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掌編小説集4 (151話~200話)

廃屋

作者: 蹴沢缶九郎

人が立ち入らない廃屋の暗く閉ざされた一室で声がした。


「俺は昨晩、庭に猫が通ったのを見たぞ。」


すると別な声が言った。


「僕は毎朝、隣の庭の木の枝に止まるスズメを見るのが好きなんです。友達同士なのか、はたまた家族なのか、色々想像するんです。」


今度はまた別な声が言う。


「私はね、隣の庭に咲いてる花を眺めるのが好きなの。名前は分からないけどとても綺麗なのよ。なんて名前の花なのかしら。」


一番初めに聞こえた声が言った。


「遠くの世界を見てみたいな。」


「どうやらそれは叶わないようですよ。」


「そうらしいな…。」


どこからか、地響きと共に重機が近づいてくる音がした。


「あら、そろそろお別れらしいわよ。」


「そうだね、さようなら。」


「さようなら。」


ショベルカーが廃屋を取り壊し始め、もう二度と声が聞こえる事はなかった…。

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