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ブラック・マジシャン  作者: 東雲 修
第一章 転生
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第七話 「真人」と「ルースィー」

お待たせしました(待ってる人いないと思うけど)

音が聞こえる。鳥の鳴き声、人の声、足音、扉を開閉音……。

瞼が軽い、そっと、目を開けた。


「……あ……あぁ……」


上手く声が出せない、体も全体的にダルイ。


「お、起きたんですか!?良かった……生きていて……」


そう言ってベッドの隣にいたルースィーさんは涙を流しながら抱きついた。


「ここは……?それにあいつ(フリートロール)は……」


「ここはマサトさんの部屋、フリートロールは既に倒れてるよ。

マサトさんのおかげで……」


「そう……か……良かった」


「あ!私お父さんとお母さんに、起きたこと言ってくるね!」


そう言うと部屋を飛び出していった。


「大丈夫ですか?」


セリフィアさんからの通信が来た。


「はい、まぁお陰さまで死なずに済みましたよ」


「心配したんですよ…………呼びかけても答えないんですから……」


セリフィアさん俯いた。


「はは……まぁ死ななかっただけ儲けもんですよ」


「ポジティブなんですね、刻阪さんは」


「一回死にましたし、なんていうか……死ぬのって誰かの為なら意外と

怖くないんだなって」


「普通は、誰かの為でもあそこまではしませんよ……っとそろそろ

来るみたいですから、切りますよ」


そう言ったあとに扉が開かれ、ここの家族三人が現れた。


「ほ、本当だ……良かった、大丈夫だったんだな……」


バルキッドさんはそう言って安堵の表情を浮かべ、こちらに

近づいてくる。


「皆無事みたいですね……」


「ええ、おかげさまで、本当に。それに

娘も救ってくれたみたいじゃないですか……」


「まぁ……咄嗟の判断で」


俺がそう言うとカーラさんが口を開く。


「本当にすみません、私がちゃんと娘を見ていないから……」


「お、お母さんは悪くないよ!?私が勝手に……」


「誰も悪くは無いですよ、それに目立った怪我もしていないみたいですし

それだけでも、良かったです」


「そうですか、その……ありがとうございます」


「さてと、あれからどれくらい経ったんですか?」


「三日ほどでしょうか、魔物の遺体は全部片付けてあります」


三日……ずっと眠っていたのか。

「マサトさん、体の調子は?」


ルースィーさんは言った


「少しだるくて声が出しにくいけど……まぁ大丈夫」


「あれでそれだけなんて……すごい回復力だね」


たしかに、自分でも驚きだ。

俺はベッドから降りる。


「うん、意外と大丈夫です」


「それでも、しばらくは安静にしてくださいね」


バルキッドさんは言った


「はは、そうさせてもらいます、そう言えば村の人は俺が三日間寝ていた事は

知っているんですか?」


「はい、皆さんも心配していましたよ」


「そうですか……じゃあ、しばらく寝ていましたし、ちょっとした運動がてらに

挨拶にでも行ってきます、皆も心配ですし」


「そうですか、無理はしないでくださいね」


「分かりました」


俺はそう言って三人に見送られながら、外に出る。


「行ってらっしゃーーい」


ルースィーさんは手を振って見送ってくれた。

可愛い





その後、村の人たちは暖かい挨拶をしてくれて、感謝の気持ちを

伝えてくれた、接しているうちに、人に必要とされている実感が沸いた。

とても、暖かい。

それから体の体調がよくなるまで泊めてくれて、子供達の

遊びなんかにも付き合って、鈍っていた体を元に戻した。





四日後

そろそろ街の方へ出かける事にした、いや出かけるというよりは

旅に出る、だろうか。とりあえず街に行き、いずれは

都市「ヴィオラ」に行こうと思っている、そしてその旨を伝えた。

そして、もう一つ大事なことを明かす日でもあった。


「そうですか……寂しくなりますね」


バルキッドさんは暗い顔をした。


「まだ、居てもいいのに……」


カーラさんも残念そうに言った。


「俺も寂しいんですけど……その、ここだけじゃなくて、もっと視野を広くして

この世界を旅したいと思ったんです」


「そうですか……そうですよね、一生の別れじゃないですし」


「行っちゃやだよ………マサトさん……」


俺はしゃがみ込み、目線を合わせて言った。


「また、会えるから、それに手紙は出すし

そんな簡単には魔物にもやられないよ」


そうは言ったが、それでも涙を流していた。


「そうだ、一つ……言わなければならないことがあるんです」


「なんですか?」


「俺……隠していたことがあるんです、誰にも言って欲しくないんですが」





「俺、この世界の人間じゃないんです」


そう言うと三人は驚愕の表情を浮かべた


「こ、この世界の人間じゃないって……一体……」



「騙すつもりはなかったんです、でも信じて貰えないと思ったので……でも

今なら言えるかなって、俺はこことは違う世界、地球って所の

人間なんです、多分、こことは景色も文明も違う世界……」


「じゃあなんでここに……?」


「俺は……その世界で死んだんです、それで……」


「私が、ここに転生させたんですよ」


突如セリフィアさんの顔が写った画面が出てきて、そう言った。


「こ、これは!?」


バルキッドさんは驚愕して言った、だが

カーラさんは少し違う意味で驚いていた。


「も、もしかして、あなたは女神セリフィア様!?」


「ええ、そうですよ」


セリフィアさんは答えた


「カーラ、セリフィア様って一体?」


「セリフィア様は大昔、魔王の居た時代に召喚され、共に戦ったという女神よ」


「神様!?」


ルースィーさんは声を上げた。


「ええ、でもなんでセリフィア様が……」


「俺が死んだとき、死者の俺の導きをした担当の女神が

セリフィアさんだったんですよ」


「それでそのまま支援を受けていたってことです」


「そうだったんですか………いや驚きました、まさか女神さまが……」


「私はたしかに女神ですが、暇というのもあるのですよ、これは

女神の仕事とは関係のない話ですから」


「さて……と、どうですか?違う世界の人間でも認めてくれますか?」


俺は質問した。


「私は大丈夫だよ、そんなのでマサトさんを嫌いにはならないから」


ルースィーさんは言った。

「私もですよ、最初、少し族の者かとも思いましたが……

とても優しい良い方でしたから」


「ええ、本当に楽しかったのよ、マサトさんが居たときは、それに血だらけに

なるまで村を守った人が悪い人な訳ないわ」


「皆……ありがとう、これで、すっきりとした気持ちで旅に出れる」


「じゃあ、そろそろ行きますね」


「はい、お気をつけて、帰ってきてくださいね」


「帰ってきたら、ご馳走作ってあげるからね」


二人は笑顔で言った、だが一人だけ、ルースィーさんは走って上の階に

行ってしまった。


「あの子は本当に楽しそうでしたから、あなたが来てから更に笑顔になることも

増えましたし、受け入れづらいのでしょう」


「ですよね……」


少し落ち込んでいるとセリフィアさんは言った


「落ち込む事無いですよ、子供はそういうものですから」


それに答えて、家の扉を開け、外に出る。


「マサトさーん!元気にやるんだよーー」


「帰ったらまた遊んでね!」


村人の人たちは全員手を振って見送ってくれた。

寂しいが、明るい旅出で嬉しかった、そんな風に思っていると







「マサトさーーん!!待ってーーーー!」


背後からそんな声が聞こえて来た。振り返ると、そこには


「はぁ……はぁ……」


大きな荷物を背負っているルースィーさんがいた。


「ルースィーさん?」


「私も………連れて行ってください!」


そう言い出した。

「え?でもそんな……危険だと思うしカーラさんの料理のような美味しい

ご飯もしばらく食べられないかもしれないよ?」


「それでもいい!危険でも……ご飯も我慢するし、言うことも聞くからお願い!」


そう言っているルースィーさんに困惑しているとバルキッドさんとカーラさんが来た。


「バルキッドさん!カーラさん!ルースィーさんを」


「困りましたね……でもあなたがいいなら連れて行っても構いませんよ」


「ええぇ!?でも……」


「娘は前々からもっと色々な場所に行きたいとずっと言ってましたから

それにあなたなら、私よりも強いと思いますしね」


「そう……ですか……」


ルースィーさんを見つめる


「……分かった、一緒に行こう」


「ホントに!?やったぁ!!」


「てことで、娘さんは連れて行く事にしようと思います

危険そうならここまで送るので」


「分かりました、ルースィー、迷惑はかけるんじゃないぞ」


「分かってる!」


ルースィーさんは張り切っている様子だ。


「それじゃあ改めて、行ってきます」


「行ってくるね!お父さん、お母さん」


再び見送られながら、ソーア村を後にした。






「ねぇ、その……マサトさん?」


「なに?」


「その………私のこと……呼び捨てでいいからね、マサトさんになら

もういつもの喋り方で喋れるし……その、せっかくだからね」


「分かった、じゃあ……「ルースィー」これでいいかな?」


「うん!いいよ、じゃあこれからはそう呼んでね」


「ああ、分かった、じゃあルースィー、俺のことも真人と呼んでくれ」


「うん分かった「マサト」!」


俺たちは微笑みながら歩を進めた。


ここから本格的に無計画で進めていきます

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