13 学園
私は、シノア様の今後の為にギルドに登録をする為に来たのですが……。
周りの好奇な目が少々疎ましいです。
入った時から、変な目で見られていたので、さっさと登録をして帰ろうと思いました。
受付で軽く質問を受けて、適当なランクに着けば良かったのですが……シノア様についでに換金して来るように言われた素材があるので、買取の話もしました。私が手ぶらだったから、どちらにと聞かれたので収納が使える事を話すと、周りの何人かの男性陣が、俺のパーティーに入れてやるとか、荷物持ちと自分の女にしてやるとか言い寄ってきました。
私は、正直に言いますと男なんて大嫌いです!
奴隷にされた時に散々酷い目に遭わされましたし、理不尽な奉仕とやらもずっとしてきました。
派遣された時のまだ何も知らなかった時には戻れません。
あちらのシノア様がゴミとか変態とか言ってましたが、私は正にその通りだと思っています。
私に新しい人生をくれたシノア様には感謝しかありません。
私が無視して、手続きをしていると手を掴んで話を聞けとか言ってくるんですが、この手を切り落としたいです。
シノア様から、「なるべく目立たないように行動しましょうねー」と言われていますので、我慢していますが……。
主人の命で来たので離して下さいと伝えると……そんな奴より俺の方が良いぜとか言い出すのですが、これはシノア様に対する不敬ですよね?
ここで戦っても良いのでしょうか?
私に鑑定は有りませんので、レベルは高そう見えますが勝てないことは無いと判断します。
確かエルナ様は公爵令嬢様ですから、シノア様も形式は同じのはずです。
私が公爵家の使いなんですがと言うと、こんな所に一人で登録なんて来るんだからハッタリはやめなとか言い出します……もうこのゴミを駆除したくて仕方ありません。
心の中で、シノア様に謝りながら、この汚い手を落とそうとしたら、以前、ミリア様の護衛の騎士が「彼女が困っているから、手を放すんだ!」とか言いながら現れました。
一応は、ミリア様の護衛の使徒であることには気づいたようなので、そそくさと逃げて行きましたが、今度は、確かカインとか言う騎士が話しかけてきます。
取り敢えず、お礼だけ言って受付の続きをしていると色々と聞いてきます……。
紳士的なのですがうざいです。
お礼は言ったのですから、消えて欲しいのが私の本音です。
私は、ランクFから始めることが出来るようで、ついでに職業の変更もしてみました。
適性のクリスタルと言う道具に手を翳すとその人に合った職業が出るのですが、確か昔に教会で調べた時に4つぐらい有ったと記憶してましたが……。
表示されるのは、神官 魔法戦士 魔導士 戦士 闘士 ガーディアン アサシン ダンサー 娼婦 料理人 服飾人
昔より増えていますが、思い出したくもないことを示す職業まであります。
担当の方は見たことが無い職業があるとか呟いていますが無視です。
私は、何故かですがガーディアンと言う職業にしました。
何となくですが、この職業にしなさいと私の心が言っている気がします
私の背後で何やら喋っている護衛さんがいますが、何時までいるのでしょうか?
護衛なら、常にミリア様の側に居ないといけないのでは?
と、思うのですが、私から質問するなんてしたくありません。
しかし、この人が居た方が手続きがスムーズに進むので、さっきから話しかけられるのがうるさいですが、我慢です。
後は、シノア様に頼まれていた魔物の素材を換金してくれば、ここから出れます。
預かっていた素材を出すとかなり多かったのですが、これは自分で討伐されたのですか?
と聞かれたので、シノア様には私が狩ったことにするように言われていたので、そうですが何か問題でもと返すと、ランクがEに変更されました。
何かランクを上げる要因の魔物でもいたのでしょうか?
結構な金額になったのですが、護衛の番犬がいるので、誰も何も言ってきません。
うるさいけど、少し使えると思いました。
ようやく任務達成なのですがこの人は、まだ付いてきます……どうしたら良いのでしょう……適当に返事をしながら歩いていますがしつこいですね。
普通はこれだけ冷たくされたら、諦めるのではないでしょうか?
もうすぐカフェに着く所で、誰かシノア様と居ます
あれは……エレーンさんと言う方ですね
あの方と何やら親しげに話してますが大丈夫なのでしょうか?
実は、私はあの方の前に出ると何も出来なくなってしまうのです……体がすくむと言うより、戦うなと言われている感覚になるのです。
すぐにでも近くに行きたいのですが……私が立ち止まると、どうしたのですかとか聞いてくるので、「ちょっと黙っていて下さい!」と、つい言ってしまいました。
すると「やっと、反応してくれたね」とか言ってきます。
この人は何を言っているのでしょうか?
ちょっと怒鳴ってしまったのに怒りもせずに喜ぶなんて、マゾですか?
「普通は、騎士様に失礼な対応をしてるのに何故怒らないのですか? 私の知っている男性は、ここまでされたら黙ってはいないと思うのですが?」
「済まない、だが私は君に一目ぼれをしてしまって、何とか仲良くなれないかと思っているんだよ」
はぁ……。
この人は何を言っているのですか?
言いませんが仮にもこの国の使徒として、選ばれているのに一介のメイドを口説くとか、ありえないのですが?
「済みませんが私は、ただのメイドなので、ご冗談はお止めください」
「本気なんだけどね。初めてこの人だと思える人に出会ったのだから、素直に告白してみようかとね。余り経験はないのだけど、ダメかな?」
「貴方のお考えは分かりましたが、申し訳ありませんがご辞退申し上げます。私はシノア様にお仕えする身ですし、過去に色々有って、男性が嫌いなのです」
「シノア様とは、昨日ミリア様とお話しをしていた方ですね? それならば当分は王都に居ると言うことですね?」
「そうですがそれが何か貴方に関係があるのでしょうか?」
「この王都に居るのでしたら、時間を作って貴女に会いに行けますね」
この人は、何を言ってるのでしょうか……はっきりと断っているのにまだ私に会いたいとか……。
もっと身近な綺麗な人でも捕まえて下さい、顔は良いのですから、相手には不自由しないはずです。
「済みませんがいまお断りをしたと……」
「ふむふむ、セリスに求婚をしているのですか?」
えっ、いつの間にかシノア様が後ろに居ます!
「シノア様がお許しして頂けるのでしたら、交際をしたい所存です」
「貴方は何を言っているのですか! シノア様、これは違います! この人が勝手に言っているだけなので、本気にしないで下さい!」
「ミリアさんの護衛をしてた騎士さんで、カインさんでしたよね? 私のことは普通にシノアとお呼び下さい。正直に言いますと別に貴族ではありませんし、年下の小娘ですから」
「いえ、貴女様は私の敬愛するミリア様のお孫様なのですから、私に取っては不敬になりますので、シノア様と呼ばせていただきます」
「カインさんは堅い人ですねー。でも嫌いではありません。貴方は心からそう思って言っていることはなんとなくわかりますので」
「ありがとうございます。去年までは、ただ剣の腕を磨いていただけの冒険者でしたが、たまたま武術大会で好成績を残せたので、ミリア様の護衛に抜擢されたのです」
「そうだったのですかー、それでセリスに対して本気なの?」
「この歳になって、初めてこの人と思える方でしたので、とにかくお話がしたくて……鍛錬ばかりで、この手のことはさっぱりなのですが、ミリア様に相談をしたら、正面から正直にぶつかってきなさいと助言を頂いたので、即実行している所です」
「セリス、この人は良い人だし本気みたいだけど、どうですか?」
「迷惑です! 私は、男性が嫌いなのです! 私の心はシノア様に対してしか向くことはありませんので、今すぐ諦めて欲しいのです!」
男なんて、みんな一緒です!
お屋敷の方達は別ですが、絶対に信用など出来ません。
たまに私を下心でもあるのか誘ってくる方もいますが、ゴミでも見るような目で断れば、大抵はもう声を掛けて来なくなります。
そんなに女性が欲しいのであれば、娼館にでも行けば良いのです。
所詮、男なんてそれしか考えてない獣です。
「カインさん、セリスはこう言っているけど、諦めますか?」
「私は、諦める気は有りませんが、シノア様は、どう思っているのですか?」
「私は、本人の意思を尊重しますので、どうもしませんがセリスには幸せになって欲しいと思ってますよ」
「私の幸せはシノア様にお仕えすることです。どうぞお引き取りを」
「シノア様も諦めることを申し付けられますか?」
「んー、こういうことは当事者の問題なので、私は関渉致しませんので、二人で答えを出してください」
「わかりました! 頑張って、気に入ってもらえるように努力いたします!」
シノア様……出来れば私に加勢をして欲しいのですが……。
「貴方ね……いま完全にお断りしたのに何故そうなるのですか!」
「ミリア様は言っていました、諦めなければ努力は報われると……なので、シノア様も良いと言いましたので、努力することに致します!」
ミリア様は、なんてことをこの馬鹿に助言するのですか……悪い人とは言いませんが所詮は男です。
「好きにして下さい。ただし、私は決して心変わりなどはしませんので、無駄な努力をすることになるでしょう」
「確かこの手の事を恋愛とか青春と言うのですよね? 屋敷のメイドさん達から聞いた通りですね」
シノア様がお屋敷の他の方とたまに盛り上がって何か話している時がありましたが……まさか恋愛のゴシップですか……。
「今日の所は、そろそろ戻らないといけませんが、シノア様の許可も得られたのですから、時間の許す限り会いに行きますね」
「貴方は、ずっと護衛の任務を全うされる方が良いかと思いますので、本業に精進してください」
「青春って、いいなー。私もしてみたいですね」
……いけません、近いうちにシノア様に、男なんてろくでもないことを教えておかないと危険です!
学園でシノア様に色目を使う者が居たら、こっそりと不能にしておくべきか考えておきましょう。
しかし、私は学園に入れるのでしょうか?
帰ったら、リンさんに聞いておきましょう。
それにしても、護衛なのに何故こんな所にいるのでしょうね?
まさかさぼりとかでしょうか?
いえ、これはきっとミリア様が面白がって、けし掛けたに違いありません。
どうせ来るのですから、適当にあしらいつつ裏を取っておきましょう。
私が考え事をしているとシノア様が話しかけて来ました。
「セリス、ところでギルドの方は大丈夫だったの?」
「一応、ランクEになりました、あと換金のお金を……」
「そこそこのランクなら、怪しまれずに済みそうですねー。お金はそのまま持っていてね」
「しかし、結構な金額なので、私が持つには……」
「良いから、持っていてね。欲しい物が有ったら好きに使っていいし、私もいま持っている分だけで、どんなに食べても減らないぐらいだしねー」
「では、責任をもってお預かりします」
「セリスは堅いなー、もっと好きな物を食べてお洒落とかして良いんだからね? セリスも私と同じなんだけど、私は食べ物しか欲しい物が無いだけだから」
「私はいまの待遇で、もう十分に幸せなので、これ以上は望みません」
「最初の頃より、硬いよ? もっと気楽にして欲しいです」
「リンさんからは、メイドの何たるかをよく聞かせてもらいましたがこれが当然です」
「うちのセリスに何を教えているのですか……今度、リンさんにフレンドリーにするようにお願いしときます」
「無駄と思いますよ? 私はリンさんのエルナ様に対しての心構えをシノア様にするのがメイドとしての幸せと教えてもらいましたので、リンさんの教えを忠実に守る事にしました」
ちょっと……私は友達の関係を望んでいるのになんてことを教え込むのですか。
エルナかサラさんにお願いして、何とかしてもらわないとこのままお堅いメイドさんが継続されてしまいます。
リンさんが話した心構えとか非常に気になるのですが、エルナを見ているとすごく拘束されそうな気がするので……。
帰りにちょっと聞いてみたのですが、私を立てる以外の事はちょっと話を濁しながら答えていて、何となく重そうな感情を感じるのです。エルナとはまた違ったおかしい人になりそうです。
正式に通うのは明日からなんだけど、学園の方から私の学力が知りたいそうなので、馬車で向かいました。直ぐに着くのにこれ意味があるのかなー?と思いました。
テストを一通り受けましたが、読んだ教科書そのままの問題でしたので、さくさく解けましたね。
応用問題とかじゃない限りは、教科書の内容を全て覚えているので、敵ではありませんね。(真面目に頑張っている方、ごめんなさい)
テストを用意してた各先生方は、優秀な子が入ったと喜んでますが……ちょっと後ろめたいです。
一緒に来たサラさんは、鼻高々になってますよ。
「私が推薦しただけはあるでしょ?」とか、言ってます。
確か……おじいちゃんに頼まれて手続きをしただけと私は記憶していますが。セリスも「流石は私のご主人様です!」とか喜んでるし、まあいいけど。
技能テストなどは、実技をする時で良いとのことなので、簡単に説明を受けて明日からになります。
私はエルナと同じ2期生となりましたが、3期生まであるそうなので、約2年はここで暮らすことが決定ですね。
クラスの方は、7クラスあるそうですので、中々の人数が在籍しているのですね。
出来ればエルナとは一緒に居たいのですが、クラスは学力別にわけているそうなので、どうなるのでしょうね。
お屋敷に戻ってから、セリスと昨日の続きでダンジョンに潜ることにしました。2回目でもう7階に来てますが普通はどくのらいのペースなのでしょうか?
今の所は、魔物が弱いのでそれ程問題じゃないですね。
カインさんと別れた後に行ったのですが、なんかセリスが八つ当たり気味にばしばし魔物を狩るので、とんとん拍子で降りて行きました……。
ギムさんにダンジョンのことを聞くと、初めて入って5階のボスまで行くとか他の冒険者が妬むぞとか言われました。
これにはちょっと理由があって私の勘で、何となく下に行く階段がある所までの最短コースがわかるのです。
下に行くほど強い気配がするので、何となく強い気配のほうに向かうと階段があるので、迷わないのですよね。
5階層のボスが居たのですが、セリスが入ったと同時に敵を確認したら、あの光線の魔法を使って瞬殺してしまいました……何か騎士みたいでした。少しは戦ってみたかったです。
私も技能を上げたいので、なるべく魔法を使わずに自分の武器で倒すようにしています。
セリスに向こうの私が使っていた武器を聞いたら、これを使っていたらしいので、使っています。
名称:デスサイズ
効果:闇属性 使用者のマナに応じて、変化する ?の資格無き者以外には呪いを与える
状態:正常
最初に作った時は、槍の方が使いやすいんじゃないと思っていたのですが、何となく使って見ると意外と私に合っている気がします。
ただ、威力に関してはバルディッシュの方が込めたマナ次第で強いんですよね。
ギムさんに見せたら、もうこれを作れる鍛冶士はいないんじゃないかと言ってます。
ギムさんは材料さえあれば作れないことはないらしいのですが、材料の鉱石がよく分からないそうです。
なんか私が最初に作った時と中身が変化しているみたいなのです?
今まで、かなり何でも斬ってましたけど、刃こぼれもしないのですよね?
私が作ったのかと聞かれたのですが、なんかもう別物になっているので、森の神殿跡で手に入れたと言っておきました。あそこは強力な魔物が居るらしく、中に入って戻ってきた者は居ないらしいです。私の首を刎ねた魔物と思いますが確認していません。
そして、この大鎌は向こうの私が使っていたそうです。
セリスから聞いた話では、変態騎士とそのお仲間は手足とか首がほとんど切断されていたそうです……お蔭で遺体を集めるのが軽くて楽だったとか?
いまの所は両刃の鎌になっていますので、結構使いやすくなりました。
確か最初に作った時は内側にしか刃が無かったのですが。
マナを込めて振るうとマナの刃を飛ばせるので、遠距離攻撃も可能になってます。
資格無き者に呪いを与えるらしいのですが……試したいな……。
セリスに至っては、持つことは可能でしたが何も切れない鈍らになりました。
紙すら切れない刃物とか、初めて見ましたよ!
呪いの方は、どうも私の眷属だから何もありませんでした。ギムさんの予想では、多分やばい呪いが掛かるんじゃないかと言ってます。
今度、どうでもいい人に絡まれたら、実験で持たせてみたいです。
どんな呪いか見てみたいのですよ。
明日から学園生活が始まりますが、楽しい事があると良いですね。
翌朝、エルナに連れられて歩いて向かったのですが、何となく視線が痛い……すごく皆さんに見られています?
この時期に編入するのが珍しいのかな?
門に着くと、ほとんどの方がエルナに挨拶をしています。
やっぱり公爵家令嬢ですから、慕われているのでしょう。
エルナも優雅に挨拶をしていますが……お屋敷の時とは別人ですね。
学園ではしっかりとお嬢様で通しているようですが、プライベートの姿を見たらどうなるのでしょうね。
「学園では、猫を被っていますよー」と、言いふらしたいです。
「ちょっと! そこの貴女よ! エルナ様の近くに居すぎです! 離れなさい!」
おや、なんか如何にもお嬢様と言った感じの方が来ましたが……エルナから離れなさいと言ってますが、まずいのかな?
エルナに聞いて見ますか。
「どちら様でしょうか? エルナ、この子が離れなさいと言うのだけど、離れた方が良いのかな?」
あれ?
何となく場の空気が全体的に悪くなったような気がしますが、私は何か間違えた質問をしてしまったのでしょうか?
「貴女……エルナ様を呼び捨てにするなんて、なんて無礼な娘なのですか!」
「カミラ、良いのですよ。この娘は私の特別な子なのですから」
「えっーと、エルナ様って呼んだ方が良いのかな?」
「当然です! それに公爵閣下の御令嬢様になんて口を利くのですか!」
「シノア、もしそんな呼び方をしたら、帰ったらお仕置きしますわよ?」
他の皆さんの視線も痛いですが、見えないけどエルナから怒りのオーラが見えます。
楽しみにしていたのに、まだ門しかくぐっていないのに、もう帰りたくなってきましたよ……。
昨日のテストの時に居た先生が来ましたが……。
「シノアさん、待っていましたよ。こちらに来てくださいねー」
先生、もう少し早くその言葉を掛けて下さいよ……この状況で、行くのは凄くまずいですよ。
「エルナ……」
「先生が呼んでいるので、いってらっしゃいね? 後で会えるのを待っていますから」
怖いです……目がまったく笑っていません。
「じゃ、ちょっと行ってくるね……」
早くもダンジョンにでも籠りたくなってきました。
あのカミラとか言う子のせいで、私の学園生活はマイナスからスタートのようです。
そして、私はBクラスみたいです。
一緒に歩いているのはBクラスの担任のアイリ先生と言う方です、優しそうな方ですがさっきのこともあるし何となく空気が読め無さそうです。
教室に着くと男子6と女子5人のようですが……半端な人数ですね。
エルナとさっきのカミラとか言う人もいますよ……すごく嫌な予感がします……。
先生から自己紹介をしてねと言われましたが、何て言いましょうね?
内容次第では……考えるのは止めましょう。
「今日から、皆さんと御一緒させていただく、シノアと申します。地方から出てきましたので、ちょっと世間知らずな所もありますが宜しくお願いします」
男子は色々と反応していますが、女子の方は無反応です……エルナはずっとにこにこしてるだけなのですが、助けてくれないのかな……。
先生が「シノアさんの席は」と、言うと即答で、エルナが「私の隣しか空いていません」と言ってますが。
隣しかって、視線がさらに痛いです。
「そっ、そうですね、エルナさんの隣に座ってね」
先生はエルナの言葉に素直に頷いて、私に従うように進めてくるのですが、貴族の権力って偉大ですね。
エルナの所に行こうとすると、なんか足が出されましたが……どういう意味なのでしょうか?
普通の人なら、引っかかって転んだかも知れませんが、私はそのまま力押しで通ったら、出した人が悲鳴を上げてます。
「ちょっと! 貴女! 私の足に怪我をさせるなんて、何様のつもり!」
勝手に出して、あっちが足を痛めただけなのになんて理不尽なんでしょう……学園じゃなかったら、切断して通る所ですよ?
「私は、ただ歩いていただけなので、何もしていませんから、自分から痛めたのではないでしょうか?」
「貴女が蹴ったので、私の足が腫れていますよ! 歩けなくなったら、どうするつもりですか!」
赤くなっているだけじゃん……めんどくさいな……なら、「じゃ、はい『キュア』 これで、怪我は治りましたよね?」
「貴女、聖魔術の使い手だったの!」
うっとおしいので、エルナの機嫌回復も兼ねて、振ってしまいましょう。
「エルナ、私はエルナの隣に行きたいのだけど、これでもう良いよね?」
「シノアの言う通りです、早く私の隣にいらっしゃい」
よし、頼ったら機嫌が良くなりました。
ここはエルナを盾にして生活すれば良いと実感しました。
授業になったので、教材を出そうとしたら、「今日はまだ、揃ってないはずよね? 私と一緒に教科書を見ましょうか」……エルナさん、昨日の夜に私に用意してたのを私にくれましたよね?
にこにこと一緒に見ようと言う笑顔は、ある意味怖いです。私は頷いて一緒に見るしか出来ません。
放課後になると一人を除いて私に質問攻めをしてくるのですが、エルナが自分のことのように説明をしてくれるので、大変助かります。
私の立ち位置は、最近見つかったエルナの従妹となっていますので、自動的に身分はエルナと同等になりましたが、この学園では貴族位を名乗ったり行使することは禁じられています。
学び舎では公平に勉学に励むことを推進して、能力ある者の目を潰さないように、という女神様の配慮だそうです。
クラスの人数が半端なのは、Sクラスが6人、AとBクラスが12人、CとDクラスが18人、Eクラスが24人と決まっているそうです。
これは、6人パーティーを意識していて、成績次第では入れ替えになるそうです。
Bクラスが11人だったのは、1人嫁ぎ先が決まって、10日ほど前に自主退学してしまったそうなのです。
そこにサラさんが強引に私を入れたらしいのですが……それって、貴族の職権乱用では無いのでしょうか?
今日は、午後から魔術のテストもあるそうなのですが、私はどのくらいにすれば良いのかな。
エルナは本気で構わないと言ってましたが、今のエルナの実力を考えると私の実力は完全にオーバーしてますよね?
取り敢えず皆さんの実力を見てから決めましょう。
そう言えば、エルナが魔術を使っている所を見たことが無いような……。
この間、剣だけは相手にしましたので、どのくらいかはわかりますが、なるべく私の順番は最後になるようにしてもらいましょう。




