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盗賊のアジト乗っ取り計画~ポロリもあるよ~①

ポロリ回です。

「そ、それじゃあ、あなたたちのお家まで案内してくれるかな?」


「………ああ」


 アイがモヒカンの目を見つめる。

 見つめられたモヒカンは少しの沈黙を置いてから、返事をして歩き始めた。

 俺とアイの二人は、数メートルの距離を置いてからその後をつけていく。


 盗賊のアジト乗っ取り計画の概要はこうだ。


1、アイの催眠術でモヒカンにアジトまで案内させる

2、化け物を捕まえたと仲間に報告させわざと捕まる

3、モヒカンの手を借りて夜襲


 完璧だろ。惚れ惚れする。


「ゴンベちゃん、凄いね!」


 と、アイも言っていた。もう成功しか見えない。


 この世界で新しく暮らしていくとなれば、必要なものが多々ある。

 例えば金。人が文化的な生活をしている以上、経済は確実に存在するだろう。モヒカンたちも、俺は高く売れると話していた。つまり、確実に存在する。で、あれば。金は絶対に必要になってくる。普段の買い物もそうだが、俺の最終目標を叶えるためにも、人に教えを乞うならば金銭と言う対価を払うのが一番だろう。

 そして武器防具。先ほどの盗賊との殺し合いで実感した。身を守るものが必要だ。盗賊のアジトともなればその類はあって然るべきだろう。

 それから拠点。盗賊が暮らしていたと言うと少し不安な要素はあるが、雨風を凌げる場所と言うのは重要だ。道端で睡眠を摂ると危険だと、これも先ほど身に染みた。

 盗賊のアジトを奪うことで生きていくために必要なものが凡そ揃うのだ。やらない手はない。


「しかし……結構……長いこと……歩いたな………。病人には少し辛い距離だ……。山道だし……」


 ぐんぐんとこちらに構わず歩いていくモヒカンの後をつけるが、そろそろ限界が近づいてきている。

 ぜえぜえと荒く息を吐き、ときたま胸を押さえつつも、置いていかれないように必死で歩く。願わくば少し休憩したいところだが、モヒカンが少しも疲れを見せていないばかりか、アイですら少し汗を流している程度で体力には問題なさそうなところを見ると、とても「休ませてください!」とは言えない。男の子(四半世紀歳)にも意地はあるのだ。

 しかし、俺のそんな低いプライドの壁を越えて、アイが労わるように話しかけてくる。


「大丈夫……かな?少し休憩した方がいいかな?疲れたなら言っていいんだよ?だよ?」


「いや、大丈夫……ではないけど、今は先を急ごう。奴のアジトがどこにあるのかわからないし、暗くなる前に辿り着きたい」


「そ、そう?」


 言ったとおり、疲れたのも休憩したいのも事実だが、早く到着したいのも本当だ。

 特に根拠はない。が、あえて言うなら虫の報せか。なんだか嫌な予感がするのだ。遅くなればなるほど、俺の命が危うくなる。そんな予感が。


「じゃあ、わたしが……ゴンベちゃんを負ぶさろうかな」


「お願いします」


「う、うん!頑張るよ?」


 やったー。


 いや違う違う違う。予想してなかった幸せに思わずお願いしてしまったが、これはどうなんだ?

 いい年した男が、見た目十代半ばの女の子に負ぶさられているってのは流石に問題がある気がする。絵面的にも倫理的にも。

 しかし、アイはすっかりその気になって腰をかがめ、その顔の真ん中についた大きな目でこちらを見つめてくる。


「乗って?」


「お、おう」


 乗った。


 いや、仕方ないって。俺疲れてたもん。このまま歩いてたら多分死んでた。あと三分くらいで死んでた。ぬわぁ!って。

 それにあんな可愛い顔で迫られたら、これは乗っちゃうって。


「ヨイショ……!」


 言われるままに、アイの背中に負ぶさる俺。

 アイのつむじが目の前に見える。アイは気にしてないようだが、首から回した俺の両腕が、軽く胸にも触れてしまっている。

 正直たまらん。せっかくだし、深呼吸しとこう。アイの髪の匂いが鼻腔を擽る。水洗いくらいはしているだろうが、シャンプーなど使用したことはないのだろう。はっきり言って臭い。脂の匂いや汗の匂い、それから獣臭のようなものが混ざった感じがする。うん、臭い。けど、それがいい!

 素晴らしいよね、生の女の子の匂い。許されるなら汗を舐めたいくらいだ。


「あ、あのあのあの……!!」


 頭の匂いを楽しむ背後の俺に、アイが何やら焦って話しかけてくる。


「何?そろそろ着いた?」


 俺を負ぶさりながらしっかりとモヒカンから離れずに歩けている。それが人外故なのかは知らないが、なかなか驚異的な体力だ。


「そ、そうじゃなてくて」


「うん、何?」


「せ、背中に何か……固いものが当たってる……かな?」


「ああ、ナニ」


 なるほど納得。アイの身体を色々楽しませてもらっているお陰で、どうやら俺のナニがナニしてしまったらしい。それが背中に当たっていると。


 ………ふむ。


「当ててんのよ」


「え、えぇぇえぇぇぇ……!!」


 耳元で囁いてやると、アイの顔どころか首筋まで真っ赤になるのがわかった。

 しかしこのセリフ、いずれ言われてみたいセリフではあったがまさか先に自分が言うことになるとは。わからんもんだ。


 道すがら露骨にアイの髪に顔をうずめて匂いを嗅いだりとセクハラを繰り返しているうちに、すっかり日はてっぺんから少し傾いてきていた。

 時計のようなものがないから時間はわからないが、結構歩いてきたようだ。

 流石にそろそろ休憩を挟んだほうがいいか。セクハラのせいか疲れたからか、息が荒くなってきたアイを見てそう思った矢先、モヒカンが動きを止めてこちらを振り返り、指を差す。


「あそこに小屋が見えるだろ?あれが俺たちのアジトだ」


「ほう」

 

 アイに「ありがとう」と俺を言ってから背中から下ろしてもらう。

 モヒカンが指差した先、小屋と言うには立派なログハウスが見える。アレがアジトか。いいとこ住んでんじゃねーか。


「よし、じゃあこれから作戦を開始する。その前に、アイちゃん」


「ん、何かな?」


「このモヒカンにもう一度催眠をかけておいてくれるか?念のために」


「了解だよ!」


 途中で目が醒めました!なんてことになったら一大事だ。念には念を入れる。


「ちゃんとわたしの言うこと全部きいてね?」


 モヒカンの目を見つめるアイ。


「……ああ」

 

 一瞬目が虚ろになったかと思うと、すぐに焦点が戻った。確認しとこう。


「アイちゃん、アレを」


「う、うん。えっと、あなたの『誰にも言えない秘密』をひとつ教えて?」


「ああ、ガキの頃に、食い物に釣られて一つ年上の近所のあんちゃんのチンコをしゃぶったことがある」


「アハハハハハ!!」


 やべえ、超おもしれえ。おなか痛い。

 そらこんなこと人には言えないわな。まあお陰でしっかりと催眠にはかかっている事がわかった。

 それじゃあ早速本番に取り掛かろう。


 アイにお願いして、モヒカンに俺たちを縄で縛るように命令してもらう。

 これで俺たちはモヒカンに捕まった獲物となった。怪しまれずにアジトに潜入できることだろう。




 縛られながら、アイと会話をする。


「ところでさ、アイちゃんの人には言えない恥ずかしい秘密ってなんかある?」


「え、えぇぇぇ……!」


 アイの顔がボっと一瞬にして真っ赤に染まった。


「……さっき以上に恥ずかしかったことなんて……ないかな?」


「ほう」


 俺のセクハラが今まで一番恥ずかしかったことらしい。恥ずかし乙女。


「つまり俺がアイちゃんの初めての相手ってことだな」


「~~~~~!!」


 単眼を細くして眉を顰めるアイ。さっき以上に顔を真っ赤にして、言葉に詰まりながらも一言。


「ば、ばか」


 めっちゃ可愛いね。




――――――――――――




 コンコン、とモヒカンがアジトの扉を二回叩く。

 すると、扉の向こう側から男の声が返ってきた。


「まぐろ」


 合言葉だろうか。しかし何故まぐろ。好きなんだろうか。

 その謎の言葉に、モヒカンは淀みなく応えた。


「ご期待ください」


 何だよそれ、ふざけんな糞が。面白いじゃねーか。笑いそうになるのを舌を軽く噛んで我慢する。今の俺は盗賊に捕まった可哀想な旅人なのだ。

 笑ってはいけない笑ってはいけないと考えていると、扉が開いた。


「よう、帰ったぜ」


「おう、遅かったな。アヒム」


 今度はモヒカンの名前を知ってしまった。嬉しくない。


「お、なんだそいつら」


 中から出てきた男、さっきの「まぐろ」の奴だろう。特に目立つポイントはないし、こいつの呼び名はまぐろでいいか。

 まぐろが俺たちを指差した。


「ああ、今日の狩りで捕まえた獲物だ。こっちは単眼で、こっちは何か知らん。ただナイフで刺した傷がすぐに治ったんでな、ただの人間じゃないだろう」


「ほう、すげーじゃねーか!売れば俺たちはちょっとした金持ちだぜ!」


 ヘヘヘッと笑いながら、値踏みするように俺とアイを眺めるまぐろ。

 見てんじゃねーぞ、お前も握りずしにしてやろうか。などと考えてはいけない。あくまで俺は獲物だ。しおらしくしおらしく。


「だが、ドミニクが殺されてしまってな。こいつら中々手強くてよ」


「なんだよ、あの野郎死んじまったのか。そいつはごしゅーしょーさまってな」


 どうやらこいつらには仲間の絆とでも言うのだろうか、そう言った感情は皆無らしい。

 下手に激昂されて「よくもドミニクを!」などとこの場で攻撃されなくてよかった。そうなった場合になればモヒカンに説得してもらうよう手筈は整えておいたが、何も起こらないならこれに越したことはない。


「しっかし、単眼ってのはホント気持ち悪ィな。こっちの奴も黄色い肌な上に、単眼と同じ黒い髪をしてやがる。こんな奴らを買おうっていうお貴族様の気が知れねぇぜ」


 アイの前髪を乱暴に掴みながらまぐろが吐き捨てるように呟く。

 アイの大きな目に涙が溜まった。

 少年誌の主人公だったら、ここで「アイを泣かせやがって!」とまぐろに食って掛かるところだが、生憎俺は週刊連載ではない。

 アイの眼球舐めたい、ただそれだけしか考えていなかった。


「じゃあ、俺はこいつらを物置にでも置いてくるわ」


 モヒカンが俺とアイを縛った縄を持ってアジトに入っていく。これでアジト内への侵入に成功を果たした。

 と、思われたその時。まぐろがモヒカンに声を掛ける。


「おい、待てよアヒム。まだ話は終わってねぇよ」


「あん?なんだよ?」


「化け物の獲物のことだけどよ」


 何か感付かれてしまったか?

 いざとなれば、モヒカンに命令をして戦うか逃げるか、どちらかしないといけない。

 相手の人数がまだわからない。アジトの奥にまだ誰かいる可能性がある。

 アイに目線で合図を送り、まぐろの次の発言に備える。 


「そっちの男の方の服、脱がしとけよ。こっちの方じゃ見たことない生地だ。多分高く売れるだろう」


「……ああ、わかった」


 どうやらセーフらしい。

 ほっと一息ついたところで、モヒカンが俺に「脱げ」と命令してきた。

 オッケー、オッケー。脱ぎますよ。


 俺の全身が露になる。

 風に揺られてぶらぶらだ。

 おいおい、アイよ。そんなに赤い顔して見つめてくれるな。しおらしくしていないといけないのに、少し元気になってしまうだろう?



 しかしアレだね。

 ポロリもあるよってのが、まさか俺のポロリだったとはね。


 ハハッ。


 お後が宜しいようで。



ポロリ回(何がポロリするとは言ってない)回でした。

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