第1話
自然豊かな森の中にある湖の近くでたくさんの動物が集まっていた
その中の一匹の狐の毛に包まれて眠る子供が一人
子供の上には、脚を抱えて丸くなって子供の様に眠っている一体?の小さい精霊
他の動物はその子供の周りを守る様にして囲っていた
その場所に近づいて来る一人の青年がいた
青年は綺麗な銀色の髪と金色の瞳を持っていた
動物達は青年を認識すると立ち上がり、道を開けてから青年にむかって礼をとる
『白の竜王よ』
青年に呼びかける一匹の狐
子供を支えている狐である
青年はいや、白の竜王は
「何でしょう?」
と答える
『この子の迎えか?』
狐は子供に顔を寄せながら聞く
「そうです」
『この子は先ほど寝たばかりだ。もうしばらく待っていてやれ』
「分かりました」
白の竜王はその場に座り近くにいた動物の毛並みを整えていく
そうして無言のまま1分、2分と経っていき、10分程経ったくらいに子供が起きる
子供の上で寝ていた精霊は転げ落ちたが図太く眠ったままだった
「おはよう、カグラ」
「…おは、よ」
カグラと呼ばれた子供は眠そうに目を擦りながら返す
『カグラ、顔を洗っておいで』
カグラは頷き湖へと向かう
「いつもありがとうございます。狐神様」
『別に構わん。カグラは一緒に居て落ち着くからな』
「そうですね。とても人とは思えない、いい子です」
そこへ顔を洗ったカグラが戻ってきた
「シャナイリ、もう帰る時間?」
カグラは白の竜王の方を向き聞く
「はい」
カグラは狐、いや狐神の方を見ると
「狐の守神様、バイバイ」
『またな』
カグラが手を振ると狐神は九つの尾の中の一本で振り返す
シャナイリは頭を下げて帰っていった