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片腕の王女  作者: 赤屋根
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取引の難行

その言葉にアダムもナロンも一瞬固まったが、こういう時にアダムは気を取り直すのが早い。

「どんな話も聞こえねえよ、この船はそんなやわな作りじゃないからな」

「でもその証拠に船の進路が変わっているわ」

「おまえはこの船をなにも知らないのに知ったような口を聞くな」

「だって分かるもの。私が邪魔になったのね。私から情報を聞き出すのを諦めて、私を知らない土地に置き去りにするつもりなのね」


イシュレのあまりの的確さに、アダムは一瞬なぜイシュレがそのような結論に達したのかを考えた。しかしナロンのは別の事を考えたようだ。

「物分かりがよくて結構。という事で君には降りてもらうよ」

「あなた達の邪魔はしない、用事が終わるまで船の中で待ってるわ」

「アダムにさえ預けられないこの船を、素性も知れない他人に任せられる訳ないだろ。」

「だったら用事が終わるまで船の外で待ってるわ」

「らちがあかないな、いいか俺達はいい人じゃないんだ。諦めろ」


ナロンの有無を言わせぬ口調にイシュレは押し黙る。すがるような目でアダムを見つめるが、アダムも黙って首を横に振る。イシュレの顔にみるみる諦めと落胆の色が広がっていくのを見て、アダムは少し不憫に思った。脱獄した方法を聞き出すのは無理かもしれない、そう思うとアダムの心も少し沈んだ。

「アダム、詳しい情報が入ってきてる」

ナロンの言葉でアダムの表情は引きしまる。

「ヘスペスの大気圏まではどれくらいだ?」

「四時間はかからないな」

「じゃあそれまでに作戦を練ろう」

アダムが操縦室に踏み込もうとした時、

「ねえ」

それを遮るようにイシュレが声をあげた。落胆の為か俯いて、今にもその場に座り込みそうだ。

「少しだけ横になりたいの」

「そこにベンチがあるだろう」

ナロンは早く作戦会議を始めたい様子だ。

「体を休められるような場所はないのかしら」

ナロンは勝手にしろ、というジェスチャーをして前に向きなおる。

「休息室はこっちだ」

イシュレは少し元気がでた様子で先にいくアダムについて休息室へと入っていった。



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