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第3話 到着と目的

これからどうするか、それを決めた僕は王都を後に走り出した。

もちろん今の僕には土地勘などなかったので、道の途中で様々な人からその道を教えてもらうことになった。

……その際、この世界にはないスーツを着ているせいか、奇妙なものを見るような視線を受けたせいでかなり恥ずかしかった。

……そして今はそんな暇はないが、目的地に着いたら服を変えることを密かに僕は決意した。


「ここか……」


そんなこんながありつつも、超常の能力を得た僕は1時間後、あっさりと目的地に着いていた。

手の光についてはどういう原理なのかわからないが、消そうと思っていた時に消せたので、奇妙な服装でかなり見られたが、それでも恐らく誰も僕が巻き込まれた転移者であることは気づいていないだろう。


「よかった……これで先ずは追いつかれることはないだろう……」


そしてそのことに僕は思わず安堵の息を漏らした。

あの勇者とか国王達とはもう会いたくなかった。

人格的も問題があり、正直本当に国を統治できているのか心そこから疑問だ。

というか、勇者があんなんて……


「あぁ、だめだ!だめだ!」


と、思わず思考が脱線し始めて、僕は思わず気合いを入れるために軽く頬を張った。

僕がこの場所に来た理由、それは確かに国王達から干渉を受けないようにするのも一つだが、それだけではない。

もう一つ、一番大切な理由があるのだ。

そしてその目的を果たすためには僕は惚けているわけにはいかない。


「よしっ、いくか!


ーーー 魔物の群生地、霧の森に」







◇◆◇






僕が人に尋ねながら進み、何とかやって来たこの場所、それは魔獣の群生地である森の存在するそんな街だった。

魔獣、それは詳しく聞いたことはないがなんでも人の天敵らしい。

それも亜人、魔族、人族関係なしに襲うそんな存在。

感情は存在せず、ただ人間を殺す為だけに知能が存在する得体の知れない化け物。

けれどもその化け物を殺すことで人はその身体の核とされる魔石を手にし、その魔石を使った技術でこの王国は成り立っている。

そんな魔獣の群生地と呼ばれる場所は街ができ、辺境街と呼ばれ発展しているらしい。


「うわぁ……本当に武器抱えている人なんている……」


そして今回僕が来た、辺境街は一番王都に近い場所にあるものだった。


服のせいで目立ってしまうことを恐れ、姿を隠しながら進んでいた僕は鎧を着込み魔物の群生地へと向かう男女の姿にそう呟いた。

女性の方はローブのようなものを着ているが、本当に魔法という存在がこの世界にはあるのだろうか。

こっそりとその男女に付いて行きたい衝動に僕は駆られる。


「見に行きたいなぁ……」


だが、僕はその男女の後ろをつけて行くことを諦めた。

その理由は簡単、僕は今からある目的を果たしに行かなければならないのだから。

それは本当に僕が勇者の能力を持っているかを確かめること。

この世界は魔物を倒せば倒すだけ保有魔力が増え、人間は強化されていくらしい。

だが、聞かされたことによると勇者はその強化が顕著らしい。

魔物を数体倒すことに、魔力による肉体の強化が起こり、どんどんと強くなる。

当初召喚された勇者の素の身体能力はこの王国では子供レベルなのだが、訓練していけば最強レベルまで鍛えられるらしい。


「つまり、ここで僕が魔物を倒してそのレベルアップが出来れば……」


そして、そこまで考えて僕は思わずゴクリと喉を鳴らした。

これでもし僕が勇者だとすれば、これからどんなことができるようになるのだろか。

勇者の剣、それは確かに単純ではあるが強力な能力だ。

けれどもそれ以上に強力な力が勇者は使えると国王達は意気揚々と僕に教えてくれた。


「本当に僕が勇者だったらあいつらどれだけ慄くことに……」


「ギガガガッ!」


「えっ?」


しかし、そう考えて浮かんだ僕の笑みは次の瞬間固まることとなった。


「うわぁぁぁぁぁ!」


緑色の何か汚い人影、それが街の人から聞いた魔獣のゴブリンであると気づいた瞬間、僕は情けなく叫び声をあげていた……

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