第8話: 終焉の門、秘密の鍵
運命の祭壇での試練を乗り越えたザルク、ヴォラス、ガレン、レイドの二つのタッグは、絆を選択したことで一時的な調和を得た。しかし、神の声が告げた「選択はまだ終わらぬ」という言葉が、四人の心に新たな不安を刻む。エルドラス大陸の最深部、「終焉の門」と呼ばれる場所へ導かれた彼らは、ついに神のゲームの秘密に迫る。だが、その門の先には、モンスターを超えた存在と、究極の選択が待ち受けていた。
終焉の門
終焉の門は、巨大な黒曜石の門がそびえる荒涼とした平原に立つ。周囲は不気味な静寂に包まれ、地面には無数の魔核の欠片が散らばる。ザルクの仮面レンズが異常な魔力を検知し、警告音が鳴り響く。「ここは……今までの試練とは別格だ。ヴォラス、準備しろ。」
ヴォラスは甲殻を震わせ、酸性の体液を滴らせながら門の周囲を這う。門の表面に刻まれた紋様が微かに光り、異様な気配を放つ。ザルクが砲台を構える。「ポイントも秘密も、俺たちが掴む。奴らに後れは取らねえ。」
ガレンとレイドは門の反対側から現れる。ガレンのガントレットが魔力を吸収し、青白い光が脈打つ。「レイド、この門はただの入口じゃねえ。神のゲームの終着点だ。」
レイドは銃を握り、コートを翻す。「兄貴、終着点なら俺たちが裁きを下す。あの仮面と虫を出し抜いて、全部いただくぜ!」
門が突然輝き、開く。中から現れたのは「アビス・オラクル」。実体を持たない、闇と光が混ざり合う不定形の存在。無数の目が浮かび、四人の心を覗き込む。この存在はモンスターではなく、神のゲームの管理者そのもの。倒せば、ゲームの秘密と無限のポイントが手に入る。だが、失敗は魂の消滅を意味する。
秘密の試練
戦いが始まる。ザルクのプラズマ砲がオラクルの目を狙うが、光と闇が弾を飲み込む。ヴォラスが酸性の霧を放ち、オラクルの表面を溶かそうとするが、闇が霧を吸収。「ヴォラス、核を探れ! こいつに弱点は必ずある!」
ガレンとレイドも動く。レイドの炎の弾丸がオラクルの目を焼き、ガレンの電撃を帯びた刃が闇を切り裂く。「この闇、俺の裁きで貫く!」だが、オラクルの目が一斉に輝き、四人を幻惑する。心の奥底の記憶が蘇り、動きが一瞬止まる。
ザルクが叫ぶ。「お前ら、邪魔だ! 秘密は俺たちのものだ!」
ガレンが応じる。「黙れ、仮面! 俺たちが先に終焉を迎えさせる!」
オラクルの声が四人の心に直接響く。「選択せよ。一組が秘密を掴む。もう一組は、永遠の闇へ。」
光と闇が渦巻く中、幻影が現れる。ザルクにはかつての狩場、ヴォラスには宿敵との戦い、ガレンには裁いた罪人、レイドには守れなかった者たち。幻影が囁く。「仲間を犠牲にしろ。勝利は一人で十分だ。」
ザルクの砲台が一瞬ガレンに向き、ガレンの刃がヴォラスを捉える。レイドの銃がザルクを狙い、ヴォラスの尾がレイドに振り上げられる。だが、祭壇での絆の記憶がよみがえる。四人は動きを止める。
最後の絆
神の声が響く。「秘密を欲するなら、絆を捨てよ。さもなくば、共に滅ぶ。」
ザルクが仮面を叩き、叫ぶ。「ふざけるな! 俺は狩人だ。ヴォラスと獲物を狩る。それでいい!」
ヴォラスが無言でザルクの隣に立つ。ガレンがガントレットを握り、レイドに言う。「俺たちは裁く者だ。神のゲームに屈しねえ。」
レイドが笑う。「兄貴、虫野郎と仮面も悪くねえな。一緒に終わらせようぜ!」
四人は最後の決意を固める。オラクルの目が輝き、無数の光と闇の刃が襲いかかる。ザルクのプラズマが目を相殺し、ヴォラスの酸が核を溶かす。ガレンの刃が闇を切り裂き、レイドの銃撃が光を貫く。四人の攻撃が完全な調和を見せ、オラクルの核が露わになる。
「今だ!」ザルクとガレンが同時に叫び、プラズマと刃が核を直撃。ヴォラスとレイドの援護が続き、オラクルが爆発的な光を放ち、崩壊する。魔核が現れ、門が震える。
神の声が告げる。「アビス・オラクル討伐。秘密の鍵は両タッグに与えられる。だが、ゲームはまだ終わらぬ。」
新たな始まり
平原に静寂が戻る。魔核から溢れる光が、四人にビジョンを示す。エルドラス大陸の真実――転生者たちは、神のゲームを通じて新たな世界の創造者を選ぶ試練だった。勝者は、新たな神となる権利を得る。
ザルクが仮面を調整し、呟く。「神だと? ふん、俺は狩人でいい。」
ガレンが微笑む。「裁く者として、俺も神なんざ興味ねえ。だが、ゲームは続く。」
レイドが銃を回し、笑う。「よし、兄貴! 次はどんな試練だ? 虫野郎、仮面、置いてくぜ!」
ヴォラスは魔核の欠片を拾い、ザルクに渡す。門の奥で、新たな光が揺らめく。神の声が囁く。「次のゲームは、創造か、破壊か。」
二つのタッグは、秘密の鍵を手に入れたことで新たな段階へ進む。だが、神のゲームの真の目的はまだ見えない。四人は、絆と競争心を胸に、次の戦場へと歩み出す。
(つづく)