アフターファイブ(最終話)
終業定時が訪れた時、外は既に夜を迎えていた。
仲の良い同期二人連れは揃って会社の玄関ホールを歩いていた。このまま近場の居酒屋に行こうという話がまとまったところだった。自動ドアを前にして片方の男性が話題を変えた。
「しかしさ、その電話ボックスに閉じ込められた若い女って最後どうなったんだよ?」
「さぁ?友達もテレビ番組の撮影とかだろって思って最後どうなったかなんて見てないって言うんだよ。俺も行ってみたんだけど、そこにあったのはどこにでもある普通の電話ボックスでさぁ」
「はぁ?お前わざわざチェックしに行ったの?」
「うん」
「暇な奴だなぁ」
「うるせー。でさ、そんな汚い電話ボックスなんてどこにもなかったんだ。かなり大がかりな演出だったんだなぁって思ったんだけど」
「ふ~ん、でもそんな番組見たって話は全然聞かないよなぁ」
「そうなんだよ。でも作り話にしちゃ、やけに出来過ぎな気もするし」
「その女本当に失踪してたりして」
「まさかぁ!」
そう言って二人は笑った。自動ドアを通り過ぎたところで更に話題が変わった。
「そういえば、渥美はどこ行ったんだっけ?外回りに行ってから戻って来てないんじゃないの?」
「きっとサボったんだよ。そのまま半休にしてさ」
「電話ボックスで暇つぶししたりとか?」
そう言って二人は更に笑った。その時、話を切り出した会社員の携帯が鳴った。インターフェースを見て彼は眉間に皺を寄せた。
「誰?」
「さぁ?非通知になってる」
「大学時代の友達が悪戯してるんじゃないのか?」
「そんなわけないだろ」
彼は同期の冗談を笑って否定しながら通話ボタンを押した。
「もしもし?」
『どすけべくれぇ!!おで、デンワぼっきスにドジ込められじまっでぇ!』




