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プロローグ1・神を崇めよ

 

 七篠権兵衛、24歳。無職。

 ここ大事だからもう一回言おう、無職だ。ニートではない。

 働く気はあるのだ。しかし身体が言うことをきかなければ、自由になる時間も厳しい。

 俺は病に伏せているのだ。しかも、現在の医療技術では完治が難しいほどの病気。週に何回か病院に通い延命措置をしなければ、きっと一週間もせず死ねるだろう。そういった病気だ。

 だから、無職。


 体調を崩す度、病院から帰宅する度、ヘトヘトになった俺はベッドに潜り込んでは神に祈るのだ。


 どうか、神様。俺のこの病気を何とかしてください。





「オッケー」





 何だか身体が軽くなる、と言うよりかは浮いている?身体を包む浮遊感に慌てて目を開くと、そこはひたすらに真っ黒な世界。どこを見ようとも何も見えぬ、完全なる闇。先があるのか、ないのか、それすらもわからない。音も光も何もない世界で俺は目を覚ましたのだ。

 いやいや、流石にこれは夢だろう。明晰夢ってやつだ。自分の意識がはっきりした状態で見る夢。

 こんなチャンスなかなかない。これは俺の夢なのだ、好きなようにできるはず。とりあえずエロい夢を見よう。


 神への生贄だと誑かされ、村の権力者の爺たちに慰み者にされる巫女……。半ば諦めてしまって無抵抗な巫女……。


「いや、流石にそれは引くわー」


 童貞の一念、岩をも通す。目の前に顕れたのは巫女服を纏った白髪の少女。長い髪が暗闇の中にあり、光を放って見える。いや、この少女こそが輝いて見えた。


「よっしゃ!人外巫女ロリ!」

「いや、待て待て。そうじゃない。違う、そうじゃない」


 まずは裸になろう、そうベルトに手をかけたところで少女から静止がかかる。少女に精子をかける前に少女から静止がかかった。


「いやいや、夢は叶えないと」

「いやいやいや、ないから、そういうのじゃないから」


 構わず俺はズボンを下ろす。

 すると少女は俺のズボンのウエストを掴むと、思いっきり上のほうに引っ張りあげた。


「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い――」


 金の玉が食い込む。何だろう、さっきまでプカプカと闇に浮いていたはずなのに、今この瞬間だけ異様に身体に重力を感じる。


「痛い!痛いから!ホントに!やめて、お願い!」

「ねえ、わかってくれた?夢じゃないんだよこれ、君の夢じゃないんだ。ねえ、わかった?」

「わかりました、わかりましたから!やめて!七篠家が俺で末代になってしまう!」


 身体がまた軽くなる。どうやら少女にお許しを得ることができたようだ。

 とりあえず、股間の食い込みを直してベルトを締めておく。本来ならパンツを脱いで息子の無事を確認したいが、ここでそれをやると本格的に二つの玉が泣き分かれすることになりそうなので自重しておく。

 さて、だ。


「ここが俺の夢じゃないことはとりあえず納得しとくけど、それじゃあここって何なんだ?俺は普通に自宅のベッドで寝てたはずだけど」


 拉致、誘拐?こんな死にかけのおっさん攫って身代金もないだろう。私の身体が目当てなのかしら。


「ようやくまともに話ができそうだな。自己紹介しよう、七篠権兵衛くん」


 少女は小さな胸の前で腕を組むと、不遜に一つ鼻息を鳴らし、高らかに宣言した。



「我こそ神ぞ――我を崇めよ――」



 正直何を言ってるんだコイツはと思わんでもないが、一応居ずまいを正し頭を垂れてしまうのは、この俺の性癖によるものなのだろうな。

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