15 ダンジョン
今日も、セリスと夜のダンジョン生活です。
本日は10階のボスまでは倒したいと思います。
セリスには、あの光線の魔法は禁止しています。
あれ使うとマナの消費が大きいし、なるべくマナを使わずに戦えるようになりたいので、使わないと危険な時だけにさせました。
いまの所は、森で遭遇した魔物より弱いのでさくさく進んでいますが、10階のボスは何でしょうね。
各階層から始められるので、このダンジョンは正直に言うと楽です。
ギルドカードに情報が登録されるらしいので、入り口の転移陣で、行きたい階を選べる様になるのです。
森に有ったダンジョンにはこんなものは無いので最初から挑戦になりますが、あのダンジョンは何階まであるのかな?
5階層までは大した魔物が居なかったのですが、あそこには確かに何か居ます。
私は強い気配を読み取って最短で下に進んでいます。余り迷わずに行けるのはそこに何か強い気配を感じられるからですからね。
このダンジョンで自信が付くぐらい強くなれたら、もう一度行ってみたいです。
ギムさんに、ここのダンジョンって便利過ぎですよねーと聞いたら。
せっかく育った者を無理をさせて死なせたくないとの女神様の計らいらしいのですが……サテラさんの日記を読んだ後だと、単に強い配下が欲しいだけとしか思えません。
この国の使徒にスカウトしたい基準が100階層のボスを倒すことらしいですが、ギムさん達でさえ50年振りの突破者だったみたいです。
それにもう一人の協力者に気付いてないのですから、ダンジョンの中を監視している訳では無いと思います。
恐らくですがこのカードに100階層を突破すると女神様にわかるように細工がされていると思います。
その証拠に逃げたラースさんは女神様から声が掛からなかったのです。世間的には同じパーティーだったから、倒したと思われているだけです。
もう一つの使徒にする基準が武道大会で好成績を残した者となってますが、これはダンジョン突破者の配下に付ける程度らしいので、入れ替えも多々あるそうです。
後は、権力者にある程度の枠を与えているのですが、これは実力では無いので、ただの飾りですね。
それとダンジョンに潜る為に私とセリスにとって大事な物をこの国では買えましたよ!
薬品のお店を覗いてみたら、マナポーションが売っていたので、思わず沢山買ってしまいました!
効果の程は……自身の半分程度回復する効果の物が一番良かったので、私とセリスで30個ずつ買っておきました。
サテラさんのポーションは完全回復でしたのですが、これは現在ではもう作られていないようです。
ギムさんに聞いたら、そんなのはダンジョンの宝箱に入っていたら儲けもんとのことです。
私は、30本も持っているけどね!
これは緊急時の時だけ使うようにしましょう。
手に入る方法が今の所は無いので、なるべくなら使いたく無いです。
エリクサーに至っては、そんなのは伝説の霊薬だからまず手に入らないと……5本持っているけど、言い難いです!
セリスに保険の為に1本渡してありますが、例によって、こんな高価過ぎる物は受け取れませんとか言ってどうしても聞かなかったので、仕方ないから命令して持たせましたよ。
何が起こるか分からないので、有った方がいいと私は判断しました。
9階層までは一度来ていますので、早く来れましたが……。
しかし、この9階層はゴブリンばっかしです。
特に強いわけでは無いのですが、数がやたらと多いです。
6階層から他の魔物に混じってちょこちょこ出てくるようになったのですが、9階層はもうゴブリンしか居ない・・・。
最初の内はまともに倒していたのですが、このペースでは明日の学園もあるので時間的にまずいです。
仕方ないので範囲魔法で倒してますが、ちょっとマナの消費が違う意味で大きいです。
10階層に入ったら、魔法を使ってくるゴブリンまで居ますよ。
セリスは範囲魔法が無いらしいので私のサポートに徹してもらって、私が範囲魔法で処理してますが、これは二人だから数が多く感じるのでしょうか?
普通に6人パーティーで来るとしたら、編成が気になりますね。
セリスもダンジョンは初めてなので、内容をまったく知らないそうです。
帰ったら、ギムさんに聞くか入り口で売っている情報本を買っておきましょう。
しかし……まともに前衛で倒すのも良いですが、これだけ数がいると休む暇とかあるのでしょうか?
私とセリスはマナさえ切れなければ疲れを知らないので問題有りませんが、初見で来てたら苦戦は免れないと思います。
しかも、まったくお金にならないし……証拠の討伐部位でも良いのですが、私はもう無視して消し炭にしまくってます!
直線の回廊にまとめていたら、『ライトニング・ボルト』で貫通させた方が早いです。
これは、帰ってから聞いたのですが、このダンジョン最初の難関らしいです。
このアホみたいに沸いているのは、戦争の総力戦などを切り抜けれるようにとのことですが……私はやり過ぎだと思いますし、やっぱりこの国も戦争第一かと思いましたよ。
ここの女神様は確か大地の女神とありましたが、私は戦争の女神に宗旨替えした方が良いと思います。
やっとのことで、ボスの手前の魔法陣まで来ましたが……この扉を開けるのがちょっと嫌です。
何となく予想は出来るのですが、ここに来るまでにマナポーションが20個も減りましたよ!
しかも、まともに素材とか回収していないので、今回は赤字確定です。
マナポーションって、結構高いんですよね。
この売っているマナポーションなら私でも作れるのですが、何か足りないのか微妙に効果が薄くなってしまうのです?
製法なのか私の知らない材料が必要なのかも知れませんね。
セリスには、他のお店も回って、おかしくない程度に買い続けることを頼んであります。
なので、一応は稼いでおかないと間食の食費代に影響が……恐ろしいです。
ここは、レベル上げと割り切りましょう。
大きな扉の前に来ました。この階層のボスが居ると思います。
時間的に、戻ることも計算すると1時間以内に終わればみんなの起床時間に間に合いますが……セリスには数が居たら、開幕に光線おっけいを出しておきました。
注意しないといけないのは、セリスはこの魔法を詠唱無しなら4発、有りなら2発が限界です。
これに少しでも何か魔法を追加すると倒れてしまいます!
早目にポーションを飲むように指示して、開けてみると……やっぱしね。
鑑定してみると、1体ゴブリンキングとか居ますよ。
キングの周りにはちょっと武装が良いのも居ますがあれは親衛隊とかなのかな?
あとはゴブリンシャーマンとかクレリックとかちゃんと陣形を組んでますけど、まるで、軍隊のように結構な数が居ます。
こんなの6人で倒せるのか疑問です!
5階の時は、セリスが瞬殺してしまったので気付かなかったのですが、扉が閉まって開きません!
ラースさんは、どうやって逃げたのでしょうか?
まだ襲ってこないのですが、薄っすらと魔物との間にラインが見えていて、これを越えると戦闘開始と思われます。
こんなの初見で入ったら全滅は確定ですよ。
ここの女神は悪魔ですか!
もうこうなったら覚悟を決めて殲滅してあげますよ!
「セリス、ここは詠唱付きで可能な限り数を減らして、ボスのキングを倒しましょう」
「分かりました」
「マナ切れだけはまずいので、早めにポーションは使いましょうね」
「シノア様の足を引っ張らないように心がけますのでご安心して下さい」
「セリス……硬いよー、もうちょっと気軽に会話しましょうよ」
「承りましたが、これが普通なので努力は致します」
リンさんのせいで、完全に私の配下になってしまいましたよ……。
友達感覚のお姉さんが欲しかったのに!
おまけにはしたない真似をすると、止めはしないけど警告とかしてくるのですから、そこは賛同して欲しいです。
どうやってこの考えを改めさせるかが、私の今後の課題です。
まあ、今はどうやって数を減らしましょうか……。
私の範囲魔法で使えるのと言ったら……『ライトニング・ストーム』を使いたい所なんですが、数が多いので、詠唱を付け足しても威力が拡散して半端になると思います。
この魔法の最大の欠点は大群に使うと足止め程度になってしまうのですよね。
この数にいつもと同じ威力を与えるには長い詠唱と私のマナをほとんど使ってしまうか足りないか微妙です。
それならば、ある程度でも確実に倒せる魔法が良いです。
私もセリスと同じ魔法が使えたら……。
地味に広範囲の魔法も無い……いえ、あるのですが……私の実力不足で、使用不可になっているのですよね。
私には、学ばなくても魔法の一覧表みたいなのが頭の中にはあって、使える物には使えると感じるのですが使えないのには感覚的にダメと感じるのです。
セリスに普通はどうやって魔法を習得するのかを聞いて見ると。
個人の適性で使える魔法が実力によって増えるか、書物で知識を学んで適性があれば習得出来る物とその魔術が込められた習得用スクロールを使う方法があるけど、これは魔法の内容によっては適性が無いと失敗する場合があるそうです。
セリスの『シャイニング・イレイザー』などは、奴隷に落ちてから、いつか自分を陥れた者達を消したいと考えていたら、ふっと意識に落ちて来たらしいのですが、知られたくないので使わないようにしてたそうです。
多分、私はこの思いつくのは駄目でしょうね。
なにせ初級の技能を習得した時点で、殆どの魔法がわかっているけどただ使えないだけの状態なのです。
意識してみたら、火魔術に新しく使える魔法がありますね。
初めて使いますが、意識すると詠唱が浮かんで来ました。文章の内容的には範囲魔法だと思いますから、使ってみる価値はあります。
「私が範囲魔法を使ったら、続けて攻撃をして下さい」
「畏まりました。シノア様の魔法の後に撃ちます」
「我は願う 数多の炎よ集え 我が敵に死の舞いを 炎よ踊れ フレイム・ロンド!」
私の言葉とともにいくつもの火球がゴブリンに向かって行って何体かにダメージを与えた後に爆発して、結構な数が減りました!
もしこれを相手に使われたら、地味に嫌な魔法ですね。
当たっても消えずに別の相手に当たってから、最後には爆発とか半分嫌がらせですね。
続けてセリスも『シャイニング・イレイザー』で、多そうな所から撃ってます。
同じ魔法をセリスの次にもう一発放ってから、ポーションを飲んで突撃です!
セリスも2発撃ってから、ポーションで回復して斬り込んでます。
魔法のお蔭で、半分以上は雑魚を倒すことに成功していて、混乱しているから片っ端から首を落としていますが、何か楽しくなってきましたよ!
私の血筋にはどこかに首狩り族でも入っているのでしょうか?
時々、魔法が飛んできますが、サテラの服に着替えておいたので、被弾する前に意識しておけばゴブリンの魔法程度なら無効に出来ます。
襲ってこないので着替えましたが、目の前で着替えるとか普通だったらあり得ないのですけどねー。
セリスからは「魔物とはいえ、目の前で堂々と脱ぐのは……もう少し羞恥心を持たれた方が良いですよ」とか言ってましたが、こっちの方が下級の魔法が回避出来るからいいしね。
私にそんなことを求めるのは、エルナだけで良いのです。
それに今から殺してしまうのですから、見られていても問題無いと思うのですけどね。
雑魚はセリスに任せて、私はボスをいただきますよ!
周りに武装しているのが居ますが、ここはバルディッシュに持ち変えてマナを込めて一気に倒していきましょう。
そのまま強引に斬り込みましたが、何かまともな装備をしている割には弱いです。
ボスに至っては、多少は腕力が強い程度なので、あっさりと倒せましたが……なにこれ?
残っている取り巻きを二人で殲滅して終わりましたが、覚悟していた割にはいまいちでしたね。
「セリス、何か数が多かっただけだったね?」
「はい、最初は私もこの数ですから苦戦は免れないと思いましたが、見掛け倒しでしたね」
「取り敢えず、この部屋はもう私達が出ないと敵が出ませんので、汚れだけ落として次の階層に移動して戻りましょう」
「わかりましたが……またここで水浴びをするのですか? 」
「だって、このまま戻ったら、血生臭いので、エルナに怒られてしまいますよ?」
「しかし……ここは一応、ダンジョンですし……」
「私は、戻ったら抱き枕の分身と入れ替わらないといけないので、汚れたままでは帰れません」
「せめて、お屋敷に戻ってからにした方が……」
「ダメです! この時間だとそんなことをしてたら、ばれてしまうし、ここなら出るまでは完全に密室ですから安心ですよ?」
「わかりましたが、やはり私もですか?」
「当然ですよ、セリスは私と違って近距離戦闘が多いので、結構な返り血がついていますからね。今日はあらかじめ簡易のお風呂も作ってあるし、ほら、お湯も張ってあるよー」
「私は気にしないのですが……いつ用意していたのですか……」
「私に淑女の嗜みとか言っているのに何を言っているのですか? 学園で暇な時に用意しておいたんだから、さあ、早く脱いでさっぱりしましょうー」
「さっきまで、戦場だった場所でお風呂とか……シノア様はある意味すごい方ですね……」
「よくわからないけど、褒められていると思っておきますよ」
そのまま、無理やりセリスを納得させてさっぱりしましたよ。
やっぱしお風呂は良いですね。
セリスは周りの景色が……とか言ってますが、まだダンジョンに吸収されていない死体が転がっているだけなんで、動かないから安心だと思うのですが?
お屋敷に有ったのと同じ入浴剤も手配済みなので、これなら入れ替わってもばれないはずです。
しかし……セリスはスタイルが良いですね……私から見ても完璧です。
あのカインさんが惚れてしまうのは仕方ないのかも知れません。
セリスから、胸を半分……いえ3割で良いから譲受出来ないのでしょうか?
あの固有能力はあるだけで、何も使えません。
その後は、風魔術で水分を飛ばして着替えてから、お湯はダンジョンに捨てて、お風呂だけ収納にしまったら、出発です。
11階層に着いたら、そのまま帰還して、急いで屋敷に戻って何事も無かったように入れ替わって、ちょっとだけ寝ます。
一応、意識するというより、これぐらいは眠ると命令すれば眠れるのですが……夢とか見ないので、気付いたら起きている状態なんですけどね。
後日、ギムさんに10階層のことを話したら、ボス戦には抜け道が有って、他のパーティーと一緒に入れるとのことで、あそこは数が多いから普通は最低でも2組以上で挑むらしいです。
そして、何より扉が閉まって帰れなかったと言うと……受付の横の道具屋で、帰還の宝珠を買わなかったのかと言われました。
ちょっと高いけど、ダンジョンの入り口の転移陣に強制転移出来るアイテムだそうです。
無謀な特攻をさせない為にラインを越えなければ、ボスの部屋でも使えるとのことです……はい、特攻しましたよ!
今度からは、ボスの情報とかは知っておくように言われましたよ。
情報屋にちょっと払えば教えてくれるそうですが、ギムさんが教えてくれればいいのでは? と、聞いたら……「昔のこと過ぎて忘れたな」とか言われました。
きっと、飲み過ぎで忘れたに違いありません!
朝になって、食堂に行くと今日はちゃんとカミラ達も居ますね。
私とエルナが現れると、席を立ってお辞儀をしながらら挨拶をするのですが、これはいけません。
エルナに振って友達としての対応になるように仕向けましょう。
「エルナ、友達とはこんな畏まって挨拶をするのが普通なのですか?」
「違います。皆さん、公の場では無いので普通に友達として接して下さいね。しかも皆さんは私達をお迎えに来てくれているのですから」
「しかし、ここは公爵様のお屋敷です……失礼なことがあってはならないと……」
レートさん達も居るので、カミラ達は緊張しまくっていますね。
「いや、構わないよ。ここは娘の言う通りに無礼講で構わないので気軽にすると良いよ」
レートさんも気にしないで良いと言っていますが、直ぐには無理ですよね。
「しかし、公爵様……」
「私からも改めてお願いしますわ。貴女達のBクラスは卒業まで、固定にするように学園長にお話しを通してありますので、エルナ達を頼みますよ」
「サラさん、クラスの固定は本当なのですか?」
「ええ、学園長とは幼なじみなので、私のお願いは大抵受け入れてくれます? あの娘は良い子ですからね」
きっと、学園長は昔からサラさんに逆らえないように躾られているのでしょう。
公爵夫人とはいえ、こんな介入を許すわけがありません。
恐らくですが、過去のことで何か弱みでも握っていると推測します。
もし、学園長とお話をする機会が有ったら、聞いてみたいです。
「じゃ、改めておはようねー」
これで、硬い空気は払拭されました。良いことをしましたよ。
レートさんは公務があるので先に行ってしまったから、軽くお話をしながら朝ご飯です!
残っているのは女子ばかりなので、何やら変な話題で盛り上がっていますね。
カミラはエルナの言うことにひたすら相槌を打って何か納得しています。
間違った知識に同意するのは危険ですよ?
ポニーテールの体育会系のシャルムは私の動きを見て体術も出来ると思ったらしく、今度手合わせをして欲しいと頼まれました。歓迎しますよ。
大人しいポーラとミルは、私の魔術に興味深々の様です。
このお屋敷は学園まで10分程度の距離なので、余程ぎりぎりで無ければ遅刻はしませんから、朝のお茶会?はゆっくり出来そうです。
シャルムだけは、体を鍛えるのも兼ねて毎朝マラソンをしているそうです。
カミラはこのお屋敷の近くなのに、昨日もそうですが朝は早いですねー。
この娘からは何か複雑な感情を読み取れるのですが、家で何かあるのかな?
出会いはあんなことがありましたが、私はこの娘に何となく親近感を覚えるのです。
この感じは……。
憶測だけで聞くわけにもいかないし、まだ出会ったばかりなのですから、仲良くなったら分るかな。
しかし、私はなんで人の感情が何となくわかるのでしょうね?
セリスにも何か思う所が有ったみたいですが、確証が無いので答えるのを控えますと言われたのが気になりますね。
取り敢えず今はしっかりと食べましょう。
私は勿論、食べまくりです。エルナは見慣れているので、何も言わずにむしろ餌付けをしていますが、みんなから見たら、感心というより呆れるほど食べているので「あの小さな体のどこに入っていくの?」とか言ってますね。
ちょっと前までダンジョンに居たのですから、私としてはどんどん食べてマナに変換しておかないと大変なことになりますからね。
普段の生活で、ポーション使わないとダメとかは避けたいです。




