第3話
もちろん、子供はまだ言葉をしっかりと理解することが出来ない
そんな子供に構わず精霊は、他のたくさんの精霊と森の動物達を連れて来る
『これなら、寂しくないでしょう。次は、家族の事だけど…この森の守神様に聞いてくるから、後は皆よろしくね』
『はぁーい』と精霊達は返事を返し、動物達は小さく啼く事で返事をした
『じゃあね』
と最初の精霊は飛んで行った
動物達は子供の周りを囲うようにして集まり、子供を温める
精霊達は、子供の周りを飛び、子供をあやす
子供が楽しそうに笑うと、精霊達は嬉しくなったのか歌う者や踊る者が現れはじめる
そこへ、先程の精霊が連れて来たのは1匹の九つの尾を持つ狐と1人の青年
もちろん、守神とシャナイリである
『守神様だぁ~』
『竜王様もいる~』
精霊達は囁くような小さな声で騒ぐ
『…急げと言うから、急いで来たが、何故人の子がここにいる?』
守神が子供を見ながら精霊達へと問う
『この男の子ね、お母さんみたいな人がここに置いて行っちゃったの』
『捨て子ということか。それにしても、その子供……白の竜王、この子供そなたが育ててくれないか?』
守神は問い掛ける様に話しかけていたが有無を言わさない力強さがあった
「…狐神様、私に人の子を育てよと言うのですか」
しかし、シャナイリは少しの威圧をかけながら守神に問い返す
『そうだ。この子は人間だが、まだ子供だ。子供を昔の事で嫌っても仕方がないだろう』
守神は威圧を気にかける事なくシャナイリに言う
「…はぁ、分かりました。この子を育てましょう」
シャナイリは渋々頷く
そして、子供を抱き抱えて帰ろうとするが
『少し待て、その子の名を決めよう』
「名、ですか…?」
シャナイリが聞くと守神は小さく頷く
そこに、精霊が手を挙げる
『守神様~。その子の名前、もうあるみたいだよ~。カグラっていう名前~』
『どうして分かる?』
守神が精霊に聞くと
『この子のお母さんがそう言ったの聞いてたの~』
シャナイリは名前が分かると
「では、私はこれで」と言って去って行ってしまった