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草原にて


 もうどれくらい歩いただろうか、周囲に見える景色は先ほどまでの砂浜や海とは一変し、ただひたすらに草原だった。

 振り返ると遠くに海が見える故に、なんとか方向感覚だけは見失わずに真っ直ぐと進めているが、建造物はおろか山なども見えない。


 なんと言うか、正直辛い。


 同じ景色の繰り返し、何も代わり映えのしない風景と言うのは実にも気分を滅入らせる。

 こんな苦痛は、中学生の時分に、学校の男子トイレと女子トイレの間の壁に細工をして覗けるようにした事が教師にバレ、罰を喰らって学校の校庭を延々と走らせられたとき以来だ。

 一周二百メートルのトラックをただ黙々と走る俺。冷たい視線を送ってくる女子。羞恥プレイか。前かがみになる俺。思えばあの頃から俺の性癖は定まってきた感がある。


 しかしいい加減に何かしらの変化が欲しいところ。

 何より喉も渇いている。いくら普段から飲食の制限をしていると言っても限度もあると言う物だ。

 今にして思えば、海と川は必ず繋がってるはずなんだから、海を伝って歩いて川まで行けば良かったのだ。

 反省しても後の祭り。もう遅い。


 あーあ、目の前に女神とか顕れないかなー!

 貴方に水を施しましょうとか言って、俺に向かって差し出した両手から水がサラサラと流れてくる。それを見た俺は「どこの誰とも知らん人間の手から溢れた水なんて汚くて飲めるか」と思いっきり拒否をしてやり、傷ついた女神の表情を見て愉しむのだ。

 かみころりのような女子相手なら「ありがとうございます」とノータイムで指の股までペロペロと舐め尽くす所存だが、ナイスバディでおっとりとした性格な水の女神(きっと趣味はお菓子作り)相手なら困らせるのが一番愉しいと思う。最終的にはおしりをペンペンしたい。


 などと、由なし事を浮かべ連ねながら何とか歩みを進めていると、青々とした草原についに変化が見られた。


「轍……だよな」


 草が剥げ、露になった地面が二本の直線を作っている。

 その中心辺りに馬の蹄のあとのようなものがあった。

 恐らく、ここは馬車の通り道だ。

 二本の線の部分だけ草がまったく生えていないところをみると、恐らくそう長い間を置かずに何度も馬車が行き来しているのだろう。

 と、言うことは。


「この轍に沿って歩けば、いずれ人に会えるんじゃねーの?」


 自分の仮説が正しいかはわからないが、今は割りと切羽詰った状況だ。食い物はともかく、飲み水はできるだけ早く確保したい。水を譲ってもらうなり川の場所を教えてもらうなり、情報が必要だ。

 そうなると、人間に出会うことは急務となってくる。あわよくば馬車に乗せてもらい街まで行けるかもしれない。


 よし、決めた。


「よいしょ。……あーっ!疲れた!」


 その疲れをごまかすように大声を上げながら、草原の上に寝転んだ。

 正直、もう限界を超えている。道中何度もふくらはぎや太ももば痙攣を起こしているし、靴もなしに歩き続けて靴下はもうボロボロだ。

 俺が異世界に来る前の格好、ジャージに靴下と言う着の身着のままで送り出したかみころりに不満への不満がつのる。


 くっそーあの幼女、絶対に頭皮の匂いを嗅いでやる。

 胸いっぱいに幼女の匂いを吸い込んで、意味もなく大笑いしてやるのだ。


「………」


 仰向けに寝る俺の視線に映るのは、空。


 空が蒼い。青いって言うより、蒼い。なんとなくくすんで見えるのは俺の気のせいだろうか。

 どことなく、前にいた世界と空気の味も違う気がする。

 まあ、国が違えば大気だって変わるのだ。異世界となればそれも一入だろう。


 少し眠ろう。

 疲れを癒すにはとにかく睡眠が必要だ。数分でも良い。起きているのと比べると断然疲れの抜け方が違う。

 俺の寿命と言う期限はあるが、無理をしたところでその期限が早まるだけだ。今はとにかく体力の回復を優先させる。

 この轍を遮るように眠っていれば、馬車が通りかかれば流石に俺に気づくだろう。

 そのときに起こしてくれることを願って、おやすみなさい。






――――――――――――――――――――






「先輩、部室に来るの久しぶりッスね」


 長い髪を二つに纏めた少女がニッコリと笑っている。


「あー、最近勉強がんばってんだよ。行きたい大学あってさ」


 俺の言葉を聞いて、少女の顔が一瞬だが翳るのがわかった。


「――先輩と同じ大学ッスか?」


「……なんでわかんだよ」


「わかるッスよ……」


 さっきの一瞬の暗い顔が嘘かのように、満面の笑みで言った。


「先輩のことなら何でもわかるッス。だって、この二年間、先輩のことずっと見てきたんスから」


「俺は……」


「いいんでス。何も言わないでくだサイ」


 少女は立ち上がり俺の膝の上に座ると、おもむろに制服のブラウスのボタンを外し始める。

 幼い顔立ちとは似ない、豊満な谷間に思わず目が行った。


「お、おい……」


「何も言わないで、先輩。今は――何も――――」




――――――――――――――――――――――――


――――――――――――――――――――――


――――――――――――――――――――




「おい、見ろよこいつ」


 あ、そんな!そこは敏感なとこで……!え、うそうそ!そんなことしちゃうの!?大胆すぎない!?どこで覚えたのエミリちゃん!やばいって!そんなことしたら俺のコイ○ングがギャラ○スになってはかいこうせん撃って一回休んじゃう!!


「あん?なんでこんなところで寝てやがんだ?」


 よーし、次はこっちの番だ!君のパ○シェンをつのドリルでみずでっぽうだ!


「何があったかは知らねーが、こいつ、裕福そうな格好してると思わねーか」


 ああ!すごいよ!こんなポケ○ンバトルは初めてだ!!


「そうだな。叩き起こして服を脱がせてから、こいつは奴隷商にでも売っぱらうか」


 バトルがこんなにも楽しいものだったなんて、みんな、バトルしようぜ!!


「そうするか……っと。オラ、起きろや!


「グハっ!?」


 腹への強烈な衝撃と痛みに、口から嗚咽が漏れる。


「げほっ!げほっ……!!」


 一体なんだと言うのだ。腹がジンジンと痛む。先ほどまで見ていたはずの夢の内容もすっかり忘れてしまった。なんだか凄く楽しいゲームをして遊んだ夢だったような気がする。


「ようやく起きたかよ、オラ、さっさと立てや」


 声のしたほうを見ると、二人のおっさんが顔を顰めて立っていた。

 モヒカンと、スキンヘッド。見事な世紀末ヘアーだ。俺がたどり着いた異世界はイカれた時代だったようだ。タフボーイではない俺には辛い現実だ。

 しかしこのおっさんども、蹲る俺に心配の言葉のひとつもない。常識を持った人間なら、苦しそうにしている者がいれば優しく声をかけるのが当たり前だろう。


「いや、すんません……。ちょっとここで休んでたんですけど、急に腹がくるしくなって……なんでかわかんねーけど……」


「そりゃそうだろうよ、俺がお前の腹を蹴り飛ばしたからな」

 

 はあ?このスキンヘッドのおっさん、いまおかしなこと言わなかったか?俺の腹を蹴った?なにそれ、残虐超人も真っ青の悪逆非道だぞ。

 見知らぬ人間蹴るとか怖すぎだろ。そんな悪辣な行為が許されるのは盗賊くらいなもんだ。


「お前さん、随分といい生地を使った服を着てんな?自分で大人しく脱ぐのと、ぼこぼこにされてから脱ぐのとどっちがいい?」


「大人しくしてくれた方が俺らも面倒ないし、売るにも金になるからありがたいんだけどよ?」


 はい、フラグ回収。盗賊でした。モヒカンとスキンヘッドがヘラヘラと笑っている。

 さてどうするか。当たり前のことだが、俺には戦闘力は皆無だ。義務教育の頃に柔道を多少かじったが、それが荒事に慣れている上に武器を持った人間相手にどの程度通じるかと言うと、お察しである。

 この世界に来てこの盗賊のおっさんに出会うまでに誰一人として出会わなかったことを考えると、助けを呼ぶことも不可能だろう。

 と、なると。逃げの一手に出るしかないわけだが、二対一では逃げ切ることもできないだろう。


 あれも無理、これも不可能。


 奴隷になって美人さんに飼われる人生もそれはそれで愉しいんじゃないか。奴隷を買えるくらい裕福なら俺の薬も買ってくれるかもしれない。いやいや、汚いおっさんが飼い主かも知れんだろ。

 解決策を考えては否定して、結局有効な打開策は見つからない。


 

 やるしかない。



「もう、……ないじゃん」


「はぁ?」

 

 何か言ったかと聞き返してくるモヒカンの股間を、思いっきり殴りつけた。


「!”#$%&’()=」


「て、てめぇ!!」


「もう、死に者狂いでやるしかないじゃん!!」


 立ち上がって拳を握る。モヒカンは沈んだ、相手はスキンヘッドただ一人だ。もう奇襲は通じないだろう。覚悟を決めてやるしかない。


「七篠権兵衛なめんなやぁぁあぁぁぁぁぁあああ!!」


 体を無理やり奮い立たせながら、死に者狂いって言葉の字面、怖くね?そんなことを俺は考えていた。




毎回力尽きながら書いてるので推敲はできていません。

余力のあるときに見直して、ミスがあれば直します。

申し訳。

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