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生まれ変わったのですよね?  作者: セリカ
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101 保護者確保


「それで、シノアとステラちゃんは仲直りが出来たという事で宜しいのですか?」


 私は、ステラさんがまともな事を言うから、つい質問をしていたのですが、エルナのお願いがあったのをすっかり忘れていましたよ。

 ナオちゃんの、外見は完治している足の神経を治すというものなのですが、状態異常を治す魔法でも使うのかな?


「つい話し込んでしまいましたが、エルナがステラさんにお願いがあるそうですよ」


「エルナちゃんがうちにお願いとは何でしょうか? うちに出来る事でしたら、何でもしますよ!」


「ステラちゃんは素直なので、頼りにしていますよ! それでお願いとは、このナオちゃんの足を治し欲しいのです」


「エルナちゃんに抱き着いている可愛い子のですか? どこにも怪我なんて見えないのですが、何かの病なのですか?」


「実は、この子の足は見た目は完治しているのですが、歩けないように、骨なのか神経なのか分かりませんが壊されてしまっているのです」


「それは大変ですね……ちょっと触らせてくださいね」


 そう言うと、ステラさんがナオちゃんの足首の辺りを触っています。指先がマナに覆われていますが、あれで診察が出来るのでしょうか?

 いつもの小動物みたいな雰囲気が無くなって真面目な目をしています。普段からこれだったら、良かったのにね。


「これは酷い事がしてあります! 立てないように、神経を別の異物に変化させて、まともに動けないようにされています! この症状は、昔にうちとサテラちゃんが保護した子に沢山いました。未だにこんな酷い事をする者がいるなんて許せません!」


 なんかステラさんが本物の医者みたいな事を言ってます。失礼なのですが、頭でも打ったのかと思える解説をしています。

 しかも、昔からこんな事をしていたと言ってます。奴隷に堕とすと、逃げられないようにする為とはいえ酷い事をしますね。

 あの令呪には1つだけ欠点があるのですよね。

 何とか胸を圧迫する苦しみに耐えて、主からかなりの距離を逃げる事に成功すれば、束縛の範囲に入らない限りは影響を受けないのです。どこかの山奥とかの追手が来ない地域に逃げれば良いのですが、普通の人だったら立ち上がれない程の苦しみなので、逃亡はまず無理です。

 基本の身体能力が高い亜人の人だったら、苦しみに耐えて逃亡出来るかも知れないので、こんな処置をしているのだと思います。


「それで、ステラちゃんでしたら、治す事は出来ますか?」


「任せて下さい! うちに癒せない怪我なんて存在しません! うちだったら、亡くなった人でも肉体が復活に耐えられるのでしたら、日数が経っていても蘇生だって出来ちゃいますよ!」


 おおー!

 ステラさんは、10分以内の蘇生の縛りがないのですか!

 流石は、聖魔術が昇華しているだけはありますねー。


「では、ステラちゃんにお願いしますね」


「うちが直ぐに治してあげますので、少しだけ待って下さいね!」


 ステラさんが、何やら足首に手を当てて、ぶつぶつ言ってます。何の魔法を使うのかな?


「終わりました! 神経を正常に繋ぎ直しましたので、これでちゃんと立てるはずです!」


 えっ!

 もう、終わったのですか?

 あのぶつぶつ言っていたのが、何かの魔法だったのですか?

 そう言えば、魔術は昇華していれば、威力は落ちるけど無詠唱で行使が出来たのでしたね。

 抱き抱えていたエルナが、ゆっくりとナオちゃんを地面に足が付くように支えながら立たせています。


「どうですか? ちゃんと足に力が入りますか? 大丈夫でしたら、この手を放しますが、どうしますか?」


「立てます……エルナお姉様! 私、自分の足でちゃんと立てます!」


「良かったですね! さあ、ステラちゃんにちゃんとお礼を言いましょうね!」


「ありがとうございます、天使のお姉ちゃん! もう2度と立つ事も走る事も出来ないの思っていたのに。すごく嬉しいです!」


「うんうん、良かったですね! 子供は元気に走り回るのがお仕事なですから、また怪我をしたらいつでも言って下さいね!」


「この度は、娘の怪我を治していただいて本当にありがとうございます。なんとお礼をしたら良いのか……」


「うちの魔術は誰かを助ける為にあるのですから、うちは当然の事をしただけです!」


「俺からも礼を言わせてくれ天使様。元はと言えば俺の不注意で、こんな事になったのだからな……俺の妹を治してくれてありがとう」


 ステラさんは、お2人から、感謝されてとても満足そうですね。

 しかし、ステラさんが天使扱いとは。この後に私生活を見たら絶対に失望するから、あんまり評価を上げるとがっかりしますよ?


 

 それから、エルナはナオちゃんを連れてシズクの所に行くと言って行ってしまいました。まだ大して時間も経っていないから、何も出来ていないような……。

 あれですね?

 あの部屋にある休憩用のソファーで、寛ぎながら監督でもするつもりですね。

 シズクはともかく、他の人達には上司が2人も増えるだけなので、可哀想に……。

 何か大事な事を忘れている気がするのですが……あっ!

 ソファーの横の仮眠用の簡易ベットに私の抱き枕があるじゃないですか!

 エルナが掛けてあるシーツをめくったら……カミラの持っている物の違うバージョンが……まあ、シズクの仕事が増えるだけだから良いんだけど、あそこにいる人達に見られちゃうな……。

 そして、取り残された私はどうなるのでしょうか?


「そういえば、シノアちゃんにお客さんが来ていますよ?」


「お客さんですか?」


「いま、うちの畑仕事を手伝ってもらっているのです。今日は特別に通してあげます。カミラちゃんとそちらのお2人も良かったら、来て下さい!」


 今日だけとか、私を入れる気は無いのですね?

 マナが無くなって、戻って来ても私の中に封印してあげますよ!

 カミラが付いているから良いとして、エルナもこの人達を放置して行ってしまうとか、結構自分勝手と思うのです。この人達がいなくなるとカミラの説教が始まるので、いてくれた方がいいんですけどね。

 草木に完全に覆われている道を案内されて付いて行くと、見た事がある人が畑を耕しているのですが……この国の権力って、本当に貴族の方が強いんですね。


「クロード先輩は、どうして農作業をしているのですか? 私の記憶が正しければ、学園の卒業後は冒険者として生きていくのではなかったのですか?」


「おう! やっと帰ったのかシノア! お前がいないから、ちょっとステラ嬢ちゃんの手伝いをしてたんだよ」


「それはわかりましたが、なぜ? 取り敢えず理由を知りたいのですが?」


「クロちゃんがお話ししたい事があるそうなので、うちの家で休憩をしましょう!」


 いつの間にか作り直した小屋がステラさんの家になっています。めっちゃ植物が生い茂っているので、外観が最早別物ですね。

 中に案内されると、意外と普通に椅子とテーブルとかあります。どこから持ってきたのやら?

 水だけ出してくれたと思ったら、なんかすごく甘くて飲みやすいです!

 生活能力ゼロのステラさんにこんな物が作れるなんて……どこから盗んで来たのでしょう?


「ちょっと、ステラさん。この水がすごく美味しいんだけど、どこから手に入れて来たのですか?」


「うちの水魔術と大事に育てている植物から、甘い成分を分けてもらったのを混ぜているだけです。シノアちゃんの作ったジュースほどじゃないけど、美味しいですよ! 食べる物は果物しかないから、久しぶりにシノアちゃんのお菓子を出して下さい!」


 なるほど、植物の糖分と水魔術で純度の高い水を作り出して、混ぜているだけでしたか。

 それでも配合が上手く出来ているので、普通に甘くて飲みやすいのは驚きです。

 まあ、ちょっとつまむ物を出して、クロード先輩の話でも聞きますか。

 カミラからお連れさんの話を聞きたいのですが、とにかく夜までの時間を稼がないとカミラの小言の時間が減りませんからねー。


「それで、私にお話とは?」


「おう! 実は伯爵の家を追い出されてしまって、宿無しになってしまったんだよな……それで、以前にお前が言っていた手下として雇ってもらおうと思って来たんだよ」


「はぁ? 意味が分りませんが、本気ですか? 中心部に立っている立派なお城がクロード先輩の家ではないのですか?」


「あれは、王位を継がないともう住めないから、俺には無縁になったな。今まではアガレス伯爵が俺の身元引受人になって、王位の選定まで厄介になる予定だったんだけど、こないだ俺が本気で王位に付く気がないと話したら、もう俺に価値がないから、出て行ってくれと言われてしまったんだな!」


「価値? 増々良くわからないのですが。クロード先輩が王位に付くと、その伯爵さんに何かメリットがあるのですか?」


「現在、この国の国政を取り仕切っているのはマルグレット公爵家で、俺の兄貴の後見人でもあるが、俺が選ばれれば、ある程度の利権が手に入るからなんだよ」


「ふーん。良くわからないのですが、王位なんて飾りじゃなかったのですか?」


「確かに飾りなんだが、次の王が選ばれるまでは色々と美味しいらしいので、その間に力でも付けたいんじゃないかな? まあ、その時は俺はシリアの奴と結婚する事になるんだがな」


 まあ要するに自分の選んだお飾りの象徴を有効に使って、自分達が実権を握って宰相ぐらいの地位になれるんでしょうね。

 仮にも女神様に謁見する権利が王位を持つ者にはあるらしいのです。滅多に表に出てこない女神様だけど、この国の象徴ですからね。

 最近のこの国の歴史は私も知っているのですが、マルグレット家が選んだ者が王位に就いた時に子供を1人だけしか生ませないようにしていたので、ここ数十年はマルグレット家の天下だったらしいのです。今の王は、その方針を無視した為に男子が3人なのだとかと。

 それ以前までは、エルナとオリビアの家のどちらかが就任していたらしいので、今回はその両家が後見人になると思われていたのに辞退した為に、名乗りを上げた家に次男と三男が預けられたそうです。

 他にも有力な貴族がいたらしいのですが、ヴァレンタイン家が辞退する条件として、貴族の身分に関係無く、名乗りを上げた家でくじ引きになったそうです。

 単に幼いエルナが嫌がって、遊び心満載のサラさんが適当に条件を出したに違いありません。

 ヴァレンタイン家は、影響力もそうですが、財力も半端ないらしいとの事です。

 そう考えると、富豪なのにまだ儲けようとするとか、どれだけ稼げば満足するのかな?

 私は、単にいざという時にお金で黙らせる事が出来るように貯めてるだけになっていますけどね!


「シリアさんって、クロード先輩の事が好きだと思っていましたが。その伯爵さんに何か抗議とかしなかったのですか?」


「あいつは俺が王位を継いで結婚出来たら、女王になれるとしか思っていなかったから、ただの冒険者の俺には興味が無くなったそうだ。要するに俺の将来の権力の可能性が好きだっただけだから、今頃は出世の見込みがある奴を探しているんじゃないか?」


 女王ね……あんな武器をつかっているのだから、鞭も使えそうですね。

 クロード先輩を見ていた好意的な感情は権力への好意でしたか。

 それにしても出世の見込みの無い男性はポイとか、大人の女性の人は怖いですね。

 私は、ずっと少女のままだから、関係無いけどね!


「それなら、ダンジョンに一緒に潜っていた、シリアさん以外の他の人達はどうしたのですか?」


「他の奴らは、卒業してから領地に帰ったか、親の仕事を覚える為に立派な貴族様になる為の見習いでもしているんじゃないか? なんせ、俺がいない間に全てが片付いていたからな! はっはははー!」


「意外と冷たい、お仲間さんですね?」


「あのダンジョンに挑んでいた方が女神様の覚えも良くなるかも知れないから、腕に自信のある奴は行くだけで、挑む奴は少ないぜ? そこそこの踏破率があると貴族枠の使徒になれるが、その最低基準が学園の免除の件と同じ60階層を越える事なんだとよ。まあ俺らは足りなかったけどな」


「そうだったのですか。もしかして、あのダンジョンの行動は女神に筒抜けなのですか?」


「いや、階層チェックは、所持しているギルドのカードか王宮が配布しているカードで、どこまで潜ったかは記録されるらしい」


「らしいって、クロード先輩は、その配布されているカードじゃないのですか?」


「俺だけは、将来を見込んでいたからギルドのカードで、あいつらはそっちだな。一応は持っていたが、荷物の底に眠っているから、未使用だぞ」


 ふむ、取り敢えずは階層のチェックだけですか。

 今の所は、特に女神の側のリアクションは無いのですから、ダンジョンの中の行動までは見てはいないと思うのですが。まあ、その時はその時ですね。


「それで、私の手下になるとして、今の所は私が他の国に行く時に連れて行く約束でしたが、それまではどうするのですか?」


「ステラ嬢ちゃんの手伝いでもしながら、ここに住まわせてもらって、お前がダンジョンを突破するまでは、前衛の募集でもしているパーティーに臨時で入れてもらおうかと思っている。お前らなら、ちょっと待っていれば100階層なんて、問題無いだろう?」


「クロちゃんは、よく働くので、うちのお手伝いさんは大歓迎です!」


 農業に励む王子様とか、私の知っているお話はおかしいですね……普通は偉そうに親の七光りで好き放題と思っていたのですが。ユリウスも努力家でしたが、私のイメージが崩壊しまくっています。


「大体は分りました。それで良いのでしたら、好きにして下さい。私からもサラさんにお話をしておきますので、しっかりとバイトと農業に精を出して下さい」


「よし! シノアの許可も出たし、改めて宜しくな!」


 ステラさんは、手下が増えて喜んでいます。もしかして、ここに2人で住むのかな?

 一応は、外見は幼いけど年齢だけは半端ないステラさんですが、女性ですからねー。

 ステラさんはエルナのお気に入りでもあるので、知られたらいつもの嗜みとか言ってきますよ?

 あとは、カミラが、目でずっと私に無言の攻撃をしていますので、そろそろ話を振らないとお怒りが炸裂してしまいます。


「それで、かなり付き合わせてしまいましたが、そちらのお2人も私にお話があるのでしょうか?」


「改めて紹介しますがナリアさんとリックさんと申します。ナリアさんは貴女に仕えたいと申していましたが……ナリアさん、先ほどから馬鹿な事をしているこの子がシノアですが、どうしますか? 今なら、エルナ様にお話をしますので、考えを改めた方が良いと思うのですが……」


 ちょっと!

 私の紹介の仕方が酷いのですが。いきなりお馬鹿さん扱いとか、私の仕返しポイントが増大しましたよ!


「ご紹介に与りましたナリアと申します。この度は突然の来訪で申し訳ありません。シノア様の執事のアルカード様のお誘いで参りました」


「アルカードのですか?」


「はい、実は……」


 ナリアさんから、アルカードが呪いを解いて衰弱した体調を回復させるのに神薬を使ったらしいのです。その恩を返したいそうですが、あの美味しい水にそこまでの効果があるとは……たまに水割りに使っていたので、また1本飲んでしまったのですが、あと1本はちゃんと残しておきましょう!

 色々とあってヴァリスの国にはいずらくなったので、エルナのお誘いもあったから息子のリックさんも一緒にこの国に来たみたいです。どうしましょうね?

 レートさんとサラさんに話をすれば、大抵の事はおっけいをもらえるのです。あんまりお世話になりっぱなしなのも心苦しいので、自力で稼いでいるシズクはともかく、サテラとステラさんやレンの生活費は、私に入る利益から何割か差し引いてもらうようにしているのです。

 いまはいないのですが、唯一のごく潰しはサテラだけです。

 あれは、お屋敷にいると食っちゃ寝しかしていないし、私の酒蔵の一番高いワインしか飲まないから、無駄に経費が掛かるので、別の意味で私生活がゼロの英霊さんです。

 エレーンさんのお店でこき使われているのですが、はっきり言って、ここに帰って来なくてもいいのです!

 どうせ帰って来たら、私を虐待するだけだから、戦闘以外は使えません。

 そう考えると、だらしないけどステラさんの方が優秀に思えるのです。2人で足して割れば丁度良くなる気がしてきましたね。

 それにしても、先ほどまで天使様とか崇められていたのに、私の出したお菓子を食べる度に胸元にカスがいっぱい付いているし、自分で用意した飲み物もこぼしているので、地味にエロ汚い姿になっています。

 どうも、あのツナギの下には下着なんて付けていないみたいなので、男性陣の目がどうしても無駄に大きい胸をチラチラ見ています。私はなんかムカつくのですが?

 下着の件は、以前にエルナにも注意されたのですが、サテラと同様に試合をして勝ってしまったので、エルナは文句を言う権利を失っています。

 近接戦闘は苦手とか言っていたのに、サテラ程ではないのですが、私よりも恐ろしい槍の使い手でしたので、エルナは惨敗中です。

 普段はお馬鹿さんなのに、戦いになると別人のように対応するのですから、見た目で判断したらいけない実例です。

 そうだ!

 ナリアさんには、ステラさんの私生活の面倒を見てもらえば良いかと思います!

 歳はステラさんの方が上ですが、子供と変わらないので、二児の母であるナリアさんなら、ちゃんと躾もしてくれるかと思います。

 

「お話は分かりました。私から一つお願いがあるのですが、宜しければステラさんの私生活の面倒を見て上げてはくれないでしょうか?」


「ステラ様のですか?」


 こんなお馬鹿さんをステラ様なんて呼ぶ必要は無いのですが、娘さんの怪我を治してもらっているので、こんなだらしない姿を見ているのにダメな人に見られていませんね。


「見ての通り、ステラさんは私生活はこんな感じなので、世話をしてくれる人がいると、私はとても助かるのです。一応、私が保護者なのですが、だらしないので困っていたのです」


「ちょっと! シノアちゃん! うちをダメな人扱いをするのは止めて下さい! うちは、立派な大人の女性なんですよ!」


「はぁ? 立派な女性? ステラさんは鏡を見た事があるのですか?」


「ありますよ! それがうちに何の関係があるのですか!」


「例えの意味も分からないとは。その立派な人の今の姿を見る度に、私は人前に出せない恥ずかしい人と思っていますよ。大体、その服だって、いつ着替えたのですか? あちこち解れていますが、シズクから予備も何着か貰っている筈ですよね?」


「着替えは確かにずっとしていません……」


「していないって、私が出掛ける前から着替えてもいないとか、立派な女性って不潔ですねー」


「うちは、ちゃんと洗浄魔法で毎日綺麗にしています! なので、服も綺麗になっていますよ!」


「ちょっと聞きたいのですが、ちゃんとお風呂に入っていますか? まさかとは思いますが、洗浄魔法で全て補っているとか言わないで下さいよ?」


「農作物のお世話に夢中になっていたので、この森からは出ていませんが、ちゃんと綺麗にはしていますよ!」


 まさか、お風呂にも入らずに洗浄魔法だけで、身綺麗にしていたとは……毎日欠かさずにお風呂を愛用している私に対する挑戦ですか?

 いくら綺麗になるとはいえ、あの湯船に浸かった解放感が分らないとは、ちょっと許せませんね?


「1つ聞きたいのですが、ステラさんが尊敬をしていたカエデさんという方は、お風呂に入らない人だったのですか?」


「カエデさんは、毎朝必ずお清めと夜にはお風呂に入っていたので、とても綺麗好きでしたよ!」


「その尊敬している人に近付きたくて口調を真似ているのに、私生活は真似ないのですか?」


「あぅ……あの頃は、カエデさんがうちの体も洗ってくれたから、言われたら必ず入っていましたが……」


「では、これからは私生活の面では、ナリアさんに従って規則正しい生活をして下さい。まったく、魔法だけで済まして風呂にも入らないとは、お風呂大好きの私から見たら、許しがたい行動です。なんかステラさんから悪臭でも漂ってきそうですね」


 私はあの施設から逃亡してからは、入浴だけは欠かしてはいませんからね。

 あの頃は、あまりに汚くなったら、他の人達と一緒に水を掛けられているだけの生活でしたから、匂いなんて気にならなかったけど、今の私は嗅覚が普通の人より敏感になっているので、汗臭いと気になりますから、お風呂は欠かせません。

 洗浄魔法を敢えて使わないのは、湯船で癒される解放感が好きだからなのです。


「うち、臭くないのに……」


「いまは匂いませんが、せめて入浴剤の匂いがするようにして下さい。なので、ナリアさんにはステラさんの私生活のを何とかして欲しいのですが、お願いできますか?」


「わかりました。私で宜しければステラ様の身の回りの世話をさせていただきます。娘の恩人でもありますので、私に出来る限りの事は致します」


「では、手間の掛かる子供と思って、お願い致します。ステラさんもちゃんと言う事を聞くのですよ」


「ナリアさん、うちの事を宜しくお願いします……うちはダメな子ですが、見捨てないで下さい……」


「ステラ様、ご安心下さい。私も頑張ってお世話を致します」


「うん! ちゃんという事を聞きますので、お願いします!」


 地味にナリアさんも理解したらしく、頑張ると言っていますね。

 ついでに、私が預かっている前回のステラさんのダンジョンの取り分を、ナリアさんに渡して管理してもらいましょう。

 もしサテラが来ても奪われないようにしておかないと、あの暴君の事ですから、全て奪っていくに違いありません。


「では、ナリアさんには、前回のダンジョンで得たステラさんのお金も渡しておきますので、管理もして下さい。ステラさんには子供にお小遣いを渡す程度にしないとすぐに使ってしまうので、絶対に大金を渡してはいけません」


 私が沢山の金貨の入った袋を渡すと驚いています。実はあのアンデットのエリアはセリス達がこまめに回収をしていたので、とても金銭効率が良く、意外と収入が多かったのです。

 クロード先輩は、大剣とダンジョンの中での物資の件があるので渡してはいませんが、「あんなにあったのかよ……」とか呟いていますが、もうあげませんからね!


「こんなに預かっても宜しいのでしょうか? かなりの金額なので、盗まれたらと思うと不安ですが……初めてお会いした私に渡しても良いのですか?」


「私は、これでも人を見る目がありますので。ナリアさんは信用が置けると判断しましたので、お任せします。あとはこの小屋に金庫のような物を後で作りますので、入れておけば問題有りません。鍵はナリアさんにだけ反応するようにしますし、ここのエリアにはステラさんが許可しないと入れないそうなので、盗まれる心配はありません」


「わかりました。責任を持って管理させていただきます」 


 これで、ステラさんの面倒はナリアさんに丸投げ出来るので、私の面倒事が1つ減りました!

 あとは、リックさんと仰る方はどうするのでしょうか?


「リックさんは、どうするつもりでしたか? 宜しければ私が口利きをしますので、何か要望はありますか?」


「いや、俺は母さんやナオと違って、仕える為にこの国に来たわけじゃないので、フリーの冒険者として何とかするつもりだ。ギルドの登録はしてあるので、母さん達の今後が確認できたので、ここいらでお邪魔するよ」


「ふむ、この国に誰か当てはあるのですか?」


「いや、無いが。エルナ様のお蔭でナオの件がどうにかなったので、当座の資金もあるから大丈夫だ」


 ふむふむ、鑑定して見るとクロード先輩と同じ前衛タイプの戦士の方ですね。

 レベル的にも同じぐらいですから、クロード先輩と組んでもらって、パーティーを組めばダンジョンに行くのもいいですね。


「私から提案があるのですが、クロード先輩と私の身内の者と一緒にダンジョンに行きませんか? ちょっと連れて行って欲しい子がいるのです。足りないメンバーも私が声を掛けますので、バランス面も考慮致します」


「フェリス王国のダンジョンか。確か比較的に安全策が取られている所と聞いているが」


「普通に外で魔物を狩るよりは良いかと思います。外に行くにはいちいち門を通らないと面倒だし、金銭価値のある強い魔物と戦うのでしたら遠出もしないといけないのです。リックさんのレベルでしたら、そこそこ稼ぐ事が出来ると思います」


「それはありがたい申し出なんだが……この際に言っておくが、俺は最初にそこのカミラさんとエルナ様に迷惑を掛けた奴だから……」


「先程もナリアさんに言いました、が私には人を見る目がありますので、貴方の事も信用できると思っています。それに、わざわざそんな事を言わなければ流れでここに住む事も出来たのに、正直に話してくれた事にも好感が持てます。そして、エルナが連れて来たのですから、初めからここに雇うつもりで連れて来たと思いますよ?」


「しかし、俺は……」


「私もシノアの意見に賛成致します。私も迷惑とはもう思っていませんので、シノアの提案に乗るのが良いかと思います」


 カミラも賛成のようですが、迷惑って、何をされたんでしょうね?

 私には、今のリックさんからは悪意のようなものは一切感じないので、普通に良い人と思うのですけどね。

 ちょっと気になりますが、流石に今は聞いたらダメですよね?


「迷惑を掛けたあんたがそう言ってくれるのなら、済まないが話に乗らせてもらおうと思うよ」


「では、話は纏まりましたので、取り敢えずは同じ仲間になるクロード先輩と交友を深めながら、ここでステラさんのお手伝いでもしていて下さい。その間にメンバーになってくれる人に声を掛けてみます」


 改めて、クロード先輩とお互いに自己紹介をして何やら話しています。ステラさんは賑やかになったのが嬉しいのか喜んでいますが、まずはまともな服装をしてくれるようにナリアさんに小声でお願いしておきました。

 男性陣がステラさんの胸をチラ見していたのには気付いていたみたいなので、早速着替えるように促しています。これで下着ぐらいは付けるようになるかと思います。

 私なんて、必要がないのにエルナに言われて付けているのですから、ステラさんだけ開放的でずるいと思っていたのは秘密です。

 それにしても、ここの維持って、どうやってやっているのでしょうか?

 気になったので、ステラさんに質問すると……英霊召喚の時と違って今の体には体力的なものがあるので、聖魔術の体力をマナに変換する魔法を使っているそうなのです。

 そして、減った分の体力は、樹木魔術に草木から少しづつ生命力を分けてもらえる魔法を使うのだそうです。森の密度が濃ければ濃いほど得られる生命力が多いそうです。

 これなら、戦闘でもしない限りは、自分でマナを永久的に補充が出来るそうです。

 更には、あのアーティファクトに匹敵する防具に自動でいくつかの魔術を組み込んでおけば、この森の全てのマナが自動で賄えるそうです。

 サテラのエロドレスより防御力が落ちる代わりに、複数の魔術の自動行使が出来るとか……ちょっと解体して調べたいです。

 今は小屋の地下室に設置してあるそうです。もし本人が消滅しても、貯め込んだマナがある間は継続するらしいので、こまめにステラさんのマナを貯蓄しているそうなのです。こんなに頭が回るのに、どうして私生活はダメなのか不思議で仕方ありません。

 医者みたいな事もしていたのですから、時間があったら、私の診察でもしてもらいましょう。もしかしたら、私の体の事が分かるかも知れませんね。


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