第7話: 最後の選択、運命の分岐
嵐の頂での勝利は、ザルク、ヴォラス、ガレン、レイドの二つのタッグに一時的な絆をもたらした。だが、神の声が告げた「最後の選択」という言葉が、四人の心に不穏な影を落とす。エルドラス大陸の最奥、「運命の祭壇」と呼ばれる場所へ導かれた彼らは、試練の終幕が近いことを感じていた。競争心と共闘の間で揺れ続けた四人だが、この祭壇で待つのは、モンスターとの戦いを超えた究極の試練だった。
運命の祭壇
祭壇は、巨大な石柱が円形に並ぶ神秘的な空間。空は血のように赤く、地面には古代の紋様が刻まれ、魔力が脈打つ。ザルクの仮面レンズが異常なエネルギーを検知し、警告音が鳴り響く。「この場所……何かヤバいぞ。ヴォラス、準備しろ。」
ヴォラスは甲殻を震わせ、酸性の体液を滴らせながら周囲を警戒。祭壇の中心に浮かぶ光の球が、異様な気配を放つ。ザルクが砲台を構える。「ポイントだろうが秘密だろうが、俺たちが先に掴む。」
ガレンとレイドは別の石柱の間から現れる。ガレンのガントレットが魔力を吸収し、青白い光を増す。「レイド、ここはただの戦場じゃねえ。神のゲームの核心だ。」
レイドは銃を握り、コートを翻す。「兄貴、核心だろうが何だろうが、俺たちが裁いてやる。あの仮面と虫を出し抜くぜ!」
祭壇の中心で、光の球が輝きを増し、姿を変える。「エーテルジャッジ」。実体を持たない、純粋な魔力の集合体。無数の光の刃を放ち、触れるものを分解する。この試練のモンスターは、戦士の心と力を同時に試す存在だ。倒せば、神のゲームの秘密が明かされる――だが、失敗は消滅を意味する。
試練の真実
戦いが始まる。ザルクのプラズマ砲が光の刃を打ち消すが、エーテルジャッジは瞬時に再生。ヴォラスが酸性の霧を放ち、魔力を中和しようとするが、光の刃が霧を切り裂く。「ヴォラス、もっと接近しろ! 核を直接狙う!」
ガレンとレイドも動く。レイドの炎の弾丸がジャッジの光を乱し、ガレンの電撃を帯びた刃が突進。「この光、俺の裁きで砕く!」だが、ジャッジの刃が反撃し、ガレンを押し返す。
ザルクが叫ぶ。「お前ら、邪魔だ! ポイントは俺たちのものだ!」
レイドが応じる。「ふざけんな! 俺たちが先に仕留める!」
だが、エーテルジャッジの光が祭壇全体を覆い、四人を包む。神の声が響く。「最後の選択だ。一組のタッグが勝利を得る。もう一組は、消滅する。」
四人が凍りつく。ザルクの仮面が揺らぎ、ヴォラスが尾を震わせる。ガレンの目が鋭くなり、レイドが銃を握り直す。光の中で、ジャッジの声が直接心に語りかける。「仲間を裏切れ。一組だけが生き残る。」
ザルクが仮面の下で笑う。「ヴォラス、準備はいいな? 奴らを先に潰す。」
ガレンが刃を構える。「レイド、覚悟しろ。ポイントも秘密も、俺たちが守る。」
一瞬、祭壇が戦場と化す。ザルクのプラズマがガレンを狙い、ガレンの刃がヴォラスに振り下ろされる。レイドの銃撃がザルクを捉え、ヴォラスの酸がレイドを襲う。だが、エーテルジャッジの光が全てを遮断し、四人を強制的に引き離す。
絆か、裏切りか
神の声が再び響く。「選択を誤るな。絆を信じ、敵を倒せ。さもなくば、全員が滅ぶ。」
ザルクが拳を握る。「絆だと? ふざけたゲームだ。ヴォラス、俺たちは狩人だ。信じるのはお前だけだ。」
ヴォラスは無言で頷き、ザルクの隣に立つ。ガレンがレイドに視線を送る。「レイド、俺たちは裁く者だ。神のゲームに踊らされねえ。」
レイドが笑う。「兄貴、わかってる。ポイントも秘密も、俺たちがいただくぜ!」
四人は、裏切りの誘惑を振り切る決意を固める。エーテルジャッジの光が強まり、無数の刃が襲いかかる。ザルクのプラズマが刃を相殺し、ヴォラスが酸で核を溶かす。ガレンの刃が光を切り裂き、レイドの銃撃が核を直撃。四人の攻撃が初めて完全な調和を見せる。
光が爆発し、エーテルジャッジが崩壊。魔核が現れ、祭壇に静寂が戻る。神の声が告げる。「エーテルジャッジ討伐。ポイントは両タッグに分配。絆を選択した報いだ。」
新たな道
ザルクが仮面を調整し、呟く。「絆、か。悪くねえが、ポイントの分け前は気に入らねえ。」
ガレンが微笑む。「ゲームは続く。だが、俺たちはただの競争者じゃねえな。」
レイドが銃を回し、笑う。「次は総取りだぜ! なあ、虫野郎、仮面!」
ヴォラスは魔核の欠片を拾い、ザルクに渡す。だが、祭壇の奥で新たな光が揺らめく。神の声が囁く。「秘密は近い。だが、選択はまだ終わらぬ。」
二つのタッグは、絆を信じたことで一歩前進した。だが、神のゲームの真意は依然として霧の中。祭壇を後に、四人は次の戦場へ向かう。
(つづく)