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ブラック・マジシャン  作者: 東雲 修
第一章 転生
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第一話 セカンドチャンス

その声の主は、白い長めのボブカットの髪に、紫の目、純白のドレスのような服

少女のような小さい体の、色白の綺麗な女性で手には本を握っていた。

彼女は口を開く。


「刻阪真人さん、早速ですが、あなたは今の状況が理解できていますか?」


いきなり何を言い出すんだこの人は……そう思いながらも

大体の状況は掴めていた。


「もしかして、死んだんですか……俺?」


「ええそうです、おっと自己紹介が遅れましたね。私は女神セリフィア主に

あなたのような死者を導くことなどをしている神です」


「早速だけれどあなたの詳しい死因などから教えますね」


「は、はい、分かりました」


「まず、あなたの死因は……お気づきかもしれませんが

トラックによる交通事故ですね。あのあと救急車や警察が来たものの

あなたは到着時には既に完全に死亡、遺体の損傷も激しく

顔の判別すらつかない状態でした」


セリフィアさんは冷静にそう言い放つ。


「あの・・・セリフィアさん?でいいでしょうか?俺が助けた人はどうなったんです?」


「あなたが助けた人は無事ですよ、突き飛ばした事によって

多少の怪我はありますが、あのままだったらあなたでなくとも

あの若い男の人が死んでしまったでしょうね……」


「そう……ですか……」


よかった、助けられたんだな……、俺は安堵の表情を

浮かべる。そうしているとセリフィアさんは再び口を開き、声を発する。


「話を続けさせてもらいますね、まず

本来あなたはあそこで死ぬべき人間ではないのです

いえ、正確には普通は……でしょうか」


セリフィアさんの言葉を聞き、頭に?が浮かぶ。

   

「死ぬべき人間じゃないってどういうことですか?」


それに対し俺は問う。

  

「あなたはほぼ全てにおいて心身ともにとても高い能力を持っています

身体能力、頭脳、勇敢さ、他にも様々な能力を持っています、早い話が

あなたは天才です。ですが運が悪かったのです。

あなたが一番わかっているでしょう?

他者の行動からあなたが不幸になり、またそういった行動を取られ易い人間です

暴力による喧嘩や他者の失敗の責任を取らされ、いじめを止めようとしても

いじめをしている者が今度はあなたの敵となり殴られ、蹴られ、ですがあなたは

何度も耐え抜いた。持ち前の能力で、人為的なものでなくとも

それこそ死にかけたりもしました。そんな不幸に遭いながらも

高い能力で大学卒業までに行きました」


彼は真剣な表情でそれを聞いていた。

今までの出来事を思い出しながら。

自分は高い能力を持っているとは自覚していた

だが生きていく上で不安な時もあった。

 

「そして今まで、しがない会社員として働いていました、ですがあなたは

本来は、普通程度の運さえあればあなたの一番得意な学問の

学者になっていたのです。ですが不幸にも死んでしまいました」


再度、自分自身の薄幸さに頭を抱える。


「そこで、私にいい考えがあるのです」


真人の眉がぴくりと動く。


「いい考え?」


「ええ、あなたにはもう一度、記憶と、体や能力等を生前の状態のままにして

あなたの望む世界に転生させ、新たな人生を送って貰おうと思うのです」


「転生!?俺なんかがですか!?それに生前のままって……じゃあセリフィア

さんが言ってた、天才的な能力を持ったまま……って事ですか?」


セリフィアさんはこくりと頷く。


「はい、あなたがいた世界では架空のものでしかない様な

それこそ映画や漫画やゲームの世界です」


本当……なのか……?だとしたら

俺は……でも……。

    

「あの……元の世界……日本には戻れるんですか?」


問題はそこだ俺はもともと地球の日本の人間だ、いきなりそんな

異世界のような場所なんて……。


「今のあなたのままでというなら無理です地球ではあなたは

既に死んでしまった存在……あそこに戻るのなら

一から、つまり生まれたばかりの赤ちゃんの頃から少しずつ積み上げていく

しかありません、もちろん前世の記憶の無い状態で」


「やっぱり……ですか、いや薄々気がついてはいたんですけど……」


「言い忘れてましたが、もちろん異世界などで最初から始めることも

できます。あなたの人生ですから、あなたの好きな場所を

世界を選んでください」


俺の行く世界……俺は、どうすればいい?


「あの……質問なんですけど、その、ゲームの様な……剣とか魔法とか

のある世界って……あるんですか?」


その質問を投げかけるとセリフィアさんは

手に持っている本を開く、少し経つとセリフィアさんは口を開く。


「ええ、ありますねその場所の詳細としては、その世界は遥か昔、なん千年も前に魔王や魔物の達によって人々が脅かされていた世界です」


「そして人の他に異種族などが存在している世界で、エルフやドワーフ、獣人や

竜人そして先ほど言った魔物を率いる魔王達の種族、魔族

呼ばれる人間以外の種族がいます。竜人は人々に敵対しほかの種族たちは人間に加勢し、人間族最大の都市、「ヴィオラ」、そして数々の

人と他種族の国が力を合わせ

ヴィオラ同盟軍として魔王軍に立ち向かいました。

その中で勇者とよばれる3人の人間がいました。

その勇者は高い戦闘能力を持っている人間で、魔王退治の旅に出たのです」


「勝ったん……ですか?」


「いえ、問題はそのあとです、

3人のうち1人は旅の途中で魔物の手によって死亡、2人目は魔王の元に

たどり着いたものの魔王の手によって死亡しました」


俺は聞いていくにつれて

顔が青ざめていく、まさかそんな深刻な問題のある場所だとは……。


「そして最後の1人は……世界のためと称して略奪の限りを尽くし最後には

魔王に契約を持ち出され

それに同意して魔王の部下となり人々や同盟軍に反逆し

多大なる被害を出しました。最終的には同盟軍率いる実力者である

当時のヴィオラ王国王子が伝説の剣で魔王を討ち取り戦争は終了。

それからも魔物たちは数多く生き残りそれらを退治しました。それから現在

絶えず数多くいる魔物達によって魔王復活がされようとしているのです。いまは先ほど説明した魔王の部下になって反逆を行った

強力な力を持つ勇者だったものの復活を先にしています

国や街の兵士や

冒険者と呼ばれる者たちが、それをなんとか阻止しようとしている……

それが今のその世界です」


「そ……そんな場所に俺が行けるんですか!?

危険なんじゃ……」


俺は叫んだ、そんな場所に行くなんて危険すぎる

「ええ、危険です。ですがこれは選択肢の一つです、これ以外の選択

もありますよ?」

やっぱり……日本に帰ったほうがいいのか……?俺にはそこまでの力は……

そう考えているとセリフィアさんは言った


「そこに生前の体で行くのならば生前の能力そのまま

ではなくその世界の平均の能力に、あなたの元の能力をその世界の基準の能力に計算して

補正値の様な形にして転生させます。もし行く覚悟があるのでしたら、正直

絶対に死なないという保証はできませんがあなたの能力の分の補正で

かなりの能力を手に入れられると思います。それに普通の生活を送り

危険に関わらないという選択肢もあります」


……能力……それで少しでもそこの

人を救えるのかな、楽しい生活ができるのかな、死ぬかもしれないけど

………やっぱり


「俺、やっぱりそこに行きますそこに行って

前よりもっと楽しい人生を送りたいと思います、危険かもしれないけど・・・

あっちでも死にかけましたし、現に死んでますしね。それに、もしかしたら

そこの方が合っているかもしれませんから。体は生前の物でやっていこうと思います」


俺は決意した、今度こそ新しい世界でもっと

人生を謳歌すると。


「分かりました、いい選択だと思いますよ。それじゃあその世界に

飛ばしますからそこにいてくださいね」


セリフィアさんは呪文の様なものを

唱える、すると自分のいる真下の床に魔法陣のようなものが出現する。


「あっちに着いたらすぐに連絡します、私の声が聞こえると思うので

聞こえたら答えてくださいね。それからの事はそちらで説明します」


と言うと急に視界が暗転する

これから異世界ライフだ、絶対に楽しもう!、そう心に誓った。


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