取り入れていないので、個人の能力が高い者が実権を握っています。

 世襲制もないので、跡取りに実力がなければ国における政治的な地位は継げません。

 なので、身なりが良くてお金払いのいい女性はきっと旦那さんが国の要職についている可能性があります。

 まあ、鑑定してみると綺麗な奥方と思われる人でも普通に強い人なので、本人の可能性もありますけどね。

 噂が広まったのか日に日にマナが大きい人が来るようになったので、ついつい鑑定をしてしまうのですが本当に攻撃能力に偏った人が多いです。

 これ、国民全員が兵力と言っても間違っていないと思えてきましたよ。

 そして、ひと際大きいマナの反応が近づいてくるんだけど……ちょっと!

 いま近づいてくる人物は私よりもマナが大きいよ!

 なんでそんな人がスィーツのお店に来るのですか?

 戦闘民族だから、糖分が足りないとか?

 私がいつものように鑑定をしょうとすると……(そいつを見るな!)はい!? ノアが突然警告をしてきましたが知っている人なのですか?

 そして私の前には筋肉の鎧でも着たような中々の渋いおじ様が立っています。

 隣には色気が漂いまくっている綺麗な女性がいますが……この人は私の何かを見ている感じがします?

 マナの大きさばかりを気にしていたので気付かなかったのですが、私の何かがとても警告しています。

 この者達はとても危険だと……。


「ここが噂の新しい店で合っているな?」


 呆けていた私に声を掛けてくれたので正気に戻りました。声は大きめですが優しそうな感じです。


「はっ、はい! いらっしゃいませ! カフェ・ヴレンタインにようこそ!」

 

「うむ。元気があって可愛らしい娘だが、お前中々強そうだな」


「えっ!?」


 いま私は誰にも鑑定をされた感じはしていません?

 私は鑑定をされると見られている視線が分るのですが、見られてもいいように能力は一般人のように振舞っています。

 隣の女性には何か見られている感じはしたのですが、不快な感じはしないので、鑑定をされているとは思えないのですが……それ以上は分かりません。

 私がつい癖でその場で考え事をしているとあちらの方から話しかけてきました。


「わしを知らないとはこの国の者でもないな?」


「えっ、えっ!?」


「まあ、そんな事よりもわしらを席に案内してくれんか?」


「あっ、申し訳ありません! あちらの席が空いておりますのでどうぞこちらに」


 どうもこの国の有名人らしいですね……中々私好みのおじ様なのですが、わしとか言っている人がスィーツなんて食べに来るとはね。

 しかも私よりもマナが大きいから、レベル的にはミュラーさんよりも上かと思ったのですが、それよりも上な気がします。

 残りの強い人で比較対象がエレーンさんかフェリオスさんしかいないので、もしかしたらこの国のナンバー2とか?

 まさかね……そんな人が噂だけでスィーツを食べにくるとか、この国の偉い人はもしかして暇人なのですか?

 私がメニューを渡すと女性と一緒に相談しながら選んでいますが、その間も女性からの視線が常に突き刺さります。

 この人は何なのでしょうか?

 マナの大きさはアイリ先生ぐらいと感じますので、レベル的には1000ぐらいと予想しますが……何か間違っていると私の何かが否定します。

 こんな事は初めてなので、恐怖よりも興味が湧いて仕方がありません。

 相手の能力が見たいのですが、ノアに見るなと警告されたまま何も返事がないので、見ないようにしていますが……何となく見ることができない予感がします。

 それに私を強いなどと言うなんて、もしかしたら私を既に鑑定済みで鑑定偽装も通じていないのかもしれません。

 こういう時にノアが答えてくれればいいのですが、私がこれほど疑問を思っているのに何も言ってこないので後ほどしつこく問い詰めたいと思います。

 まあ、私がこんな考えをしているのに反応が無い時点で答えてくれるとは思えないけどね。

 

「どれも聞いたことがないものなので、全て貰おうか」


「えっ!? 全てですか?」


「そうだ、お前は驚くとそれが口癖なのか?」


「えーと……多分そうです。おじ様!」


 お兄さんと呼ぶには見た目的に違うと思うので、おじ様とつい呼んでしまいました。

 それにこんなに大きなマナの持ち主なのですから、長い時を生きた使徒なのは確実です。


「貴方、おじ様だなんて呼ばれたの初めてじゃないの?」


「うむ……中々悪くない響きだな。娘よ、これからはわしをそう呼んでくれ」


 女性が楽しそうに話すとおじ様(仮)は呼び方を気にいってくれたようです。

 この国の偉い様だったら、かなり問題になるのだけど、私には関係がないし例え相手がなんであろうと私の態度は変わりません!

 しかし、この時に周りが静まり返っていることに私は気付いていませんでした。

 何となくこの正体不明のおじ様(仮)が良い人だと思っていたので気にならなかったのです。

 ですが、ライザさんが運んでいたお皿を落した為にそちらに注意が向きましたがすごく驚いた表情をしています?

 もしかしなくても知っている人なのかと思いますが、割ったお皿の分は給金から引きますからね?

 お皿一枚といえど私の財産に違いはありませんのでオーナーとして厳しく対処致したいと思います。

 てか、それ地味に高いお皿なんですよ。

 代わりにお仕置きでもいいのですが……取り敢えずは目の前のおじ様の相手をしないとね。

 

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